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【投稿小説】とある冒険者の受難 第4話
作:馬耳エルフ
イメージイラスト&挿絵 えたみ https://twitter.com/eta_64
【投稿小説】とある冒険者の受難 第1話
【投稿小説】とある冒険者の受難 第2話
【投稿小説】とある冒険者の受難 第3話
起きてしばらく放心状態だった潮はゆっくりと昨日の出来事を回想していた。
昨夜の一件は潮の23年に渡る人生において最低最悪の悪夢であるとは疑いようもなかった。
多少のイタズラなら事故と思い忘れられるが、今回ばかりはそうもいかなかった。
「くそっ。なんであんなマネを許しちまったんだよ・・・・」
育ての親であり冒険者としての師でもある男、マロックの狼藉。
欲望を満たすために、魔術でバニーガールの格好にされた挙げ句、胸にむしゃぶりつかれ絶頂させられた。

あんな忌まわしい出来事を詳しく思い出すのはごめんだったが、そうもいかなかった。
昨日の自分自身に何とも言い表せない不可思議な点があったからだ。
(昨日の俺は普通じゃなかった。どうしてだ、何か理由があるはずだ)
目が覚めた潮は自分の部屋で思案を巡らせた。
まず、最初に引っかかったのはバニーガールの服装に着替えさせられた時から妙に警戒心が揺らいだことだ。
あの衣装に身をつつんだあたりから、潮はマロックの言いなりになり酒の相手をするはめになった。
その酒の席でも、胸や尻を触られたが、妙なことにいつものような不快感は感じなかった。
警戒心が緩んだまま、マロックを受け入れてしまい挙句の果てにあのザマだ。
結果、潮は理性なきケダモノと化したマロックに押し倒され文字通り乳房を味わいつくされる屈辱を受けた。
思い出しただけで、暗澹たる気分になる昨日の夜の出来事だ。
しかし、なぜ昨日の潮はマロックに対してあそこまで無防備だったのだろうか。
当の潮本人すらその理由は説明できなかった。
昨夜に限って言えば胸や尻を何度も触られたにも関わらず不思議と不快さを感じなかった感覚も、今になって思い返すと妙な体験だ。
それどころか、酒の席で自分の体にマロックが夢中になっていることに満足感すら覚えていた。
あの時はバニーガールの姿に着替えさせられ強引に酒の席を共にしていただけなのに。
そこで潮ははっとした。
まさか、そういうことなのか。
自分の異能は武器や鎧だけじゃなくて、戦闘にまつわる装備とは関係ないバニーガールの衣装すらも性能を引き出していたのか。
そう考えると昨日の潮自身の無防備ぶりにも説明がつく。
潮の中の疑問は瞬時に氷解していった。
(要するに、俺の能力を逆手に取られたってことなのか)
その瞬間、潮の頭の中でひとつの考えが組み上がっていった。
マロックは武器や鎧以外でも潮の異能が機能することに気付いたのだろう。
持ち前の狡猾さでそんな体質を逆手に取って楽しもうと悪巧みをしたに違いない。
結果、まんまとマロックの思惑通りに事は進んだのだろう。
すでに家の中にマロックの姿はなかった。
おそらく、街へ情報収集に出かけたのだろう。
(くそっ、人の気も知らないで・・・)
自分の体を弄んで自分をこんな悶々とした気分にさせておいて、当の本人は普段どおりの生活に戻っていることに潮は腹を立てた。
この落とし前は必ずつけさせなくては。
潮は意を決して戦乙女の武具を箪笥から取り出した。
マロックが今夜帰ってきたら、目にものを見せてやらねばならない。
この怒りと屈辱はきっちりと晴らさせてもらわねばならないと決意した。
その夜、マロックは軽快な足取りで家路についていた。
晴れやかな気分の原因は2つ。
1つは今日の情報収集が首尾よく成果が得られたことだ。
ここのところ空振り続きだったこともあって、有益な情報を多く得られたことはマロックの心に爽快な空気を満たしていた。
いくつになっても、長時間行き詰まった仕事が前に進む瞬間というのは心地の良いものだと。
そして、2つ目の理由は潮である。
昨日の出来事はマロックにとって普段のストレスなどどこかに消し飛ぶほどの最高の出来事だった。
思い出しただけでついつい表情が緩んでしまう。
世の男達が知ったら、血の涙を流しながらマロックに嫉妬の炎を燃やすだろう。
バニースーツだけではない。潮には着て欲しいものがまだまだあるのだ。
偶然手に入れた面白い『お土産』も道具屋で仕入れることが出来た。
その紙袋を片手にマロックは家へと向かった。
「うおっ、何じゃその格好は!?」
その言葉には明確な怒気が込められていた。
家に帰ったマロックを待ち受けていたのは戦乙女の武具を纏った潮だった。
「昨日の落とし前、きっちりつけさせてもらうぞ」
「はて、何のことかのう」
「とぼけるな!俺にあんな服着せて好き放題したことだっ!」
「成程、そのことか。昨日は楽しかったのう。実に美味しかったぞお前さんのおっぱい、・・・・うおっ!」
得心がいったとでも言わんばかりの表情で応えたマロックに対し潮は距離を詰め拳をふるった。
雷光のごとき俊敏さで距離を詰め、巨大な魔物すら一撃で仕留めた豪腕を振るったが残念ながら紙一重で避けられてしまった。
昨日の事に悪びれもしないマロックに対し、五臓六腑が煮えくり返った。
そんな憤りを拳に任せた結果、問答無用の鉄拳制裁を実行したのだ。
紙一重で避けられたが、打ち続ければ確実にマロックを捉えられる手応えを感じた。
