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性転換銃~悪魔の道具~(真城さんの新作DL同人小説) 第二章 ①

第二章

「静かに!」
 その女は静かに怒鳴った。
 細身のジーンズに無地のTシャツ、グレーのパーカーという「少年」いや「青年」にも見えるルックスだ。
 一人暮らしの部屋に突如飛び込んできたその若い女は、慣れた手つきでオートマチック銃を構えると膝をついてうっすらと開けたドアから外を伺っている。
 一体何が起こったのやら分からない。
 次の瞬間だった。
 何故かベランダ側のガラス窓が開いて黒ずくめの男が入ってきたのだ!
 もう心臓が止まりそうなんてもんじゃない。
「伏せて!」
 今度はちゃんと張り上げた大声。
 飛び道具の端くれを振り回す女にそう言われたのでは伏せるほかない。
 だが、蹲(うずくま)ると同時に、襟首の後ろを掴んでその場で真上に引きずり上げられようとした。
「ぐええっ!」
 シャツの首がのどに食い込む。
 だが、プシュッ!プシュッ!という音が響くとその手が離れた。
 どたり!と地面に落とされるオレ。
「きゃあああああ~っ!」
 聞いたことも無い黄色い悲鳴が上がり、黒ずくめの男が仰向けにひっくり返った。
 けたたましく色んなものを引っ掛けてくれた。
 お世辞にも片付いた部屋とは言い難いんだが、折角詰め込んだ本棚をぐしゃぐしゃにひっくり返しやがった。
「ああああああああ~っ!」
 これはオレの悲鳴だ。
「…」
 ジーンズ女はそいつを玄関まで引きずって行って放り出した。そして周囲を慎重に警戒すると玄関を施錠した。
 よどみない動きでベランダに行くと、すぐに戻ってくる。
「しばらくは大丈夫だよ」

 オレはとにかく落ち着いてもらうことにした。
 どこから何を聞いていいんだか分からないが、とりあえずひっくり返った本棚を何とかしたい。
 一冊四〇〇円なりしかしない上、一冊一〇分で読み終わってしまうマンガ本が本棚の大半を占拠していた。綺麗に並べてはいるが、総額は知れている。とはいえ、昔から初版の帯付きばかり買っていたひいきの漫画だ。プレミアは付かないくせに帯付きのものを再入手するのは結構ホネになる。どうでもいい。
 どうにか立て直したが、まずは山となった漫画を脇に積み上げるところからやり直すしかなさそうだった。
「で?あんたは何者だい?」
 もっと怒ったり色々すべきなんだろうが、この間から非常識なことが起こりすぎた。
「…何者に見える?…なんちゃってね」
 一応は他人の男の部屋だ。食い滓(かす)を放置することだけは主義に反するのでしていないが、それ以外は典型的な「片付かない部屋」である。
 窓際には三枚一〇〇円で買った様なガラパンがぶら下がっている。一人暮らしが長くなると、いちいちタンスにしまったりせず、直接洗濯バサミからその日のパンツを選ぶ。
「…あのイケメンの仲間か?」
「…イケメン?…ああ、イケメンね。確かに悪い顔じゃないね」
 面識はありそうだ。
「悪いけど、細かいことを説明してるヒマは無いの」
「はあ」
 マヌケなやり取りだ。
「説明しようったってあたしもあんまり知らないんだけどさ」
「…はあ」
 その活発な女は、良く見るとしていたウェストポーチみたいなものから握り込める黒いものを取り出すと、ボタンを押しては何か話した。
「…とりあえず移動しましょ。ここは何とかしてあげるから」
「いや…そう言われても」
「力づくでもいいんだよ?ちゃんと鍵してれば大丈夫。あいつらはあんたと「この銃」以外に興味は無いから家探ししたりされないんで安心して」


