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投稿TS小説第146番 サッカー部へようこそ(8)<18禁> by.うずら

ディスカウントストアに向かおうとすると、直に引っ張られた。
「そっちの肉より、こっちのスーパーのが良い」
「えー、安い方がいいでしょ。味なんて変わらないんだし」
「いーや、違うね。金払うのは俺なんだから、別に構わないだろ」
金のことを言われると弱い。
仕方なく手を引かれるまま、直についていく。
こんな方に普段来る事がないから、地理もさっぱりわからない。
何箇所か角を曲がると、そこそこの規模の店が見えてきた。
「普通のスーパーじゃん」
「甘いな。ここはウチのマンションの住人御用達だぜ?」
あそこに住んでるセレブたちが買ってるって……?
どんだけすごいんだ、この店。
直がカゴを持って中に入っていく。
庶民な自分が場違いに思えて、急いで直に張り付く。
「お?」
俺が腕を抱き締めるなり、嬉しそうに相好を崩した。
勘違いだと教えてやるべきだろうか。
まあ、このぐらいは良いか、うん。
しかし、店内も金持ち向けなのかと思ったが、そうは見えない。
「やっぱり普通のスーパーじゃないの?」
「ふっ、ここにある野菜を見ろ!」
キャベツをぐわしっと掴んで高々と掲げる直。
うあ、店の人に見られてる。
恥ずかしいな、こいつ。
仕方ないので下のプレートを覗き込む。
有機無農薬。
「へー」
「それだけか……?」
なるほど、だから値段が相場より高いのか。
反応の薄さにがっかりしたのか、直の元気がなくなった。
持っていたキャベツを棚に戻して、俺が指示した方に歩き出す。
「ニラ、と……もやし、しょうがとにんにく」
「あいよー」
「あ、さすがに油ぐらいあるよね?」
「馬鹿にしてんのかよ」
「冷蔵庫に飲み物しかいれてないんだもん。分かんないでしょ」
「ぐっ」
「次、肉のところ行くよー」
そんな調子で材料を買い込んでいく。
いくら料理しないからって、本当に役に立たないとは。
途中でオヤツが欲しいとか言い出したときは、殴ってやろうとか思った。
子供をなだめすかしてる母親って、こんな気分なんだろうか。
そんな思いに浸りながら会計を済ませる。
店を出るまでぶつぶつ文句を垂れていたが、さすがにマンションに着くころには収まっていた。
「なあ、何作るんだ?」
「分からないなら楽しみに取っといてね」
「ええー、教えろよ」
ウリウリと直が頭を頬をつついてきた。
笑いながらそれを手で払いのける。
「ぁー……ごほんっ」
通りすがりのオジサンが咳払いをしながら去っていった。
おかげで我に帰る。
もしかして俺、素でラブコメしてたか?
たしかに流され易い性格ではあるが、相手は直だぞ。
いや、問題は俺じゃない。この皮のせいだ。
「おーい、どうかしたか?」
「何でもないよぉ」
とりあえずご機嫌な直はごまかしておく。
昼飯食ったら、吉沢を呼び出してる店まで行かないとなぁ。
化粧もした方がいいのかもと思うが、スッピンでも美人だから構わんだろう。
やれやれ、今日も疲れそうだ。
「はい、レバニラ炒めと卵スープ。おかわりはあるからね」
テーブルに皿を並べていく。
結局、完成したときには1時を回ってしまった。
最初はこいつに手伝わせて時間の短縮をしようと思ったんだが……。
レバーを血抜きもせずに炒めるつもりだと分かり、キッチンから放り出したのだ。
「いただきまーっす」
「いただきます」
挨拶はしたものの、そのまま直の様子を伺う。
初っ端からレバニラに手を出した。
大量にご飯にのせてかき込む。
「おお、うめぇ! なにこれ!?」
よし!
小さくガッツポーズ。
って、俺は何を浮かれてるんだ。
直の健啖ぶりに呆れつつ、もそもそとご飯を口に運ぶ。
たしかにおかずも悪くない出来だった。
しかし、普段の量で二人前作ってしまったが、食べられるだろうか。
……いざとなったら直に食わせるか。
「なあなあ、また今度、料理作ってくれよ」
「え、うん。いいけど」
「よっしゃー!」
いそいそとおかわりをしに直がキッチンに向かった。
そんなに美味かったのか。
ついつい頬が緩んでしまう。
料理を褒められて喜ぶのに、男も女もないよな。うん。
結局、俺が一人分の6割ほどしか食べられず、残りを直が平らげた。
炊飯器を見てみると、きれいに空っぽだった。
そうか。こいつも晩飯と朝飯を食ってないはずだし、このぐらいは食うか。
大量に食えた理由がわかっても、嬉しいもんだ。
「ふふふ~ん♪」
皿を食洗機につっこんで、タオルで手を拭きながらリビングに戻る。
直はお茶を飲みながらくつろいでいた。
俺の方にもコップを差し出してくる。
「ごちそうさん。美味かったぜ」
「あ、あはは。ありがと」
こう何度も言われると照れくさいな。
赤くなった顔を隠すためにコップを傾ける。
「良いお嫁さんになれるな、こずえは」
「ぶっ、ごほっ、げほっ」
「だ、大丈夫か!?」
大丈夫なワケがない。
いきなりそんな爆弾発言するな、バカ。
恨みをこめて睨みつけてやる。
が、本気で心配している風情の顔を見て、怒りも萎えてしまった。

そうこうしている間に、約束の時間が近くなってきた。
「駅前で良いんだよね?」
「おう。分かりやすいし、近いだろ」
「うん」
まずい。緊張してきた。
試合前の高揚感を含んだそれとは違う。
ただひたすらに嫌な感じだ。
「どーした?」
「な、なんでもない」
直が靴紐を結びながら、問いかけてきた。
ふるふると首を横に振る。
「ふぅん」
呟くと、再び靴に集中し始めた。
詮索をする気はないみたいだ。
なんだよ、その程度かよ……。
もっと心配してくれたっていいじゃないか。
つい、ふてくされてしまう。
「よっし、んじゃ行くか」
「うん……」
「大丈夫だっての、そんな不安そうな顔しなくても。俺が守ってやるから、堂々としてろ」
「ぁっ」
ぽふぽふと頭を撫でられる。
かぁーっと顔に火が点る。
分かってるなら最初から……。
ええい、くそ、反則だ!
「お? なに? 赤くなっちゃって」
「うううっ、うるさいっ」
「あっ、おい、怒んなってば!」
さっさとエレベーターに乗り込んだ俺を、あわてて追いかけてくる。
まったく……。
でかい犬の相手でもしてるみたいな感じだな。
追いかけたら逃げるくせに、無視したら寄ってくる。
そう考えたら、こいつもカワイイかも。
「うおおっ!?」
閉まりかけのドアに、むりやり手を差し入れて乗ってくる。
さすがにこの程度では息も切れないか。
「なあ、アイス買ってやるから機嫌直せって」
「……えー」
グラリと心が揺れた。
別に怒ってはいないが、アイスと言われたからには逃せない。
何しろ俺の好物ベスト3に入っている。
「ね、どこのアイス?」
「あー……っと、駅前の琥珀堂でどうだ」
「わぁ♪ もちろん、トリプルOKよね?」
「あ、ああ。……げんきんなヤツ」
「え? 何か言った?」
「なんでもねぇーよ」
何を言ったのか気になるところだが、まあいい。
好きな店を覚えてたから合格だ。
よしよし。
やる気出たぞ。
決意を新たにするのと同時に、エレベーターが1階に着いた。

<つづきはこちら>





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