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投稿TS小説第141番 Blood Line (50)(21禁)

作.luci

prologue

「所長! 警備からです。緊急とのことです」
 手術台の周りを取り囲む白衣の集団。その中心には開頭された患者が寝ている。顕微鏡を覗き込み、微細な神経や血管を矢継ぎ早に縛り、切っていく医師に、看護士が告げた。
「手が離せん。携帯をこっちへ」
 看護士が高野の元へ携帯電話を持ち、そして高野の耳にあてた。携帯電話といってもPHSだが。
「なんだ? ……なんだと? 来てるのか?! いや、今はだめだ。せめて二時間、いや、一時間こっちへ来させるな。出る時には北側からだ、直ぐ出られるように用意しておけ。鹿島に0087号を連れて出ろと――バカな、お守りもできないのか、アイツは」
 ただならぬ会話に、周囲の医師達はオペ中にも関わらず互いに顔を見合わせていた。ただ高野だけが冷静に指を動かしていく。
「いいか、状況が変わった。取り出した脳は保存容器に移す。そっちの身体の処置はまだするな。向 こうで移植する。一時間後に運び出すぞ」
(厄介なコトになったな。真理が動くとは。予想より早かったか。まぁ、いい。イレギュラーも楽しみの一つと考えれば。コレさえいれば問題ない)
瞬きもせず、高野は露出した脳を見ながらマスクの下で一人ほくそ笑んだ。
 きっちり一時間後、取り出された脳が様々なドレンや電極を取り付けられ、養液に満たされた重厚な金属容器へと詰め込まれた。それをモニター類のついた金属製のケースに据え付ける。ケースには取っ手とキャスターが付けられており、持ち運びも可能になっている。
 高野と白衣の集団は、血液の付着した手袋と手術着を脱ぎ捨て、手早く着替えると施設からの逃亡ルートへと足を向けた。
 一直線の地下通路はコンクリート壁に囲まれて薄暗く冷たい。そこを足早に過ぎていく。施設北側には地下に大きく刳り抜かれたヘリポートがある。高野達が目指しているのはそこだ。施設の概要書にも記載されていない。そして政府施設だと言うのに、その存在は政府関係者は勿論、一般の施設職員にも知らされていない。
 戦時下にあるならばこんな設備も必要かも知れないが、平時には無用の筈だった。しかし、高野の計画を実行に移す為には不可欠だったし、今の状況下ではある事が救いでもあった。
ヘリポートに着くと、既にカモフラージュが解かれたベル407がゆっくりとローターを回していた。
「ケースは私と一緒に。身体は念のため向こうに積め」
 次第に大きくなるローターの風切り音に負けないよう、高野が声を張り上げる。指示だけすると素早く機体へ乗り込んでいった。
 全ての準備が済むと、轟音と共に高野が乗り込んだ機体から上昇していく。眼下では施設内に突入した機動隊や警察などがうろうろしてた。
(今更探しても何もないぞ。無駄足だ。残念だったな)
 不敵な笑顔を見せ窓から隣に飛ぶ機体に目をやった。一瞬の内に機体に穴が開き、操縦席の窓に赤いものが散らばる。
「な?!」
 主を失った機体はそのまま横へスライドし、暗い森の中へ突っ込んでいった。
『所長! 二番機がっ』
 同乗した職員がインカム越しに叫んだ。
「一体どうしたんだ?!」
『恐らく、どこからか攻撃が、あっ!』
 黒いシルエットが夜空に浮かび上がった。複座シングルローターのヘリコプター。機種にターレットが付いている。それだけで攻撃ヘリだと解る。そのターレットに付いた機銃が値踏みをするように高野の機体に狙いをつけた。
(待ち伏せされたのか、だとしたら誰が?)
 後部座席に座る男を、高野はどこか見覚えがあるような気がした。けれどそんな思考も、機銃が光り機体に穴が開くとできなくなっていた。横を見ると同乗した白衣の男から血が噴水のように噴き出している。
『所長っ、エンジンに喰らいましたっ。出力低下!』
 見る見る内に高度が下がる。高野の背中からじっとりと汗が流れ出していた。
「こんな事で終われんぞっ。何とか、何とかしろっ」
 叫べども機体は元に戻らない。高野の乗るベル407はそのまま森の中へ吸い込まれていった。
攻撃ヘリ、アグスタA129が旋回しながら高野のヘリが墜落した辺りを飛ぶ。後部座席に座る若い男が、無表情に現場を見た。炎が上がると森の中が明るく照らされた。そして少年のような横顔を見せる男が納得したとばかりに頷くと、数分旋回し続けたアグスタは踵を返して闇の中に紛れて行った。

 <つづきはこちら>

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