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【好評発売中】魅惑の闘技場 作.真城悠 絵.蜂密柑 第二章3

「そうですか!」
「しかし、それが本当に可能かどうかはこれから判断します」
「お願いします!」
「では、あなたの能力を見極めましょうか」
「ボクの…能力ですか?」
「ええ。基本的に誰しも固有の能力があります」
「人を…女にしたり女装させたりの?」
「そうです。潜在的に気付いていないだけでね」
 マンガみたいなといえばこれほどマンガみたいな話も無いだろう。だが、目の前で展開され、被害にまで遭っている。疑う余地は無い。
「それは…生まれつき決まっているんですか?」
「う~ん、そう言ってしまうと馬鹿馬鹿しくはなるでしょう。生まれたばかりの赤ちゃんに女性の衣類の知識などあるはずもない。こう考えてください。クセとか傾向…みたいなものです」
「クセですか」
「無くて七癖…と言う通り、人は無意識に何らかのクセがあります。絵を描く方なら『画風』がありますし、プロ野球の投手などは非常に個性的なフォームの方も多い。そういうものだと考えてください」
「…はい」
「その能力を引き出します」
「どうやって?」
「それは企業秘密です。ただ、あなたには先ほど承諾された段階でもう備わっています」
「え?」
「早速私を実験台にしてみてください」
「時田さんを…ですか?」
「遠慮はなさらないで大丈夫です。これでもベテランですから」
 いい年こいた男同士がいざ目の前の相手を女に性転換して女装させようというのだ。
「…具体的にはどうすれば?」
「相手を変化させるイメージを抱いてください。相手がとくに精神的に抵抗しなければすんなり掛かります」
「でも、どんな能力なのかも分からないのに!?」
「だから生まれながらの能力と言ったでしょ?掛けようと思えばあなたの能力が掛かります」
「じゃあ…えい!」
 思わずオレはぎゅっと目をつぶった。
 …ゆっくりと目を開ける。
 時田は何も変わっていなかった。
「…まだ、不慣れなようですね」
「すいません」
「いえいえ。たまにいるんです。そういう方が」
 情けなかった。
「仕方が無い。とりあえずデビューまでのトレーニングの話をしましょう」
「トレーニング…ですか」
「ええ。ショーの側面も強いですが、なんといっても「競技」です。プロレスがショーだから練習しない訳じゃありません。むしろ逆で、しっかり練習していないと怪我をします」
「訓練するんですね」
「ええ。仮に試合中に相手のパンチを一発も食らわないほどの天才ボクサーがいたとしても、メディシンボールで腹筋を打つ練習をしない訳が無い。そうでしょ?」
「はあ」
「正真正銘、一発も打たれたことの無いボクサーが本番で強烈なパンチを初めて食らったら…どうなると思います?」
「…驚くでしょうね」
「最悪、死に至ります」
「そんな…」
「だからある程度慣れておく必要があります」
「…もしかしてそれって、デビュー前にある程度性転換して女装させられることを経験しておいた方がいいって話…ですか?」
「ええ」
「その…そこが嫌なので『全勝煽り』を提案したんですけど…」
「ほほう、最初から食らう予定が無いからそれに備える必要も無い…とこうおっしゃりたい訳ですか」
「いや…そうは言ってません!それに!」
 突然大声を出した。
「観客はあくまでもその…女になったり女装させられたりするところに戸惑ったり恥ずかしがったりするのが見たいんでしょ?…慣れ過ぎるのも興をそぎません…か?」
 しばし沈黙。
「まあ…その指摘そのものは的を射てはいます」
「いますよね?そういう人」
「…もう闘士として契約された方なのでお教えしますが…います」
「そういう人ってどうなるんです?」
「結論から言えば闘士としては引退となります」
「え…」
「おっしゃる通り、女体化も女装も日常となってしまえば一々驚いたりはしなくなっていきます。これでは見ている方は興奮しません。ましてや、対戦前に既にナヨナヨしていたりすれば最悪です。私がこちらのハウスに来る遥かに前のことですが、半ば喜んでしまう闘士もいたそうです」
「女になる…っていうか女にされるのを?」
「はい」
「…気がしれない…」
「女としての幸せや快楽に取りつかれてしまったのかもしれませんね。ともあれ、そこまで行ってしまえば闘士としての魅力はゼロです。基本的には勝とうとしてくれなくては幾ら賭けていないと言っても興ざめです」
「で?どうなるんです?そういう人は」
「さまざまです。ただ、典型的な人物は今もこのハウスで働いています」
「え?」
「次にいらした時にご紹介します」
「はあ」
「いずれにしても一回きりということはありえません。今日ももう一度『ヴェール・アップ』を体験して頂きます」
「ちょ!待ってください!まだ心の準備が」
「甘いですよ?遠藤さん?」
「うわわっ!」
 オレは思わず手で顔を覆った。
 …。
「…?」
 目を開けると…まだ身体も服も変化していなかった。
「…!?これは…ま…さか…」
 目の前で時田が苦しんでいた。
「あの…時田さん?」
「これは…この…能力は…」
 ロマンスグレーの髪が黒く染まり、生き物のようにもぞもぞと動きながら長く伸びて行く。
 深く刻まれた皺(しわ)が伸びて行く。
「あ…あ…」
 オレの方がビビっている。
 時田さんの身体が細くなり、背も低くなっていく。
 黒を基調とした執事の衣装が真っ白に染まって行く。
「もしかして…?」
 膨張した生地がぶわり!と広がる。衣擦れの音が響き渡る。
 結論を言うと、時田は「凛々しい初老の執事」から、「純白のウェディングドレスに身を包んだ美しい花嫁」になってしまった。
 物珍しげに身体をひねって身体を見下ろしている時田。
 動くたびにしゅるしゅると衣擦れの音がする。何という可愛らしい花嫁だろうか。
「…久しぶりに着ました」
 外見通りの可愛らしい声だった。
「時田…さん?」
「はい」にっこりする時田。余裕だろうか。女になっていると自然と女性的な表情も滑らかに出る様になるのだろうか。
「…遠藤さん」
「はい」
「あなたはとても珍しい能力をお持ちのようです」
「え?ウェディングドレス能力なんじゃないんですか?」
 初々しい花嫁が自らを見下ろし、指先まで覆われた長袖と手袋の手でぶっくりと膨らんだ肩の装飾…マトンスリーブ…をつんつんした。
「恐らく違うでしょう。現在のウェディングドレスのトレンドはこういう長袖にマトンスリーブの様に過剰ではなく、胸までを覆って腕も肩も露出するタイプです」
「はあ」
 鈴の鳴る様な綺麗な声だが、確かに時田の口調だった。
「遠藤さんのお年でこの能力を得たならば恐らく今風のデザインになります」
「??」
「どういうことです?」
「恐らく、あなたは対戦相手の能力を無効化し、相手に向かって跳ね返す『リフレクター』です」
「り、リフレクター?」
「はい。数十万人に一人とも言われているそうです。私も出会ったことはありません」
 時田はウェディングヴーケを両手で身体の正面に保持していた。態(わざ)となのか自然とそうなってしまうのか。
「つまり、ボクには独自の能力はなくて相手の能力を跳ね返すだけ…ってことですか?」
「恐らくそうでしょう」
 …正直、ちょっと「つまんないな」とは思った。
「悔しいですが、これならあなたの言う『全勝煽り』もいけるかもしれません」
「というと?」
「仮にあなたの能力が何であれ、毎回勝利するならば、変化後の姿は一定ということになる。しかし、対戦相手の能力を借りる形になるのであるならば、絵的にもバリエーションが豊富になる」
「あ…」
「しかも、多くの闘士は『自分の能力』を受けたことなどありません。だからかなりのベテランでも動揺は必至です。つまり、試合としてとても見ごたえがあって面白い…ということになる」
「ボクは無敵ってことですか?相手の能力が効かないんでしょ?」
 クスっと笑う花嫁…となった時田。可愛い。
「残念ながらそうではないです。きちんと抵抗しないとね。あなたさっき私が『ヴェール・アップ』を仕掛けようとした時身構えたでしょ?」
「…はい」
「しかし、そうでなければ決まります。…こんな風にね」
「?それはどういう意味…っ!?!?!」
 気が付くと目の前の視界が薄く白いものに覆われていた。
「あああっ!?」
 全身を襲う違和感。
 耳たぶをつままれている感覚に妙に寂しい首元。両手の指先までを覆い尽くすストレッチサテンのつるつするべすべの感触…。
「とってもお綺麗です」
 目の前の花嫁がにっこりした。
 思わず見下ろすと大きく広がるスカートが視界を埋め尽くしていた。先日の再現だ。

