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投稿TS小説第131番 やさしい魔法(1)

作.うずら
絵.いずみやみその http://honeypoko.fakefur.jp/

主人公イメージラフ 広樹

広樹



パリンッ
足の裏に感じる硬い感触。嫌な予感に血の気を引く音が聞こえた。
恐る恐る床に目を落とすと、そこには1枚のDVDケースが。
スリッパで踏み抜いたためだろう。ケースだけでなく、中のロムまで割れてしまっている。
これが自分の物であるなら、割れたところで誰にも文句は言われない。
問題なのはここが姉貴の部屋だってこと。
「ちょっと、ヒロー」
しかも間の悪いことに、このタイミングで居間から2階に上って来た。
何とか隠そうにも、すでに後の祭りだ。
「あ! あんた、また勝手に部屋に入っ……て?」
「こ、これには千の山より深い事情が!」
「ソレを言うなら、『海』でしょ、このお馬鹿ーっ!」



それからたっぷり1時間、正座のままで説教を食らった。
姉貴は『Slump』というアイドルグループの大ファンである。
俺が踏み割ったのは、その限定版DVDだったらしい。
そんな大事なものを床に置いておくのが悪いと思う。
「今、なんか言ったでしょ?」
「言ってません、これっぽっちも!」
気弱な人なら殺せるんじゃないか、と思うほどの鋭い眼光。
もう必死で首を振るしかなかった。
「ま、いいわ」
許してもらえる?
いや、姉貴に限って、そんな甘いはずがない。
「それで、どう責任とってくれるのかしら?」
「ど、どうって……」
「これ、数も出回ってないし、ネットオークションで数万は余裕なのよねー。あんた、そんなにお金持ってないでしょ?」
持ってるはずがないのを分かって言う姉がいやらしい。
毎月の小遣いなんて、ゲームやマンガでほとんど残らないのを知ってるくせに。
「ごめんなさい! 何でもするから!」
「本当に何でも、ね?」
ゾクリと底冷えのする声。
俺はこのとき、悪魔と契約するのはこういうことなのかと漠然と感じていた。


何を言い渡されるか、と戦々恐々とすごしていたある日。
珍しく姉貴が昼飯を作っていた。
といっても、料理が下手なわけではない。
母さんが出かけていたこともあったし、疑いもせずに食べてしまった。
それが罠であるとも知らずに。

「こら、ヒロ、起きろ!」
「ごっ!?」
食後に眠気を感じて、ソファーでうたた寝していたら、文字通り叩き起こされた。
文句を言おうと立ち上がった途端、立ちくらみでよろけてしまう。
いつもは何ともないのに、これじゃ何を言っても様にならない……。
「ほら、今日はちょっと付き合ってもらうわよ? 例のDVDの件で、ね」
くいっと首で玄関を示すと、俺の反応も見ずに出て行った。
とうとう来たか。
少なくとも命の危険はない。はず。
山の中に放置されて一晩迷子になったぐらいだ。
こうなったら腹をくくるしかないと、靴を履いて姉貴の後を追った。
「ほらほら、さっさと来なさいな」
「くっ」
昨日までは問題なかったのに、今日はなぜか緩く感じる靴で必死に歩く。
たまに振り返ってはいやらしく笑う姉貴が憎らしい。
息が切れるほど歩かされて、ようやく立ち止まることができた。
「着いたわよ」
何の店だろう。
疑問に思っている間に、従業員用と思しきドアを平然と開けて入ってしまう。
「あ、ちょっと待てよ」
ん、声がかすれるな。
変なタイミングで寝たせいだろうか。
「何してるの! さっさと来なさい!」
「あ、あぁ」
奥の部屋から顔を出して、姉貴が怒鳴る。
慌てて中に入ると、そこは特に何の変哲もない更衣室だった。
ちょっと香水臭いのが気になるくらいだ。
「ここは?」
「んふふふふ、さ、服を脱ぎなさい? そしたら教えてあげるわよ」
「え、ちょっと、待て。落ち着け! 話せば分かる!」
「問答無用!」
「うわあぁっ」

「い、いらっしゃいませ……」
「だから、『おかえりなさいませ、ご主人様』、でしょっ!」
ひん剥かれた俺は、ミニスカートでフリフリのエプロンドレスを着せられていた。
ご丁寧に、頭にもひらひらのカチューシャを載せられている。
「だ、だってさ、こんなの男が着るもんでも、やるもんでもないだろ?」
「今は女の子なんだからいいじゃない」
「姉貴がしたんだろ!!」
「どうかしらねぇ? ほらほら、今のうちに練習しとかないと、本番のときに困るのはヒロなんだからね?」
相変わらず悪魔的な笑みを崩さない。
そんなこと言われたって、でかいドレッサーの前に立っている女の子が俺なんだ。
まともな思考すらできないのは、分かってるだろうに。
「なーに自分に見とれてんの?」
「う、うるさい!」
髪がやわらかく伸びて、輪郭がふっくらしたせいだろうか。
中肉中背で十人並みの容姿。
そう思っていたんだけど……意外に可愛い。
ブラジャーの息苦しい感覚から、胸が確かに存在することも伝わって来ている。
背も少し縮んだ様で、靴が緩かったのも、きっと足が小さくなったからだ。
まじまじと見ていると、1日ぐらいメイド喫茶の店員をやってやるのもいいかも、と思えてしまう。
「さ、自分を見て赤くなってる余裕なんてないんだからね。『おかえりなさいませ、ご主人様』!」
「お、おかえりなさいませ、ご主人様」
「声が小さいわね、もう一回」
「お、おかえりなさいませ、ご主人様」
「まだまだ!」
「おかえりなさいませ、ご主人様!」
「もっと可愛く!」
「おかえりなさいませ、ご主人様♪」
「その調子!」
そんな感じで、何十回もリテイクが繰り返された。

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