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【投稿小説】第二次性徴異常発育症候群 性転換症 第三十話 歪(いびつ)な世界

作 kyosuke

少々ギクシャクした雰囲気の昼飯も終えると新たなボート小屋になる建材や道具と人員を搭載したトラック数台が来た。令も航も出迎える……二人とも小型船舶免許を保有しており航に至っては牽引免許も保有している。迅が愛車であるスカニアから降り二人に気が付いた。
「令に航か……」
「盆の時に申し訳ない、本当に」
令は気まずい表情になるも迅は笑いつつ言う。
「な~に、普段の顧客も盆休みだしな……だから将の勤め先も」
作業員の中に明らかに“初老”と見受けられる面々が居て令は気が付いた、将の表情が緊張している。
「会長、それに相談役まで……」
空調服に冷却タオルを頭に巻いての参加で御年を考えると止めたくなる、しかし二人とも叩き上げであり時折現場に来て社長業を“現実逃避”する一面も……将がハンドルを握るスカニアの助手席に座る事も多い。
「一ノ瀬本家当主の困りごとを聞いたしな……主任、巧い後継者が出て来たな。倉敷 茉奈か……」
あんな難コースだ、往路が控えているが安堵した表情は美しい……。
「主任、後一台はもう少しで到着します」
20ftコンテナ二個をメインにするボート小屋、道路条件が良ければ40ft用トレーラで行けるのだが、今回は作業工程の関係上二台チャータしている。迅のスカニア重低床トレーラの荷台には“ラフテレーンクレーン車”が搭載されオペレーターが下す作業をしていた。公道走行可能であるが使用する現場までのルートに変速機に負担を生じる峠道だったので陸送に……。
「朱鳥や陸は初めてか?迅伯父さんは」
「はい、あの父からは聞いた事があります」
「一ノ瀬運輸の社長をしている迅だ……こうして見ると玲とそっくりだな」
朱鳥を見た迅が発した言葉に玲は薄ら笑いをする、彼女が自分の故郷に来た時には誰か常にいないと危ないかもしれない。
「この分だと明恵さんにも逢ったか?」
「はい……母があれほど敵意を出すなんて初めてみました」
玲も驚くのも迅は分かっていた、結婚前に初顔合わせになった時の気まずさは今でも覚えている。
「ほう、可愛くなったなぁ。玲」
「田島相談役に錦社、いや会長、御無沙汰してます……」
玲は父の勤め先である建設会社の相談役と会長とは顔見知りであるのは年に一度家族を招いてのイベントを開催しているのだ。変性症発症した事も把握しており直ぐに休暇を与えた程だ。
「監督、準備OKです」
新たなボート小屋になるコンテナをトレーラから降ろす準備は終えていたのである。二人はヘルメットを被り相談役は視線を建設現場全体に向け、会長は設置個所に……。ラフテレーンクレーン車はコンテナを吊るし上げ始めた……海風の影響もあり開けた場所とは言え揺れる事に変わりはない。
「基礎が大分広いな」
「二隻追加になりそうだからな……親父の趣味仲間にレストアの達人が居る、俺は自前の船は持ってないって知ってな……」
令の言葉に迅はポケットからメモを取り出して言う。彼も営業する事もある事は令も分かる。
「サイズは?」
「動画でサイズを計測している、最寄りの漁港まで運んでくれると助かる。そこなら国道沿いだ」
航は自前のボートを持っているがメンテナンスの観点からライトトレーラで運べるサイズにしており自宅ガレージにある。この方が船体にフジツボやら付着しないのでメンテナンスが楽である。確かに漁港と言う場所柄大型車が出入りするので国道も整備される……漁港としても一部をマリーナに開放すれば収益が出て来るのだ。



客人である鷹を見送った朱鳥らは海を見る、浜辺はあるが遊泳には向かない……海底地形上海流が強いらしく陸が溺れて肝を冷やした事もある。
「あら……」
朱鳥はスマホを見て怪訝な顔になり、玲は尋ねる。
「クラスメイトが来るわね、玲……逢わない方がいいかも」
「……客室に戻るよ。陸君の他の宿題も見て置くわ」
玲は察した、余程癪に障る相手なんだろうなぁ。


