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【依頼小説】「桃源香」 後編

文:イリガサ https://twitter.com/ayaya_asagiri
イメージキャラ:udon

前編はこちら

 それから、水樹が再度尋ねることもなく二十三日経過した。水樹との連絡も秘術者に禁止され僕は完全に自由を奪われた。
心にぽっかりと穴が開いたままとうとう期は熟してしまった。
「大人しくなりましたね。最初はあんまり怒ったりしていたのに」
「もう僕疲れたんだよ。水樹も来ないし」
秘術者は僕の自慰を二十九日も禁止させるという最初の目的を達成してしまった。
「なんでオナニーをさせてくれなかったんだよ」
「女の子になるんですから必要ないでしょ」
「いい加減にしてくれよ!」
僕は最後の叫びを秘術者に浴びせる。
「まあこの条件が終われば自慰出来ますけどね」
秘術者が最後に何を言ったか聞こえなかった。そして僕の軟禁と自慰禁止の期間が始まって二十九日目の夜は過ぎていった。

  ※

 「……」
「こちらですよ」
夜が明けると秘術者に叩き起こされ今まで入ったこともない部屋に連れてこられる。
「……」
独房のような部屋の隅に部屋に似合わないくらいふかふかそうなベッドがある。
「もう自慰禁止の期間は過ぎましたので思う存分に慰めてくださいね」
「わ、わかった」
いつの間にか僕は秘術者に従うようになっていた。それくらい追い詰められていた。
ふかふかのベッドに座る。
自慰が、オナニーが許されたと知り僕はズボンとパンツを脱ぐ。
性器を触りまくる。そして、
――どぷぅ
二十九日ぶりに白い液状のものを見た。
オナニーってこんな気持ちいいものだったんだ……
無心になって自分を慰め続けた。二十九日間溜まっていたからか無限かのように白濁が出てくる。
「ああ……ふぅ」
ベッドの下が汚れていく。特有の匂いが僕を包む。
一時間くらいで溜まっていたもの全部を出すとあることに気づいた。
白濁の匂いに交じって何やら甘ったるい匂いを感じる。その匂いを嗅いでいると眠くなってきた。
――ドサッ
僕は眠りについた。

  ※

 「……」
目が覚めるとコンクリートの天井が目の前にあった。
ああそうだ、僕はここに連れてこられてオナニーしてたら寝てしまったんだ。
何日か寝ていたかのように眠い。身体が重い。胸の辺りが重い。
「起きたんですか?」
独房の扉を開けて入ってきたのは、あの秘術者だった。
「あんた……」
扉の横に設置された鏡を見る。そこにはいるはずのない人物が写っていた。
ピンク色の髪をした可愛らしい女の子。覗き込もうと立ち上がると、鏡には僕が写らなかった、いや、僕が知る僕が写らなかったのだ。女の子は僕と同じTシャツを着ている。
「!?」
可愛らしい女の子は僕だ。
僕は、女の子にされてしまった。
「ようやく気付きましたか。自分の異変に」
秘術者は満足したかのようにくすくす笑う。
僕は自分の身体を触る。
豊満な胸に柔らかい肌。何より下半身の性器の形が変わっている。髪も伸びて顔も変わっている。僕が僕じゃなくなっている。
「今のうちに女の身体を楽しんでてくださいね」
秘術者は扉を閉めて、僕はまた一人になった。
「……」
最悪だ。あの男の思い通りになってしまった。
「……」
屈辱的なのに、鏡に映った女の身体がとても綺麗に見える。
どれだけ変わってしまったんだろう。僕は服を脱いで改めて確認する。
初めて生で見る女の子の身体がまさか自分だなんて。
「……ああっ!」
胸を揉んでみると指が肌に埋もれて沈む。脳に電流が走る。
勃起した乳首も触る。
「ひゃ!!」
更に脳に電流が走る。自分の身体に触ってるだけのに。
すっかり形が変わってしまった性器から体液が流れる。これ、我慢汁じゃないよな?
「……」
男のそれでは無くなった性器にも触る。
「ひぃ!」
穴になったそれに指を入れると穴は液を垂らしながら指を飲み込みすぐに根元まで入った。
指をもう二本入れる。液はまた流れる。
それが気持ちよくて仕方ない、なんだこれは。
「な、なんだこれぇ」
僕は何か不安になり指を抜いた。
何の液かわからないもので僕の指は濡れていた。
これは一体なんだ?
僕は何故か怖くなってきた。