「危ない危ない。3ヶ月前はその一撃で危うく往生するところじゃったな」
「今回はそれ以上に痛い目見てもらうから覚悟しろ!!」
そう言って潮はマロック相手に拳を構えた。
マロックは一流の冒険者であり、本来なら潮よりずっと格上の相手だが戦乙女の武具を身に着けた潮にとって敵ではない。
少なくとも今の潮を倒せる者など強力な力を持った魔物も含め、この世界にそうはいないだろう。
それは、マロックも承知しているはずである。
戦闘では勝機の極めて薄い相手が目の前で怒りに燃える瞳で睨みつけているにも関わらずマロックは余裕のある表情を浮かべていた。
「たまには弟子と組手も悪くない。さ、かかってくるがいい」
「たっぷりと後悔させてやる!」
潮はマロックとの距離を一気に詰めるため足に力を入れた。
間合いに入ったら容赦なく拳を叩きこんでやる。
そう考えたときだった。
「【クロスワップ】」
「えっ、それはっ!?」
潮にとっては不意をつかれる形となる魔術だった。
あの魔術は術者の付近に交換する装備がなければ発動出来ないはずだ。
マロックを見る限りそんなものは無かったはずだが・・・。
潮ははっとした。
マロックが持っていた小さな紙袋が平たくしぼんでいる。
まさか、あの中に何らかの衣類が入っていたのか。
自身のうかつさと観察力の無さを恨んだが、もう遅かった。
魔術『クロスワップ』はその効果を発揮し終えており、潮は戦乙女の武具の代わりにシンプルなビキニを身に着けていた。
「ふむふむ。本当なら白い砂浜で見たかったが、これはこれで中々に趣きがあるな」
「な、何だ。この水着!?」
「見事なまでに似合っとるぞ。このデカ乳美女め」
「うるさいっ!なんでこんなもん持ってるんだよ!」
「実は偶然立ち寄った道具屋の主人がの。仕入れたはいいがサイズ的に着こなせる女がおらず売れ残っている水着があって困ってると言うんで譲ってもらったんじゃ。潮ならピッタリだと思っておったがここまでとはな」
「よりにもよって何て間の悪い」
悔しがる潮に向けてマロックは先程まで潮が身に着けていた戦乙女の武具を見せつけるようにぶら下げた。
その表情はは勝ち誇ったように生き生きとした笑みを浮かべている。
「これで勝ち目はあるまい。戦乙女の武具を纏ったお前さんは最強じゃが、剥ぎ取ってしまえば非力な女に過ぎん」
「くっ・・・!」
何も言い返せず押し黙ってしまったのは認めたも同じだった。
マロックの言う通り、潮にとっての勝機は戦乙女の武具により圧倒的戦闘力を得た状態で戦ってこそ生じるものだ。
それが奪われてしまった以上、潮にとって敗色濃厚の状況と考えざるを得なかった。
「さあ潮、どうする。このまま続けるか。それとも降参するか」
「降参、だと?」
「誠意を示してくれるなら今回の件を水に流してやってもよいぞ。例えばそうじゃのう、お風呂の中で昨日の続きでも」
「ふざけるなっ!」
マロックが言い終わる前に潮は距離を詰め、蹴りを放った。
女になったとは言え、潮は体術の訓練を積んだ冒険者だ。
街のケンカ自慢程度ならたやすく返り討ちにできる程度の体術は今でも維持できている。
しかし、潮の攻撃はすんなりと避けられてしまう。
攻撃を回避されたという結果は、戦乙女の武具を身に着けていたときと同じだ。
ただ、決定的に違うのは先ほどの回避が間一髪であったのに対し今回は余裕を持って避けられた所だろう。
「どうした潮。随分と遅い動きじゃな」
「くっ・・・!」
「戦乙女の武具に頼りきりで腕が鈍ったか。それとも胸にそんな巨大な重りを2つも付けていては素早く動けんか」
「うるさいっ!」
その軽口に激怒した潮はより力を込めてマロックを攻撃した。
しかし、それは残念ながら逆効果だった。
力を込めて拳を振るえば振るうほど、攻撃の軌跡は単調なものになり、マロックのような熟練の冒険者からは与し易いものとなる。
結果、先程以上にいともたやすく潮の拳打は空を切り続けた。
「逃げるなっ、ちょこまかと」
「ただ避けるのにも飽きてきたな。ここからはこっちも反撃させてもらおうか」
「なにっ!?」
それは完全に虚を突いた高速の接近だった。
相手の攻撃に無警戒だった隙をつく形で、一息に潮との間にあった間合いをマロックは潰した。
気がついたときには手を伸ばせば届きそうな近距離にマロックが足を踏み入れていた。
潮は被弾を覚悟してマロックの攻撃の痛みに身構えた。
が、予想に反し衝撃は訪れない。
その代わり、潮に待っていたのは妙な開放感だった。
その正体が身についけていた水着を剥ぎ取られ乳房が開放された感覚だと気付いたのは、いつの間にやら潮の間合いから離れたマロックが満円の笑みで水着をひらひらと潮に向けて振っているのを見定めた時だった。
「何度見てもたまらんな、こりゃあいい」
「ひゃあっ!」
マロックのいやらしい視線が露わになった自らの乳房に注がれているのに気付き思わず悲鳴を上げてしまう。
とっさに左腕で胸をかばったが、悲しいかな潮の細腕では大きな乳房を隠しきれてはいなかった。
潮の中に羞恥心と同時に昨日の出来事が蘇ってくる。
押し倒され乳房を好き放題しゃぶられたおぞましい記憶。
その恐怖に、思わず身震いを起こしてしまう。
そんな様子をマロックは満足そうに眺めて楽しんでいた。
「なかなかにいじらしい格好じゃのう」
「う、うるさいっ!」
「今降参すれば一緒に風呂で背中流しっこで許してやらんでもないぞ」
「誰がそんなことするかっ!」
「意地を張っても良いことはないと思うがの。では続きといくか」
