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魔法少年少女マイティ・ルナ① 作 蜜織 キャラデザ シガハナコ

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キャラデザイン シガハナコ

「運命の子……」
「これが……」
「はやく施術をしてしまおう……」
 聞き覚えの無い声が頭上で会話をしている。
 断片的な声が光の上で幾重にも飛び交っていた。
(あれ……俺、何時寝たんだっけ……)
 眠りながら意識の浅瀬でそんな事に思いを馳せる。何時、何処で眠りに落ちたのか、全く記憶に無い。
 身動がせようと上体に力を込めてみたが、がっちりと押さえつけられている様で、思うように動かない。
(なんで……金縛り……?)
 そう思って無理矢理身体に力を入れる。手首から先、指は自由に動いたのがまた不思議だった。
(どうして、)
 ふわふわと夢の中を浮遊するような夢現から、急に脳裏がはっと覚醒した。それと同時に目が開く。最初に視界に入ってきたのは見慣れない天井と、得体の知れない人間の様なものだった。
人間の様なもの、というのは、自分の顔を覗き込んでいるそれが人間の顔をしていなかったからだ。 数人が、黒い覆面を被って此方の表情を伺っている。
「何……ッ」
 それが何か頭が理解する前に、身体が動いて逃げ――ようとした。
 実際には身体はまだ動かないままで、指先が小さく藻搔いただけだった。動けないのはどうやら金縛りのせいではなかったらしい。もっと物理的に、光の身体は寝かされている台の上にがっちりと固定されていた。
「な、なんだよ、これ……ッ」
 力一杯手足に力を込め、身体を捩って拘束から逃れようとするものの、それが解かれることはなかった。
「おい、目を覚ましたぞ」
「どうする?こう抵抗されていると厄介だな」
「まあ、しっかり縛り付けてあるし、大丈夫だろう。施術には問題無い」
 ベッドと呼ぶにはあまりにも硬すぎる、単なる「台」の上でじたじたと暴れる光の上で、覆面達の感情の伺えない声で会話が交わされる。
 光が居る空間は、医療ドラマなんかで見る手術室によく似ている。部屋の真ん中に光が寝かされている台があり、傍らには何かの道具が並べられたラックが置いてある。異様なのはその部屋にはぎっしりと、何かの機械が置いてある点だ。見たこともない機械だった。大きくて、無骨な配線もパイプも剥き出しのそれが、壁を埋め尽くす様に置かれていた。
 機械の稼働音だろうか、低く唸る音や、排気音が幾重にも重なって響いている。
 こんな機械に囲まれた真ん中に寝かされている状況はどう考えても“異様”の一言だった。
「何言ってんだよ!何なんだよお前ら!クソッ……解けよ、これ!」
 覆面達のぼそぼそとした声を割って、光の大きな声が響く。
 暴れても怒鳴っても、少しの感情もリアクションも見せない覆面達に、光の方が怖気付いてしまいそうだった。
 縛り付けられた台の上で出来る限りの反抗をしながら、光の頭は記憶を辿る。
 この場所で目を覚ます前の最後の記憶は、学校の帰り道だ。光ーー月野 光は、親友の陰山 満と学校からの帰宅路を一緒に歩いていた筈だった。何時もと変わらない通学路。これから寄り道でもしようかと話していたはずなのに、その後の記憶がない。思い出そうとしてもそこは暗転して、次の記憶は既にこの場所で目を覚ました所だった。
 拉致誘拐?
