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理系魔女育成計画 <前編> 作 月雪 キャラデザイン シガハナコ

作 月雪 https://skima.jp/profile/?id=31227
キャラデザイン シガハナコ http://lwhana.blog49.fc2.com/

シガハナコ

 ある日、科学の進歩により異世界への扉が開きました、とテレビが報道した。
 しかし扉の先が魔法の世界であると知った国民は思う。
 扉を開いたのは科学ではなく魔法の間違いだろうと。
 異世界交流と題し、作られたものは魔法と科学が融合した異様な何かだった。
 
 魔法の定義は現代科学では証明し得ない未来の科学である。講義中に、教授がフラスコを持ちながら僕達にそう定義づけた。
 教授は必要のない時でさえもフラスコを持ち歩いている変わった人、否、変態。「フラスコは甘美の権化」とはフラスコ教授の座右の銘である。
 魔法科学なんて、遠い話だよな。親友の流亜が僕に耳打ちをする。ふ、と笑って、そうだよな、と頷いた。
 異文化交流、などとテレビでは大々的に報道するけれど、異文化交流なんて偉い人の話だ。僕らの様な国民は置いてけぼり。魔法科学だって、まだまだ、近い話とは言い難い。
 それでも実験的にお店で売られている魔法科学を使った商品は面白い。浮く電球やら、透ける蝋燭やら。成程確かに、魔法だ。
 僕らは原始人みたいなものだろう。異世界、より未来世界の方がしっくり来る。
 「また教授のフラスコ話が始まった」流亜が気怠そうに視線を僕から教授へと動かして見せる。「でも僕は嫌いじゃないよ」そういうと流亜は怪訝そうな顔をした。
 少し微笑んで、フラスコ教授に目を向ける。相手が何であろうと、愛を深く語れるのは、尊く、美しい事だ。
僕もいつか、声高らかに愛をつらつらと語りたい物だよ。それが何であろうとも。

講義が終わると、フラスコ教授に呼ばれた。午後三時、保健室。用件だけを伝えられ、何故呼ばれたのかはわからない。
わからないから首を傾げて、入口で待つ流亜と昼食をとる事にした。
「フラスコ、なんだって?」
「略すなら教授、だろ」
「細かいなあ。それで、何?単位足りないとか」
「優秀な僕が?」
冗談交じりにふふんと笑う。嫌味?と流亜も余裕な表情で、大学内を闊歩する。はやく食堂に行きたいのは、僕も流亜も変わらないらしい。相変わらず、気が合う。
流亜に合わせるように大股で歩いていると、運動不足か、体がひりひりとしてきた。
「僕も一緒に運動しようかなあ」
「そう、そう。研究室に籠らないで、朝はランニング」
効率良いよ、と勝ち誇った笑み。僕は、はいはい、と返して、食堂への道を急いだ。

券売機の、日替わり定食を押す。お金を入れると、券が当然のように発行された。これが科学の技術ってやつだけれど、いつかは券売機すらも魔法科学に変わるんだろうか。
「何にした?」
「日替わり定食」
「好きだなあそれ」
「毎日の変化は大事だよ。変わらぬ日々に彩りを」
「馬鹿、変化がない生活なんてありません」
そういいつつ、流亜が持っているのは日替わり定食Bで、お互いになんだかなあ、と笑いながら列に並んだ。お腹が鳴りそうだ。
列の進みと、お腹の減り具合が比例しない。やっと定食を受け取った時には、待てをされる犬の気持ちがわかるくらいだった。
席について、いただきます、と言い合い、ご飯に手を付ける。今日はからあげ定食だ。欲望に駆り立てられるのは理知的とは思えないけれど、僕の好物。
「それで、フラ授なんだって?」
どうしても略したいらしい流亜は豚肉の生姜焼きを飲み込んで、いった。
「午後三時に保健室に行くようにって」
「スコ教が?」
「統一しないか?」
「しっくりくるのを考え中。フーコー教授」
「フーコーに怒られるぞ」
いいんだよ、と流亜は笑って、水を飲む。ごくごくと聞こえてきそうな飲みっぷりだ。
何でもないといいな、水を飲み終わると流亜はそう口にした。僕がもし女性だったら、流亜と付き合っていると思う。気配りができて、優しいから。

こんこんとノックをすると、どうぞ、と声がした。僕は会釈をしながら保健室の中に足を踏み入れる。もわり、と薬品の匂いがした。
中では、人懐こい笑みを浮かべた茶髪の保険医が佇んでいた。綺麗な顔の男性だ。
「初めまして、柚乃くん。座って」
逡巡していた僕に保健医の、中野さんが声を掛け、促す。向いながら、女子生徒たちの噂をよく耳にしていただけで会うのは初めてだったのだなと気づく。
中野さんは大して気にかけた様子もなく、目の前に座った僕に微笑みかけた。目の前に座るのを躊躇うくらい、美形だ。
「来てもらって悪いね。今から予防注射をするから」
「予防注射ですか?」
そう、と意味ありげに微笑みながら、机に転がる注射器を目線で示した。
事をまだよく飲み込めていない僕の腕を、中野さんが取る。揺れた髪から、花の様な香りがして、中野さんの性別を超えた綺麗さに緊張してしまう。同性なのに、緊張を気づかれないようにする事で必死だ。
すっと、服を捲り、「それじゃあ、注射するね」と腕に針を押し当てた。
「え、あ……」
本当に何の予防だとか、何の薬だとかも知らないまま、気づけば液体を注入されて、流れる手つきで注射用の絆創膏を貼られる。「これ、何の予防ですか」
尋ねると中野さんは「一生男性病にかからない為の予防」と、にっこり、笑う。
それは僕が初めて見た中野さんの心からの笑みに見えた。「さ、もう行きなさいね」
我に返り、僕は席を立った。酷い胸焼けがする。今日はもう帰って寝た方がいいかもしれないな。

流亜に、体調がすぐれない事を伝えると、自分の家の方が近いからと、家にあげてくれた。
ベッドで横になる前、柚乃お前体が……と零していたけれど、何のことかはよくわからない。というのも、頭が痛かったし、体の節々が痛かったし、なにより、なんでもない、と流亜が話を終わらせて水を取りに行ってしまったからだ。
それから僕は数時間寝込んだ。体が熱くて、痛くて、たまらなかった。

汗を拭いてくれている事は、朦朧とした意識の中でもわかった。そんな流亜の看病の甲斐あって、夜には目を覚ました。体も、熱くない。
「もう大丈夫なのか?」と聞く流亜の目には戸惑いが映っている。
「大丈夫だけど、どうした?なんか変だ」いや、と流亜が目を逸らす。
「それよりほら、汗だくだし、風呂入ったら。シャワーだけでも」
僕の声を遮り、やけに語気を強めて流亜はタオルを押し付けた。「なんか今日の流亜かっこいいな」と思った事をそのまま話すと、流亜はやはり目を逸らす。いつもならおどけるんだけどな。
熱が下がったからか、軽くなった体で、脱衣所へ向かった。

「……なんだよ、これ」揚々と服を脱いだら、鏡には女性の体が映っていた。念の為、自分の体と思しきソレに触れる。
胸、柔らかくて、膨らんでいる。男性の体ではなさそうだ。手を滑らせて、お腹に触れる。柔らかくてやはり男性の体ではない。
次に、女性器。「ひゃっ」ぴり、と体に刺激が走る。体がざわざわとして、途端、僕は走り出した。
「なあ、僕の体、女性みたいになってるか」叫びながら扉を開けると、流亜は赤面して、服、服、と叫ぶばかりで話にならず、僕も恥ずかしくなった。

<中編に続く>

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