「…と、言う訳だ」
「…」
 目の前のファーストフード…揚げたてのフライドポテト…がまだ軽く湯気を上げている。
 健康に悪そうな油の食欲をそそる香りがし、先ほどつまんだ数切れの塩味が口の中に残って更に食欲をそそる。正に動物的本能に訴える庶民の味方だ。
 だが、動物的本能…食欲…に忠実になりたいシチュエーションでもない。
 ファーストフードごしにはロマンスグレーというには少し若い、浅黒く日焼けした中年の男がパリッとしたスリーピースで決めてひじをついていたからだ。
「納得してもらえたかな」
「…」
 このおっさんは、どっかの一流企業のエグゼクティブだの社長だのと言われても驚かなかっただろう。それほど物腰が優雅で、はっきりいってファーストフードでこれ見よがしにパソコン広げて仕事してますポーズをしてるエセIT底辺とはまとっている雰囲気が違う。
 結論を言うと、場にそぐわないこと夥(おびただ)しい。
「まだ良く分からないです」
「まあ、無理もない。ボクもそうだったからね」
 白髪も混ざり始めているが分量の多い頭髪を油でなでつけた、大学生崩れのオレなんかとは格が違う「ちゃんとした大人」の目の前の男は、「ボク」という一人称を使った。だが、それも決まっている。
 正直、自分があと二十年したらこういう風になれるとは思えない。
「神木さん…そろそろ」
 ここまで案内してくれた活発女が背中越しに小さく言う。歩哨(ほしょう)(≒見張り)を気取ってるとでもいうのか。
 目の前のロマンスグレー…ということにしておこう…はどうやら「神木(かみき)」というらしい。本名だとも思えないが、名前があるってことは架空の存在から一歩こちらに近づいてくれたってことだ。
「行きがけの駄賃だ。君、イケる方なんだろ?」
 特に指のサインは作らないが、この流れだと示すことは一つしかない。
「…嫌いじゃないですが、こちとら犬猫じゃないんで」
「ファーストレストランで楽しんだと聞いたが」
「良く分かんないですけど、追われてるんじゃないんですか?」
 軽く鼻から息を吹き出す神木。
「ま、確かにそうなんだが、キミは若いのに考え方が硬いねえ」
「…神木さんが柔らかすぎるんですよ」これは背中越しの活発女。
「そうかね。いたって普通だが」
「何の話をしてるんです?」
「いや、だから最近の若者は考え方が硬いって話さ。君、フェチの方はどうだ?」
 突然剛速球が来た。
「…なんですって?」
「男なら一つや二つあるだろ?どうかね」
「…おいねーちゃん。この変態オヤジは何だ」
「ねーちゃんやめてよ。あんたみたいな弟持った覚えはないわ」
 肩越しに軽く振り返りながら言う。周囲はいい感じに喧騒に包まれていて、我々の会話に興味を持つ人間など誰もいない。
「ケイって呼ばれてるからそれでいい」
「じゃーケイさんよ。この会話は何なんだ」
「話してるのはボクだぞ?」神木の笑顔は崩れない。
「…オレも男だからな。人並みに性欲もなんもあるが、素面(しらふ)でこんな公衆の面前で並べ立てる趣味はねえよ」
「ということはあるってことだな?フェチ」
 しっかりした身なりの男が、低い重低音で「フェチ」とか言うのは下手すりゃ白昼夢だ。まるでアダルトビデオの風景である。
「…帰らせてもらうわ」
 立ち上がりかけると、ケイが目の前に立ちふさがった。
「いいから座んな。あんたに帰る場所なんてねーよ」
「どういうことだよ」
「あたしたちと協力して飛び掛かる火の粉を振り払うんだね」
「断ったら?」
「死ぬね」
「…やられるとかじゃねえのか?」
 この場合の「やられる」というのはもちろん「性的に」「性交渉をされる」はっきり言えば「レイプされる」という意味だ。ちなみに英語でも単に「DO」といえば「やる」つまり日本語とほぼ同じ意味になる。この辺は洋の東西を問わないようだ。
「そこは私が捕捉しよう」
 仕方なく腰を下ろす。いつの間にか一人称が「私」になっている。まあ、「俺」じゃないってことだろう。
「我々は仕掛ける側であって、仕掛けられる側ではない。つまり、被害に遭う心配はしなくていい」
「それは何よりだ」
「だが、殺される危険性はある」
「物騒な…」
「そういうことだ。君がやらんならボクがやるよ」
「神木さん…」
「参加するかね?」
「遠慮します。時間がありません」
「そう硬いことを言うな。デモンストレーションにもなるし」
 誰の返事も聞かず、突如取り出した黒光りするオートマチック拳銃(に、見えた物)を突然隣の席に座っていた気の毒なアンちゃんに発射した。
「っ!?」
