FC2ブログ

Latest Entries

投稿TS小説第141番 Blood Line (70)(21禁)

* * * * 再会 * * * * *

 コンピューターと人が発する熱で暑い位になっている室内には、数十のモニターが並んでいる。制服を着込んだ男達がインカム越しに流れる情報とモニターをチェックしつつ、背後に立っている五十台がらみの恰幅の良い男と、この場に似つかわしくない十代の少年に逐一報告をしていた。
「島内の能力者は全て死亡しています」
「こちらの情報にない人物の死体が数名分あるようです」
「逃亡したと見られるヘリがレーダー圏外に入った模様。着陸地点の予想範囲を出します」
「……今、大きな能力反応がありました」
「三名、生命反応ありません」

 通常であれば隊員が見ている映像が映っている筈のモニターはブラックアウトし、フラットラインとなった心拍表示のみを映す三つのモニター示しながら、一人のオペレーターが二人を振り返った。
「なかなか手強いガキだな。手練れをこうも簡単にとは」
 傍らに立つ少年に冷たい視線を送りながらひとりごちる。少年はその視線の意味を知ってか知らずか、そちらに顔を向けず答えた。
「化け物と言っても所詮ガキですから。心配しなくても、網を張っていればいずれ消せますよ、大塚さん」
 大塚と呼ばれた男は「ふん」と鼻を鳴らした。
「高野も逃がしおって……。明後日、上の人間と対策会議がある。皆川、お前も同席して貰うぞ」
「……高野はそちらが捕捉して貰わないと。こっちは化け物駆除に全力を注いでるんですから」
 勿論同席します、と付け加えながら、大塚に背を向けてオペレーターに何事が囁く少年。その姿を見ながら大塚は踵を返した歩き出した。どこからともなく人相の悪いSPが周囲を固めた。
(自分もその「化け物」の一人だったんだろうが。能力者は何を考えてるんだか理解できん。高野の件さえなければ利用価値など無いものを)
 部屋を出る大塚の背中に、振り返った少年が冷めた目で見送る。
「そういう事はここから出て行ってから思って下さい。丸聞こえです。それから名前を間違えないで下さい」
「あ、ああ、すまんな。ついだ、つい。失礼するよ、武石君」
 少年の声に表情を強張らせた大塚はそそくさと退出して行った。武石幹彦の姿を持つ者は、リサの捜索指示を出すのも忘れ唇を噛み締めていた。
 鬱蒼と茂った樹木の間から、時折ちらちらと紅い瞳が揺らめいてるが、光線の関係からか森の外からは見えない。紅い瞳が見るその先には、道路を隔てて鉄の門が立ちはだかっている。両脇には「ここが恒久平和を謳おうとしている国なのか?」と言いたくなる程重装備の歩哨が、土嚢に囲まれた機関砲を構えて周囲を警戒していた。
(あの男のイメージの場所、だ)
 三時間程前からそこに潜んでいたリサは、これまでの間、数台の黒塗りの高級車が施設の中へ消えていくのを見ていた。開いた門の向こう側にも重装備の「兵隊」が見えた。門から二十メートル程向こうには、鉄筋コンクリート三階建ての建物が見えた。建物の前はロータリーになっており、高級車がそこに停められている。施設の周囲が何キロメートルもありそうな割りには小さな建物だという気がしていた。
 なぜリサがここに来たのか。高野への憎悪は余りある程だった。本来なら元凶である高野に復讐したい所だが、 その行方が解らない。仕方なく、手がかりのあった俊治の殺害を指示した人々がいる筈の場所へ来たのだ。

(どうしようかな)
 感情に委せて来てしまったけれど、具体的に誰をどうするのかという事を考えていない事に気付いた。大体、ここを破壊出来たとして、まだ他にも拠点があるならイタチゴッコにしかならない。
 しかし、それでも、だった。瞼の裏に残る俊治の鮮やかな血の色、鼻に残る鉄のような生臭いような匂い、そして手に残る生暖かい温もり。思い出す程に相手に対する怒りと、何もできなかった自分への悔恨が混ざり、激情が渦を巻いてくる。それを誰かにぶつけないとリサの精神がもたなくなりそうだった。
 一頻り目を瞑り下腹に溜まる黒い激情の渦を感じつつ、リサはゆっくりと立ち上がった。

 大塚と幹彦が周囲をSPに囲まれながらエレベーターに乗り込んだ。幹彦以外は皆大柄なためか、周りが見えなくなるためか、幹彦は少し息苦しさを感じていた。
 地下五階を目指すエレベーターが静かに動き出す。
「それで、行方知れずのヘリが黒こげで見つかった訳ですか」
「機内に死体があったんだが、高野では無かった。まったく手間をかけさせてくれるヤツだ。施設の後処理も大変だったというのに」
 幹彦の問いにハンカチで汗を拭いながら大塚が答える。元々高野と能力者を政府の駒として非合法活動をさせようと画策していた大塚だったが、今は違う。自分の為に捨て駒としようとしていた。
 今から少し前、真理の父、長谷川の情報リークにより所内の非人道的行為(能力開発と称し性的虐待が行われていた事)が社会的な問題となってしまっていた。それに相まって、各国での能力者と非能力者間での軋轢が原因による暴動が多発、それに呼応したように国内でも大規模なデモが展開されていた。施設の問題が露見したのは丁度その時であった。
 大塚は責任を追及される側となり、施設の閉鎖を決定。同時に施設内での非人道的行為は所長の高野一人の問題であるとし、能力者を仕立て上げて告訴させた。捕まれば何を言い出すか解らない高野の存在は、大塚にとっても政府にとっても危険極まりない存在だった。故に早急に「処理」する必要があったのだ。
 そしてもう一方の能力者に関しても、その危険性が改めて検証され、特に為政者にとってはデメリット以外の何者でもないと判断された為に、能力値の高い者を始末する事となった。
能力者の掃討にあたっては能力者がどういうものなのか、事前に知っておく必要があるとされ、政府が唯一確保していた個体がアドバイザーとなった。それが「武石幹彦」だった。

<つづきはこちら>





無料アクセス解析


コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

http://okashi.blog6.fc2.com/tb.php/3913-d837a64c

この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

«  | HOME |  »

DMMさんの宣伝

 

初めての人はこちら

ts_novel.jpg

 

性の揺らぎに関する作品でお勧めのもの

ts_syouhin_20090318225626.jpg

 

性の揺らぎに関する作品(一般)

ts_syouhinもと

 

ブログ内検索

 

最近のコメント

プロフィール

あむぁい

  • Author:あむぁい
  • 男の子が女の子に変身してひどい目にあっちゃうような小説を作ってます。イラストはパートナーの巴ちゃん画のオレの変身前後の姿。リンクフリーです。本ブログに掲載されている文章・画像のうち著作物であるものに関しては、無断転載禁止です。わたし自身が著作者または著作権者である部分については、4000文字あたり10000円で掲載を許可しますが、著作者表記などはきちんと行ってください。もちろん、法的に正しい引用や私的複製に関しては無許可かつ無料でOKです。適当におだてれば無料掲載も可能です。
    二次著作は禁止しません。改変やアレンジ、パロディもご自由に。連絡欲しいですし、投稿希望ですけど。

 

全記事表示リンク

ブロとも申請フォーム

月別アーカイブ

 

最近の記事

 

ブロとも一覧


■ ブログ名:M物語(TSF小説)

 

カテゴリー

新メールフォーム

イラスト企画ご案内

20080810semini.jpg

 

リンク

RSSフィード

2020-08