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【投稿小説】ゆるふわセカイへの誘い ~カワイイに囲まれて~

作.宮永オサ
イラスト.ささみ


「ただいま…今日も一日頑張ったなぁ…」
僕はそうぼやきながら一人暮らしをしているアパートに帰ってきた。
昼は学生として大学の講義を受け、夜と休日は学費と生活費を賄うためのバイトをしたりとひたすら家との往復を繰り返す毎日。周りの人に比較的恵まれているとはいえ、こうも休みなく動いていると精神的にも肉体的にもクタクタになってくる。そんな中での数少ない僕の癒しといえば…

「あっ!今日はアニメの放送日だ!早くテレビつけなきゃ!」
僕はアニメや漫画が好きで、特に日常系とよばれるゆるくてふわふわとした系の作品が大好きだ。女の子が画面の中で楽しく可愛く動いているのを見るだけでとても癒される。
中でも今シーズンに放送されている「ふわハピ!」というアニメは、雑誌で連載が始まったころから応援していてアニメ化をずっと待ち遠しく思っていた作品だ。

「おっ、始まった始まった!漫画もいいけどやっぱり動いてるのを見るととてもワクワクするよなぁ…綾乃ちゃんなんかめっちゃ可愛いし…」
綾乃ちゃんは「ふわハピ!」のキャラの中で僕が一番好きな女の子だ。黒髪ロングでお淑やかな清楚系な感じでいじらしくしている所がとても可愛くて、それでもって胸もあってスタイルは抜群。声も自分の好きな声優さんが当てていて見事雰囲気にぴったり合わせてくれている。PVを見たときには思わず興奮したほどだ。
同級生の晴香ちゃんは、奥手な綾乃ちゃんをぐいぐいと引っ張って行ったり、スキンシップと称して抱き着いたりしたりする、対照的に小っちゃくて元気いっぱいないつもニコニコ笑っている活発系な女の子だ。この二人の絡みが大好きなんだよなぁ…

「えへへ…いいなぁ…僕もこういう“優しい世界”に行きたいなぁ…」
僕はルンルンとしながらテレビを眺める。しかし、見ているアニメはとても楽しいはずなのに頭がコクッとして次第に強く眠気が襲ってくる。 
(最近かなり疲れてきてたからかな?それに最近ちゃんと寝れてなかったし…ダメだ…瞼が開かない…寝落ちしちゃう…)

J1.png

現と夢の境目が曖昧になるのを感じながら、視界がどんどん真っ暗になっていった…

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



 ピピピピッ…ピピピピッ…ピピピピッ…ピピピピピピピピ…
(ん…もう朝か…あの後ずっと寝ちゃってたんだ… 起きて学校行かなきゃ…)
僕は目覚ましの音で目が覚め、ゆっくりと体を起こす。背伸びをした瞬間、ファサっと髪の毛が揺れるような感触と腋をスーッと空気が抜けるような感触を抱いた。
(あれ?揺れるほど自分の髪の毛って長かったっけ…それに腋がなんかスースーする…)
感じた違和感はそれだけではなかった。
(なんか胸のあたりに重力を感じたような…)
僕は目をこすり、ぼんやりとした感じからゆっくりと視界をはっきりさせていく。
(あれ?自分の部屋ってこんなに綺麗だったっけ…家具もこんな感じじゃなかったような…)
そしてふと見まわした先に置かれていた姿見を見て、僕は意識が完全に目が覚めた。

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「あれ?もしかして…綾乃ちゃん…?」
その姿見には、唖然とした表情をした綾乃ちゃんにそっくりな美少女が映っていた。綺麗な黒髪のロングヘアーからは可愛らしいアホ毛がぴょこぴょこと揺れている。着ているピンクのファンシーなネグリジェからは大きい胸が形作った谷間が見受けられ、肩紐がずれてその大きな胸がモロに見えそうなきわどい格好になってしまっている。そして発した声も鈴の音を鳴らしたような綺麗で可愛いものになっていた。