玲は客室にて陸から聞き出す。通学している学園は戦前から歴史がある名門校な故に生徒の両親若しくは祖父母も大企業で重役や著名人も多く在籍している。一ノ瀬家は名門になるが事業規模は小さい方だ。この様な力関係を生徒が持ち込んでしまうのが多々あると言う。
「檜沢 久留実?」
「うん、中等部じゃ一番の実力者で祖父が理事長しているからね……嫌がらせも多いし。高等部に通う兄になる一騎さんが毎回対応しているからね」
スマホの画像を見ると確かに人が良い感じだ。ヤンチャな妹に苦労している事は分かる、久留実は雰囲気的に傲慢なのはどうも母親が少々問題がある。
「はいるよ、あれ?」
客室に来た少年は玲を見て驚く……確か妹と逢っている筈の朱鳥がここに居るのは?否違う……。
「っ!一騎先輩も来ていたんですか!」
「分家筋になる玲です、初めまして」
「……分家の子か、そりゃあ朱鳥も隠したい訳だな、ん?玲?」
彼は持っていたスマホを操作して動画を再生した。それは昨年玲が空手の流派対抗大会にて組手をしている姿、まだ少年だった頃の姿に玲は微笑む。
「去年の大会ですね、これ」
「性転換症発症したのか……今年はエントリー見送った知ったから色々と憶測飛んでいたが……」
「はい、もしかして嗜んでいるんですね」
「そうさ……日下部師範代は?」
「元気にされてますよ、最近も不届き者を成敗してますから」
「日下部師範代?」
「私と父、兄、そして伯父の空手の師匠になる方の一人」
陸はキョトンすると一騎は苦笑しつつ言う。
「先生かな……まあ怒らすとコワイ人さ。久留実も小学校低学年まではしていたけど母親が嫌がってね」
成程、世の中の実情に疎い方らしく息子も苦労している感もある。
「様子見に来たんですか?」
「ああ、宿題終わらしているかなぁと思ったが昨年よりは進んでいるな」
宿題を見て一騎は思う、玲の学力も中々だ……。
「ボート小屋建て替えるんだな、業者が来ていたけど」
「父の勤め先と伯父が社長をしている会社です」
「挨拶にいかないとな」



「おおっ、檜沢君か……神楽坂師範代は元気にされているかな?」
「押忍」
「玲の事か、見ての通りだ」
迅は一騎を見て直ぐに流派と師範代の名を告げると彼も返事する。作業は主要のコンテナ二個が到着し据付作業を終え、空調設備をクレーンで上げていた。将は機材の確認に余念がない、仮倉庫にしているJR貨物コンテナは自家発電ユニットに改造する予定であり太陽光発電と蓄電池を備えると言う。
「空手、続けさせているんですか?」
「三沢市は人の出入りが激しいからな、ならず者も多いし……」
一騎も師範代から聞いてはいたが三沢自動車本社工場に加えて関連する部品メーカーも製造工場や支社を設けているので自ずと人の出入りが激しい。期間工の中には素行が悪い方も珍しくない。この事は一騎も見聞きしているので分かる。
「まっ……玲にはもう恋人もいるしそいつとは裸で寝ている」
「……はい?」
「社と同類さ……組手しがいがある相手って」
彼は悟った、これはこれで自分が玲を女にすると言うお役目は無い事に安堵した……一ノ瀬兄弟はアマチュア空手家の間では全国区だからだ、当然社や正弘の事は知っているし何度か試合をした事もある。そのレベルと同等なら……。
「(大学生か社会人か)」
空手をしている身としては見てみたい気がした。彼女の恋人は……。
「玲、車内にモバイルバッテリーがあるからとってくれ」
「うん」
迅のスカニアに乗り込むと玲は気が付いた、朱鳥らが見えたので傍に居る陸にモバイルバッテリーを渡すと後部スペースに隠れた。大型トラックのキャブの後方はベットスペースになる仕様もあり、スカニアは本社工場がスウェーデンに拠点を置くので陸続きの欧州各国を走る事も珍しくない。
「(なるほどね、如何にも生意気な感じって……リーナと合わせたら……)」
小学校時代何度キャットファイトを止めたか……ビンタ喰らってもリーナはビンタで返した辺りは自制してくれているからよかったが。
「(お嬢様ね……ん?)」
玲はふと思い出した、一昨年流派対抗大会の際にリーナと対戦した相手の少女って……。スマホを操作して隆士にLトークを送信した。あの時勝敗が付かずに相手もリーナも過熱しバックヤードで場外乱闘寸前になりあちらの門下生らと一緒に間に入り止めた。
「(あっ……あのこが)」
迅のスカニア車内で玲は隆士からの返信にため息をついた。




