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【投稿小説】第二次性徴異常発育症候群 性転換症 第二十三話 女性向け風俗嬢の話

作 kyosuke

※23話は抜けてました。

 迅は手慣れた様に高所作業車を操作しトレーラに載せゴンドラから降りてチェーンで固定した。先程の喧嘩も収まってはいるように見えるが現場監督と職人の視線は完全に殺意を抱いている。双方口元にある血の滲みと衣類の乱れが激しさを物語っており、場所柄凶器になりえるモノが多く転がっている建設現場での喧嘩は周囲をヒヤリとする。それは出入りする迅でも同じである。
「大丈夫かあれ?」
「……連携不足だしな、それに今回は段取りが乱れてヒヤリハットが連発……職人の何人かはキレられた」
顔見知りの現場監督はベテランであるが何故か資材調達が上手く行かずに工期内に終わるかで気が気でなく……その部下の一人と出入りする職人らも幾度か衝突しており遂に拳が飛び交ったのである。
「二人とも性転換症発症者だろ?こー言うときは」
作業を終えた越智は現場監督に渡したのは風俗情報誌、しかも百合風俗専門誌である。レズは少々癪に障るので幾分柔らかい表現である。


性転換症発症者で不遇世代は未成年の時から風俗嬢をしているケースが多いが、中には男性を相手する事に嫌悪感を持ちレズ風俗嬢を生業にしている発症により女性になった方も少なくはない。キャリアに関しては下手すると中卒ではない方も居る……戸籍上は“御山 祐也”もその一人で家出して十年は経過している、警察に保護や逮捕されなかったと言うよりは今までの雇用主にその知人や客に恵まれており職場を変えて渡り歩くタイミングが良かったのに過ぎない。小柄な体形であるので学生服を着て置けば誰も気に留めないのだ。今の店では源氏名は“夕華”、形式はソープランド。昔は非店舗型が多かったけど男性向けの各種風俗店の飽和状態による競争激化や男性との交際に無理な風俗従事女性が増えた事によりレズ風俗に乗り出す社長さんが増えつつある。
「ご指名ありがとうごさいます、夕華です」
「夕華ちゃ~ん」
口元を見ると血が滲んでおり驚き尋ねつつも体を逢わせる。
「アキさん、急にどうしたんですか」
「監督と喧嘩した」
そうだろうなぁ、彼女は仕事が完全に終えるまでは酒も風俗遊び一切絶つのだがトラブルが起こると飛び込みで来る。確か照明機材の取り付けや修理をする職人で腕前は良い。
「あっ、汗臭くないかな?」
学生服姿の夕華はニコっとして言う。仕切りが無い風呂場から上がる湯気と女性が好む匂いが漂う室内にあるベットに倒してキス。手際よく衣類を脱がされる。
「私は好きな匂いだから……」
アキさんは自分よりも背が低い夕華はお気に入りで今回もオプションにセーラー服をチョイス……他の客は“小学女児制服+ランドセル”をする事が多いがアキさんは職種内容上常に仕事があるとは限らないのでノンオプションである“キャミソール+ヒモショーツ”になる事も……それが学生服オプションでは高級品の“本物セーラー服”って言うのは初めてだ。
「夕華ちゃ~~ん♪」
ベットの上で夕華のセーラー服の上着をたくし上げ貧相な胸に顔を埋める下着姿のアキさん、彼女も性転換症発症者で不遇世代であり中学生の時に発症し不登校を強いられ自宅学習になり高校受験の際にアキさんの窮状を知った地元名門女子高が無条件で受け入れを表明、先見の明があったのは事実でアキさんに“不登校を強要し故意的に中学卒業”させた中学校は後に文部科学省から厳格な行政処分を受けた、これは高校時代のアキさん自身落第阻止が精一杯で授業には苦労し補習があったとは言え大学進学を挫く結果なら文部科学省も処分する訳だ。夕華が知っているのはこれまでのトークで明かされたからだ、夕華の場合は家族からも高校も拒否され高校浪人の初めての夏に家出しており渡り歩いている、大きな怪我や病気は逢わずにするには苦労するが今の仕事は楽しい。
「はいはい、お体あらいましょうね~~」
アキさんは頷く。


