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投稿TS小説第131番 やさしい魔法(13)

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作.うずら
絵.いずみやみその http://honeypoko.fakefur.jp/



姉貴を追い出して、そのままネグリジェに着替えて布団に。
明日、朝シャワー浴びればいいや。
それにしても、何の悩みもなく、枕を高くして寝られるっていうのは、いいことだ。
だというのに何故か寝心地が悪かった。
無意識に手が枕元に伸びる。何も置いてないのに……。



―――1日目。
今日は週明け、月曜日。
若干寝不足気味だが、まるで俺の心を映したかのような晴天だ。
んーっと背中をのばしていると、ハンガーにつるされた服を持って、姉貴が部屋に入ってきた。
昨日までの出来事は忘れたかのような、いつもの悪魔の笑顔を浮かべて。
「はい、これ」
「ちょっと待ってくれ」
しばし考える。
これは姉貴が一昨年まで着ていたもの、じゃないよな?
明らかにサイズが小さい。
俺、用?
「どうかした?」
「その制服、何だよ……?」
「広海ちゃんの、よ?」
赤いチェックのスカート。
茶色いブレザーに白いシャツ。
胸元に咲く真っ赤なリボン。
……ごふっ。
「どうせあんたが、和利くんに言っちゃったんでしょ。マリアント学園の生徒だって」
「う、それは、言った、けど」
「じゃあ、ちゃ~んとこの服を来て、お嬢様らしく学校生活をすごしていらっしゃい」
「えーっと、今日は、その、あれだ。うん、風邪だから休む」
じりじりと下がると、姉貴も追ってくる。
部屋の端っこに追い詰められて……。
「ふっふっふ、逃がさないわよぉ?」
「あ、後3日だろ! そのぐらい休ませてくれよっ!!」
「だぁめ、学生は学業が本分なんだから」
それに、と姉貴が続ける。
「留学生としての、広海ちゃんは今日が初登校だから。手続き、しないとね」
そんな設定あったなぁ。
俺が遠い目をしている間に、鼻息も荒く、あと数歩のところまで迫ってきた。
こうなった姉貴には、何を言っても無駄だ。しぶしぶ頷く。
「わ、わかった。わかったから、シャワーぐらい浴びさせてくれ。で、自分で着替えるから!」
「ちぇっ、広海ちゃん、着せ替え人形みたいで可愛いのにな」
それが目的かっ!!

俺は今、姉貴に連行されて、職員室を訪れていた。
「それでは、よろしくお願いします」
「ええ。それにしても、久しぶりに会う生徒がよりにもよって高梨さんなんて」
「おかげさまで、元気にやっています」
「生徒会長として、あなたが教師をコケにしてくれた思い出、忘れられないわ」
「あははは」
「うふふふ」
こ、怖い。笑っているのに笑っていない二人。
お互い目で牽制しあっている。
俺の周りって、何でこんな怖い女の人しかいないんだ。
姉貴の横で縮こまっていると、しばらく睨みあっていた二人が正気に戻った。
「あ、それじゃ、広海ちゃん。私は帰るから、ちゃんとお勉強するのよー」
「そうね、そろそろHRが始まる時間だし。せいせいするわ」
「先生もごきげんよう」
「あなたもね、高梨さん」
姉貴が職員室を出て行くと、周りも含め、先生の空気が穏やかになった。
これほどまでに敵意を持たれるって、姉貴、何をしでかしたんだ。
後で聞けば分かるけど、聞きたくない気もする……。
先生が俺の名前を確認するように呼ぶと、立ち上がって歩き出した。
「さ、高梨……広海さん? 今からあなたが通うことになるクラスに案内します」
「は、はいっ、よろしくお願いします」
良く考えたら、同じぐらいの年代の女子生徒しかいないんだ。
今まで、そんな大量の女子に囲まれたことなんてないぞ。
「そんなに緊張しなくても大丈夫。みんな優しい良い子たちだから」
「はい……」
「最初の数日は周辺が騒がしいかもしれないけど、しばらくしたら静かになるからね」
やっぱり女子高ってうるさいのかなぁ。
仕方ない。三日間の我慢だ。
別の棟に移って、階段を3階まで上ったところに教室はあった。
「それでは、呼んだら入ってきてくださいね」
「は、はい。分かりました」
転校生ってこんな感じだったのか。情けないけど緊張している。
呼ばれるのを待っている間、ずっと膝が笑っていた。
「高梨さん、入ってきて」
「し、失礼しますっ」
俺がドアを開けて入っていくと、少しだけざわめきが起こった。
ああ、身体が硬い。何とか歩いて、教壇に立つ。
「高梨広海さんです。高梨さんは『あの』沙希さんの従妹だそうです」
「うそっ」 「沙希先輩の!?」 「うわぁ」
ざわめきがどよめきに変わった。
聞き取れた単語からしても、明らかに姉貴のせいだ。
あれ、ちょっと待てよ。姉貴はもう高校出てから、2年が経ってる。
つまり、知っていておかしくないのは、今の3年生まで。
なんでこの娘たちまで……。
「さ、高梨さん、自己紹介をしてくれる?」
「はい。えっと……」
うわ、見られてる。
視線が俺に集中し、ざわついていた教室が静まり返った。
クマさん、助けて。
って、違う!!
俺は広樹だ。男だ。そんなもんに助けを求めてどうする。
「高梨広海です。よろしくお願いします」
ぺこり、と頭を下げる。
「普通だわ」 「本当に沙希先輩の?」
再びそんな声が聞こえた。
普通で悪いか。
俺は極一般的な学生だ。姉貴みたいな型破りなのと一緒にしないで欲しい。
「高梨さんの席は、一番後ろの、あそこね」
「はい」
指定された席に、視線を浴びながらたどり着く。
俺が座ったのを見計らって、先生がパンパンと手を打った。
「それでは、質問などもあるでしょうし、連絡事項も特にありませんから、今朝のHRはここまでとします」
「起立、気をつけ、礼」
委員長か日直かは分からないけど、一人の生徒の合図で先生に挨拶して。
直後、わらわらと俺の周りに寄ってきた。
逃げようにも前後左右囲まれて、席を立つこともできない。
「ねえねえ、広海さんってどこから来たの?」
「え、えっと、ワシントンから」
「すごい、帰国子女!? それじゃ、英語ペラペラなんだ、いいなぁ」
一人が口火を切ると、自分もと質問の嵐が始まった。
「趣味は?」
「えっと、読書、かな」
「どんな本読むの?」
「少女小説、とか」
などなど。
当たり障りのない質問が続いた。
そして一通り終わったかな、と思ったとき。
「彼氏は?」
「え……いない、よ」
彼氏はいない。うん、いない。
一瞬、カズのことが頭をよぎったけど。彼氏じゃない。
「えー、可愛いのに。広海ちゃんの周りの男って、見る目ないっ」
「じゃあさ、じゃあさ、好きな人、は?」
ドクンッ
心臓がはねた。
よぎったばかりの優しい顔が、今度は焼きついて離れない。
ど、どうしよう。
姉貴に友達以上としての思いを持つなって言われてるのに。
落ち着け。カズは友達。カズは友達。
よし。
「……いないよ」
「その間が怪しいなぁ?」
「誰? どんな人?」
「あ、アメリカのボーイフレンド!?」
「ち、違っ、いないってば!」
何でだろう。
目を瞑っても、カズの色んな表情が浮かんでくる。
笑顔のカズ。怒ってるカズ。真顔のカズ。
顔が熱くなっている。
落ち着け。元に戻るためだ。
更なる追求が続きそうになったとき、ようやく始業のチャイムがなってくれた。
た、助かった……。

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