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【依頼小説】優秀なエスパー戦士が女体化されるやつ

作 へるきゃっと https://twitter.com/uiharu_saten
イメージイラスト 夜月 https://twitter.com/tuver28_order

エスパー

 うぅ、痛い。頭がズキズキと痛む。

 俺は痛みに耐えながら上体を起こした。どうやら硬い寝台のようなものに寝かされていたらしい。周囲を見渡すと、そこは殺風景過ぎるほどのコンクリート造りの部屋だった。頭の上には得体の知れない細い腕のようなものが幾本も突き出した謎の機械がある。

 俺は次第に状況を理解し始めた。

 ――そうだ。俺は失敗したのだ。


『ブリング・ストーム』それが俺のコードネーム。――とある政府機関に属するエスパー戦士だ。要は悪事を働く連中を超能力を使って始末するのが仕事。これでも持ち前の冷静さと強力な思念動力《テレキネシス》によって、今まで与えられた仕事はただの一度もしくじらずにこなしてきた。

 ――それなのに……

 そう、それは一瞬の判断ミスだった。
 俺はテロ組織に指定された『宵の明星《トワイライト・ルシファー》』の拠点への潜入捜査を行っていた。そして苦労の末に敵の幹部に接触を果たし、『宵の明星』の親玉であるヴォルザードの居室への侵入方法を探り出した。後はそれの情報を味方に届け、拠点へ味方を迎え入れればこちらの勝利のはずだった。――しかしそれは敵の罠だったのだ。

 拠点を去ろうとした俺は敵の不意打ちを受け、超能力を使う前に頭に一発食らってしまい、呆気なく意識を失った。そして今に至るというわけだ。


「俺としたことが情けない。これで計画は白紙に――?」

 思わず呟きが漏れて、俺は自分の声に違和感を覚えた。俺の普段の声はもっとこう……低いのだが、今の自分の声はそれとは比べ物にならないくらい高く、ハスキーなものだった。訝った俺は自分の身体を確認してみる。――嫌な予感は的中していた。

「くそっ……参ったな」

 例のハスキーボイスで再び呟く。
 俺の鍛え上げられていたはずの身体は、曲線的な少女のものになっていた。そして当たり前だが、股間についているべきものがついていないし、胸部にはわずかな膨らみが二つ。服装もホットパンツに黒いキャミソールという今どきの女の子っぽいコーディネートだ。――恥ずかしさを覚えなくもない。

 犯人は恐らく『宵の明星』だろう。奴らは人体改造に関してはかなりの技術レベルを誇っている。自分たちの組織の構成員を怪物に変化させて街を襲うというテロ行為を得意としているのだ。男の身体を少女のものに変化させるなんて朝飯前だろう。

 どうして俺の身体を改造したのか、敵の目的は不明だが、俺は何としてもここを脱出して仲間に知らせなければいけないことがある。

 幸いなことに、思考を巡らせていると、幾分か頭痛は治まった。そして、さらに幸運なことに、この部屋の扉は中途半端に開いていて、外に出れそうだった。もちろん罠である可能性も高いが、ここは意地でも脱出を試みるしかない。それに――いざとなったら思念動力もある。――今度は油断はしない。

 俺は、寝台の横に置いてあった椅子にかけてあったコートを羽織る。こいつはこの部屋にあった唯一の俺の持ち物だ。そして、右手を軽く動かしていつでも思念動力を放てるように備えると、開いていた扉から飛び出して一気に駆け出した。


 薄暗い敵の施設の中をひた走る。が、そこは不気味な程に静まり返っており、人っ子一人いる気配がなかった。――これはおかしい。だが、楽に脱出できるに越したことはなかった。

 と、目の前に突如として現れた非常口のサイン。これ幸いと、指示に従って扉を開く。

 が、目の前に広がっていたのは外の景色ではなく、一面白いタイルに覆われた十メートル四方の部屋だった。

「くそっ! 罠か!」

 慌てる俺の背後で、ガチャンという音を立てて扉が閉まる。俺は自分の不用心さを恥じた。一度のミスで動転してしまい、再びミスを犯すとは……!

『いやはや、まさか本当にここへやってくるとはな……ヴォルザード様の仰るとおりだった。ヒャッヒャッヒャッ』

「誰だっ!?」

 響いた声に振り向くと、俺の背後にそいつはいた。人間――否、人間のような形をしているが人間ではない。『人間だった』とでも言うべきだろうか。
 シルエットは確かに人間に近いのだが、その皮膚は赤黒く変色し、腕からはうねうねとうねる何本もの触手を生やしている『怪人』だった。

『オレが誰なのか、忘れちまったのかぁ? 『ブリング・ストーム』くん?』

「その声は……!」

 確かに俺はその声、そしてその人を小馬鹿にしたような呼び方には聞き覚えがあった。かつて俺が追っており、あと一歩のところで逃がしてしまったテロリスト――好敵手とも言うべき因縁の相手だ。

「横溝《よこみぞ》 倫哉《みちや》……」

『その名はもはや捨てた。――オレの名は『ヴェノム』。怪人ヴェノムだ』

「貴様! 『宵の明星』に魂を売り、怪人に身を堕としたか!」

 俺が一喝するも、倫哉――否、ヴェノムは気持ち悪い笑い声を上げるのみだった。

『ヒャッヒャッ! 分かってないなブリング・ストームくん。人間の身体というのは実に不便なのだよ。その点この触手は自由自在。切られても復活する優れものだ。どうだぁ? ブリング・ストームくんも怪人になってみるかぁ? ヴォルザード様に土下座すれば考えてくれるかもしれ――』