「えっ…まさか…?」
僕は手を頬に当てる。すると姿見に映っている綾乃ちゃんも同じポーズをする。
今度は前髪をさっと撫でてみる。やはり姿見の子も同じ動作をする。

「やっぱり…!僕が綾乃ちゃんになってる…!?」
素っ頓狂ながらも可愛らしい声が、朝日が差し込む部屋にこだました。

③  
「はぁ…はぁ…そんな…ははっ…」 
僕は心を何とか落ち着かせ、改めて自分の置かれた状況を整理してみた。
今いる部屋は明らかどう見ても自分の部屋ではなく、家具にしても壁紙にしても綾乃ちゃんの部屋とそっくりだ。
本棚には年頃の女の子が読んでそうな雑誌や漫画が置いてあるし、机の上の教科書も高校のものだ。可愛いぬいぐるみが部屋の隅に置かれているし、窓を彩るカーテンも可愛らしいものになっている。
そして目に入るもので一番強烈な印象を憶えたのが、フックにかかっている高校の制服だ。その制服は作中で
綾乃ちゃんたちが通っている「星麗学園」のものとまるで同じな、可愛らしい茶色のブレザーとスカート一式だった。制服のポケットを探ってみると生徒証も入っていて、そこには写真とともにはっきりと「星麗学園 2年望月綾乃」と載っていた。

 「う~んこれからどうしたらいいんだろ…」
部屋の時計を見ると曜日は月曜日を指していた。普通に考えれば学校に行かなきゃいけないんだろうけど…
どうしようか悶々と悩んでいたところ、部屋のドアがガラッと開く音がした。

「お姉ちゃんさっきは大きな声上げてどうしたの…?何か変な夢でも見た?」
そう言いながら部屋に入ってきたのは綾乃ちゃんの妹の莉乃ちゃんだ。2つ違いで中学に通っていて、綾乃ちゃんとは同じく清楚なかわいい系だけど快明で積極的…といった感じの子だ。

「いやいや!!なんでもない!なんでもないよ…」
「そう?ならいいんだけど…今日も学校頑張ってきてね♪」
「うん!莉乃ちゃんも学校頑張ってきてね…」

挨拶を交わした後、莉乃ちゃんはにっこりと笑顔を浮かべながら部屋を後にした。

(ふぅ…なんとかやりすごせたかな…)
僕はほっと一息をつく。
「やっぱり学校には行かなきゃいけないんだよな…でも学校に行ったら晴香ちゃんにも会えたりとゆるっとした学園生活を体験できるんだよね…ワクワクするけどやっぱり緊張するよ…」
そのようなモノローグを脳内で巡らせながら、僕は心臓がドクンと強く波打つ高揚感と顔が赤くなるのを感じた。

④  
「あれ、珍しいね?いつもは着替えて全部準備を終わらせてから朝ごはん食べるのに…」
「あははっ、気分というかなんというか…」
綾乃ちゃんのお母さんが不思議そうな顔をして聞いてくる。あの後、制服に着替えようとしたけど、とりあえず朝ごはんを食べてからと後回しにしてしまった。
「ごちそうさまっ」
僕は急いでご飯を食べた後部屋に戻った。

「さて着替えないと…綾乃ちゃんごめん!!」
僕は清純な綾乃ちゃんを汚してしまいそうなことに後ろめたさを覚えながらネグリジェを脱ぐ。そしてクローゼットにあった可愛らしいブラジャーを手に取り、大きい胸をしっかりと支えるために姿見を見ながらそれをフィットさせていく。
「高校の時の文化祭の出し物で女装させられたことがあったけど、こんな時にその経験が活きるとは…」
なんだか複雑な感情を抱きながらブラジャーのホックをひっかけていく。
「よし、ブラをなんとかつけられたから一段落だ…それにしてもやっぱり綾乃ちゃんはおっきいな…」
姿見に映った姿と自分の胸元を交互に見ながら僕はそうぼやく。
(いけないいけない!こんな神聖な体を僕は汚しちゃいけないんだ…!)
僕は雑念を払いながらスカートとシャツ、そしてブレザーを急いで羽織っていく。

 「よし!なんとか全部着られた…おかしいところとかないよね?」
僕は姿見を見ながら自分の格好を確認してみた。モジモジとした表情は鏡越しに見てもとても可愛く、まさに作中の綾乃ちゃんそのものだ。今は自分の身体なのにやっぱりいじらしくなって恥ずかしくなる。
「うん…大丈夫…かな?緊張するけど学校に行かなきゃ…」