 だとしても、なぜこんな異様な場所に。
 満は無事だろうか。見たところこの部屋にはいないようだが、同じ様に監禁拘束をされてるのではないだろうか…――
 そんな不安に暴れる身体とは反対に脳裏はどんどん冷えてゆく。
「……面倒だな。さっさと終わらせてしまおう」
 覆面の一人がそういって、大きなガラスの筒の様なケースを取り出す。小学校の理科室に置いてあったホルマリン漬けのケースによく似た入れ物だった。
 そのケースから覆面が取り出したのは、大きな芋虫の様なものだった。
 芋虫といっても、異様な程丸々と太ったもので、大きさはバスケットボール程もある。
 微かに蠢くそれを視界に捉えると、それだけで光の顔からは血の気が引いた。
「これがゴムゴルの実か」
「実というよりは生きているみたいだな」
「腹を切る必要は無いんだよな?」
「大丈夫だ、勝手に入る」
 淡々とした覆面達の会話に不穏な言葉を聞き取り、背筋が凍りつく様な感覚を覚えた。
「おい、入るってなんだよ!やめろ!それ近づけんな!」
 光の必死の抵抗の声を無視して、覆面達は、彼らが“ゴムゴルの実”と呼んでいたそれを光の腹の上に据えた。
「やめろおぉおおおおおっ」
 “それ”は光の悲鳴等は聞き入れることもなく、不思議な事にゆっくりと、光の腹の中へと沈んでいった。光の腹に吸い込まれる様に。融合した、という方が正しい言い方かもしれない。
「ッ……、っぅ・ぉえ……っ」
 あまりにもおぞましい光景に吐き気を覚え、光は込み上げてくるものを必死で堪えようとする。
 悪寒を感じていた筈の身体。それが次の瞬間には、火をつけられた様な熱に焦がされ始めた。
「っぐ、あ!あああああああっ……」
 光の悲痛な悲鳴が、室内に響く。
 業火で炙られている様な身体の熱と、全身を電流が走ってゆくようなバチバチとした痛みに煮た感覚に全身を苛まれ、光は身体を身悶えさせる。
 どれくらいその責め苦が続いたのだろう。
 あらゆる苦痛が煮えたぎった鍋の中で煮詰められ、拘束された身体を捩らせる。
(もう……死……)
 死ぬ、という言葉が頭を過ぎる頃、身体を苛む苦痛はゆっくりと引いていった。
 ぜえぜえと荒い呼吸で肩を上下させ、光は呆然と天井を見上げる。
 全身が作り変えられてしまったかの様だ。意識に身体が馴染まない。
(俺……何されたんだろう……)
 最早、自分に何が起きたのかも分からない。
 ただただ強烈な不快感が、身体の芯に残っていた。
「……落ち着いたか?」
 相変わらず感情の無い声で、覆面の一人が声をかけてきた。
 光は答えなかったが、その覆面は光の手に何かを握らせてきた。
 ちらりと自分の手を見ると、手首を拘束する金具の先の手に、軸が太めのピンク色のペンが握らされていた。見た目は万年筆のそれに似ていて、ピンク色に輝く宝石があしらわれている。触った    感じも安っぽいプラスチック等ではなく、何かの金属でできているようだった。
「そのペンで宙にハート型を描くんだ」
 普段の光であれば覆面のそんな命令など無視していたに違いないが、激しい苦痛を味わされた直後ではそんな気も起こらず、光は半ば意識を朦朧とさせながら覆面のいいなりに手を動かした。
 ペンの先についた宝石が、小さなハート型の軌跡を描くと同時、ぱあっと柔らかな光が光を包み込んだ。
 先程味わったとんでもない苦痛とは逆の、柔らかい光と安心感。浮遊感を伴ったその光の中で、胸や腰に、微かな違和感を感じる。身体がぎゅっと縮小していくような感覚も。
「あ……っ、ッん、んん……」
 それらの感覚は苦痛とは離れていて、寧ろ快感に近かった。
 先程の苦痛で上げた悲鳴とはまるで違う声が、光の唇からは漏れでていた。
 しゅうううう……と光が霧散しなくなる頃には、先程の苦痛の余韻すら、光の身体の中から消えていた。むしろ身体の中に、エネルギーが満ち溢れているのがわかる。
