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【投稿小説】第二次性徴異常発育症候群 性転換症 第四十三話 女としての覚悟
作 kyosuke
翌日、玲は明日の始業式に備えて制服と通学鞄を取り出し準備をしていた。直ぐに文化祭の準備が始まるのだが気が早いクラスでは既に夏休み期間で段取りを進めており、玲のクラスも例外ではなく……漏れ聞いた話ではサテンに落ち着きそうだ。変に拗れると後々の学校生活にも影響がある事は事実。
「よし、これでOK」
生理用品を入れたポーチを開けてナプキンの補充もしておく、コンドームを入れているのは何となくである。何しろ自分も含めて性行為経験者が多いので高校卒業までは懐妊は避ける。
「後は……浩太の所に行って」
玲は愛用のリュックサックを持ち出かけた。浩太の忘れ物を届ける為だ。
佐枝家は集合住宅が集まっている地域にあるマンションだ、元々炭鉱住宅が並んでいたが閉山当時は老朽化が見られたので解体、三沢自動車本社工場に自動車関連企業の進出により多数のマンションとアパートが建設されている。無論炭鉱住宅でも炭鉱末期に建築された故に状態が良いモノも引き続き“文化住宅”として使用されており閉山後に元従業員が買い取ったケースも多い。
「届けに来たの……浩太に行かせようと思っていたのに」
真奈美は呆れ顔になるが昨夜弟の死屍累々な表情を見れば仕方ないと思う……今でも爆睡しているのだ。
「あがって……」
「はい、あの衣装ありがとうございます」
「いいのよ……リサイクルに持って行っても処分されるだけだからね」
真奈美は少々申し訳ない表情になる。すると玄関チャイムが鳴り直ぐにドアが開いた。このマンションはエントラスはオートロックが無いタイプだ。
「浩太ぁ!あそぼぉぜぇ!」
玲が振り向くとその少年はキョトンした。背丈は頭一つ大きいが何よりも胸が大きい事は衣類からでも分かる……彼は迷っていると真由美は言う。
「彼方……一ノ瀬だよ」
「えっ」
「性転換症発症してね……無理もないか、時々登下校が一緒になった程度だしね」
玲の言葉に樋垣 彼方は思い出した。
「浩太、昨日の追い込みで未だに寝ているし……そろそろ起こさないと」
真由美は告げると部屋を区切っている二段ベット上を梯子を使ってのぞき込むと浩太は寝間着を脱ぎかけている状態で寝ていたのだ。恐らく二度寝状態だ。
「玲……浩太のモノって大きい方?」
「……さあ」
当然男児パンツは朝の勃起状態であり肌色の朝顔蕾は飛び出ていた、真奈美は思わず玲に聞いたが困惑しつつも視線は釘付けである。
暫くして浩太が起きたので真奈美は準備して置いたフレンチトーストを焼く、浩太も起きたら姉や彼方が居るのは昔から多々有るので納得したが玲が来る事は初めてずっと真っ赤である。無理もない……恥ずかしい姿を見られたからだ。
「……浩太、俺だって朝に固くなっているって」
「そうなのか?」
「私も発症する前は朝起していたからね……それに異常に疲労感があると生存本能で起つ事もあるし」
玲の言葉に真奈美も薄ら笑いをしつつもフライパンで焼いているフレンチトーストをフライ返しで皿に移した。TVリモコンを操作して録画していた番組を見る。
「彼女も性転換症なんだよね……」
画面には女子制服を着た久々井 朝陽が事務所先輩アイドルらと共にトークをしていた。本当に元少年とは思えない程の可愛さだ。
「…映画に」
「ええ、久々井さんの事情は先方さんも十分承知している」
モダンガールス事務所の一室にて陣堂 英玲奈はニコっとして朝陽に企画書を渡す、トラックドライバーを主体にした作品で朝陽の役は主役の妹役だ。
「一ノ瀬さんや越知さんの所も協力しているんだ」
「そっか、知り合いなんだ」
朝陽としては端役でも断る事は無い、普通ならオーディションだ……。
「元々は別の子を出そうと思っていたけど……ね」
「例の騒動の一人」
「そう、かといって他の子は演技力や経験が余りにもない。久々井さんなら前の事務所で幾つか出ているよね」
「端役のみだったけど」
セミロングの髪は揺れる……やはり後ろめたさもあるが母親の入院費や今後の為にも断る訳にもいかない。
「やります」
「そうこなっくちゃね!」
迷っていた眼から覚悟を決めた眼になる朝陽を見てニッとした。少年の時から変わっては無い……。
