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【投稿小説】”男”を奪われた果てに ⑤

作:Haseyan http://mypage.syosetu.com/486829/
挿絵:そらねこ https://skima.jp/profile?id=23496

①はこちら

挿絵2

 ごくりと息を飲む。急速に思考が白熱するのを感じて、両手を胸に当てた。下着の固さと確かに存在する母性の柔らかさがある。
 勝手に指がうごめき出す。蹂躙するようにゆっくりと揉み砕けば、男を魅惑する至高の感触と触られていると言う女性の興奮が同時に襲いかかってきた。

 一人で致した淫らな記憶が鮮明に甦る。体が熱くなってきた。理性が溶け、思考が白熱し、欲望が爆発して、

「そちらがお気に召しましたら、そのままご購入も可能ですが」

「は、はい!? ああ、お願いします……!」

 店員の声に肩を跳ね上げさせた。外出先で何をしようとしていたのか。自分自身の変態さが恥ずかしくて仕方がない。
 それなりにまともな人間だと自負していたが、そんな細やかな自信も失いそうだった。

「楓く……楓ちゃん決まった?」

「い、一応は」

「じゃあそれを買っちゃおうか。あとは服だけど、これとか良くない?」

 そういってにこやかに掲げたのは、如何にも女性らしく可愛らしい服だ。チェックのロングスカートに白いブラウス。そして、女性物のカーディガン。
 思わず真紀の顔を二度見する。魔女は自信満々の笑顔を輝かせていた。

「えっと……さ。俺はズボンが良くて、スカートはあまり……」

 側に店員がいることもあって、はっきりと言うことはできない。言外に男だから無理だと伝えると、真紀は笑みから反転、不機嫌そうに眉を潜める。
 そのまま顔を背けると、わざとらしく大きな声で、

「分かったよ。もう一生そのままでいいならそ……」

「着る! 着るから! 言うこと聞くからさ!」

「ありがと。きっと似合うと思うよ!」

 反射的に呼び止めれば、再び笑顔を咲かせた真紀に服を押し付けられた。騙されたと気がつくには遅すぎる。
 そのままカーテンの向こう側に消えていく真紀を茫然と眺めることしかできなかった。店員も苦笑を残して試着室から退室していく。

 残されたのは楓と真紀ご自慢のコーディネートだけ。

「悪くないけどさ。俺じゃなければ……!」


 鏡に写る上半身下着姿の少女は、客観的に見れば整った顔立ちだ。やや小柄だが、それは身長がやや低いだけでスタイルも決して悪くない。未だに彼女を自分だと認識し切れないからこその結論であって、ナルシストではないと信じたい。

 その容姿は綺麗でも、格好いいでもなく、可愛らしいと言う言葉が適切だった。確かにズボンなどの男装に近いものよりも、こういった華やかな服装の方が良く似合う。
 それは理解できるし、認めよう。だが、主観的に捉えれば男子大学生の女装でしかないのだ。

「本当に、何でこんなことに……」

 心の底からの嘆きがソプラノボイスで再生される。しかし、男に戻るためにも背に腹は変えられなかった。さっさと着替えてしまおうと、まずはジャージの下を脱ぐ。
 すると現れたのはブカブカな男物の下着だ。腰の括れでどうにか押し留めているが、今にもずり落ちそうなそれを脱ぎ去る。

 大気に晒される股を必死に見ないようにしながら、先ほど店員に用意された下着の片割れに足を通した。そのまま腰まで持ち上げれば、男のそれとは明らかに違うピッタリ張り付く感覚を受ける。
 滑らかな生地も相まって安心感が無くもないが、とにかく落ち着かない。女装しているのだと、強制的に認めさせられる恥ずかしさは耐えがたいものだった。

 ただ無心にならなくては持たない。主に楓のメンタルが。思考を可能な限り消し去り、黙々とその他のものを身に付けていく。

 ただし、スカートだけは困り果てた。装着の仕方はわかっても、どうにも違和感が残ってしまう。高さが違うのか、なんなのか。
 真紀や大学の知り合いの姿を思い出しながら、どうにかそれらしく調整する。最後にカーディガンを羽織い、意を決して鏡に向き直ってみれば、

「これ、誰だよ……」

 モジモジとやや俯きながらこちらを見る少女と目があった。ますますそれが楓自身と信じられなくなってくる
 性転換と共に若返っているのか、楓は二十歳目前だったはずなのに、高校生でも通じそうな印象だ。ギリギリ大学一年生でも通じるか。化粧の有無も関係があるだろうが、その程度だろう。

 とにかく中々にお目にかかれない美少女がそこにいた。恐る恐る指先を伸ばしてみれば、その少女と鏡を通して触れ合える。
 何気なしに笑みを浮かべてみれば、鏡の少女も愛らしい笑顔を振り撒いた。それに思わずドキリとしてしまったのは、楓が未だに今の体を受け入れられていない証拠か。

「真紀、いるか? ちゃんと着たから」

「いるよ……って、なんか微妙におかしい。ちょっと待って」

 呼び掛ければすぐに覗き込んできた真紀が、楓を見ると試着室に上がり込んでくる。そのまま細かい服装の調整をしてきた。楓には今一判然としない部分まで整えてくれる。

「これでよし。いいね、似合ってるよ!」

「凄く、複雑なんだけど……」

「可愛いからいいじゃん。じゃあ、今度はこっちだね」

「へ?」

 今度はこっち。その言葉の意味が分からず、顔を上げた先、真紀の手にはまた別の服が握られていた。
 目を白黒させる楓を余所に、真紀は当たり前のように続けていく。

「色々と試着してみないと、どれがいいかわからないし。どんどん持ってくるから」

「え、いや、もうこれでいいだろ?」

「元にもどさ」

「わかった、から……」

 楓の発言力はなんて弱いのだろうか。絶対的な立場を手に入れた真紀に口答えは許されない。
 その後、真紀の楓を使った人形遊びは一時間ほども続く。

 しかし、結局は最初に身に付けた服を買うことに決まり、余計に楓の疲労が溜まったのは言うまでもないだろう。

⑥はこちら

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