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投稿TS小説第146番 サッカー部へようこそ(4) by.うずら

結局、かなりの量を買うことになり、17万円という大金を払う羽目になってしまった。
直が俺に押し付けた財布に入っていた15万と、手持ちの1万円。
店員さんは割引してくれようとしたんだが、どうせ払うのは俺じゃないし。
構うもんか。
ケータイで直を呼び出した。

しばらく店員さんと雑談していると、直が店に入ってきた。
女遊びに慣れていても、さすがに居心地が悪そうだ。
「よっ、お待たせ、こずえちゃん」
「もぉ、遅いよ!」
とりあえず、甘えるように擦り寄ってみる。
店員の目があるから、カノジョを演じておかないと、だしな。
別に直が来たのが嬉しいからじゃない。
「で、1万だっけ」
「うん、ごめんね~」
「気にすんなって」
「えへへ、ありがとっ」
やっぱり可愛い系……いや、若干バカっぽいぐらいが好きなんだろうな、こいつ。
甘ったるい声を出してやると、それだけで嬉しそうだ。
会計を済ませて、下着の袋以外、全部直に持たせる。
それにしても、今の格好を見ても何も言わないなんて……。
せっかく喜ぶだろうと思って、身体にフィットするワンピース着てるのに。
後で蹴り飛ばすことに決定。
「それじゃ、また来てね。今度は安くするから!」
「はーいっ」
店員さんに軽く手を振ってから店を出る。
夕日でオレンジ色に染まった街を二人で歩く。
横にいる直がヤケに早足に感じてしまう。
コンパスの長さ、というよりは体力の違いだろうか。
あと、胸がぷるぷると揺れるっていうことも大きそうだ。
ブラジャーで少しは楽、なんだけど……。
来るときはそんなことを考えている余裕はなかった。
だが、多少なりとも慣れてしまった今は、少しのことが気になって仕方がない。
考え込んでいると、斜め上から声が降ってきた。
「さ、行こうか、こずえちゃん」
「え? どこへ?」
「良いところ」
なんだ、その思わせぶりなセリフは。
……良いところ?
ああ、メシでも食わしてくれるのか。

と、思って、素直に従っていたんだが、その考えは甘いと思い知らされた。
この方向は繁華街。
飲み屋を抜けると、奥にあるのはラブホにソープ……。
「お、おい。直」
「どうかした、こずえちゃん?」
「いや、だって、こっちって」
「そんな服を着て挑発しといて、今更その気はない、ってのはないだろ」
「う……」
このタイミングで服について言うなよな。
何だか知らないけど、泣きたくなってくるじゃないか。
「なんてな、冗談だって。何本気で泣きそうになってんだよ、将」
「う、うっせぇ!」
ぐしゃぐしゃと頭をかき混ぜられた。
何だかんだで、ほっとしてしまった俺がいる。
屈辱だ。
一人のときは、特にいつもと変わりはない。
だが、直と一緒だとダメになりそうだ。
今だって、男に撫でられて嬉しいはずがないのに、妙に心拍数が上がっている。
この皮の効果というか、副作用なんだろうか。
だとしたら、嫌すぎる。
しかも、直のヤツ、面白がって本名で呼びやがるし。
誰のために、こんなカッコしてると思ってるんだ。
服を褒めなかったのと合わせて、2、3回蹴ってもバチは当たらんだろう。
「このっ! あほっ! 誰のっ! せいだっ!」
「イテッ! ちょっ、待てよ! 先っぽ尖ってて、半端ねぇって!」
む。
言われて見ると、たしかに今履いている靴はローヒールだが尖っている。
ちょっとやりすぎたか?
いや、そんなことはないはずだ。
たいして勢いもつけてないし、力は入れていないし。
むしろ、甘いぐらいだろう。
うむ。ラスト一発。
「おらっ!」
いつもの調子で脚を振り上げようとして、瞬時に失敗を悟る。
タイトなミニワンピなんて着てるせいで脚がひっかかった。
さらに、胸の重さで重心がずれてしまう。
あ、倒れる。
バランスを崩しながら、のんびりとそんなことを考えていた。
やけにゆっくりとした時間の中で、素早く腕が伸びてきた。
頬に暖かさを感じて我に返る。
気づけば抱きしめられる様に、直にもたれかかっていた。
たくましい胸板を、今は頼もしく感じる。
皮を脱げば、俺の方が筋量は多いはずなのに。
「ったく、なーにやってんだ」
「わ、悪い」
このままでいたいという思考を振り払って、慌てて直から離れる。
「……今のでおあいこにしといてやる」
「はぁ?」
「何でも良い! ホテルじゃないなら、どこに行こうって言うんだ。さっさと案内しろ」
「へいへい。わがままなお姫様だな」
恥ずかしさやらなんやらを誤魔化そうと、キッと睨みつけてやる。
視線を受けた直が、ぼやくように肩をすくめて歩き出した。
ポケットに手を入れているから、ちょうど三角形に隙間が出来ている。
う、腕ぐらい組んでもいいよな?
恋人同士なら。
黙って腕を差し入れる。
「お? なんだよ、昼はあれだけ……」
直が何か言おうとしたのを目で制す。
過去は過去だ。
知らん。



<つづきはこちら>






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