マロックは再び潮との距離を詰めるべく、素早い動きで近づこうとしてくる。
潮は蹴りで迎撃するも、上手くマロックを捉えることは出来なかった。
左腕で胸を庇いながらの蹴りは掻い潜られ、一本足になったタイミングで足払いを仕掛けられる。
支えを無くした潮は床に倒された。
背中に床のひんやりとした温度を感じながらも潮は起き上がろうとする。
しかし、起き上がろうとする潮にすかさずマロックは馬乗りになってきた。
「どけっ、このっ!」
潮は体を揺らして必死にマロックを押しのけようと藻掻いた。
体勢は不利とは言え、潮に比べマロックは小柄なのだ。
暴れれば跳ねのけられると考え、体を動かす。
しかし、巧みに潮の重心を押さえ地面に組み伏せてくるマロックを押しのけることは出来なかった。
「はぁはぁ・・・、くそっ、何でどかせないんだ」
「さあどうする、潮。ワシとしてはこのまま昨晩の続きをしてもいいと思っとるんじゃが」
「くっ・・・」
潮は白旗を揚げざるを得ない状況に追いやられたことを思い知らされた。
「たまらんなぁ。目の前で女に変わる現場に居合わせたワシですら、こんな美しい肢体を見せられては3ヶ月前まで男だった事実を信じられなくなるわい」
「じろじろ見るなよ、ばか・・・」
「白い綺麗な肌じゃのう。もはや女体の美という枠に収まらない芸術品の域じゃ」
「うう・・・、何でこんなことに・・・」
マロックの提案により、潮はいつの間にか沸かされていた風呂へと連行され、一緒に風呂に浸かっていた。
『男女の仲直りと言えば太古の昔から風呂と相場は決まっておるじゃろ』というマロックの言葉が本当かどうかは怪しかった。
ただ言えることは、真っ当な格闘戦でマロックに組み伏せられた潮は完全に自身を喪失していた。
もはや、マロックに抵抗する意思すら維持するのは困難だった。
何より拒否すればそれを口実にマロックの毒牙が潮を襲い蹂躙する可能性があった以上その提案を飲むしかなかった。
「こうしていると昔を思い出すな。お前さんが子供の頃は毎日のように一緒に風呂に入ったもんじゃ」
「・・・それは、10年以上前の話だろ」
「あれからそんなに経ったのか。この間まで小僧だったのが、大人の体に育ちおって」
「うっ、どこ見ながら言ってんだよ」
「そりゃあ勿論、この巨大な2つの島じゃな。おっ、おっぱいが湯に浮くというのは迷信ではなかったのか」
「こらっ、なに触ってんだ、やめっ、くすぐったいだろ、ふあっ!?」

マロックの手が湯船に浮かんだ潮の胸を弄ぶ。
その刺激に、潮は思わず声を上げてしまった。
潮がそこまで狼藉を働かれても全力で抵抗できないのは、ひとえに先程の戦いで返り討ちにあったためだ。
あの一戦でマロックがその気になれば、いつでも潮を好きなように出来ると証明されたのだ。
そのショックは潮から抵抗の意思を完全に奪いつつあった。
「うぅっ・・・もう、やめてくれ・・・」
「ふむ、と言うと?」
「お、俺は男なんだ。体はこんなでも心は男の時のままなんだ。男の欲望を俺にぶつけられるのにはこれ以上耐えられない」
それは心の奥底から漏れた潮の本音だった。
道行く男たちの視線、魔物討伐を依頼された村の男どもの目、昨日のパーティーに参加した貴族の好奇のまなざし。
どれも耐え難いまでに不愉快だった。
言うまでもなく、昨夜のマロックが自分に対して行った蛮行など論外だ。
許容できるような事柄ではない。
「では昨日ここが濡れていたのは何だったのじゃ?」
「え?ひゃわっ!?」
湯の中でマロックの指が潮の秘所を優しくなぞった。
その愛撫は昨夜の快感を潮の脳裏に蘇らせるには十分すぎる刺激だった。
「昨日の夜バニースーツを脱がせたときは、ここが確かに湿っとったな」
「そ、それは・・・・」
潮は何も反論できず絶句した。
しかし、ニヤニヤと笑みを浮かべるマロックが腹立たしくなり、口先だけの反論をぶつけた。
「き、昨日は突然の不意打ちだったからだ。そのせいで体が変な反応をしただけのことで・・・・」
「ではキッチリと身構えている状況なら昨夜のようなことにはならなかったと」
「当たり前だ!」
「そうか。では本人のお墨付きも出たことじゃし、今の言葉が正しいかどうか確かめてみるか」
「えっ?」
「何せ、潮ちゃんは今のように身構えていては女の喜びなど意にも介さないらしいからのう、潮には昨日以上の女の喜びを味あわせてもなんの問題も無いわけじゃ」
「そ、そんなこと、うあああっ!」
そこからはマロックの愛撫が潮の体を蹂躙するのみだった。
乳をしゃぶられ、尻を撫でられ、挙句の果てには女の陰核までもを欲望のままに好きにされた。
絶頂しても気づけば次の快感が押し寄せてくる悪夢のような状況が立て続けに潮を襲った。
「はぁ。はぁ。もう、十分だろ、やめて・・・・」
「ここをこんなふうにイジられるのが好きなのか。潮はスケベな体になったもんじゃな」
「あんっ、やめろっ、くうぅん!?」
乳首をつねり上げられた潮が目に涙をため身の解放を懇願する姿はマロックにとって最高の娯楽だった。
「あっ、ううっ、んぅ・・・・!?」
潮はマロックの愛撫の乱撃を受け意識が朦朧としていた。
目に涙を貯めながらも必死にうめき声で抗議する潮。
そんな潮の色っぽい顔を間近で見ていたマロックは思わず唇のみずみずしさに悩殺されてしまった。
「潮っ!」
「むぐるっ!?」
マロックは本能に身を任せ潮の唇を強引に奪った。
潮が口内の柔らかい異物の感触の正体がマロックの舌だと理解したときには潮の口内は徹底的に蹂躙されていた。