久留実って言う子は昔から人を振り回す……朱鳥も辟易するが彼女の母親がどうしょうもないお嬢様、叔母同様……本当に。
「一ノ瀬さん、御爺様の御自宅まで押しかけて申し訳ないです。ご予定があったのに」
「いいのよ、あのこは言い出したら曲げないから」
朱鳥の横に居るのが幼馴染でもある碧山 遥、戦後に街の洋食屋を生業にする祖父を持ちそれを一大チェーン化し成功した両親を持つ。久留実は下僕と思っているが実際は違うらしい。
「例の従妹は?」
「隠れているから、でも奇妙な事もあるわね。久留実が一目ぼれしたって空手の少年の名前も“アキラ”だったし」
詳細は知らないが大会の際に出会ったらしいが、どうも母親が止めるように強要したぽい……一騎さんは男性だから必要って言うけど。
「……その方って変性症になって女性化ですよね」
「最近ね」
久留実はボート小屋建て替え作業を見ていると兄を見つけた。
「おにい……えっ」
直ぐに振り向くと朱鳥は居る、兄の隣に居る少女は……久留実は駆けだすと少女に向けて突きをするも彼女はヒョイと回避した
「やっぱり一昨年にリーナと喧嘩した方だったね」
「!」
「一ノ瀬 玲、分家の子だよ」
兄の言葉に久留実は動揺する。
「な、なぜ私の事をしっているんですが!!!」
「あの時は少年だったから」
一騎もわらうしかない、一目ぼれする程イケメンだったのが今や爆乳中学生……合掌モノの失恋である。
「錆びついてないね、こっそり鍛錬していたかな?自分の方は今の身体に慣れてないから寸止めとか出来ないよ」
「はい?」
玲の言葉に久留実はキョトンした。



「まあ、女性になると大変になるんですね」
遥も変性症の事は知ってはいたが実際に発症者と逢うのは初だ。
「胸と尻は重たくなるし……何よりもブラのバリエーションが無い」
そこは朱鳥の胸を見れば分かる、彼女も同様の事を言っている。遥も久留実も中学女子の平均サイズよりもやや上である事には救われている。
「朱鳥さんが隠したいのも分かりますわ……よくわかりましたね」
遥は清楚で本当に中学生離れしている美貌だ。
「幼馴染の祖父が師範代しているからね、対戦記録確認したら」
「楊はまだ空手をしているのか?」
「はい、部もないので……日下部師範代の元で。それに通っている中学校にも札付きのワルが居るから続けるられている」
玲は遠目になる、GW明けにプッツンして不良三年生らを全員KOさせたのだ。そりゃあ制服が開けたリーナを見れば……気が付いた時には生徒会副会長が抑えていた。
「もしかして茶道や生け花が苦手?」
「……」
久留実は頷くと朱鳥と遥も遠目になる。



「護身術は習わせた方はいいわね、茶道やら生け花で男性が釣れると思っているの?私も習っていたけど触り程度だったし」
本家屋敷にある厨房に居た日菜子はあっさり言う。
「?」
「私の父親は板長だからね……どうしても必要って思って」
「失礼ですが旧姓は」
「神田川」
遥は祖父からその名を聞いた事がある、洋食の面々も一目置く存在だ。置かれている包丁セットは主婦が持つ品物ではない……確実に料理人が使用する。
「女だから武道ははしたないっておもっていると取り返しがつかない事になるわね……」
久留実の我儘の原因はストレスだ。

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