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ドッペルゲンガーの君と俺 (作:なつのみ イラスト:ジンドウ) 前編

どっぺる表紙完成

作:なつのみ https://twitter.com/NA_TSU_NO_MI
イラスト:ジンドウ https://www.pixiv.net/member.php?id=14186691

「お前って妹か姉いたっけ?」

昼下り、都会の高校で悪友はいきなり馬鹿なことをいう。

「俺は一人っ子だって前にも言ったことあったよな?」
「そうだよなぁ…」

やつはいつになく真剣な面持ちで首をかしげている。
確かに兄弟が欲しいなんて思ったことは何回か思ったことはある。
しかしもう高校生だ。
さすがに今になって妹が欲しいなんて親にどんな顔をするのだろう。

「実はさ、最近三崎に似た同い年くらいの女の子を見かけるようになったんだよ」
「ふーん?」

自分に似た女の子というワードに心が惹かれた。
従妹の可能性を疑ったが父の実家は仙台で母の方に年齢の近い肉親はいない。
だとするとやはり気になる。

「先月に駅前の喫茶店でたまたま見つけてさ。
ほら、先々月開店したから試しに行ったところな。
それがまあまあかわいい系でさ」
「俺に似てるってその時点で思ったのかよ?」
「いや、その時にはそんなこと思わなかったんだけどその後もう一度その子に会ったんだよ」
「会った?見かけたんじゃなくて?」
「そう、文字通りさ。しかも俺の名前を知ってたんだ!びっくりしたよ。
そんでよく見たら目とか鼻だったりのパーツが三崎に似てて俺のこと話したんかなって思ったわけ」
「そうか…ちなみにどこで会ったんだ?」
「それもさっきの喫茶店のある繁華街だね。一人で歩いてたよ。俺と目が合った時に微笑んでくれたんだぜ!にこってな!」

どうやら嘘を言っているようには思えない。
普段適当な感じが目立つため余り鵜呑みにしないのが正解なんだが、こいつの想像力でここまで現実味のある流れは作れないだろう
なんだかモヤモヤした感じが残るが丁度今日は放課後暇なためついでに繁華街へ寄ってみるか。

「あ、その顔は興味津々だな!ちなみに俺は部活あるから行くなら一人で行けよな!」
「まあそんな都合よく会えると思ってないさ。本当に信じたわけでもないしな」
「ははは!でも会えたら連絡先聞いといてくれよ。俺結構好みなんだよね」
「お前巨乳好きだよな、その子胸でかいのか?」
「いや!そんなあるようには見えなかったな!その分腰つきがよかった!」
「正直な奴」
「そんじゃ明日進捗聞くわ!楽しみにしてるぜ」

‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐

放課後、俺は昼休みに三崎が言っていた繁華街に来ていた。
相変わらず人通りが多すぎるな。
実際時間帯的にもピークであるため仕方がないとも言える。
駅からはとめどなく帰宅する社会人と学生が歩いてくる。
俺はその流れに逆らって道を進む。
俺の家は学校から駅へ歩き、裏側にあるので特に遠回りというわけではない。
強いて言うとこの人の流れが苦手なためいつもは道を外れた場所を通って帰る。
距離的にはいつもより近道ともいえる。(気分は遠回りだが)
平日でも声のよく通る魚屋のおん爺、その反対側には学校から帰宅してすぐ店番をしているであろう美代ちゃん。
彼女は中〇生であるにもかかわらず真面目に看板娘として八百屋を引っ張っている。

「あ!三崎のお兄ちゃん!久しぶりだね!見ないうちにかっこよくなってない?」
「やあ美代ちゃん。そうかな?今日も元気だね」
「そうよ!今日も明日も私が店番なんだから!」
「頑張ってねー」
「うん!お姉さんにもよろしく!」
「ん?」
「あれ?妹さんじゃないか。三崎お兄ちゃんに似たきれいな長い髪の女の人がさっき通ってたから兄弟だと思ったんだけど」
「俺に兄弟はいないよ。でも会ったときは伝えておくね」
「はーい!今度はうちの野菜買っていってよね!」
「はいよ」

どうやら近い時間にここを通っていたようだ。
半信半疑だった斉木の言葉の信頼性が大分高まった。
これで美代ちゃんもグルだったら俺も諦めよう。楽しませてもらったと言える。
しかし美代ちゃんの仕草は演技と言うには自然過ぎてどうにも信じてしまう。
それを確かめるためにもまずはあの喫茶店に向かおう。