接吻の後もマロックの潮に対する徹底的な愛撫は続き、都合5度の絶頂を味合わされ、潮は開放された。
「これもお前さんが女の状態だからこそ味わえる指圧のようなもんだと思えばええじゃないか」
「え、あ・・・これが指圧だと?」
「そうじゃ。しかも単なる指圧ではない。通常の指圧は受けている側だけ気持ちよくなる一方通行の営みじゃが、これはそうではない。体をほぐすワシは美女の体をまさぐれて得。対するお前さんは女の快楽を味わえて得。すなわち誰も損をしておらん。こんな誰も不幸にならず得だけする営みが他にあるじゃろうか」
完全に潮の体を蹂躙したいマロックの屁理屈だった。
それを理解した上で、マロックが与える甘美な刺激を前に潮の思考は反論に意思すら奪い去り、ただただ快楽に身を任せてた。
長時間に渡り女の喜びを与えられ、潮はぐったりと浴槽に浸かったまま体を弛緩させていた。
もはや、潮の中にあった男のプライドなど跡形もなく吹き飛ばされてしまった。
そしてその夜。
潮はマロックの提案で同じベットで眠ることになった。
当然、潮に拒否権などなかった。
「・・・確認しとくけど、こんなのは今日だけだからな」
マロックに指定された服を着て潮は釘を刺した。
しかし、そんな口約束が守られる可能性は皆無であろうことは潮自身もよく分かっていた。
「おお分かっとる。それにしてもお前さんは何を着ても似合うな」
「じろじろと見るなよ、恥ずかしい・・・・」
「やはり美しいのう」
潮が着ているのはネグリジェという女性用の寝間着だった。
例によって、マロックが用意したもので男が喜びそうな扇情的なデザインのものだ。
おそらく、男の目を喜ばせることが目的で作られたものだからなのだろうか。
これを着た途端、潮の異能が発動しマロックと同じ床で寝ることに対する抵抗は無くなっていた。
この下着特有の男を楽しませるという役割を引き出すよう異能が働いたからなのだろう。
普段ならこんな状況に陥れば鳥肌が立って耐えられなくなるだろうに、妙な安心感すら覚えながらマロックに抱きつかれていた。
自分の胸に顔を埋め、幸せそうに寝息をたてるマロックの表情は穏やかなものだった。
それは、潮にとって13年以上もともに暮らしている育ての親であり師の顔だった。
しかし、自分にとってが先程まで自分の肢体を欲望の赴くままに弄んでいた現実が潮の心に深い影を落とした。
マロックは潮を女として見ている。
そして、その欲望を潮にぶつけるようになっている。
潮とて心は男のままなのでマロックの自分に対する行いには怒りを覚えて入るものの、多少の理解は示している。
しかし、昨日のバニーガールにされて体を弄ばれたことや、今日の風呂での出来事は許容できるようなことではない。
もしこれ以上、マロックの欲望が膨れ上がり行為がエスカレートすれば自分はどうなるのか潮は考えた。
最悪の場合、貞操の危機すらもかくごせねばならないだろう。
「う~ん。潮、お前さんいいお母さんになるぞ」
「ったく。このジジイ、どんな夢見てるんだ・・・」
すやすやと眠っているマロックは穏やかな口調でそんな寝言を小さく漏らした。
その言葉に潮は不意に妙な妄想を巡らせてしまう。
自分が母になるということは子供を授かることと同義とみなしていい。
月のモノが来ていることからも分かるように、この肉体に子を産む機能は備わっている。
もし子を産み落としたとして、その先はどうする。
冒険者一筋の人生を歩んできた潮にとって子育ては完全に未知の世界だ。
どのように育てればいいかなど見当もつかない。
いや、1人で手に余るなら夫の手を借りるのはどうだろう。
家を空けるときも子供の面倒を見てもらって・・・・。
潮はふと冷静になって、取るに足らないことに対し真剣になっていることを自嘲した。
(バカバカしい。連日変な目にあわされて頭が疲れてるから妙なことを考えるんだ)
眠気に身を任せ、潮は目を閉じた。
明日からも女に戻るための情報集めはマロックに行ってもらわなくてはならない。
その見返りに体を求めるなら、我慢してそれに応えよう。
元に戻るまでの辛抱だ。
そう考えながら、潮は眠りについた。
このとき潮は夢にも思わなかった。
自分が母親になる未来が迫っていることに。
第四話 了
イメージイラスト&挿絵 えたみ https://twitter.com/eta_64
【投稿小説】とある冒険者の受難 第1話
【投稿小説】とある冒険者の受難 第2話
【投稿小説】とある冒険者の受難 第3話
起きてしばらく放心状態だった潮はゆっくりと昨日の出来事を回想していた。
昨夜の一件は潮の23年に渡る人生において最低最悪の悪夢であるとは疑いようもなかった。
多少のイタズラなら事故と思い忘れられるが、今回ばかりはそうもいかなかった。
「くそっ。なんであんなマネを許しちまったんだよ・・・・」
育ての親であり冒険者としての師でもある男、マロックの狼藉。
欲望を満たすために、魔術でバニーガールの格好にされた挙げ句、胸にむしゃぶりつかれ絶頂させられた。

あんな忌まわしい出来事を詳しく思い出すのはごめんだったが、そうもいかなかった。
昨日の自分自身に何とも言い表せない不可思議な点があったからだ。
(昨日の俺は普通じゃなかった。どうしてだ、何か理由があるはずだ)
目が覚めた潮は自分の部屋で思案を巡らせた。
まず、最初に引っかかったのはバニーガールの服装に着替えさせられた時から妙に警戒心が揺らいだことだ。