一時間後、アキさんは満足した様に足早に退店……今の店に所属して初めて出来た常連(=リピータ)でもある。店の裏手にて煙草を吸おうとした時に夕華は電柱の影に隠れている人影に気が付き距離を詰められた。キャリアウーマン系の服装……夕華は店内に足早に入ろうとする。
「失礼、御山 裕也さんですね?」
「!」
本名で言われた、彼女は裁判所から性別変更を許可されてないのだ。
「逃げないでください!!!警察ではないです!!!!」
彼女は首にかけていたプレートを示した。息を少々切らして……。
「……弁護士?」
多分事務所があるテナントがオートロックになっているのかICカードには弁護士事務所の名称、裏にある名刺に記載された住所は夕華の故郷の近くに存在する大きな自治体だ。
「私を探していた!」
「はい……当時の裁判所は性別変更を認めない判例を出しましたが今となっては不利益になるとして……性別変更を受理してます」
「今更認める位ならその時の裁判官の信頼度ってどんなものなの?資格剥奪はして貰わないと……納得できないわよ!!!」
応接間にて夕華の言葉に女性オーナーもオロオロする。彼女の本名や性転換症発症者である事を知っている数少ない方で同業者から紹介で雇用した経緯がある。
「……その時の裁判官は過ちを認め先日辞任、同時に法務資格返納してます」
「だからって……津崎先生は地元なら私や家族に振り撒かれた悪評を知ってますよね?」
「はい……酷いモノです」
まるでエボラウィルス感染者の様な扱いにされたので矢面に立たされた母親は精神が壊れ、地元で職を得ていた父親は解雇、程なくして私は処女を散らされた……家出をしたのは逃げ出したい想いが強かったのだ。
「その後の国連の非難決議で真っ青になって探し始めたって言う事?」
「……双方の祖父母宅にも網を張っていたのですが空振りに終わり、警察も家出人として手配」
最も発症後の顔や全身の写真は病院で撮影されたモノしかなく情報が乏しい、所割警察署も犯罪者として摘発されるか遺体で見つかる最悪の事態を想定していた。
「百合風俗の情報誌に記載された写真で見つけた訳ね……」
女性オーナーの言葉通りだ、県警にある科捜研も協力してシュミレーションしたのだ。そして百合風俗情報誌に記載された夕華の顔写真にHITした。
「帰宅してもらえないでしょうか?裁判所の手続きもあります」
「……じゃあ男性化手術の許可を申請するにはどの書類を用意するの?」
夕華の言葉に津山先生は絶句するしかない。これ以上話しても押し問答だ……出直そう。


翌日、女性オーナーは事業家の夫と共に津山先生と会食していた。ルームメイトがベットの上で夕華を足止めする様に指示している……夫の友人からの紹介であるので家出した事は知ってはいた。
「……これは」
「昨年の健康診断、夕華は妊娠して出産経験があり、そして実の父親により処女を散らされた……知人に伝えている」
「!!!!」
診断書に記載されたのは“未成年懐妊及び出産形跡あり”と表示されていた。
「好々爺や好色マダムに飼われていたかもな、場所を辺鄙な別荘地して専門知識がある協力者がいれば……」
夫の表情は苦々しい、下手すると壊されていた可能性もある。変性症発症者の未成年女性を懐妊させて出産させると言う蛮行は珍しい話ではない、海外では割とよく聞く話だ。
「詳細は聞き出せないさ。あの娘は男性に戻りたいのよ、例え生殖機能が無く結婚できなくっても……無理に連れ戻してもあの子はまた出ていく“戸籍の性別変更を受理します”って今更言われてもな……誰の依頼で動いているかは聞かない方がいいだろ?」
夫の言う通りだ、津山先生は頷くしかない。
「戸籍変更はしておいた方がいいわね……説得してみるわ」
女性オーナーは思う……職業上性転換症発症者の方と接しているが夕華の青春時代は暗闇だったのだ。


