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水曜イラスト企画⑲ 絵師 東宮由依さん(4)  仮名:フランツ少尉

キャラ設定 フランツ少尉  少年軍人(将校)
He was a young officer.
他是一位年青的軍官。

彼が主人公のお話 星の海で by ありす

絵師:東宮由依 光の砦

フランツ


水曜イラスト企画の説明はこちら。毎週1枚キャライラストをUPします。

本キャラを主人公/脇役にしたSSを募集しています。コメント欄に書き込んでください。(事故を防ぐため別途ローカル保存推奨)追加イラストを希望する場合は希望シーンに<イラスト希望>と書き込んでください。私が了承し、絵師さんも乗った場合はイラストの作成を開始します。

初出20080618

コメント

ご指摘ありがとうございます。早速修正しました。

キャラ設定,中国語では
「他是一位年青的軍官。」
あのキャラは今は女の子だろう。ですから、
英語のキャラ設定はHe was a young officer.

ああー、ありすは相変わらず上手ですね。
素敵な短編に仕上がってます。東宮さんにもお知らせせねばー。

SF短編(エロ無し)

短い上に、エロが無くてすみませんが……


【星の海で】

虚空の宇宙空間。時折走る細い光芒が、小さな輝きを生んでいた。

「敵艦隊、速度が落ちました。防御陣形を取りつつあるようです」

照明の落とされた室内。戦闘状態にある艦橋の中で、数名の士官が数隻からなる艦隊全体の指揮統制を行っていた。艦橋の中心、一段高いところに座っていたリッカルド司令は、艦橋前方にしつらえられた大型の戦術モニターを見ながら頷いた。

「よろしい、敵も消耗してきた様だな。こちらも陣形を整えよう」
「司令、その前に一度、攻撃をしてみてはいかがでしょうか?」

司令の隣に座り、戦術モニターを操作していた女性士官が進言する。ミドルティーンの少女の様な姿をしているが、彼女が戦局を見誤ったことは一度も無かった。司令の手元のディスプレイに、彼女から短い数字のメッセージが送られてくる。

「そうだな……。では、全艦主砲斉射3連。照準座標位置は敵艦隊中心、D61-C62-B20」
「アイアイサー! 全艦主砲斉射3連用意! 照準固定、D61-C62-B20」

砲撃管制士官が復唱する。艦隊全体の射撃管制を掌握できる粒子スクリーンが、指令席と戦闘副官席を包むように立ち広がった。艦隊全体の射撃管制装置の同期が取れたのを確認すると、リッカルドは力強く叫んだ。

「ファイアー!!」

眩い光芒が虚空の空間を3度貫き、そしてたくさんの輝きが生まれては消えた。

「敵艦隊は小集団に分裂、各個に戦場を離脱していきます」

観測士官が、やや興奮した口調で報告する。膠着状態にはいるかと思われた戦局が、司令の的確な判断で完勝に近い形で、終わりを告げようとしているのだから。

「よし、終わったな」
「反撃は無いようですね」

司令席と戦闘副官席を包んでいた粒子スクリーンが、細かなきらめきを散らしながら消えていった。

「陣形を整えろ。しばらくこの場にとどまった後、次の補給地へ向かう。アレッサンドロ副長は各艦の担当士官と損害報告をまとめて置くように。トダ参謀代理、指揮を引き継いでくれ。少し休ませてもらう、状況が変わるようであれば、呼び出してくれ」
「アイアイ、サー!! 指揮を引き継ぎます」

司令は隣席に座っている、女性士官にも声をかける。

「戦闘副官、キミも疲れただろう。休みたまえ。……その、一緒にな」

最後の一言は小さく、本人にしか聞こえないように言ったが、艦橋にいる全員が察していた。

「はい、お供します」

*---*---*---*---*---*---*---*

落ち着いた室内。艦隊司令の任にあたるにはかなり若い青年と、こちらも戦闘艦に乗務するにはあまり似つかわしくない少女が、戦闘の疲れを癒そうとくつろぎ始めていた。

「司令、コーヒーにしますか? それとも紅茶にされますか?」
「フランツ、いや、フランチェスカ。2人のときは『司令』はやめてくれ」
「それじゃリッカルド、コーヒーと紅茶とどっちにするんだ?」