 男同士だったオレたちは、誰もいない豪奢な広い部屋の中で、女同士となり花嫁姿になっていた。

「あ…あ…」
 また…オレ…女に…女の身体に…!
 しゅるり…と音がして目の前に迫ってくる花嫁。お互いにお揃いのドレスに身を包んだ美女の共演は、華やかでありながらどこか背徳的なものを感じさせる。
 広く広がるスカート同士が大量に接触し、押し付け合ってしゅるるるるっと音がする。
「ちょ!ちょっと!な、何をするんですか…」
 綺麗な声…事実なんだから仕方が無い…でオレが言った。
「お忘れですか?この能力は『ヴェール・アップ』ですよ?相手のヴェールをあげて、誓いのキスをするまでの能力です」
「え…だって…時田さんも女に…」
 口調はマヌケなんだが声が綺麗なので自分の耳でも複雑な気分になる。
 可愛らしく首を振る時田。
 二十代くらいに見える美女ぶりが可愛い。首が細いなあ…と思った。
「関係ありません。この能力は相手が主体です。誓いのキスを受けるのは花嫁ですが、するのは花ムコとは限らないので」
 目の前に迫る時田…であった美女…の頬がほんのり紅いのはほお紅のためだけではないらしい。
「それに、私の能力のコピーなのだとしたらあなたも相手に『ヴェールアップ』をしなくてはなりませんよ?」
「え…」
 オレの折れそうに細くなった美しい形状の腕が目の前の可憐な花嫁のヴェールを上げて後ろに落とした。
 益々接近する花嫁たち。
 ドレスのスカートの押し付け合いは限界に達し、遂にストレッチサテンに包まれたお互いの形のいい乳房同士が接触した。
「「ぁ…」」
 お互いに小さく声を出していた。
 一瞬戸惑い、軽く見つめ合うと、何故かお互いにふっと微笑んでしまった。
 その後、目をつぶり、頭を傾け合って花嫁同士が唇を重ねた。

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