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【投稿小説】第二次性徴異常発育症候群 性転換症 第三十九話 群像商売
作 kyosuke
翌日、朝陽は制服に着替える……昨日はスカートであったが少年のままの仕草が出ない様にするので精一杯であり本日はスラックスである。シャイニング事務所を訪ねる予定だ……女性の事務員は勿論出入りする各種インストラクターの中には女性の方も居るので事務所に所属しているアイドルの面々は極端に苦手って言う事も無いのだが……何となくスカート姿で訪れるのは気が引ける。愛用の3WAYバック内部にあるシステム手帳を手に取り思う、サマーライブツアーの評価次第ならアイドルグループに選出される可能性もある……性転換症発症するまでは。
「……いくか」
ちゃんと退職の挨拶はしておいた方が今後の為だ、連絡したら輝夜社長が応じたのだ。バック内には予備の下着やら衣類も入れたのは万が一の事態を想定しての判断だ。父と兄は仕事で姉もバイト……一人で判断しなければならない、姿見に映る自分を見て思うのは本当に少女になっているって言う事だ。
「?」
スマホが振動しLラインのメッセージに朝陽は慌ててバックを背負い玄関へと向かう。スニーカーを履きオートロックの玄関ドアを開けるとグラサンを掛けたラフな格好をしたアラフォーの男性がおり笑顔を振り向ける。
「陣堂さん……えっ~と」
「輝さんの指示で迎えに来た、ほぉ~~これはまたかわいくなって」
彼はシャイニング事務所所属のアイドルである陣堂 政介であり、アイドルバンド“TOXBOX”の一員で今も尚人気を誇り冠番組もロングラン状態、うれっこである。
「さあ、乗った」
二代目スバルインプレッサWRXSTi……朝陽も知っているのは兄が自動車好きで雑誌を見ているうちに自然と分かるようになり、エンジン音も弄っている事が分かる。彼は自動車好きが高じて中型や準中型の運転免許取得しており冠番組の企画モノではよくハンドルを握る姿を見せている。
「住所は?」
「年賀状、久々井の事だから電車で来るって確信したからな……こんなかわいい子を痴漢の餌食にしたくはないしな、それに家内の後輩にもなる訳だしな」
「?」
政介は助手席にてキョトンした朝陽を見て思い出した、妻の事は話してなかったな……まあ逢えば分かるか。都内にある事務所を目指して愛車を運転する。
「社長、本当に時間をいただいて貰って……」
「お袋から聞いたさ、大丈夫なのかい?母親の方も?」
「はい……」
「性転換症発症の事は気に病む事は無い、モダンガールス事務所への移籍するって聞いた時は安心した」
輝社長はにこやかに言うが移籍話を持ち掛けたのは彼である、先方は難色を示されたがモダンガールスの“商品品質”はバラツキがあり厳しい事は彼も知っていたし何よりもあのモンスターペアレンツ状態の母親が手を引く事が明確なら利用価値はあり、一代でここまで成長させたマダム八重子直々に本人を見定めにより移籍が承認された裏事情がある事は教えてない、そんな事を知れば辞退していただろう……借金を返す為に違法な泡風呂嬢にもなりかねない、朝陽はそんな人物なのだ。
「しかし、男装か……配慮する事も無いのに」
「昨日スカート履いたのですけどもう大変で……女性ってスゴいですよね」
遠目になる朝陽を見て輝社長は状況を察した。この場所をよく知っているから動きやすいスラックスにしたのだろう。
「ライブツアーイベントの方も来週でファイナルだ……バックダンサーの編成変更で少々大変だったが、また起こる可能性もあるさ」
「社長」
「……さて、移籍先で成功した時には頼むよ」
「……お世話になりました」
立ち合った陣堂も思う、なるほど今後もあり得る訳だ。
「陣堂 英玲奈です、初めまして」
「……あの、碧柳 英玲奈さん?パステルガールスの」
「ええ……今は政介さんの妻、なるほどマダムも千手観音並のやり手ね」
やや上品な女性はにっこりとして朝陽を見る。モダンガールス事務所があるオフィスビル地下駐車場にて三沢自動車が出しているピックアップトラック“ハイライターRLX”から降りて来た彼女を見て朝陽も驚く。モダンガールス事務所初期に活動していたアイドルグループに所属していた方であり、結婚を気に引退しており一切TVもネットにも出て来ないのだ。
「……スカートは無理なの?」
「シャイニング事務所内って男性の巣窟だからなぁ……英玲奈頼む」
英玲奈は頷く、確かにモダンガールス事務所は女性の巣窟なので夫も足を踏み込むのも躊躇する。
「久々井さんの事はよく聞いていたからね……無論貴方の母親の事も知っている、現役時代のね。ただ事務所は評判悪かったからね」
モダンガールス事務所内にある控室に入ると見覚えがあるセーラーブレザー学生服がトレソーにセットされ足元にはローファがある。
「えっと……」