 ※

 「おい! 僕が寝ている間にお前は何をしたんだ!?」
僕は重い女の身体で独房を出て秘術者のいる部屋に突撃する。
「あーご確認終わりました?」
秘術者は僕の反応を見てくすくす笑う。もうこいつがこの笑い方するのも見慣れてしまった。
「貴方のその反応、最高ですね。沈んだり落ち込んだり泣いたり……見ていて飽きないです」
「気持ち悪い奴……」
「貴方がさっきまでいた部屋に女淫煙という煙を寝ているうち七日間嗅がせていたらみるみるうちに女の身体になったんですよ。口や鼻にもエキス状のものを投与しました」
七日間? 僕は七日間も眠っていたのか?
とにかく女の子にされてしまったのは間違いない。
「なんてことしてくれたんだよ!」
さっき自分の身体に触れて確信した、これは夢でも幻でもないと。
「怒った顔がやっぱり可愛いですね」
「なんで僕を女にしたんだ? 目的は一体なんなんだ?」
僕は改めて訪ねる。こいつが僕を女の子にした理由は他にある気がした。
「どういう意味ですか?」
「僕の両親のためって感じじゃないように見えたんだよ。お前何かもっと隠していないか?」
正直秘術者が怖い。でも怯えるわけにもいかない。
「いやぁ、気付きます?」
「お前の本当の目的はなんだ!?」
秘術者は僕の質問に答え出した。
「ちょっとしたゲームですよ。桃源香である貴方を巡るゲームです」
「ゲーム?」
「桃源香である貴方の身体から出る蜜をなめるとそのなめた人は一日だけ貴方のように女の身体になれるのです、そして…貴方の人肉を食べた人は生涯女として生きられるのです」
「え?」
秘術者は女になった僕の尻を触る。
「貴方の身体を巡って女として生きたい男達に争いをさせてみたいんです。淫獣達が欲望に溺れる様をね」
やっぱりこの男は悪趣味だ。僕を女の子にした理由はこれだったんだ。
「元に戻る方法を教えろ! 僕の男の身体を返せ!」
秘術者の胸ぐらを掴む。
「おっと。力の入れ方はわかっているのですか」
「教えろ!」
「そんなのあるわけないでしょ」
「言え!」
「ないですって」
秘術者はしらを切り続ける。
呆れと怒りが頂点に達する。
もうこいつとは話す気になれない。
僕は走り出す。
「どこへ行くんですか?」
「決まってるだろ! もうここにいる理由なんてないから出て行く!」
僕を女の子にする目的は果たせたからおそらく屋敷の結界は解除されているだろう。
僕は実家に向かって走っていった。

udonさん 記名付き

  ※

 僕が一人暮らししていた家は両親が遺してくれた一軒家の実家。きっと部屋の奥に桃源香の研究資料があるはずだ。その中にもしかすれば元に戻る方法があるかもしれない。
夕日が見える。今は夕方なんだ。
「はあ、はあ」
胸が揺れて、痛い。女の子ってこんなに体力ないものか?実家の場所はわかっているけど、遠くに感じる。
――ドン!!
「わあ!」
誰かにぶつかる。
「ああ、ごめんなさい」
「ごめんなさ……水樹!!」
ぶつかった相手は水樹だった。
「え? なんで君俺の名前を知っているんだ?」
水樹は女の子になった僕を見る。やっぱり僕が誰かわからないよね。
「ぼ、僕だよ……? 桃山コウだよ?」
「コウ!? コウなのか!? まさか本当に女の子に……」
水樹は僕が桃山コウなのに気付いてくれた。
「……水樹ぃ!」
水樹が僕に気付いたのを知ると涙が溢れ、彼に抱き付いた。
「わ、コウ……」
水樹はわんわん泣く僕を見て戸惑う。
「水樹、水樹……」
水樹の顔も声も久々で涙が止まらない。
「コウ、お前辛かったんだな」
水樹は疑いもなく僕を抱き締め返してくれた。水樹の体温ってこんなに安心出来るものだったんだ。
「ところで、お前はどこに向かっていたんだ? あの変な人に追われているのか?」
「あ、そうだ」
水樹が話を変えてくれたので僕の涙は止まった。
「僕、元に戻りたい……もしかしら実家に元の身体になる方法があるかもしれないんだ」
「コウの実家に?」
僕は水樹の手を引きながらまた歩き出す。
「コウ!?」
「水樹、来てくれ!」
もう一人は嫌だ。女の子になった僕に気付いてくれた水樹を離したくない。
「ごめんな……あの日以来俺はあの屋敷に行けなくて。怖くなって駄目だった……」
「水樹が謝ることじゃない」
水樹は相変わらず優しい。僕の真剣に考えてくれている。
「見つけたぞ」
「?」
聞き覚えのない声を僕と水樹は聴く。
後ろを向いてみるとその人はいた。
「お前は桃源香だな」
灰色のスーツと帽子にサングラスの中年の男がそこにいた。
「あの男が桃源香たる人物を女にする術を成功させたと聞いたが、桃色の髪が目印なのは本当だったか」
あの男って、秘術者? もしかしてこの中年は僕を狙っているの?
男はまじまじと僕を見る。そして水樹に気付く。
「君もこの女のを食らって女になろうとしているのか?」
「!?」
水樹は驚く。そうだよな、そんな話信じられないよな……
「何言ってるんだよ、それにコウは男だよ」
案の定信じられない様子を水樹は見せる。
「桃源香を信じてないのか……じゃあここで消えてもらう」
中年はポケットから銃を出し水樹に向ける。
「水樹!」
僕は叫び、水樹と中年の間に入り割り込もうとした。
今思えばこれは僕の戦いの始まりだった。
僕が生き残り、男の身体を取り戻すための戦いがここから始まろうとしていた……

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