「冗談も休み休み言え! 貴様、ここで始末してやる!」

 いくら相手が怪人とはいえ、俺の思念動力をもってすればこんなやつは相手ではない。さっさと始末してここから脱出してやろう。

『おいおい。自分の置かれている状況が理解できないのかぁ? お前は追い詰められてるんだよ! ブリング・ストームくん? いや、ブリング・ストームちゃん……かぁ?』


「問答無用!」

 俺はヴェノムに向かって右手を伸ばし精神を集中する。俺の手から放たれた槍型の思念動力は、ヴェノムの胸を一息に貫き、奴は絶命する――はずだった。

 ――しかし

「……っ!? くそっ、どうなっている!?」

 俺は困惑した。放ったはずの思念動力は、あろうことか不発に終わり、行き場をなくなったエスパーエネルギーが体内で暴れ回る。

「……くっ!」

 身体中が熱くなり、たまらず膝をついてしまった。

『やーれやれ、これだから物分りの悪い奴は……オレがなんの考えもなしにお前の前に立つと思ってんのかぁ?』

 確かにその通りだ。だからこそ俺はこいつを何度も撃ち漏らしていたのだ。
 身体の熱は次第に胸部に集まり、気づくとなだらかだった俺の胸は比べ物にならないくらい大きく膨らんでいた。

「なんだこれは……うぅっ!」

 キャミソールを持ち上げる大きな胸に触れてみる。熱い。そして刺激を受けると、俺の身体をなんとも言えない快感が駆け抜けた。

『ヒャッヒャッヒャッ! オレはな、ヴォルザード様にお前を好きにしていいと言われてんだよ! だからじっくりと楽しませてもらうぜぇ! ブリング・ストームちゃんよぉ!』

 ヴェノムの触手が迫る。俺は回避しようとしたが、身体が思い通りに動かずに触手が脚に絡まってしまった。そのままうねうねと全身に絡みつく触手。

「おい! 離せこのっ!」

 暴れたところで離してくれるヴェノムではない。


『忌々しい宿敵を好き勝手に犯せるなんて夢みたいだぜぇ!』

「……させるか!」

 下卑た笑みを浮かべるヴェノムに恐怖を覚えながらも、俺は再度思念動力を放とうとした。

「ふぁぁぁぁっ!?」

 しかしまたしても思念動力が放たれることはなく、身体が熱くなっただけだった。胸はさらに膨らみ、はちきれんばかりの乳房から快感が波のように押し寄せてくる。

『ヒャッヒャッ! 苦しいかぁ? じゃあオレがそのおっぱいに溜め込んだやつを吸い出してやらないとなぁ!』

「や、やめろっ!」

 キャミソールの裾からヴェノムの触手が侵入してくる。そして大きく膨らんだ俺の胸を弄ぶ。

「うぁぁぁっ……だめっ……や、やめっ……」

『やめろと言われてもやめねぇけどな! ヒャッヒャッヒャッ!』

 触手が胸の上でうごめく度に俺の身体を耐え難い快感が襲う。頭が真っ白になりそうだ。

「くっ……ふぁっ……あぁぁっ……」

 俺の乳首に触れた触手はドクッドクッと脈動を始めた。と同時に、乳首から何かを吸われているような感覚に襲われる。思わず情けない声が漏れた。

『さすがはブリング・ストームちゃんだ。いいものを持ってやがるぜ』

 こいつ、俺のエスパーエネルギーを吸い取っている……!? 見ると、黄金色に光り輝くものがヴェノムの触手を伝って奴の身体に流れ込んでいるのがわかった。

『この調子で吸収し続ければオレはさらに強くなる。この世の誰よりもな』

「き、貴様……! 最初からそれが目的で……!」

『そう。お前を捕らえた時からこうやってエネルギーを吸い取るためのエサとして使うつもりだった。だからわざわざ女の身体にしたってわけだ』

「くはっ……はぁ……はぁ……」

 ヴェノムにエネルギーを吸い取られ尽くした俺は、触手から呆気なく解放された。胸も元の大きさに戻っている。だが、身体に力が入らず、俺はその場にへたり込んでしまった。


『ふぅ……いやぁ、なかなかにいい食事だった。――今日から毎日、オレのためにエネルギーを寄越せよ。――じゃあな、ブリング・ストームちゃん』

 言い残して部屋から去っていくヴェノム。

 俺はすっかりここから逃げる気力を失っていた。少女の姿にされ、自分の存在意義とも言える思念動力を放てなくなっていたこと。そして、宿敵に散々辱められたことは俺のプライドを完膚なきまでにへし折っていた。

「はぁ……」

 部屋の壁に背中を預けながらため息をつく。

「……俺はもう、戻れないのか」

 記憶にある限り泣いたことなんてなかったのだが、俺の頬を一筋の涙が伝った。



 それから、俺は毎日エネルギーを胸にたくわえ、それをただヴェノムに吸われるだけの男――いや、女と化してしまったのだった。
 いつしか、仲間が『宵の明星』を滅ぼし、俺を救い出してくれることを祈りながら。

<END>

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