「改めてようこそ、モダンガールス事務所へ……二代目マダム八重子です」
「!」
「元パステルガールスの八重洲 永子……引退後はマネージャーやらしていたけど初代の引退に伴い就任する事になるわ……とは言っても暫くは兼任で久々井さんを担当する事になります」
「その、自分は」
「私も性転換症発症の方を担当するのは初めてよ……とりあえず“もだじょ”には出て貰うわね」
「!!!!」
もだじょとはモダンガールス事務所のアイドルらが出演している疑似学園バラエティー番組であり、最近は各資格取得企画で好評を得ているがその一方で一昨年事務所創設以来の最悪のスキャンダルが発覚し警察沙汰と言う事態になり今は民事訴訟の最中である。
「知っての通り一昨年のスキャンダルは今も尚余波を起こしているわ……新アイドルユニットも上手くいってない、久々井さんは色々と出来るからソロを中心になりつつも先輩らを刺激してほしいの」
「……わかりました、出来る限りやってみます。先代マダムの恩義もあります」
すると控室のドアが勢いよく開き女子らが雪崩れて来た。何れもダンスレッスンで使用するトレーニングウェア姿、そう事務所の先輩達である。
「……あら、気になるの?女の子になり立てが?」
英玲奈は知っていてドアを開けたのだ。
「……まあいいわ、久々井 朝陽さん。高校一年だけど女の子は初心者だからね」
朝陽は頭を下げようとした時に両手を掴まれた。確か中学高校に人気があるアイドルの方だ。
「久々井さん、もだじょ制服にきがえましょう!!!!」
「メイク道具持って来て!!!」
二人はパーテションを用意しておく、確かにこの可愛さなら飛びつく筈だ。
「シャインニングでも次来るって言われたいた子がねぇ、神様ありがとう」
「夏目……涎が出ている」
「八重子さんも抜け目ないって言うか……所で次の収録から参加ですよね?社長?」
セーラーブレザーに着替え終えた朝陽は先輩の面々にメイクをして貰いつつ困惑する。
「……事務所移籍も発表しているからね」
朝陽は真っ青になる、てっきりまだ先の話と思っていたからだ。
「それに久々井さんには色々とやって貰うから、丁度いいわ……今から紹介動画撮影したいから撮影班に」
「彼女達バテてますよ……ダンスレッスンで」
英玲奈は苦笑しつつも業務用ハンディカムが入ったケースを手に取る。これでも子育ての最中に夫と共に撮影に嵌っていたのである。
「スタジオ空いているかしらね?」
こうして急に仕事が生じるのである。
翌日、朝陽は制服に着替える……昨日はスカートであったが少年のままの仕草が出ない様にするので精一杯であり本日はスラックスである。シャイニング事務所を訪ねる予定だ……女性の事務員は勿論出入りする各種インストラクターの中には女性の方も居るので事務所に所属しているアイドルの面々は極端に苦手って言う事も無いのだが……何となくスカート姿で訪れるのは気が引ける。愛用の3WAYバック内部にあるシステム手帳を手に取り思う、サマーライブツアーの評価次第ならアイドルグループに選出される可能性もある……性転換症発症するまでは。
「……いくか」
ちゃんと退職の挨拶はしておいた方が今後の為だ、連絡したら輝夜社長が応じたのだ。バック内には予備の下着やら衣類も入れたのは万が一の事態を想定しての判断だ。父と兄は仕事で姉もバイト……一人で判断しなければならない、姿見に映る自分を見て思うのは本当に少女になっているって言う事だ。
「?」
スマホが振動しLラインのメッセージに朝陽は慌ててバックを背負い玄関へと向かう。スニーカーを履きオートロックの玄関ドアを開けるとグラサンを掛けたラフな格好をしたアラフォーの男性がおり笑顔を振り向ける。
「陣堂さん……えっ~と」
「輝さんの指示で迎えに来た、ほぉ~~これはまたかわいくなって」
彼はシャイニング事務所所属のアイドルである陣堂 政介であり、アイドルバンド“TOXBOX”の一員で今も尚人気を誇り冠番組もロングラン状態、うれっこである。
「さあ、乗った」
二代目スバルインプレッサWRXSTi……朝陽も知っているのは兄が自動車好きで雑誌を見ているうちに自然と分かるようになり、エンジン音も弄っている事が分かる。彼は自動車好きが高じて中型や準中型の運転免許取得しており冠番組の企画モノではよくハンドルを握る姿を見せている。
「住所は?」
「年賀状、久々井の事だから電車で来るって確信したからな……こんなかわいい子を痴漢の餌食にしたくはないしな、それに家内の後輩にもなる訳だしな」
「?」
政介は助手席にてキョトンした朝陽を見て思い出した、妻の事は話してなかったな……まあ逢えば分かるか。都内にある事務所を目指して愛車を運転する。
「社長、本当に時間をいただいて貰って……」
「お袋から聞いたさ、大丈夫なのかい?母親の方も?」
「はい……」
