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【完結】【投稿小説】”男”を奪われた果てに ①

作:Haseyan http://mypage.syosetu.com/486829/
挿絵:そらねこ https://skima.jp/profile?id=23496

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『先月より相次ぐ男子学生の行方不明事件に関して』

 大学の学生専用ホームページの中心。眼が痛いほどに自己主張している注意喚起の文章を流し読みして、男子大学生の伊藤 楓はスマートフォンをしまった。最近ではニュースでも大々的に放送されているそれが、自分の町で起きている。だが、いまいち実感が沸かないのが大抵の若者の感想だろう。
 楓もその例に漏れず、否、それ以上に危機感が頭を素通りしていた。

「えーっと、駅を出て右だったかな」

 見知らぬ町を、教えられた住所を目指して進む。自然と歩みは軽く、思わず鼻唄が漏れそうになる。
 当たり前だ。今から赴くのは楓の恋人、金城 真紀の住宅なのだから。付き合いはじめて一ヶ月ほど。何だか展開が早い気もしなくもないが、彼女に招かれて喜ばない男はいない。

 多少の疑念なんてものはどこかへ置き去り、楓に満ちるのは歓喜とほんの少しの緊張だった。

「んで……ここ、だよな?」

 ついつい一人言が溢れてしまう。大学で手渡されたメモに書かれた住所は確かにここであっているはずだ。
 しかし、目の前にあるのは豪邸。アパートに一人暮らしの楓には、遥か遠い世界であるお金持ちの居住があるのみ。本当にここなのかと、疑念が沸き上がる。

「先に電話してみて……」

「あ、やっぱり。いらっしゃーい」

 スマホを取り出そうとしたとき、件の豪邸の玄関が開く。中から顔を出したのはセミショートの女子大生──真紀だった。
 愛らしさの中にミステリアスな一面を絶妙に混ぜ合わせた美人。少なくとも楓が惚れた女性の顔だ。

「そんなところでボーッとして。早く入って入って」

「い、いやちょっとビックリしてさ。まさかこんなに大きな家に住んでるなんて思わなかったし……」

「まあ、確かにちょっと大きいけど……。そんな言うほどじゃないって」

 曖昧に笑う彼女と巨大な屋敷を見比べる。明らかに“ちょっと大きい”では済まない。
 だが、彼女の性格からして自慢するつもりは無いのだろう。下手に掘り下げるのは止めておこうと、頭の中身を切り替える。

「それじゃあ、お邪魔します」

「はいはい。いらっしゃい」

 先程とは別のベクトルの緊張を増やしつつも、楓は玄関を潜った。

「うわぁ……」

 口から勝手に声が溢れ落ちる。外観に劣らず内装もまた、非常に豪勢なものだった。どこを向いても高価なものしかない。
 鑑定など一般市民の楓にはできやしないが、一目で分かるのだ。それほどまでの圧倒的な、それを越えて暴力的なほどの金の気配が廊下さえも満たしている。

「こっちよ。付いてきて」

「あ、ああ」

 それらに目を奪われながらも、真紀の背中を追う。足を進めながら展開される雑談を交わしながら、しかしと楓は首を捻った。

 これほどの豪邸だというのに、人の気配がまるで感じられない。どこからも生活音が聞こえてこないのだ。とても真紀と家族だけで維持できるとも思えず、家政婦の類いがいるのかと考えたが、影も形もない。

「……ねぇ、大丈夫? 話ちゃんと聞いてる?」

「ご、ごめん! ちょっと色々と目移りしちゃってさ……」

「ふーん。私より家の方が気になるんだ」

「ごめんって!」

 冗談半分ながらも、拗ねたように瞳を細められてしまえば、楓は謝る他無かった。せっかく彼女の家に招いてもらったのに、他の思考に更けるなんて、確かに最低だ。
 些細な疑問など、後で真紀本人に尋ねればいい。今は二人の時間を楽しむべきだった。

「もう、気持ちはわかるけどね」

 気持ちを切り替え、何気ない会話に花を咲かせる。そして、家の中を歩くには長すぎる距離を進み、一つのドアの前にたどり着いた。
 シンプルながらも趣のある茶色のドア。真紀が躊躇い無くそれを開き、楓も続く。

「ここが私の部屋よ。まあ、ゆっくりしていって」

「改めてお邪魔します……と」

「ふふ。何を固くなってるの」

 一人の女子学生が使うにはあまりに広すぎる。それが最初に抱いた感想だった。小さな家庭ならこれだけでリビングとして使えるだろう。
 続いて眼が向くのは内装。男の楓とはまるで違う。女性らしい部屋だった。そんなところに初めて足を踏み入れ、緊張しないわけがない。

「そんなことない、そんなことないって」

「ほんと?」

 それを必死に隠すのもまた、男の矜持でありバカなところだろう。バレバレな嘘は明らかに見抜かれていたが、それでも続ける。
 わかっていても仕方ないのだ。男は格好つけたがる生き物なのだから。

 意地の悪そうな瞳に耐えれず、視線を逸らすと真紀の小さな笑い声が聞こえた。逆に真紀は異性を自室に呼んで緊張していないのだろうか。
 そう思い視線を戻しても、惚れた女性の笑顔があるだけだ。少なくとも表面上は自然体。こういうところで女性は強いと苦々しい笑みを返した。

「……それでさ。ちょっとこっち来てよ」

「どうしたんだ?」

 疑問符を浮かべながらも真紀の元へ近付いた。こうやって並ぶと身長差の真紀は楓を見上げる形となる。
 真紀はこちらを見つめたまま、何も言わない。見つめ合うだけの時間。それが過ぎていって。

