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投稿TS小説第141番 Blood Line (65)(21禁)

 廊下の角や物陰には細心の注意を払わなくてはいけない。その鉄則を忘れていた0035号は、曲がった直ぐそこに蹲る人影が見えなかった。蹴躓いて蹌踉けた時、0035号は胸を押さえた。
「あ? なん、で?」
「どうし――あっ、お前!」
 引きつるような違和感に0035号が胸を拳で叩く。けれどそれは何も解決できなかった。背後から足下にいる銀髪を見つけた0093号が叫ぶ。
 白と銀の奥に光る紅い瞳が二人を睨み上げる。0035号の身体の中で、それまで動き続けていた心臓が止まった。倒れ込んでくる0035号の身体を避け、リサは下がりながら立ち上がった。直後に首が絞め付けられる。
(うぐぅ……苦し、ううううっ)
 首を絞める見えない手を、リサの手が払おうと動く。けれどその動きは空しくも用を為さない。廊下の角には憎々しげに睨んでくる0093号の姿があった。
「答えなさい。ワタシ達に会う前に会ったのはどうした」
 ゆっくりとリサに近づく0093号。リサはそれに答えず再び蹲った。
「――捕らえるなんてヌルイ。この手で殺してあ、ぎゃ?!」
 リサの首をねじ切ろうと力を強めた瞬間、0093号は小さな叫びを上げ耳を押さえた。リサが鹿島にやったように鼓膜を破ったのだ。突然の痛みに0093号の首を絞める能力が消え去り、リサは喉を押さえて激しく咳き込んだ。
 苦痛に0093号の顔は歪んでいたが、視線はリサを捕らえたまま離さない。
「下手な事しやがって!」
 過去を消され、男であった事すら覚えていない筈の脳移植能力者達。しかし如何に高野が優秀だとしても、一朝一夕に脳のデータを全て入れ替える事はできなかった。何かの折りに、言葉遣いや態度が男に戻ってしまう。
 0093号が興奮のあまり掴みかかって行った。もし殴りかかっていたなら、0093号に軍配が上がっていただろう。リサは幼少の頃からのトラウマで、手を振り上げられると身体が硬直してしまうのだから。
 しかしそうはならなかった。0093号の手がリサの細い首筋を両手で掴む。血走った眼つきで、そのまま力を入れようとした。気管をつぶされ窒息するかに思われたリサだったが、0093号の手は首から離れずるずるとリサの乳房を通って廊下に触れていた。リサは目には目をと言わんばかりに、見えない手を使って0093号の頚動脈を押さえていた。研究所にいた頃、人体について詳しく調べた事がこんな事で役立つとは、リサ自身も思わなかった。
(いったぁ……あ、ハダカ)
 一瞬にして落ちた0093号の手が乳房に当って赤くなり始めていた。そこで漸く、リサは自分が全裸だった事を思い出した。それまで、異常な興奮状態にあった事で周りが見えなくなっていた。
自分の服は陵辱される前に全て剥ぎ取られていた。選択の余地などないリサは、素早く0093号の黒いジャケットを着込んだ。
(! ヘリの音?!)
 バタバタと独特の轟音がリサの耳に届く。それが何を意味しているのか。リサは出口に急いだ。

「な、なんなのよ、アイツ……」
 能力者達の宿舎と道路を隔てる塀に凭れながら、0103号が呟く。それを0079号と0071号が心配そうな目で見ていた。二十代前半のモデルだと言っても通用するほどの容姿を持つ0103号。能力的にはPKも使えるがどちらかと言えば情報収集能力に長けていた。それは他の能力者達よりも強い透視能力に他ならない。影に隠れた排除対象を見つけだす事が最も大きな仕事と言えた。今はそれを使って後悔していたけれど。
「なに? どうしたって?」
 一番年若く見える0071号が不審に思い尋ねるが、0103号は目を瞑って再度「見る」事に集中していた。
「……0116と0085が……」
 信じられない光景だった。能力の値は他を凌駕していた0116号と0085号が、殆ど何も反撃できずに倒れていく。それをまざまざと見せつけられたのだ。戦闘より情報収集という0113号にとって、この時初めて命の危機を感じていた。それは他の能力者達も同様だっただろう。
「死んじゃった」
「マジで?! どうするよ? 逃げるって言っても」
 見た目の年齢ではこの中で一番老けている0079号が、若い0071号の表情を伺いながら聞く。
「――0103、あんたどこから出てくるか見つけろ。0079は後ろから物理的に攻撃するんだ。……その隙はこっちが作る」
 若干、男の意識が残っているのか、0071号がどこと無く乱暴な口調で伝える。0079号は明らかに嫌そうな顔を作っていた。しかし彼女にしても、退くことは出来ない。そんな事をしたら高野や0124号から死ぬより辛い目にあわせられるのは火を見るより明らかだった。リサと対峙するしか無いのだ。
「アイツは……真っ直ぐ出口に向かってる」
 ぱっと顔を上げ、目の前にある扉を示すと、0071号が頷いた。
「0079はこっちで隠れて、隙ができたらこいつで殴りつけるんだ」
 特殊警棒を渡すと0071号はそのまま宿舎の玄関前へと歩き出した。

<つづきはこちら>

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