「久々井 朝陽です、初めまして」
「監督の上遠野です……本当に出演を受けてくれてありがとう」
「……どうして私にこの役を?」
初対面の朝陽も額の皴の多さで可也の高齢と分かる。撮影所の食堂にて顔合わせになったのはスケジュールに空きが生じていたのだ。
「なに、君の御両親には色々と世話になってな……私もこの作品で映画監督業を廃業するから一人ぐらいはねじ込めた訳だ」
朝陽は薄ら笑いをするしかない、母親がアイドルをしていた事は幾つか聞いた事があるのだが……大方墓まで持って行くレベルであろう。
「……」
それでも朝陽の顔を見ると申し訳なく戸惑っている表情だ。
数日後、朝陽は映画スタジオに来ていた……顔合わせを兼ねて台本の通しの為だ。早めに来ていたのはスケジュールに余裕があるのと同時に配慮して貰った、会議室に入ると新瀬 翠は台本を見ていたが物音で朝陽に気が付いた。
「朝陽君、じゃなかった!うぁ……女子高生だぁ」
「大丈夫です、御無沙汰してます」
マドンナ役の女優さんとは小学生の時にシャイニング事務所時代に共演した、息子の様に可愛がってもらいそれ以来に年賀状や暑中見舞いのやり取りは欠いた事は無い。
「本格的に映画出演になるんだよね……」
朝陽の演技力には驚かされるがステージママの存在が足枷になっており苦労していた事は彼女の耳にも入っていた。皮肉にも事務所移籍でステージママを辞めざる得ない本当の理由も知っている。
「“なんちゃって学生夏服”?これ?」
「はい、着慣れて置かないと」
性転換症発症者にあるのは衣類の戸惑いであり朝陽は着用しているのも女子高校生らしい服装だ。
「通学先はスラックスでも大丈夫よね?」
「はい」
彼女は苦笑しつつも朝陽と話していた、これも女優としては仕事の一環だ……。
「よっ、スーちゃんに……朝陽か?」
主演の樋野 翔が来た、俳優と言うよりはマルチタレントで下積み時代が長かったのか4t車~10t車の免許を持ち自身も趣味車を持つ。
「翔さん、よろしくお願いします」
「シャイニングとモダンの社長から聞いた時にはびっくりしたが……妹と言うよりは娘って感じだな、朝陽は」
「「……」」
かりゆしスタイルの翔は苦笑しつつも机に鞄を置く……。
翌日、玲は明日の始業式に備えて制服と通学鞄を取り出し準備をしていた。直ぐに文化祭の準備が始まるのだが気が早いクラスでは既に夏休み期間で段取りを進めており、玲のクラスも例外ではなく……漏れ聞いた話ではサテンに落ち着きそうだ。変に拗れると後々の学校生活にも影響がある事は事実。
「よし、これでOK」
生理用品を入れたポーチを開けてナプキンの補充もしておく、コンドームを入れているのは何となくである。何しろ自分も含めて性行為経験者が多いので高校卒業までは懐妊は避ける。
「後は……浩太の所に行って」
玲は愛用のリュックサックを持ち出かけた。浩太の忘れ物を届ける為だ。
佐枝家は集合住宅が集まっている地域にあるマンションだ、元々炭鉱住宅が並んでいたが閉山当時は老朽化が見られたので解体、三沢自動車本社工場に自動車関連企業の進出により多数のマンションとアパートが建設されている。無論炭鉱住宅でも炭鉱末期に建築された故に状態が良いモノも引き続き“文化住宅”として使用されており閉山後に元従業員が買い取ったケースも多い。
「届けに来たの……浩太に行かせようと思っていたのに」
真奈美は呆れ顔になるが昨夜弟の死屍累々な表情を見れば仕方ないと思う……今でも爆睡しているのだ。
「あがって……」
「はい、あの衣装ありがとうございます」
「いいのよ……リサイクルに持って行っても処分されるだけだからね」
真奈美は少々申し訳ない表情になる。すると玄関チャイムが鳴り直ぐにドアが開いた。このマンションはエントラスはオートロックが無いタイプだ。
「浩太ぁ!あそぼぉぜぇ!」
玲が振り向くとその少年はキョトンした。背丈は頭一つ大きいが何よりも胸が大きい事は衣類からでも分かる……彼は迷っていると真由美は言う。
「彼方……一ノ瀬だよ」
「えっ」
「性転換症発症してね……無理もないか、時々登下校が一緒になった程度だしね」
玲の言葉に樋垣 彼方は思い出した。
「浩太、昨日の追い込みで未だに寝ているし……そろそろ起こさないと」
真由美は告げると部屋を区切っている二段ベット上を梯子を使ってのぞき込むと浩太は寝間着を脱ぎかけている状態で寝ていたのだ。恐らく二度寝状態だ。