「性転換症発症の事は気に病む事は無い、モダンガールス事務所への移籍するって聞いた時は安心した」
輝社長はにこやかに言うが移籍話を持ち掛けたのは彼である、先方は難色を示されたがモダンガールスの“商品品質”はバラツキがあり厳しい事は彼も知っていたし何よりもあのモンスターペアレンツ状態の母親が手を引く事が明確なら利用価値はあり、一代でここまで成長させたマダム八重子直々に本人を見定めにより移籍が承認された裏事情がある事は教えてない、そんな事を知れば辞退していただろう……借金を返す為に違法な泡風呂嬢にもなりかねない、朝陽はそんな人物なのだ。
「しかし、男装か……配慮する事も無いのに」
「昨日スカート履いたのですけどもう大変で……女性ってスゴいですよね」
遠目になる朝陽を見て輝社長は状況を察した。この場所をよく知っているから動きやすいスラックスにしたのだろう。
「ライブツアーイベントの方も来週でファイナルだ……バックダンサーの編成変更で少々大変だったが、また起こる可能性もあるさ」
「社長」
「……さて、移籍先で成功した時には頼むよ」
「……お世話になりました」
立ち合った陣堂も思う、なるほど今後もあり得る訳だ。
「陣堂 英玲奈です、初めまして」
「……あの、碧柳 英玲奈さん?パステルガールスの」
「ええ……今は政介さんの妻、なるほどマダムも千手観音並のやり手ね」
やや上品な女性はにっこりとして朝陽を見る。モダンガールス事務所があるオフィスビル地下駐車場にて三沢自動車が出しているピックアップトラック“ハイライターRLX”から降りて来た彼女を見て朝陽も驚く。モダンガールス事務所初期に活動していたアイドルグループに所属していた方であり、結婚を気に引退しており一切TVもネットにも出て来ないのだ。
「……スカートは無理なの?」
「シャイニング事務所内って男性の巣窟だからなぁ……英玲奈頼む」
英玲奈は頷く、確かにモダンガールス事務所は女性の巣窟なので夫も足を踏み込むのも躊躇する。
「久々井さんの事はよく聞いていたからね……無論貴方の母親の事も知っている、現役時代のね。ただ事務所は評判悪かったからね」
モダンガールス事務所内にある控室に入ると見覚えがあるセーラーブレザー学生服がトレソーにセットされ足元にはローファがある。
「えっと……」
「改めてようこそ、モダンガールス事務所へ……二代目マダム八重子です」
「!」
「元パステルガールスの八重洲 永子……引退後はマネージャーやらしていたけど初代の引退に伴い就任する事になるわ……とは言っても暫くは兼任で久々井さんを担当する事になります」
「その、自分は」
「私も性転換症発症の方を担当するのは初めてよ……とりあえず“もだじょ”には出て貰うわね」
「!!!!」
もだじょとはモダンガールス事務所のアイドルらが出演している疑似学園バラエティー番組であり、最近は各資格取得企画で好評を得ているがその一方で一昨年事務所創設以来の最悪のスキャンダルが発覚し警察沙汰と言う事態になり今は民事訴訟の最中である。
「知っての通り一昨年のスキャンダルは今も尚余波を起こしているわ……新アイドルユニットも上手くいってない、久々井さんは色々と出来るからソロを中心になりつつも先輩らを刺激してほしいの」
「……わかりました、出来る限りやってみます。先代マダムの恩義もあります」
すると控室のドアが勢いよく開き女子らが雪崩れて来た。何れもダンスレッスンで使用するトレーニングウェア姿、そう事務所の先輩達である。
「……あら、気になるの?女の子になり立てが?」
英玲奈は知っていてドアを開けたのだ。
「……まあいいわ、久々井 朝陽さん。高校一年だけど女の子は初心者だからね」
朝陽は頭を下げようとした時に両手を掴まれた。確か中学高校に人気があるアイドルの方だ。
「久々井さん、もだじょ制服にきがえましょう!!!!」
「メイク道具持って来て!!!」
二人はパーテションを用意しておく、確かにこの可愛さなら飛びつく筈だ。
「シャインニングでも次来るって言われたいた子がねぇ、神様ありがとう」
「夏目……涎が出ている」
「八重子さんも抜け目ないって言うか……所で次の収録から参加ですよね?社長?」
セーラーブレザーに着替え終えた朝陽は先輩の面々にメイクをして貰いつつ困惑する。
「……事務所移籍も発表しているからね」
朝陽は真っ青になる、てっきりまだ先の話と思っていたからだ。
「それに久々井さんには色々とやって貰うから、丁度いいわ……今から紹介動画撮影したいから撮影班に」
「彼女達バテてますよ……ダンスレッスンで」
英玲奈は苦笑しつつも業務用ハンディカムが入ったケースを手に取る。これでも子育ての最中に夫と共に撮影に嵌っていたのである。
「スタジオ空いているかしらね?」
こうして急に仕事が生じるのである。
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