 彼女の上目遣いの瞳が、怪しく煌めいた気がした。

「ちょっとお願いがあるの」

「なに? 真紀の頼みなら何でも頑張るよ」

「ふふ。ありがと。じゃあ、これから何があっても私がいいって言うまで黙って受け入れて欲しいの」

「……? な、何か知らないけど、了解」

 具体的な言葉のない“お願い”に首をかしげながらも、楓は快諾して。突如、一歩踏み込んだ真紀が楓の胸に手をついて、背伸びしたのは次の瞬間だった。
 二人の唇が、重なっていた。

「……!」

 驚きはあった。突然の行為に。だが、拒絶する理由などどこにもない。これまで何度か繰り返してきた口付けを。真紀の柔らかい唇を受け入れる。
 だが、いつもと違う。長く、永く。そして情熱的に真紀は求めてきた。舌が入り込んでくる。心臓が高鳴る。顔が真っ赤に染まるのを感じながらも、楓は先の約束を守った。

「ん……」

 体が熱い。興奮しているからだろうか。理性が段々と剥がれ落ちるのを自覚し、逆に楓から攻めようとしてもそれは真紀の舌に優しく止められる。
 あくまで主導権を握っているのは真紀の方で、楓は翻弄されるだけ。体が熱い。

「────」

 一度唇が離れ何かを呟き、再び真紀は口付けを求める。意識にモヤがかかっていた。どこか夢見心地で、ふわふわと気持ち良くて。
 何かがおかしいという考えも、すぐに流されてしまう。骨が軋む音が何処かから聞こえた。

 身体中がむず痒い。視界の端に長い何かが映り、下腹部の奥底で何かが脈動した。だが、それ以上に濃厚で甘美な快感が全てを忘れさせてしまう。
 楓の内側で大事な何かが剥がれ落ち、それが少しずつ真紀に吸われていくような。そんな感覚に満たされ、しかし判断力など欠片も残されていない。異常を異常と自覚しているのに、意識をそちらに向けることができない。

「んっ……ん……」

 全身の脂肪が勝手に震え、収縮していた。
 喉が細くなり、出っ張りが消えてなくなる。肩幅が狭くなる。胸の辺りが重たくなる。腰が引き締まり、身体中の肉付きが良くなる。
 ふと静かに閉ざしていた瞼を開けば、目の前に真紀の顔が、あまりに冷徹な真紀の瞳があった。何故かすぐ隣に。
 先程までは身長の低い真紀に合わせて下を向いていたのに、今は真横に最愛の恋人がいる。

 おかしいという疑念がある。危機感がある。だが、相変わらず真紀の舌に意識の全てが囚われていた。

「ん……ぅ、ぁ……」

 艶めかしい声をあげたのはどちらだったのか。それは女性の声で、ならば真紀の声のはずなのに、まるで楓から溢れたような気がして。
 足腰が歪み自然と内股になる。股間に強い痛みが走り、顔が強ばり身体に力が入る。

 ──その衝撃でようやく、楓は我に返った。

「──っ!? ま、待ってくれ! 真紀、何をして……」

「黙って受け入れてって言ったでしょ」

「ちょ、や……」

 顎を掴まれ強引に唇を奪われる。逃げようとしても何故か真紀の体が大きい。楓と身長も体格もほとんど変わらなかった。
 むしろ全身が自分でなくなってしまったかのようにうまく動かせず、成す統べなく真紀に“吸われていく”。

「ん、く……ぁっ、や……ぁ、ぁあ」

 股間の痛みが振り返し、男の象徴が縮んでいく。そして、足の隙間へ沈むように溶けていくのを感じる。それを迎え入れた先、楓の下腹部の奥が疼いた。
 急速に新しい何かが創られていくのがわかる、わかってしまう。先程までは意識がおぼろげで受け入れてしまっていたが、はっきりとそれを感じるのは恐怖でしかない。

 真紀に全て吸いつくされて、それが完成してしまったら、もう手遅れになってしまうのを本能的に理解したから。だが、逃れられない。力の入らない体ではもがくことさえ難しく、何より恐怖に気づいても口付けはなお心地良い。

 最後の抵抗を見せるように、変化が一時的に止まった。それを見て取った瞬間、真紀が眉を潜めて。痛いほどに吸う力を強めた。

「ぅぅ、んっ……ぁぁっ!」

 早送りのように変化が再開する。一気に男としての証が消え去り、股間がすっきりと滑らかになった。代わりに楓には未知の器官が体内で形を成し、神経と接続される。知らない感覚、知らない情報。それが突如として楓の脳を貫いた。
 だが、決して痛みではない。むしろ快感が雷のように全身を駆け巡り、細胞レベルで自分が書き換えられていくのを感じる。ただの見てくれだけだった変態が本当の意味で機能を始め、楓にできるのは翻弄されるように息を荒くするのみ。

「ふ、あぁ……はぁ、はぁ……!」

「ごめんね。それとご馳走様」

 最後の一滴まで楓の唇からそれが抜けきると、真紀は静かに唇と手を離した。力の入らない体はそのまま膝から崩れ落ち、楓は座り込んだまま必死に自分の肩を抱く。
 そうしなければ未知の快感に耐えきれず、決壊してしまいそうで。同時に、下腹部の奥の熱さと初めての感覚から、無意識に太ももどうしを擦り合わせてしまう。

挿絵1 完成

 先ほどまでぴったりだった衣服の大きさが全く合っておらず、首から下は完全に視線を遮断していた。だが、布の上からでも全身が細く柔らかくなっているのは、それを抱く腕が伝えてきている。

②へつづく

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