「玲……浩太のモノって大きい方?」
「……さあ」
当然男児パンツは朝の勃起状態であり肌色の朝顔蕾は飛び出ていた、真奈美は思わず玲に聞いたが困惑しつつも視線は釘付けである。
暫くして浩太が起きたので真奈美は準備して置いたフレンチトーストを焼く、浩太も起きたら姉や彼方が居るのは昔から多々有るので納得したが玲が来る事は初めてずっと真っ赤である。無理もない……恥ずかしい姿を見られたからだ。
「……浩太、俺だって朝に固くなっているって」
「そうなのか?」
「私も発症する前は朝起していたからね……それに異常に疲労感があると生存本能で起つ事もあるし」
玲の言葉に真奈美も薄ら笑いをしつつもフライパンで焼いているフレンチトーストをフライ返しで皿に移した。TVリモコンを操作して録画していた番組を見る。
「彼女も性転換症なんだよね……」
画面には女子制服を着た久々井 朝陽が事務所先輩アイドルらと共にトークをしていた。本当に元少年とは思えない程の可愛さだ。
「…映画に」
「ええ、久々井さんの事情は先方さんも十分承知している」
モダンガールス事務所の一室にて陣堂 英玲奈はニコっとして朝陽に企画書を渡す、トラックドライバーを主体にした作品で朝陽の役は主役の妹役だ。
「一ノ瀬さんや越知さんの所も協力しているんだ」
「そっか、知り合いなんだ」
朝陽としては端役でも断る事は無い、普通ならオーディションだ……。
「元々は別の子を出そうと思っていたけど……ね」
「例の騒動の一人」
「そう、かといって他の子は演技力や経験が余りにもない。久々井さんなら前の事務所で幾つか出ているよね」
「端役のみだったけど」
セミロングの髪は揺れる……やはり後ろめたさもあるが母親の入院費や今後の為にも断る訳にもいかない。
「やります」
「そうこなっくちゃね!」
迷っていた眼から覚悟を決めた眼になる朝陽を見てニッとした。少年の時から変わっては無い……。
「久々井 朝陽です、初めまして」
「監督の上遠野です……本当に出演を受けてくれてありがとう」
「……どうして私にこの役を?」
初対面の朝陽も額の皴の多さで可也の高齢と分かる。撮影所の食堂にて顔合わせになったのはスケジュールに空きが生じていたのだ。
「なに、君の御両親には色々と世話になってな……私もこの作品で映画監督業を廃業するから一人ぐらいはねじ込めた訳だ」
朝陽は薄ら笑いをするしかない、母親がアイドルをしていた事は幾つか聞いた事があるのだが……大方墓まで持って行くレベルであろう。
「……」
それでも朝陽の顔を見ると申し訳なく戸惑っている表情だ。
数日後、朝陽は映画スタジオに来ていた……顔合わせを兼ねて台本の通しの為だ。早めに来ていたのはスケジュールに余裕があるのと同時に配慮して貰った、会議室に入ると新瀬 翠は台本を見ていたが物音で朝陽に気が付いた。
「朝陽君、じゃなかった!うぁ……女子高生だぁ」
「大丈夫です、御無沙汰してます」
マドンナ役の女優さんとは小学生の時にシャイニング事務所時代に共演した、息子の様に可愛がってもらいそれ以来に年賀状や暑中見舞いのやり取りは欠いた事は無い。
「本格的に映画出演になるんだよね……」
朝陽の演技力には驚かされるがステージママの存在が足枷になっており苦労していた事は彼女の耳にも入っていた。皮肉にも事務所移籍でステージママを辞めざる得ない本当の理由も知っている。
「“なんちゃって学生夏服”?これ?」
「はい、着慣れて置かないと」
性転換症発症者にあるのは衣類の戸惑いであり朝陽は着用しているのも女子高校生らしい服装だ。
「通学先はスラックスでも大丈夫よね?」
「はい」
彼女は苦笑しつつも朝陽と話していた、これも女優としては仕事の一環だ……。
「よっ、スーちゃんに……朝陽か?」
主演の樋野 翔が来た、俳優と言うよりはマルチタレントで下積み時代が長かったのか4t車~10t車の免許を持ち自身も趣味車を持つ。
「翔さん、よろしくお願いします」
「シャイニングとモダンの社長から聞いた時にはびっくりしたが……妹と言うよりは娘って感じだな、朝陽は」
「「……」」
かりゆしスタイルの翔は苦笑しつつも机に鞄を置く……。
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