あの衣装に身をつつんだあたりから、潮はマロックの言いなりになり酒の相手をするはめになった。
その酒の席でも、胸や尻を触られたが、妙なことにいつものような不快感は感じなかった。
警戒心が緩んだまま、マロックを受け入れてしまい挙句の果てにあのザマだ。
結果、潮は理性なきケダモノと化したマロックに押し倒され文字通り乳房を味わいつくされる屈辱を受けた。
思い出しただけで、暗澹たる気分になる昨日の夜の出来事だ。
しかし、なぜ昨日の潮はマロックに対してあそこまで無防備だったのだろうか。
当の潮本人すらその理由は説明できなかった。
昨夜に限って言えば胸や尻を何度も触られたにも関わらず不思議と不快さを感じなかった感覚も、今になって思い返すと妙な体験だ。
それどころか、酒の席で自分の体にマロックが夢中になっていることに満足感すら覚えていた。
あの時はバニーガールの姿に着替えさせられ強引に酒の席を共にしていただけなのに。
そこで潮ははっとした。
まさか、そういうことなのか。
自分の異能は武器や鎧だけじゃなくて、戦闘にまつわる装備とは関係ないバニーガールの衣装すらも性能を引き出していたのか。
そう考えると昨日の潮自身の無防備ぶりにも説明がつく。
潮の中の疑問は瞬時に氷解していった。
(要するに、俺の能力を逆手に取られたってことなのか)
その瞬間、潮の頭の中でひとつの考えが組み上がっていった。
マロックは武器や鎧以外でも潮の異能が機能することに気付いたのだろう。
持ち前の狡猾さでそんな体質を逆手に取って楽しもうと悪巧みをしたに違いない。
結果、まんまとマロックの思惑通りに事は進んだのだろう。
すでに家の中にマロックの姿はなかった。
おそらく、街へ情報収集に出かけたのだろう。
(くそっ、人の気も知らないで・・・)
自分の体を弄んで自分をこんな悶々とした気分にさせておいて、当の本人は普段どおりの生活に戻っていることに潮は腹を立てた。
この落とし前は必ずつけさせなくては。
潮は意を決して戦乙女の武具を箪笥から取り出した。
マロックが今夜帰ってきたら、目にものを見せてやらねばならない。
この怒りと屈辱はきっちりと晴らさせてもらわねばならないと決意した。
その夜、マロックは軽快な足取りで家路についていた。
晴れやかな気分の原因は2つ。
1つは今日の情報収集が首尾よく成果が得られたことだ。
ここのところ空振り続きだったこともあって、有益な情報を多く得られたことはマロックの心に爽快な空気を満たしていた。
いくつになっても、長時間行き詰まった仕事が前に進む瞬間というのは心地の良いものだと。
そして、2つ目の理由は潮である。
昨日の出来事はマロックにとって普段のストレスなどどこかに消し飛ぶほどの最高の出来事だった。
思い出しただけでついつい表情が緩んでしまう。
世の男達が知ったら、血の涙を流しながらマロックに嫉妬の炎を燃やすだろう。
バニースーツだけではない。潮には着て欲しいものがまだまだあるのだ。
偶然手に入れた面白い『お土産』も道具屋で仕入れることが出来た。
その紙袋を片手にマロックは家へと向かった。
「うおっ、何じゃその格好は!?」
その言葉には明確な怒気が込められていた。
家に帰ったマロックを待ち受けていたのは戦乙女の武具を纏った潮だった。
「昨日の落とし前、きっちりつけさせてもらうぞ」
「はて、何のことかのう」
「とぼけるな!俺にあんな服着せて好き放題したことだっ!」
「成程、そのことか。昨日は楽しかったのう。実に美味しかったぞお前さんのおっぱい、・・・・うおっ!」
得心がいったとでも言わんばかりの表情で応えたマロックに対し潮は距離を詰め拳をふるった。
雷光のごとき俊敏さで距離を詰め、巨大な魔物すら一撃で仕留めた豪腕を振るったが残念ながら紙一重で避けられてしまった。
昨日の事に悪びれもしないマロックに対し、五臓六腑が煮えくり返った。
そんな憤りを拳に任せた結果、問答無用の鉄拳制裁を実行したのだ。
紙一重で避けられたが、打ち続ければ確実にマロックを捉えられる手応えを感じた。
「危ない危ない。3ヶ月前はその一撃で危うく往生するところじゃったな」
「今回はそれ以上に痛い目見てもらうから覚悟しろ!!」
そう言って潮はマロック相手に拳を構えた。
マロックは一流の冒険者であり、本来なら潮よりずっと格上の相手だが戦乙女の武具を身に着けた潮にとって敵ではない。
少なくとも今の潮を倒せる者など強力な力を持った魔物も含め、この世界にそうはいないだろう。
それは、マロックも承知しているはずである。
戦闘では勝機の極めて薄い相手が目の前で怒りに燃える瞳で睨みつけているにも関わらずマロックは余裕のある表情を浮かべていた。
「たまには弟子と組手も悪くない。さ、かかってくるがいい」
「たっぷりと後悔させてやる!」
潮はマロックとの距離を一気に詰めるため足に力を入れた。
間合いに入ったら容赦なく拳を叩きこんでやる。
そう考えたときだった。
「【クロスワップ】」
「えっ、それはっ!?」
潮にとっては不意をつかれる形となる魔術だった。
あの魔術は術者の付近に交換する装備がなければ発動出来ないはずだ。
マロックを見る限りそんなものは無かったはずだが・・・。
潮ははっとした。
マロックが持っていた小さな紙袋が平たくしぼんでいる。
まさか、あの中に何らかの衣類が入っていたのか。
自身のうかつさと観察力の無さを恨んだが、もう遅かった。
