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投稿TS小説第141番 Blood Line (47)(21禁)

 * * * 暗転・好転 * * * * *

 明くる日から、日常が戻っていた。鹿島との能力開発以外は、図書室へ行くか自室に引きこもるかしかなかった。中庭に行き俊治と会話する事もない。
 意外だったのは、あれから俊治が尋ねて来なくなった事だ。一度身体を合わせたのだから二度も三度も同じ、そんな事を言われると思っていた。しかし、二週間が経った今でも姿を見せる事は無かった。
(心配、なんてしてないぞ、絶対)
 施設での生活に潤いをもたらしたかも知れない存在だったけれど、今は心配よりも憎さの方が強い。自室のベッドを見るとムリヤリ押し入られたシーンが脳裏に広がる。その度に誰かしら憎む対象の顔も思い浮かんでしまう。そんな後ろ向きな自分がイヤだと思ったりもした。
 もっと生産性のある事。もう一度逃げ出す方法。この二週間はそれだけを考えていた。しかし、一度逃亡しているせいで厳重な警備体制が敷かれている。以前のように行かない事は容易に想像できた。
 加えるなら、リサの部屋には隠しカメラもある。リサが知らないだけで、リサの行動は鹿島にも、高野にも筒抜けだ。隠し事など出来ない。
 あれこれと思案を巡らせていたその日、リサの部屋の呼び鈴が鳴った。
(誰だろ……?)
 怪訝そうな顔で扉まで行き除き穴を見る。と。
(えっ?! 何で?!)
 リサの驚きも当然だった。来ないと思っていた俊治の姿がそこにあったのだから。姿を見た途端、動悸が激しくなり脂汗が背中を伝わった。見間違いかと思い、深呼吸してから除いてもそこに俊治がいる。ドアに背中をつけ、もう一度深呼吸した。
『何の用?』
 幸運な事に今日のリサは『声』を使える。リミッターによって能力がシャットダウンしていたあの日とは違う。冷たく言い放つリサに、俊治は一度俯いてから声を出した。
「――話があるんだ。あの時はどうかしてた。本当にすまなかったと思ってる。ちょっとでいいから聞いてくれないか」
 何を勝手な事を、今更、そんな言葉がリサの脳裏に浮かんでいた。
『あの時も話がしたいって言ってたよね。また、犯したいって事ならそう言えば』
「いや、そうじゃなくて……俺、聞いたんだ、女の人の『能力開発』ってどんなことか」
 いつものハキハキした声色とはうって変わり、弱々しく歯切れが悪い。俊治のそんな声は、幹彦だった頃も聞いた事は無かった。
(聞いた? 僕が、璃紗さんがどんな目にあったか? だから、何だっていうんだよ)
 リサは何も言わず両手で身体を抱き締めた。
「それで、その、ちゃんと謝らないといけないと思ったし、それと、もう一つ話さないといけないから……と、思って」
『僕の話は聞こうとしないで、酷いことして、でも自分の話は聞けって? 話って言っても、どうせまたヤラセロぐらいじゃないの』
 どうしても棘のある言葉になってしまう。しかしそれも無理からぬ事だ。大体謝罪以外で話したい話題などあるとも思えなかった。どちらかと言えば、ドアを開けさせる為の方便としか思えない。
「そうじゃない! そうじゃないんだ……。廊下じゃ人に聞かれちゃうかも知れないだろ。ほんとに誓うよ。何もしない。重要な事なんだ、リサちゃんにとっても」
 俺にとっても、という言葉を俊治は飲み込んだ。その言葉だけ取られたら、自分本位な事にしかならない。
「時間無いんだっ。頼むよ、開けて話を聞いてくれ」
 数秒だったのか、数分だったのか、ドアを隔てて沈黙が続いていた。
(ああ、くそっ。もう時間が……)
 腕時計を見ながら、俊治は自分のした過ちを今更ながらに後悔していた。あんな事をしなければ、直ぐにでも……。そう思う程に焦りが生じていた。あと五分もしたらタイムアップになってしまう。話をするにしても、時間内にできるかどうか解らなくなっていた。
 もうダメかと諦めかけた時、ドアが開いた。
『……今日は能力使えるからね。鹿島にだって勝った事あるからね、変な事したら覚悟した方がいいよ』
 紅い目が俊治を威圧しながら、それが本当の事だと言っていた。俊治は今更ながらに左右を確認すると、リサの腕を掴み室内に入った。その強引な行為にリサは総毛立つ。
(あっ?! やっぱり――)
 瞬間的に防御本能が働いたのか、PKで俊治の身体を壁へ飛ばしていた。激しい頭痛にリサの表情が歪む。
『やっぱり! 卑怯者っ嘘つきっ』
「いってぇ……あ、ま待て、違う、誤解だ。話聞いてくれっ」
 下腹部に溜まった能力の渦を、リミッター限界まで俊治の股間へぶつけようとした時、背中を丸めて土下座する彼の姿が、リサの目にとまった。
「本当にすみませんでした。俺、リサちゃんとあいつが、してるとこ見て、すげぇ嫉妬して……。誘ってるのに俺じゃなくてあいつだったのが許せなくて。それをリサちゃんにぶつけた。でも、何かあとから罪悪感かな、気になって。色々調べたんだ。そしたら……」
 リサにも俊治を追いつめたと言う思いは確かにあった。自分から胸を触らせ、セックスしてくれと間接的にせがんでいたのだから。いくら媚薬と淫具のせいだと言っても、明らかに「イキタイ」から誘った事実はリサを今も苛んでいる。
 きゅっと唇を噛み締め、無言で俊治を睨む。
「そしたら女の人の能力開発がどんなものか解ったんだ。俺は、あいつ以上に酷い事してしまって……。許してくれとは言わない。でも、リサちゃんを傷つけて後悔してる。話をしたかった筈なのに、苦しかったのはリサちゃんだった筈なのに」
 俊治が「陵辱」の意味を解っているとは思えなかった。それでも、こうして頭を下げているのは、粉々になったリサの中の俊治像をほんの少し、繋げていた。
『――許すなんて言えない。みんな僕の事をモノとしか見てないんだ……。それで、時間ないんじゃなかったの?』
「そうだっ、そうなんだ。時間! 話を聞いた女の人達が逃げるって言ってて、それが今日だったんだ。こんなとこ、絶対おかしいだろ? もう、五分くらいで出発する筈なんだよ。だから」
『今日? これから? どうやって?』
 逃げ出そうと思っていたのはリサも同様だ。しかし、警備も厳重な施設から大勢の人間が逃げおおせるのか疑問だった。以前リサが逃げた時の状況を考えれば、人数が増えればそれだけ見つかる確率も高くなる。
「ちゃんとルートは見つけてある。っていうか、今日まで下準備してきたんだ。絶対逃げられる。リサちゃんだってこんなとこイヤだろ?! だったら今しかないんだ」
 俊治が立ち上がりリサに迫る。しかし、その真剣な眼差しはリサを襲う為に立ち上がった訳ではない事を示していた。
 気圧されるように一歩下がったリサが視線を外す。
『……簡単に言うけど……』
「今なら大丈夫。抜け出せる。さあ、行こう」

<つづきはこちら>





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