 その力を確かめる様に身体を見下ろした光の目には、見覚えの無い光景が広がっていた。
学校の制服だったはずの衣服は、ピンク色を基調としたヒラヒラとしたワンピースに変わっている。見下ろすと目に入る筈だった胸板はなくなり、代わりにふっくらとした二つの丘。それを包むワンピースの襟ぐりは大きく開いており、谷間すら見えた。
 大きく膨らんだフレアスカートからは細い脚が伸びていて、それも光が見慣れた自分のものとは違う。
「な……なんだよ、これ……」
(これは)
(まるで)
――まるで、女の子にでもなってしまった様な。
 ピンク色のグローブを纏った手に握っていたペンも太くなっていて、少女の様に小さく細くなった手に馴染む太さに変わっていた。
「どうして……」
 思わず拘束されていたことも忘れて手を持ち上げると、バキン、と硬質な音が響いた。
 手首を拘束していた金具が割れたのだ。それは小さな破片になって、バラバラと寝かされた台の下へと落ちていった。
「……え?」
 すぐに拘束されていた事を思い出した光だったが、先刻はあれ程暴れても悶えてもびくともしなかった拘束危惧が簡単に壊れてしまったことに驚いた。
 手に握っているペンのようだったものは、よくアニメキャラが持っている魔法のステッキの様なもの に変貌していた。先端についたピンク色の宝石と、軸に施された装飾が、先程のペンと今のステッキが同じものだったのではないかという印象をもたらす。
「なんだよ、これ……」
 これが現実に起きていることなのか、最悪すぎる悪夢なのかはわからない。
 両手足と腰に僅かに力を込めるだけで、全身を縛り付けていた枷は簡単に壊れた。自分が寝かされていた台からふらりと立ちあがる。
「……成功だ。」
 覆面の一人が、小さく呟いた。
「成功だ」「成功だ」「やはり選ばれた子だったんだ」「ゴムゴル様の御意志は正しかったのだ」「選ばれた子は戦士に生まれ変わったぞ」「成功」「成功だ」
 その一人の呟きに呼応して、覆面達は口々に、「成功」を謳い始めた。幾重にも声が変わって、その声は大きくなっていく。パチパチと拍手をする音も聞こえた。拍手は次第に大きくなってゆき、光を包み込んだ。
 その“成功”という言葉が何を示しているのかはわからなかったが、大勢の覆面が拍手をする異様な光景には、恐怖を感じるばかりだった。
 歪んだ賞賛の渦中から逃げ出そうと、何時もより軽く感じる足で光はたたらを踏んだ。
 振り返るとそこには、一面が鏡になっている壁があった。
 そこに映っていたのは、
“少女”
だった。
「……え?」
 鏡の中の少女と目があった。
 その瞬間、光の胸の奥がどきりと大きく跳ね上がる。
 ふわふわと緩くカールした金髪のツインテール。その髪をまとめる大きなリボン。自分の身体を見下ろして確認できるのと同じ、ピンク色にフリルをふんだんにつかったワンピースは鏡で確認するとアイドルかアニメキャラクターの様だった。
 何よりも驚いたのはその顔。
 どこかあどけなさを残すその顔は、マシュマロの様なほっぺたと、くりくりとした大きな瞳が印象的だ。ぱっちりとしたアイラインは長いまつげに縁取られていてーー…間違いなく、それは美少女そのものだった。
 胸の膨らみも大きすぎず丁度良い大きさ、脚も適度に肉がついているものの、ほっそりとした女性らしさがある。
 その容姿に惹きつけられて、光は誘蛾灯に引き寄せられる虫の様にふらふらと鏡に吸い込まれていった。
 鏡の中の少女も、こちらに歩いてくる。
 鏡の前で少女に手を伸ばせば、少女も手を伸ばして。
 二人の掌が、鏡越しに触れ合った。
「これって……俺……?」
 鏡に映っている姿は、自分の身体を見下ろした時に見える姿と同じだ。
 先程までは何の変哲も無い普通の男子高校生だった自分が、今鏡の中では信じられない美少女として映っている。

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