魔術『クロスワップ』はその効果を発揮し終えており、潮は戦乙女の武具の代わりにシンプルなビキニを身に着けていた。
「ふむふむ。本当なら白い砂浜で見たかったが、これはこれで中々に趣きがあるな」
「な、何だ。この水着!?」
「見事なまでに似合っとるぞ。このデカ乳美女め」
「うるさいっ!なんでこんなもん持ってるんだよ!」
「実は偶然立ち寄った道具屋の主人がの。仕入れたはいいがサイズ的に着こなせる女がおらず売れ残っている水着があって困ってると言うんで譲ってもらったんじゃ。潮ならピッタリだと思っておったがここまでとはな」
「よりにもよって何て間の悪い」
悔しがる潮に向けてマロックは先程まで潮が身に着けていた戦乙女の武具を見せつけるようにぶら下げた。
その表情はは勝ち誇ったように生き生きとした笑みを浮かべている。
「これで勝ち目はあるまい。戦乙女の武具を纏ったお前さんは最強じゃが、剥ぎ取ってしまえば非力な女に過ぎん」
「くっ・・・!」
何も言い返せず押し黙ってしまったのは認めたも同じだった。
マロックの言う通り、潮にとっての勝機は戦乙女の武具により圧倒的戦闘力を得た状態で戦ってこそ生じるものだ。
それが奪われてしまった以上、潮にとって敗色濃厚の状況と考えざるを得なかった。
「さあ潮、どうする。このまま続けるか。それとも降参するか」
「降参、だと?」
「誠意を示してくれるなら今回の件を水に流してやってもよいぞ。例えばそうじゃのう、お風呂の中で昨日の続きでも」
「ふざけるなっ!」
マロックが言い終わる前に潮は距離を詰め、蹴りを放った。
女になったとは言え、潮は体術の訓練を積んだ冒険者だ。
街のケンカ自慢程度ならたやすく返り討ちにできる程度の体術は今でも維持できている。
しかし、潮の攻撃はすんなりと避けられてしまう。
攻撃を回避されたという結果は、戦乙女の武具を身に着けていたときと同じだ。
ただ、決定的に違うのは先ほどの回避が間一髪であったのに対し今回は余裕を持って避けられた所だろう。
「どうした潮。随分と遅い動きじゃな」
「くっ・・・!」
「戦乙女の武具に頼りきりで腕が鈍ったか。それとも胸にそんな巨大な重りを2つも付けていては素早く動けんか」
「うるさいっ!」
その軽口に激怒した潮はより力を込めてマロックを攻撃した。
しかし、それは残念ながら逆効果だった。
力を込めて拳を振るえば振るうほど、攻撃の軌跡は単調なものになり、マロックのような熟練の冒険者からは与し易いものとなる。
結果、先程以上にいともたやすく潮の拳打は空を切り続けた。
「逃げるなっ、ちょこまかと」
「ただ避けるのにも飽きてきたな。ここからはこっちも反撃させてもらおうか」
「なにっ!?」
それは完全に虚を突いた高速の接近だった。
相手の攻撃に無警戒だった隙をつく形で、一息に潮との間にあった間合いをマロックは潰した。
気がついたときには手を伸ばせば届きそうな近距離にマロックが足を踏み入れていた。
潮は被弾を覚悟してマロックの攻撃の痛みに身構えた。
が、予想に反し衝撃は訪れない。
その代わり、潮に待っていたのは妙な開放感だった。
その正体が身についけていた水着を剥ぎ取られ乳房が開放された感覚だと気付いたのは、いつの間にやら潮の間合いから離れたマロックが満円の笑みで水着をひらひらと潮に向けて振っているのを見定めた時だった。
「何度見てもたまらんな、こりゃあいい」
「ひゃあっ!」
マロックのいやらしい視線が露わになった自らの乳房に注がれているのに気付き思わず悲鳴を上げてしまう。
とっさに左腕で胸をかばったが、悲しいかな潮の細腕では大きな乳房を隠しきれてはいなかった。
潮の中に羞恥心と同時に昨日の出来事が蘇ってくる。
押し倒され乳房を好き放題しゃぶられたおぞましい記憶。
その恐怖に、思わず身震いを起こしてしまう。
そんな様子をマロックは満足そうに眺めて楽しんでいた。
「なかなかにいじらしい格好じゃのう」
「う、うるさいっ!」
「今降参すれば一緒に風呂で背中流しっこで許してやらんでもないぞ」
「誰がそんなことするかっ!」
「意地を張っても良いことはないと思うがの。では続きといくか」
マロックは再び潮との距離を詰めるべく、素早い動きで近づこうとしてくる。
潮は蹴りで迎撃するも、上手くマロックを捉えることは出来なかった。
左腕で胸を庇いながらの蹴りは掻い潜られ、一本足になったタイミングで足払いを仕掛けられる。
支えを無くした潮は床に倒された。
背中に床のひんやりとした温度を感じながらも潮は起き上がろうとする。
しかし、起き上がろうとする潮にすかさずマロックは馬乗りになってきた。
「どけっ、このっ!」
潮は体を揺らして必死にマロックを押しのけようと藻掻いた。
体勢は不利とは言え、潮に比べマロックは小柄なのだ。
暴れれば跳ねのけられると考え、体を動かす。
しかし、巧みに潮の重心を押さえ地面に組み伏せてくるマロックを押しのけることは出来なかった。
「はぁはぁ・・・、くそっ、何でどかせないんだ」
「さあどうする、潮。ワシとしてはこのまま昨晩の続きをしてもいいと思っとるんじゃが」
「くっ・・・」
潮は白旗を揚げざるを得ない状況に追いやられたことを思い知らされた。
「たまらんなぁ。目の前で女に変わる現場に居合わせたワシですら、こんな美しい肢体を見せられては3ヶ月前まで男だった事実を信じられなくなるわい」
「じろじろ見るなよ、ばか・・・」
「白い綺麗な肌じゃのう。もはや女体の美という枠に収まらない芸術品の域じゃ」
