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投稿TS小説第141番 Blood Line (7)(21禁)

作.luci

 * * * * 能力開発 * * * * *

 能力は性的な興奮が無いと発揮できない、そういう訳でも無い。それが高くなる程、コントロールと能力値が上がるのだ。だからこれまでの研究では人間の精神の高揚が働いているのではないか、そんな仮説も出ていた。では何故性的興奮が良いのか? 人間の三大欲求、睡眠欲、食欲、性欲の内、最も表に出せず強い欲望が性欲だ。内に秘める事でその高まりは他の欲求より強い為に、高揚・興奮度合いも強い。実験では睡眠欲を欲してる段階では、眠気に負け外部に向けて能力を発揮するより、眠る事に対して能力を発揮してしまう。また食欲は人間を常に縛り付けている。それ故に性的興奮が注目されたのだった。
 ただ、それを高める方法は外部入力によるところが大きいため、どのように内部で(脳の中で)自在にコントロールする事が可能なのか、それが問題となっている。


 明くる朝は、その日に行われる事を予想できない程、清々しく晴れ渡っていた。幹彦の身体は高野が言った通りゆっくりとではあったけれど、動かせる状態になっていた。そして能力を使う為に最も必要な精神も回復していた。
(腕も足も何とか動くかな……。よし、疲れも取れたしここから逃げないと)
 このまま高野の思い通りになるのは嫌なのだ。身体が動くようになれば当然「能力開発」が待っている。何をするのか、されるのか、既に織り込み済みだ。
 その場面を想像すると、血の気が引いてしまう。幹彦は身震いしながら璃紗の両肩を抱くように身体を縮めた。
(さむっ。男に、されるなんて冗談じゃない……女の人って華奢なんだ)
 抱きしめた自分の肩の細さに違和感を感じる。尤も、その肩を抱く手も腕も相対的に華奢になっているのだが。幹彦の脳にはこれまでの男の身体の感覚が残っているのだろう。改めて幹彦は自分が女性になった事を実感していた。ここで行われる事を思うと夢であって欲しいという気持ちを感じる間もなく、現実を認識せざるを得なかった。
 婦長が運んできた朝食をゆっくりと食べる。その間見張り役なのか婦長は傍を離れない。会話も無い重い朝食が終わると、婦長はトレイを持ってやっと出ていった。
 逃げ出す、そう思うと幹彦の璃紗の鼓動はドキドキと大きく動いていた。それは緊張であって興奮とは違う。けれど、精神の高揚には違いが無い。彼はそれを利用した。高まる気持ちをそのまま開放する。目を閉じて下腹の辺りに集中する。渦を巻くような感覚が現れるとそれが力の奔流となっていく。そのままキャスター付きのベッドを押し出していく。そろそろと音もなく動くベッドは、さながら空飛ぶ絨毯のようだ。
 点滴のスタンドを小脇に抱え、もう少しでドアというところまで来た。その時。
(あっ、足音?)


 幹彦の耳に廊下を歩く音が近づいてくる。リノリウムの床が「キュッ」という音を響かせていた。静かに、しかし着実に近づく複数の足音がどこへ向かっているのかを探ろうとして、幹彦を載せたベッドはその動きを止めていた。
(やばい、停まった?!)
 病室の前で停まった足音。婦長なのかそれとも所長の高野なのか。幹彦は固唾を飲んだ。
「おや、0087号、おはよう。わざわざ出迎えてくれるなんて、やるき満々だね」
 口の端だけで笑みを作る高野を睨め付ける幹彦。逃げようとしたこの時点で会ってしまった己の不運を嘆くより先に、彼はベッドを動かしていた力を高野に向けて使おうとした。けれど、それは上手くはいかなかった。
 高野の後ろに控えていた男が、すばやく幹彦の首を片手だけで締め上げた。その手を振り解こうと、白い細い手が男の腕を押さえようと動く。持っていた点滴スタンドが床に落ち、金属音が耳に届く。
(かはっ、く苦しっ放せ?!)
 首を絞める男に対して力をぶつければ良かったのかも知れない。しかし幹彦は瞬時にそれをする事が出来なかった。元々使いこなせない力だったのだ。危機的状況に直面しても、それを使う訓練をしていなければ対処出来ないのは道理だ。
「おいおい、あまり無茶をするなよ。これから能力開発しないといけないんだから。大体、君が相手をするんだろ」
 百九十センチ近くある身長に、今の幹彦の璃紗の身体の幅の二倍はありそうな体躯。その大男が済まなそうな表情を見せ首から手を離した。幹彦は咳き込みながらベッドに突っ伏してしまった。
(ちくしょう、こうなったら)
 首もとを押さえつつ、高野と男に力をぶつけようとした。
(あっ)
 高野が拳を振り上げたのを見て、幹彦の身体も精神も硬直してしまった。視線が拳から離れない。
 研究施設に来る前の幹彦は、その能力のせいで親からも疎ましく思われていた。それが虐待という形で現れたのだ。拳を握られ振り上げられると必ず殴られた。幼い頃からの虐待は、幹彦に大人の手の怖さとなって彼の精神に蓄積していった。そしてトラウマとなっていたのだ。
 所長である高野はそれを知っている。そのトラウマを利用して幹彦の心を身体の動きを封じ込めてしまった。
「くくっ。君のこのトラウマがある限り、我々に刃向かう事など考えない方が身のためだろうね」
 為す術もなく震える幹彦の心と身体に絶望を感じながら、幹彦の赤い目に悔し涙が浮かび上がった。視界が歪んでいく。
(あ、うぅ……)
「おい、丁重に連れて行きなさい。地下で訓練を始めるからね」
 大男が幹彦の手を引きベッドから下ろす。まだ感覚に乏しい幹彦の璃紗の足もとは不確かで、よろけてしまった。すぐ傍にいる大男の袖に掴まっていた。幹彦が見上げると、下卑た笑みを浮かべた大男の顔見える
「たっぷり可愛がってやるよ。能力が上がるまで何度でもな」

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