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投稿TS小説第141番 Blood Line (61)(21禁)

「! 誰!? あっ」
 あと二部屋を残すのみとなった時、二人の背後で扉の軋む音が聞こえた。真理が即座に振り返ると、リサの腕に銃身が当たってしまい、瞬間的に真理の指が銃を放すまいと力をいれていた。途端に耳をつんざく轟音が室内に響き開いた扉に大きな穴が二つ開いていた。
『ままま真理さん、ああぶない、です……』
 離れて歩いていたら自分の身体に大穴が開いていたかと思うと、リサはへたっとその場に座り込んでいた。真理もまた、「ほーッ」と大きく溜息を吐いた。
「ご、ごめん、ね。当たんなくてよかったぁ……」
 力が入りすぎて白くなった手を銃から放し、リロードする。中折れ式のショットガンから煙を吐きながらショットシェルがぽーんと放たれた。白衣のポケットから二つ弾を取り出し、込め直す。
「……ここ、もう誰もいないわね。あんなに大きな音がしたのに誰も騒がないんだから」
 能力者達がいないという事実だけを収穫に、二人は建物を出ようと玄関までくると、人影が見えた。
「あ、あなた! 大丈夫だった? 一体みんな……」
 真理の問にも頓着が無いとでも言うかのように、腕組みをした女が二人の前に立っていた。艶やかなショートカットの黒髪は、黒のスーツと白のブラウスに良く似合っている。これから会議にでも赴くような格好は、とても荒事をこなしてきたようには見えなかった。事実、真理もリサも、彼女が能力者であり、今し方大量殺戮を行って来たとは到底思えなかった。だからこそ、真理も声を掛けたのだが、状況から考えれば味方ではあり得ないし、真理もリサも見たこともない相手だ。
 真理が言葉を飲み込みショットガンを突きつけるが、それには構わず女はリサを値踏みするように上から下までじっと見つめる。その瞳には、感情が無いように見えた。
「あなた、誰? みんなをどこにやったの?」

「0087号、一緒に来てもらいます。一応言っておきますが、抵抗は無駄ですよ」
 リサに向かって一直線に歩いてくる女は、銃の存在などお構いなしだ。答えないという事と銃に恐怖を感じない事で真理は天井に向かって引き金を引いた。ばらばらと構造材が落ち、埃が辺りに舞う。
「止まりなさいっ。動いたら撃つわよ! みんなは? どうしたの?!」
 もう一歩進めば、女の手が真理の銃に届くという所で止まった。リサは真理の影から覗き見るように0124号を見た。無表情な顔は研究所でも見覚えが無い。ただ、何か違和感を感じていた。
「島内の人間は、あなた達を抜かして全て排除しました」
「は、排除?!」
「排除って殺したってことだよ。0124号、まどろっこしいよ、もうやっちゃおうよ」
 入口の向こうから別に七人の女達が現れた。その中で一番背の低い、少女としか言えない女が、ぞっとする事を言った。真理もリサも、「殺した」という一言で冷水を浴びせられたように寒気がしていた。
 真理は見ていないがリサは違う。目の前で貴子の頭が吹き飛んだ瞬間が目に焼き付いている。問答無用で幼い子の命も奪う相手なのだ。無力そうに見えても、どんな武器を持っているか解らない。
真理の持つ銃身が幾分か下がった。それを狙ったように八人が動き出す。焦った真理が0124号に向けた銃のトリガーを引いていた。
 しかし、衝撃も轟音もせず、ただ「カチャ」っという音だけが周囲の耳に届いていた。
「なっ? どうして?」
 何度もトリガーを引くが弾は出てこない。
『止まれっ。近づいたら骨折ってやるぞ!』
 弾を入れ替える真理の前にリサが立ち、周囲の人間の鼓膜を同時に震わせた。傍目にはリサに気圧され八人の歩みが止まったように見えた。しかし女達は特別驚いたようには見えなかった。かえってにやにやと笑う者までいた。
「自分だけが特別だとでも思ってるの」
「きゃっ?! 銃身が?!」
 小さな叫びにリサが真理を振り向く。そこには飴細工のように曲げられている銃身と驚愕の表情を見せる真理の顔があった。
「! かはっ、くっくるっし?!」
 喉元を掻きむしりながら真っ赤になっている真理。次第に涙目になって大きく口を開けている。リサは尋常ではない様子に真理の喉元を見ると頸動脈の辺りに不自然な凹みがあった。
『真理さんっ、大丈夫?! ちくしょう、酷いこと止め、?! う?』
 よくは解らなかったけれど、周りの誰かが能力者で、真理に何かをしていると思っていた。幸い性的な興奮でなくても、小さなPKなら使えるようになっている。それを誰彼構わずぶつけようとした。けれどそれは叶わなかった。
(手足がっ?! む、胸っく、くるしっ)
 まるで鹿島に抑え込まれたように動かなくなったリサの四肢。それに驚くとともに、胸の中を何かが圧迫するような感覚が現れていた。
『真理、さん……』
 既に床の上で倒れていた真理に、その【声】が伝わったのかどうか、急速にリサの感じる世界は小さくなり、ついには意識を失うに至った能力者には解らなかった。

<つづきはこちら>





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