フランチェスカと呼ばれた女性は、急にぞんざいな、しかし親しみのこもった口調で尋ねる。

「酒」
「飲んだら眠くなっちゃうんじゃ無いの?」
「いいんだよ、疲れたからもう寝たいんだ」
「はいはい、でもヤるんじゃなかったの? わざわざ呼びつけたってことはさ。ボク、この後忙しくなるのに」
「ばか、戦闘の直後だぞ。ついさっきまで殺気立っていた連中に、何されるか判らんじゃないか!」

士官服のままベッドに倒れこんだリッカルドの傍に、グラスを持ったフランチェスカが腰掛ける。

「心配してくれるんだ?」
「オマエにそんなことさせているのは、オレの責任だからな……」
「別に。ボクがやるっていったんだから、リッカルドのせいじゃないよ」

フランチェスカは元”男”だった。リッカルドの副官としてこの艦に配属された時はそうだった。しかし今は薬品投与と設定を変えた生体培養槽による生体変換の結果、女性の体をしていた。もともと線の細い感じではあったが、女性化のために顔立ちはすっかり少女のそれになり、髪は長く肌も透けるほどに白くなっていた。昔の彼を知っていた人物がいたとしても、今の彼の姿からは本人とはわからないかもしれない。

銀河を跨いで行動する戦闘艦は、その長い航海に備えてさまざまな物資を積んでいる。水や食料は言うに及ばず、さまざまな娯楽品も。娯楽品の中には、男性ばかりの戦闘艦にあって、その疲れと渇きを癒すための女性=”ラヴァーズ”も積まれていた。通常は母星の性犯罪者を性転換し、懲罰を兼ねて乗艦させられているのが普通だった。そうした"元男"の犯罪者が戦闘艦という監獄の中で、逃げ場の無い奉仕活動に従事させられていたのだ。罪人であるという来歴故に、その待遇はあまり良いものとはいえなかった。しかし長く同じ艦で寝起きし、肌を重ねていれば次第に情も移り、それなりに扱われることも多かった。
だが、決して悲劇と無縁では無い。
彼らの艦隊は前回の出航から数えて3回目の戦闘時に大きな被害を出し、旗艦以下多数の艦艇を失った。
リッカルドが艦長を務めていたこの艦も被害を出し、多くの乗員を失った。ラヴァーズも。
無限に続くと思われるような艦の補修作業、人員不足、乏しい補給、いつ敵が攻めてくれるとも知れない緊張状態……。殺伐とした空気が艦内に漂い、士気はどん底だった。数ヶ月に渡って実質的な戦闘不能状態が続いた。このままではいけないと、誰もが思っていた。

「だいたい、オマエがラヴァーズになる必要なんか無かったんだ。俺の隣に座って艦隊指揮を補佐していりゃ、よかったんだ」

リッカルドは起き上がって、フランチェスカからグラスを受け取るとぐいっと飲み干した。

「まだ言ってるの? 公正なくじ引きの結果だろ。第一、くじで選ぼうって言ったのは、リッカルドじゃないか」
「艦橋要員は除外というのを、無視したのはオマエだろう?」
「艦隊指揮はリッカルドがいれば十分だろ。それに、この艦で一番暇なのはボクだよ」

フランツ少尉は、当初は分艦隊の指揮官として数隻を率いていたが、艦隊が大きな損害を出し、乗艦も失った。そのため生き残りのリッカルドの艦に転属となった。だが準旗艦だったリッカルドの乗艦は、自動化が進んだ最新鋭艦だったため、特に艦橋要員は必要としていなかった。そのため、新たに残存艦隊の司令となったリッカルドは本来の副官とは別に、戦闘副官のポストを作って、士官学校時代の後輩であるフランツ少尉を、その任につけていたのだが……。

「どうかな、オマエは戦闘副官として十分に良くやっていたと思うが? さっきの戦闘だって、決着がついたのは、お前の助言があればこそだった」
リッカルドは空になったグラスをサイドテーブルに置くと、フランチェスカの腰に手を回して引き寄せた。
「リッカルドが疲れているように見えたから、ちょっと口を挟んだだけだよ。結果は同じだったよ」
「俺には、あの座標は読めなかった。オマエが的確に敵の脆弱点を見抜いたからこそ、今度も生き延びることができたんだ」

