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投稿TS小説第131番 やさしい魔法(3)

作.うずら
絵.いずみやみその http://honeypoko.fakefur.jp/


「はぁ、疲れた……」
更衣室の椅子で休んでいると、姉貴とスーツを着た女性が入ってきた。
慌てて立ち上がろうとした俺を女性が制した。
「お疲れ様。あ、そのままでいいわ」
「はい、ホットココア」
「あ、ありがと」
姉貴に渡されたカップに口をつける。
美味しい。甘いけど、インスタントの安物とは比べ物にならない。
それ以前に、甘いものをここまで美味しいと感じたのは初めてかも。
「高梨さん……えっと、広海さん?でいいのよね」
「あ、はい」
本当は広樹なんだけど、男だなんて言えないし。


俺が素直に頷いたのを見て、女性は封筒から数枚の紙を取り出した。
「私は店長の山口です。あなたの働きぶりを見させてもらったけど、合格です。明日からもよろしくお願いするわね」
「え? あ、明日?」
「あら? 沙希さんから何も聞いてないの?」
「ど、どういうことですか?」
姉貴を横目で睨みながら、山口さんに尋ねた。
本人はそ知らぬ顔で、俺と同じココアを飲んでいる。
くそ、いつか泣かしてやる……。
「うーん、長期で来られる娘を、って沙希さんにはお願いしてたのよ。それで、一押しの娘を連れて来るって言うから、任せていたんだけど……」
「聞いてません! お、わ、私は一日だけだと思って……っ」
「DVD、忘れてないわよね?」
言い募ろうとした矢先に、姉貴が俺の耳元に口を寄せた。
冷たい声でささやかれたその言葉は、俺を縛るのには十分すぎた。
状況が飲めていないようだが、山口さんも今のうちだと思ったのだろう。
急いで書類を広げ、早口でまくしたてる。
「これが契約書ね。といっても、バイトだからそこまで堅苦しく考えなくてもいいけど。あ、そうそう。たまに風俗だと思ってる人もいるけど、もし触られたら警察に突き出すから、遠慮なく私かフロアチーフ、沙希さんに言ってくれたらいいから。給料は25日締め、月末払い。研修期間は1ヶ月で、その間は時給800円。期間が終わって本契約になれば、850円。シフトは週に3,4回で1回5時間程度。詳しくは沙希さんと相談して。以上、質問は?」
「え? へ?」
「ないみたいね。はい、じゃ、これ書いて」
「あ、はい」
あっけにとられてる内に、説明が終わってしまう。
しかも質問時間がないに等しいのですけど。
勢いに負けて、突き出された契約書に住所や名前を書かされて。
「それじゃ、お疲れ様。明日も今日と同じ時間だから、よろしく」
山口さんは俺が書き終わった書類を封筒にしまうと、すぐに出て行ってしまう。
ガキのころから姉貴にいびられていたせいで、ああいう強気の女の人は苦手だ。
大きく息を吐くと、まるで励ますように肩を叩かれた。
「お疲れ様、ひ・ろ・み、ちゃん」
「がああっ! 何を勝手に長期バイトにしてんだよ!?」
「ああん、もう、そんな可愛い声で怒っちゃだーめっ」
くねくねとカラダをくねらせる姉貴。
正直、毒気を抜かれた。というか、冗談抜きでキモイ。
「何のまねだよ。キャラが違うぞ」
「んふふ、だって、この後、ヒロが公道をスカートで歩くのかと思うと興奮しちゃって、ね?」
「誰がこんな格好で帰るか! 着てきた服返せよ!」
「ああ、あんたのロッカーはあそこ、よ」
ったく、素直に返せばいいのに。
指差された一番端のロッカーを開ける。
そこには、俺が着てきた服が……入っていなかった。
代わりと言うのもなんだが、ピンクのボレロと黒いプルオーバー。そしてミニのプリーツスカートが。
ロッカーを閉じてプレートを確認してみても、『高梨広海』と書いてある。
「な、なんだよ、これ」
思わずへたり込んでしまう。そこへ、ふっと影が差す。
恐る恐る振り返ると、目を光らせた姉貴が手をわきわきさせながら立っていた。
「さあ、お着替えしましょうねぇ?」
「い、いやぁぁあああっ」

抵抗空しく、姉貴が用意していた服を着せられてしまった。
鏡でちらっと確認したけど、ちょっと背伸びした女の子みたいだ。
もっとじっくり見たかったけど、強制的に腕を組まされて、そのまま裏口へ。
まるで仲の良い姉妹の様に。

人通りの多い時間にこの姿で歩かせるのは、やはり計算づくだろう。
そう思うと、無性に腹が立ってきた。
小声で恨み言を姉貴にぶつけるが、まったく意に介す様子はない。
「汚されちゃったよぉ」
「あー、もー、いつまで泣き言を言ってんのよ」
徹底的に相手にしないつもりか。
こうなったら、もう一声。
「もうお嫁に行けない……」
「行く気だったの?」
「んなわけあるか!!」
大声を出してから、はっと口をつぐむ。
遅いのは分かっているが、今の俺はあくまで女の子。
学生、会社員の多い時間帯にそんなことしたら……。
「あらら、注目集めちゃって。可愛い娘がそんなに怒鳴っちゃだめよ?」
「うるさい、馬鹿姉」
くっ、まるっきり自爆じゃないか。このツッコミ癖はなんとかしないと。
周りに聞こえないようにぼそっと呟いたとき、何か見覚えのあるものが視界をよぎった。
「え?」
「どうかしたの?」
「い、いや……」
何だろう?
交差点の、あの辺り……。
「うわ、まずっ」
「だから、何が!」
「悪い、隠れさせてくれ!」
見覚えがある、どころではない。
親友と呼べる間柄の友人で、学校ではいっつもつるんでいる。
そんなやつに見られたら大変だと、慌てて姉貴の後ろに逃げ込む。
「何だっての、まったく!」
そのままヤツの視界に入らない様、姉貴を楯にして歩く。
だが、その露骨さが不味かった。
姉貴が俺の視線をたどって、警戒していた相手を見つけてしまったのだ。
そうなると、姉貴は悪魔だ。
「ははぁん……和利クーン!」
大きな声で、無駄に手まで振って。
せっかく気がついていなかったのに! 目立ちすぎだろう!
俺も恥ずかしいが、カズも周りの視線を気にしながら寄ってくる。
「こんにちは、沙希さん。って、こんばんはかな?」
「うん、こんにちは」
「ん? そっちの娘は……ヒロ……じゃないですよね?」
「あ、この娘は従妹の広海ちゃん、よっ」
顔を見られないように背中に隠れていたのに、見抜きやがった。
ぐいっと姉貴に腕をつかまれ、引き出される。
そのままバランスを崩して、たたらを踏んでしまった。
「あっ!」
「おっと」
もにゅっ
転ぶことを覚悟して目を瞑ったが、意外なことに温かいものが俺を支えた。
身体の前面……膨らんだ胸に伝わる感触。
「う、きゃあああっ」
「す、すみませんっ」

どきっ


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