歩いて5分ほど。
駅のすぐ近くにあるおしゃれな喫茶店を外から眺める。
店内は女子高生や子連れの奥様方がほとんどだ。
Macを広げる意識高い大学生もいる。(どうせ扱いこなせないだろうに)
冗談はさておき目当ての女の子はいなさそうだ。
そんな毎日喫茶店でお茶を飲む子も珍しいと考え今日は運が無かったと諦めることにする。
駅の裏側はすぐ自分の家がある。
ただ、今帰っても特にしたいことも無い。
漫画の新刊を見に行くか結構長くなった髪を切りに行こうか迷う。
少し繁華街を戻り小道に逸れるとそこそこの大きさの書店が見える。
近いし今日は書店でいいだろう。髪は別に伸ばしていて何か支障が出るわけでもないしな。


「いらっしゃいませー」
「「いらっしゃいませー」」

近くにあるレジの店員が目を合わせずに挨拶をした。
それに合わせて業務的な声が発せられる。
耳を澄まさないと何が流れているかわからない小さなBGM。それと古い紙独特の香りが店内に充満している。
都会と言えども駅を数個重ねれば書店はどこもこんなもんだろう。
俺的にはこの雰囲気が好きなので逆に都心の賑やかな店に足を運ぶことはない。

「あれ、三崎くんじゃないか」
「あぁ、委員長」

たまたま制服姿の同級生に会った。

「おいおい、委員長なんて普段呼んでいないじゃないか。いつも通りにしてくれよ恥ずかしい」
「はは、島田は勉強?」
「よく見てくれ、君と同じ様に漫画を買いに来たんだ。そこらの委員長と同じにしないでくれ」
「それは今言うセリフじゃないと思うけどな。島田は勉強も両立できてそうで羨ましいなぁ」
「そうだね。まあまあかな?」

調子に乗ってドヤ顔をするさわやかな奴だなぁ。
まあ俺は島田がグラビア本を後ろ手に隠しているのが見えているんだけどな。
斉木も大概だが島田も負けず劣らず巨乳好きらしい。

「そういえばさっき君に似た子が」
「島田も見たのか!」
「ん?僕もってことは他にも見た人がいるんだね」
「あぁ、初めは斉木が言っただけだからあんまし信じていなかったんだが、八百屋の子にも言われたんだ。島田も見たってことはいよいよ本当なんだな」
「僕は嘘ついてるかもしれないよ?」
「お前にも騙されるならそれはそれで面白そうだな」
「おぉ、いやに信頼されているね。委員長として鼻が高いよ」
「それそれとして、どこに行ったかわかるか?どんな服装をしてた?」
「うーん」

腕を組み、島田は少し考える態勢になった。
メガネの奥の瞳は左上を向いている。
人が考えるとき、嘘をつくときに無意識で右上を向いているという話を聞いたことがある。
恐らく島田も嘘はついていないのだろう。(この豆知識を島田が知ったうえでの行動なら何も言うまい)

「年は僕らと変わらないくらいだと思うんだけど少し幼めの服装だったかな。帰宅時間からそんなに経ってないのに私服だったから僕も目に入ったんだろうね。服装はひらっとしたかわいい系だったね。店員さんにありがとうって言うくらいだから性格は良さそうだね。僕的には狙ってそうな感じであんまり好きじゃないけど」
「狙ってる感じ?」
「はは」

いや教えてくれないのかよ。

「他には?体系とか、髪型とか」
「あー髪の毛は長くてきれいだったね。体系はよくわかんなかったよ」

美代ちゃんの証言と当てはまる。
ということは本格的に現実味があるな。

「それにしてもあの子を見てから三崎くんを見ると本当に似ているね。声もそんな低いわけじゃないし君が女装していたわけじゃないよね?」
「そんなわけあるか!いや、それにしても助かったよ。『ありがとう』」
「あ、う、うん…どういたしまして」

島田は顔をうつ向かせてしまった。
一先ずまだ繁華街の近くを歩いてそうだな。
次はどこへ行こうか。
女の子が行きそうなところ…服屋だろうか。


繁華街を駅と逆方向、学校側にまた歩く。
魚屋と八百屋より手前に店の外にまで展示されたブティックがある。
まさかとは思いながらも店内を覗く。

「あら!三崎ちゃんじゃないの!久しぶりねぇ。大きくなったわねぇ」
「田中のおばちゃん、お久しぶりです。お元気でしたか?」
「もう大人になっちゃって!元気よ元気。有り余ってるからまた一緒に三崎ちゃんママと一緒にショッピング行きましょう?私あのアウトレットパークってところ気になってるのよねぇ」
「いいですね。母に伝えておきます」
「そうだ!この服、今年の流行で後一着しかないのよ。三崎ちゃんにあげるわ」
「そんな!申し訳ないですよ」
「いいのよ、その代わり今度3人で、ね?」
「は、はい…ではお言葉に甘えて…」
「ほら、あそこで着替えてきなさいな。制服は紙袋に入れておいてあげるわね」