「うう・・・、何でこんなことに・・・」
マロックの提案により、潮はいつの間にか沸かされていた風呂へと連行され、一緒に風呂に浸かっていた。
『男女の仲直りと言えば太古の昔から風呂と相場は決まっておるじゃろ』というマロックの言葉が本当かどうかは怪しかった。
ただ言えることは、真っ当な格闘戦でマロックに組み伏せられた潮は完全に自身を喪失していた。
もはや、マロックに抵抗する意思すら維持するのは困難だった。
何より拒否すればそれを口実にマロックの毒牙が潮を襲い蹂躙する可能性があった以上その提案を飲むしかなかった。
「こうしていると昔を思い出すな。お前さんが子供の頃は毎日のように一緒に風呂に入ったもんじゃ」
「・・・それは、10年以上前の話だろ」
「あれからそんなに経ったのか。この間まで小僧だったのが、大人の体に育ちおって」
「うっ、どこ見ながら言ってんだよ」
「そりゃあ勿論、この巨大な2つの島じゃな。おっ、おっぱいが湯に浮くというのは迷信ではなかったのか」
「こらっ、なに触ってんだ、やめっ、くすぐったいだろ、ふあっ!?」

マロックの手が湯船に浮かんだ潮の胸を弄ぶ。
その刺激に、潮は思わず声を上げてしまった。
潮がそこまで狼藉を働かれても全力で抵抗できないのは、ひとえに先程の戦いで返り討ちにあったためだ。
あの一戦でマロックがその気になれば、いつでも潮を好きなように出来ると証明されたのだ。
そのショックは潮から抵抗の意思を完全に奪いつつあった。
「うぅっ・・・もう、やめてくれ・・・」
「ふむ、と言うと?」
「お、俺は男なんだ。体はこんなでも心は男の時のままなんだ。男の欲望を俺にぶつけられるのにはこれ以上耐えられない」
それは心の奥底から漏れた潮の本音だった。
道行く男たちの視線、魔物討伐を依頼された村の男どもの目、昨日のパーティーに参加した貴族の好奇のまなざし。
どれも耐え難いまでに不愉快だった。
言うまでもなく、昨夜のマロックが自分に対して行った蛮行など論外だ。
許容できるような事柄ではない。
「では昨日ここが濡れていたのは何だったのじゃ?」
「え?ひゃわっ!?」
湯の中でマロックの指が潮の秘所を優しくなぞった。
その愛撫は昨夜の快感を潮の脳裏に蘇らせるには十分すぎる刺激だった。
「昨日の夜バニースーツを脱がせたときは、ここが確かに湿っとったな」
「そ、それは・・・・」
潮は何も反論できず絶句した。
しかし、ニヤニヤと笑みを浮かべるマロックが腹立たしくなり、口先だけの反論をぶつけた。
「き、昨日は突然の不意打ちだったからだ。そのせいで体が変な反応をしただけのことで・・・・」
「ではキッチリと身構えている状況なら昨夜のようなことにはならなかったと」
「当たり前だ!」
「そうか。では本人のお墨付きも出たことじゃし、今の言葉が正しいかどうか確かめてみるか」
「えっ?」
「何せ、潮ちゃんは今のように身構えていては女の喜びなど意にも介さないらしいからのう、潮には昨日以上の女の喜びを味あわせてもなんの問題も無いわけじゃ」
「そ、そんなこと、うあああっ!」
そこからはマロックの愛撫が潮の体を蹂躙するのみだった。
乳をしゃぶられ、尻を撫でられ、挙句の果てには女の陰核までもを欲望のままに好きにされた。
絶頂しても気づけば次の快感が押し寄せてくる悪夢のような状況が立て続けに潮を襲った。
「はぁ。はぁ。もう、十分だろ、やめて・・・・」
「ここをこんなふうにイジられるのが好きなのか。潮はスケベな体になったもんじゃな」
「あんっ、やめろっ、くうぅん!?」
乳首をつねり上げられた潮が目に涙をため身の解放を懇願する姿はマロックにとって最高の娯楽だった。
「あっ、ううっ、んぅ・・・・!?」
潮はマロックの愛撫の乱撃を受け意識が朦朧としていた。
目に涙を貯めながらも必死にうめき声で抗議する潮。
そんな潮の色っぽい顔を間近で見ていたマロックは思わず唇のみずみずしさに悩殺されてしまった。
「潮っ!」
「むぐるっ!?」
マロックは本能に身を任せ潮の唇を強引に奪った。
潮が口内の柔らかい異物の感触の正体がマロックの舌だと理解したときには潮の口内は徹底的に蹂躙されていた。
接吻の後もマロックの潮に対する徹底的な愛撫は続き、都合5度の絶頂を味合わされ、潮は開放された。
「これもお前さんが女の状態だからこそ味わえる指圧のようなもんだと思えばええじゃないか」
「え、あ・・・これが指圧だと?」
「そうじゃ。しかも単なる指圧ではない。通常の指圧は受けている側だけ気持ちよくなる一方通行の営みじゃが、これはそうではない。体をほぐすワシは美女の体をまさぐれて得。対するお前さんは女の快楽を味わえて得。すなわち誰も損をしておらん。こんな誰も不幸にならず得だけする営みが他にあるじゃろうか」
完全に潮の体を蹂躙したいマロックの屁理屈だった。
それを理解した上で、マロックが与える甘美な刺激を前に潮の思考は反論に意思すら奪い去り、ただただ快楽に身を任せてた。
長時間に渡り女の喜びを与えられ、潮はぐったりと浴槽に浸かったまま体を弛緩させていた。
もはや、潮の中にあった男のプライドなど跡形もなく吹き飛ばされてしまった。
そしてその夜。
潮はマロックの提案で同じベットで眠ることになった。
当然、潮に拒否権などなかった。
「・・・確認しとくけど、こんなのは今日だけだからな」
マロックに指定された服を着て潮は釘を刺した。
しかし、そんな口約束が守られる可能性は皆無であろうことは潮自身もよく分かっていた。