「行ってきまーすっ!」
緊張感と高揚感の両方が湧き出るのを感じながら、僕は荷物をまとめて足早に家を飛び出した。

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⑤  
「ここは右だったかな…そして次は左で…」
僕は学生証の住所と部屋に置いてあったスマホ、そして作品を見た記憶を頼りにしながら学校へと向かう。
(アニメや漫画だと登下校のシーンは断片的だし、記憶だけじゃどうにもならないんだよな…)
でも地名の名前は架空だったりしても舞台設定が現代日本なのは助かった。電車の見た目や乗り方は同じだし、路線図が違ったりしても地名がちゃんと路線図やデータマップにヒットするし…。漫画の世界といえば自転車通学が定番だったりもするけれど、逆に徒歩と電車通学でよかった気もする。慣れない中自転車を漕いだらいろいろと無防備になっちゃいそうだし…
そうこうしながら家の最寄り駅に着き、ちょっと現実世界とデザインが違う定期券をかざしながら改札を通る。駅のホームに上がろうとした時、後ろから肩を叩かれる感触がして僕は振り返った。

「よっ、綾乃!今日は駅来るの結構遅いんだね~いつも遅刻が怖いからって早めに行ってるのに~」
(あっ、そういえば…)
この子は綾乃ちゃんとは別のクラスだけど幼馴染の日和ちゃんだ。スポーツ万能で明るくてモテるけどなぜか帰宅部。綾乃ちゃんとは一緒に駅で待ち合わせしてから学校に行っていて気が置けて話ができるほどの仲。…いつも綾乃ちゃんが待っている側なのに今日は待たせる側になっちゃったけど。
「えへへ…ちょっと今日は夜更かしして起きるの遅くなっちゃって…」
「こんなに可愛いのに夜更かしなんてしたら美容に毒じゃん~!まぁいいや!今日も一緒に行こうよ~」
「うん!よろしくね…」
一緒に学校に行ける相手ができたのは心強いや。おまけにお話もできるなんて…

 ガタンゴトン…ガタンゴトン…

「それで昨日は夜更かしして何してたの~?」
「ちょっと猫の動画見て癒されてたんだ~」
「綾乃ってそういうの好きだもんね~私は宿題しようとしたけどいつの間にか寝ちゃって朝になってたよ~」
「あはは…日和らしいね…」
電車に揺られながらお話をする僕と日和ちゃん。波もなければオチもないふわふわした会話ばかりだけど、これこそが作中通りのふわっとした世界なんだよね…

~~~~~~~~~~
「そういえば綾乃って晴香と仲いいよね~教室でよく話してるの見るし…」
「あれ?もしかしてヤキモチ焼いてる?“私”だって日和って男女関係なく人気なの見てるとヤキモチ焼いちゃうよ…?」
「うげっ、うまく返されちゃった… そういう綾乃だって…このこの~!」
「あはっ!くすぐったいよ…!」

電車を降りて学校へ向かっているときも話は弾む。なんとか綾乃ちゃんっぽく振舞ってお話してたけど、振舞わなきゃいけない大変さ以上にこの感じがとても居心地がよくて気持ちが癒されてくる。やっぱりゆるふわな優しい世界っていいなぁ…


「じゃあワタシの教室こっちだから~じゃあね~♪」
「うん…!じゃあね…」
日和ちゃんと別れて綾乃ちゃんの「2-A」教室に向かう僕。きっと晴香ちゃんはもう来てるんだろうなぁと思いつつ、ドキドキとワクワクを抱きながら意を決して教室に入る。

「…あっ、綾乃ちゃん!!!おっはよ~!!ギュ~~~!!!」
「お、おはよう…!!(近い近い近い…!)」
教室に入って目が合った途端、勢いよく抱き着いてくる晴香ちゃん。

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ホントの晴香ちゃんだ!

(ホントの晴香ちゃんのハグだ…!!とてもいい匂いする…幸せ…)
僕は恥ずかしさと嬉しさで顔がすごく火照ってしまった。

「土日会えなかったから寂しかったよ~! ”今週も”よろしくねっ!綾乃ちゃん!!」
「…うんっ!!!」

なぜ自分がふわハピ!の世界に来てしまったのか、そして綾乃ちゃんになってしまったのか、そして元居た世界にはそもそも戻れるのか…頭に色々と分からないことだらけ巡っているけど、それ以上に今の状況がとても楽しいといった幸福色に上塗りされ、できればずっとこのような幸せな体験をしていたいなと思っている僕であった…

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続く…?

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