どうやらこのおばさんには逆らえないようだ。
あの子の情報はないので早く引き上げらるように渋々従うことにする。
ブレザーをまず入る前に渡し、下もカーテンの上から渡す。
サイズはどうやらぴったりらしく結構見た目も自分好みだ。
本当にただでもらってしまって申し訳ないので今度きちんとお礼しよう。

「やっぱり似合ってるわ~」
「ありがとうございます。母に先ほどの件伝えておきます」
「はーい、またいらっしゃーい」


店を出ると外は暗くなりつつあった。
先ほどもらった服は生地が厚いのだが少し肌が出ている。
まあこれから暖かくなるから特に気にしないでいいだろう。
靴のせいか歩きずらく、体系の割に大きいお尻が目立った歩き方になってしまう。
そう思いつつそこそこ寒いので今日のところは帰ることにしよう。
もう早く切り上げる必要無かったなと思いながらしかし長くあのおばさんの世話になるのも面倒だと自分に言い聞かせた。
繁華街を結構戻ってきていたのでいつもの帰り道である一つ外れた道で帰ることにする。

街灯が灯りだし、微妙な明るさになっている。
この道にはご近所さん御用達の公園がある。
時間が遅いため子供はいない。
そこそこ腹が空いたと感じスマホを見ると18時を回っていた。
相変わらず自己主張の強い空腹を無視し、公園の入り口側の道を歩く。

「あっ」

思わず声を出してしまった。
彼女だ。例の。
ベンチに座っている後ろ姿でもわかってしまった。
今日言われた特徴をそろえて尚且つ少し横顔が見えた。
俺は有無を言わず公園へ入る。
なんと声をかけようか。
そんなことはどうでもいいな。
とりあえず話そう。

「…やあ」

俺は声をかけた。
声をかけられた彼女が俺の方向に顔を向ける。

「っ!」

本当だ。俺だ。俺の顔にそっくりだ。
さっきブティックで着替えているときにみた鏡に映った自分の顔に寸分違わない。

「こんばんは。君は…私、かな?」

彼女は冗談めかしてそんなことを言う。
今のこの状況を把握しているとでも言うのだろうか。

「あぁ、確かに顔が似ているな。だが俺がお前というのはどういうことだ?」

俺の問いに対し彼女はいたずらっぽい笑みを浮かべる。

「まだ気が付いてないのね。うふふ、あなた、今の状況に違和感ないのかしら」
「なんだと?」
「よく思い出してみて。あなたの顔は本当に私と同じだったかしら?」

彼女は俺と同じ顔をしている。
それは斉木が言った通り、俺が見てもそう思う。
ん?彼女と同じ顔だと?
彼女の見た目は俺の好みじゃないとしても世間一般から見れば少し幼いがかわいい方だ。
その彼女と同じ顔…、つまりおかしいのは…。

「ちょっとはわかったかしら?」
「俺の顔は元は違うということか」
「あー、ちょっとあってるわね。ちょっと違うけど」
「何が言いたい」

彼女は立ち上がる。
160㎝くらいだろうか。
目線は俺と同じだからそれくらいだろう。

「…なっ!?」

同じ身長だと…。
俺は高校生で160㎝なはず。なのに彼女と同じ身長…。

「おい!お前の仕業か!早く元に戻せ!」
「何言ってるの?あなたは私。私はあなたなのよ。それが元のあなた。でもちょっとだけ違ってきちゃってるみたい。そのズレなら戻してあげられるわよ」
「ならそれを直してよ!このままじゃ女の子になっちゃ……あぁ!?」

口調が変えられちゃったの?
あ、頭の中の言葉も女の子みたいになってる…。

「ほら、私になれてきた。あなたは私、元に戻るのよ」
「違う!私は、藤崎高校2年で、三崎っ…」
「そう、あなたは藤崎学園2年で美咲、花の女子高生よね」
「藤崎学園!?女子高じゃないか!それに私は美咲って名前で…あれ?」

このままではいけない。
どんどん彼女の言うとおりに変えられていってしまう。
今のままでもとりあえず自分を認識することができる!
そう考え、耳を塞いで家の方向へ走った。

後編はこちら

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