「おお分かっとる。それにしてもお前さんは何を着ても似合うな」
「じろじろと見るなよ、恥ずかしい・・・・」
「やはり美しいのう」
潮が着ているのはネグリジェという女性用の寝間着だった。
例によって、マロックが用意したもので男が喜びそうな扇情的なデザインのものだ。
おそらく、男の目を喜ばせることが目的で作られたものだからなのだろうか。
これを着た途端、潮の異能が発動しマロックと同じ床で寝ることに対する抵抗は無くなっていた。
この下着特有の男を楽しませるという役割を引き出すよう異能が働いたからなのだろう。
普段ならこんな状況に陥れば鳥肌が立って耐えられなくなるだろうに、妙な安心感すら覚えながらマロックに抱きつかれていた。
自分の胸に顔を埋め、幸せそうに寝息をたてるマロックの表情は穏やかなものだった。
それは、潮にとって13年以上もともに暮らしている育ての親であり師の顔だった。
しかし、自分にとってが先程まで自分の肢体を欲望の赴くままに弄んでいた現実が潮の心に深い影を落とした。
マロックは潮を女として見ている。
そして、その欲望を潮にぶつけるようになっている。
潮とて心は男のままなのでマロックの自分に対する行いには怒りを覚えて入るものの、多少の理解は示している。
しかし、昨日のバニーガールにされて体を弄ばれたことや、今日の風呂での出来事は許容できるようなことではない。
もしこれ以上、マロックの欲望が膨れ上がり行為がエスカレートすれば自分はどうなるのか潮は考えた。
最悪の場合、貞操の危機すらもかくごせねばならないだろう。
「う~ん。潮、お前さんいいお母さんになるぞ」
「ったく。このジジイ、どんな夢見てるんだ・・・」
すやすやと眠っているマロックは穏やかな口調でそんな寝言を小さく漏らした。
その言葉に潮は不意に妙な妄想を巡らせてしまう。
自分が母になるということは子供を授かることと同義とみなしていい。
月のモノが来ていることからも分かるように、この肉体に子を産む機能は備わっている。
もし子を産み落としたとして、その先はどうする。
冒険者一筋の人生を歩んできた潮にとって子育ては完全に未知の世界だ。
どのように育てればいいかなど見当もつかない。
いや、1人で手に余るなら夫の手を借りるのはどうだろう。
家を空けるときも子供の面倒を見てもらって・・・・。
潮はふと冷静になって、取るに足らないことに対し真剣になっていることを自嘲した。
(バカバカしい。連日変な目にあわされて頭が疲れてるから妙なことを考えるんだ)
眠気に身を任せ、潮は目を閉じた。
明日からも女に戻るための情報集めはマロックに行ってもらわなくてはならない。
その見返りに体を求めるなら、我慢してそれに応えよう。
元に戻るまでの辛抱だ。
そう考えながら、潮は眠りについた。
このとき潮は夢にも思わなかった。
自分が母親になる未来が迫っていることに。
第四話 了
コメント
5話は現在イラスト待ちです。ご期待ください。
たまたま絵に惹かれて1~4話まで一気読みしたんで感想徒然
>(女ver)身長 174cm 3サイズ95(G) 63 97
>体重 72kg
潮ってTS女だけど、女性としては大柄なのね(作中で女にしては長身だとは何度か言われてるけど)
マロックは自在に好きな服に着せ替え可能な爆乳姉ちゃんが側にいるのにこの程度で済ませるのは、エロジジイどころか逆に紳士なのではと思った次第。
TS娘と老人のコンビで男に戻ることを目指して頑張る形で話が進むのは結構珍しいんで続き期待。
5話投下されるの何時頃ですかね、続き期待
>(女ver)身長 174cm 3サイズ95(G) 63 97
>体重 72kg
潮ってTS女だけど、女性としては大柄なのね(作中で女にしては長身だとは何度か言われてるけど)
マロックは自在に好きな服に着せ替え可能な爆乳姉ちゃんが側にいるのにこの程度で済ませるのは、エロジジイどころか逆に紳士なのではと思った次第。
TS娘と老人のコンビで男に戻ることを目指して頑張る形で話が進むのは結構珍しいんで続き期待。
5話投下されるの何時頃ですかね、続き期待
事故で女になった男がひどい目に会う展開が見たいが為にTS物にハマった自分としては期待の作品です。続きを心待ちにしてます。
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応援コメントは隠しコメントにしないで下さいw
馬耳エルフさんに管理人から連絡することは現状できないのです。
馬耳エルフさんに管理人から連絡することは現状できないのです。
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設定としては
湊 潮(23歳)
(男ver)身長 188cm
体重 89kg
(女ver)身長 174cm 3サイズ95(G) 63 97
体重 72kg
との事です
湊 潮(23歳)
(男ver)身長 188cm
体重 89kg
(女ver)身長 174cm 3サイズ95(G) 63 97
体重 72kg
との事です
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潮ちゃんのスリーサイズはいくつなんだろか
気になって夜も眠れません
気になって夜も眠れません
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