 ほぼ同時に銃をしまう神木。
 突然のことに面食らっている。まあ、それはそうだろう。
 隣に座っていたのは大学生か社会人か…良く分からない垢抜けない若者ファッション…要はダサい恰好ってことだ…に身を固めたごく平凡な男性だった。
 何やらカバー付きの文庫本に目を走らせたり、時々思い出したようにスマートフォンをいじったりしていて、テーブルの上には典型的な買い足しのナゲットだのポテトだのが広がっている。
「う…あ…」
 悲鳴を上げたりうろたえたり叫んだりするよりも早く、彼の身体に変化が訪れていた。
 ごく普通の髪型だった彼の髪はまるで生き物のようにぞわぞわとうねり、そしてさらさらと流れ落ちて行く。髪が長くなっているのだ。
「あ…あああ…あ…」
 どういう風に状況をコントロールしていやがるのか知らないが、彼は殆(ほとん)ど叫ばなかった。流石に真昼間のファーストフード店で絶叫すれば店員などにも異常に気付かれるだろう。
 用心深くも二階の一番奥の方の席でこの会合は行われている。もしかして本当に一番隅を陣取らなかったのは、彼に先に占拠されていたということもあるが、「獲物」を確保しておくためだったのだろうか。
 両手で自分の胸を腕組みするかの様に抱きしめている。
 何度かこの光景を観て来たオレには分かる。
 今、その胸が、女の乳房の様に内側から膨らみ、盛り上がって来ているのだ。
 締め付けたからそれが抑制されると言う訳でもないのに、必死に抱きしめてしまうのは「性転換しつつある男」のサガみたいなものなのだろうか。
 ま、余り一般的な見解とは言いかねるが。
「え…ええ…?」
 長い髪に隠される形になった彼の顔は、脂ぎった毛穴が全てすっきりし、ヒゲの剃り跡がぶつぶつしていた頬も顎も大理石の様にするりと滑らかになり、くりっと丸い瞳が可愛らしくなっていた。
 目の前に翳された手…手首から先…の指が見る見る目の前で細く長く、美しく変形していく。
「…」
 多少は見慣れてきたオレですら、例えその先が美しい姿であるにしてもあからさまな「人体変形」模様に生理的嫌悪感が無いとはいえない。
 だが、その妖しい魅力は確かにあった。
 テーブルの下なので目視は出来なかったが、彼…もう殆(ほとん)ど彼女…の脚は内側に曲がって行き、臀(でん)部が張り出して艶(なまめ)かしい脚線美を形成し、ウェストが細くなっていったことだろう。
 そして…男性のシンボルが小さくしぼんでいき、体内に吸収されていったことだろう。
「あ…」
 長い睫の目をぱちくりさせている美少女がそこにはいた。
 動くたびに美しく長い髪がさらさらと揺れる。目の前に翳されたその指の細さは間違いなく美人の記号そのものだった。
 それが野暮ったい男物のファッションに身を包んでいるというのは色んな意味で倒錯的だ。
「…っん!…」
 その情景に酔っているヒマもなく、新たな刺激が被害者を襲った…らしい。少なくともそう判断できた。
 野暮ったく、平板な体型のみイメージしていたであろうTシャツ…良く見るとそこにはアニメキャラ…とも言い切れないが、少なくとも何か人の顔らしきものが描かれていた。
 だがその造形は、両手に抱えきるのがやっとに見える豊かな乳房が服の下から突き上げることですっかり歪み、変形してした。
 その胸を再び抱きしめる被害者。
「…」
 神木がドヤ顔でこちらをちらりと振り返る。
 背中を向けて見張りをしていたケイもどうしても気になるのかチラ見してくる。が、この行程になって視線をそらした。まるで汚らわしいものでも見るかのように。
 …それでピンときた。
 何故かは分からないが、感じ取れた。
 あれは…ブラジャーをさせられたんだ…。
「う…あ…」
 茫然として自らの豊かな乳房を見下ろしている被害者。
 きっとそうなのだろう。
 被害者の生まれたばかりの乳房は、文明の利器たる「ブラジャー」によってしっかりホールドされたのだ。
 きっと被害者の横隔膜の上あたり、アンダーバストと背中、そしてもしかしたらその大きさと重さから考えるに両肩に強烈な拘束感が襲ってきたことだろう。
 変化は止まらず、被害者の全身が外からも分かるレベルで変化していた。
「ん…ぁ…んぁっ!」
 たまらずひねって逃れようとし、それが更なる刺激を生んで返って苦しくなっている…様に見えた。

性転換銃~悪魔の道具~ DMM版
性転換銃~悪魔の道具~ DLsitecom版

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