そういうとリッカルドは、抱き寄せたフランチェスカの前髪を掻き揚げ、濃厚なキスをした。

「んんん……、ぷはぁ……。んふ、そういってくれるとうれしいな。お役に立てて光栄ですわ、司令」
「『司令』はよせ。いまは只の、男と女だ」
「はじめは気味悪がっていたくせに。『一緒に士官学校の正門に立ちションした奴となんかできるか!』ってさ」
「つまらん事を思い出させるな、萎える」
「うそ! ココは元気みたいだよ」

そういってフランチェスカはリッカルドの股間に手を伸ばし、リッカルドはフランチェスカの背中の辺りのファスナーを探した。

「女の服ってのは脱がせにくいな」
「いいよ、自分で脱ぐから」

宇宙艦隊に女性の士官なんかいない。だから女性体となったフランチェスカは、ラヴァーズ用のドレスを着ていた。

「いつも思っているんだが、この服何とかならんか?」
「何とかって?」
「戦闘中の艦橋に、こういう服で来るなといっているんだ」
「しょうがないじゃん。これから艦隊報の撮影って時に、警報がなったんだから」
「そうだとしてもな、こんなひらひらの薄着で艦橋にくるなよ」

戦闘中の艦橋は、万が一のために人工重力を弱くしている。状況確認と細かな指揮補佐のために席を立つたびに、フランチェスカのスカートがふわふわと舞い、艦橋要員の注意力が削がれていたのを、リッカルドは苦虫をつぶしながら見ていたのだった。

「着替えてる時間無かったんだから、しょうがないじゃない。それとも裸でいろっていうの?」
「オマエ用の士官服を用意しろと、通達を出しておいたはずだが?」
「この前支給された新しいのがこれだけど? でも色は正規服と同じ色だよ」
「そういうことを言っているんじゃない。 補給担当は何をやっているんだ? もういい!」

リッカルドはようやく見つけた背中のファスナーを勢い良くおろした。控えめな胸を包む下着が、ドレスの胸元からのぞく。

「やめてよ、やぶけちゃうでしょ。規格品じゃないから、自分で繕わなきゃいけないんだから」
「いいじゃないか、脱がさせろよ。果実の皮を剥くのもお楽しみのうちなんだから」
「もう、このスケベ! ストッキングだけは破かないでよ……」

*---*---*---*---*---*---*---*

「まったく、乱暴で勝手なんだから……」

一戦を終えて満足したのか、リッカルドは鼾をかいて眠っていた。

フランチェスカは身支度を整えようとベッドから起き上がろうとした。しかし、ウェーブのかかった長い髪の端をつかまれていることに気がついた。握っていた手を解こうとしたら、今度は手を掴まれた。
寝言なのだろう、小さくてはっきりしない発音で、リッカルドが言った。

「フランツ……。いつかきっと、元に戻してやるから……」

元になんて戻れるのだろうか? 少なくともラヴァーズになってから、また元に戻った人間なんて聞いたことが無かった。でも……、なんとなく後悔はしていなかった。

握られた手をそっと指で解くと、リッカルドの手が名残惜しげに空を掴んでから、力なくシーツを叩いた。
フランチェスカは毛布をかけ直すと、リッカルドの額に軽くキスをした。

「独占させてあげられなくて、ごめんね」

リッカルド以外にも、フランチェスカを待っている人間が艦にはいる。
誰も彼も、長い戦闘航海に疲れ切っていて、慰めを必要としている。
初めは抵抗があったこの役割も、艦隊を維持するためには必要なことだ。
それに……。複雑な思いがフランチェスカの小さな胸を駆け巡る。自分の中でもまだ整理のついていない。とても複雑で奇妙な思い。でも今は、無理に結論を出そうとは思わなかった。

フランチェスカは部屋の照明を落とし、閉じかけた司令私室のドアのかげから声をかけた。

「おやすみ、リッカルド。よい夢を」

(END)

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