「指名予約停止!」
「裁判所で性別変更に改名手続きをする事、私物のスマホや各種資格取得には戸籍が無いとダメよ」
夕方出勤した夕華は唖然とする。確かにこの仕事は年齢がネックになるから次の仕事の事は頭を抱えていた所である。
「両親もあなたの帰宅を待っているし、当時の加害者らも補償に応じるって……」
「今更学校に通えって言うのなら断ります」
「通信教育でも夜間中学や高校もあるし全額負担する意向を示しているわ」
「誰が?」
女性オーナーは津山先生から預かったファイルを出す。それは父の雇用主であり地元では名士である事は知っていた。
「……彼も貴方のお父さんを不当解雇した事を認めた上で再雇用している。実際仕事効率が悪くなって業績悪化で慌てて呼び戻した際に“一番の被害者が失踪している事”に気が付いて真っ青になった一人、津山先生は彼の依頼で動いたかも……数日休みなさい、探しているって言う事は両親に何かあるって言う事よ」
夕華は嫌な顔をするも応じるしかない。


「10年も経てば変わるもんね、寂れてきたかな?」
数日後、夕華は津山先生と共に故郷へ夕華が着用しているのはパンツルックの事務服である。
「私服ってないんですが?」
「こうでもしないと警察に捕まるからね……」
長年の癖なんだろう、津山先生は改めて彼女の闇を垣間見た。最寄り駅は典型的なベットタウンである駅である……寂れてはいるが仕方ない、基幹産業だった大出家電工場が撤退してしまったのだ。
「帰宅するんですか?」
「うん……」
津山先生も夕華の表情はさえない事に気が付く。


「……おかえり」
「ただいま」
自宅にて夕華は父を見て老けたと感じた、母親もだ……自宅の塀には素人作業の塗装がされているがよく落書き被害に逢った名残だ。津山先生は二人に家出した息子の現状を伝えている。
「部屋そのまんまなんだ」
「戻ってくると……」
夕華は裕也だった時の部屋を見て苦笑するしかない、気が付けば10年……ただあの時は彷徨っていたのだ。
「酒呑もうか?」
夕華は日本酒の一升瓶を紙袋から出した。親不孝してしまったから酒の力を借りないと場が持たない。


「名前ねぇ……」
裁判所の方も早急に対応したいのか裕也が戻った来たと知って直ぐにセッティングに……役所の戸籍関連部署もだ。
「娘だったら結子(ゆうこ)にって思っていたわ」
「それでいいや」
母親も治療により持ち直した、ただその途中で癌が見つかり一昨年摘出手術して成功、ただし再発のリスクがあるのでこれも家出してしまった子供を探す必要の一つに。
「……ねぇ、こっちで暮らさないの?」
「今の仕事は楽しいからね」
「……職なら紹介できるし」
「中卒でもないのに……相手に非があるけど厚かましい事は出来ないよ」
母親も後悔の想いがあるが事実だ。


翌朝、御山 結子として女性戸籍に変更し裁判所で戸籍謄本を得た。対応した裁判官が深く頭を下げたて困惑した結子である。この一件は当事者全員の合意で報道関係には丁寧に津山先生が取材を断っており報道各社も協定により報道される事はなかった。余りにも大騒ぎになる要素が多過ぎて収拾がつかないのだ。
「これで一段落かぁ」
「通信教育で中卒と高卒を……今の職で」
「うん、イメクラで働いたから職業病が出る」
結子の言葉に三人は薄ら笑いをするしかない。パンツスタイルなのは仕事とプライベートを分けている証拠だ。
「それに……顧客がね、私と同じ発症者もいるし」
そう簡単に辞められない訳だ。
「いいのですか直接謝罪は」
「……何が変わるって思うの、私も色々としているからね……」
見ず知らずの男児の精子と自分の卵子によりできてしまった乳児、だけど応じてなかったら結子としてここに居なかったのだ。

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