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性転換小説第72番 プールにて

プールにて

イラスト:一夢 HP ゆめのひ


海。
生命の根源にして母なる海。
「パパー、プールにも行こっか」
「行こっか」
初めての海水浴に喜ぶ息子。
平和だ。
広島県尾道市因島。
例の尾道の坂あたりから車で30分ほどしまなみ海道を走ればそこはもう瀬戸内に浮かぶ小さな島。
のどかでひなびた海水浴場だが、夏にはやはりそれなりの人が集まりちょっぴり賑わう。
海の方には見渡す限り十数グループしかいないが。
その寂しさを紛らわすかのように夏向きのJ-POPが大音量で流れる。
私は息子の手を取り、プールへと向かう。
かえるさんの浮き輪。家でこれに空気を入れた段階で既にハイテンション状態だった息子は、ぎゅっとそれを握りしめる。
「お姉さんがぁ、溺れていたらぁ、これをひゅっ、と投げて助けてあげるの」
見事な作戦だ。
3歳にして既にこの叡智!さすがは我が息子。
慣れないビーチサンダルで歩きにくい砂浜をパパとママと息子で3人手を繋いで行く。
売店で、いちごのカキ氷とフランクフルトと尾道ラーメンを食す。
栄養補給が済んだら、プールに向かう。


「奨ちゃん、もう一回入る」
「はいはい」
何度も消毒用のプールに漬かる息子。
馬鹿だ。
だが、それが良い。
「あ、奨ちゃん」
「カノンちゃん」
「あら、カノンちゃん」
プールには先客がいた。
息子の幼稚園での上級生、カノンちゃんとその両親。
幼稚園では縦割りの組み分けで年少組と年中組と年長組とでクラスが形成されている。
少子化により兄弟が減った今、こういった形での交流は良いかと思いこの幼稚園に入れたのだ。
カノンちゃんは奨が「面白いから」お気に入りのようで、我が息子の奨は女の子ならみんな好きと来ている。
カノンちゃんはピンクの花柄の水着でなかなかに可愛らしい。
カノンちゃんのママは黒いビキニのブラにおとなしめのパンツを合わせてきている。こちらも娘が可愛いだけあってなかなかのモノ。
お母さん、も少し若いときにお会いしたかったです。
ちなみに私の水着は、妻に、
「好きなの買っても良いよ」
と言われたものの。ホントに好きなのを買うわけにもいかず、普通に黒の長めの男物の海パンだ。

「奨ちゃん。こっちに良いものがあるの。行こっ」
「うん」
カノンちゃんに手を引かれて、プールサイドを走る奨。
こぼれる笑顔。
プールで楽しい。カノンちゃんがいて嬉しい。
いいねぇ。青春だねぇ。
私は慌てて追いかける。
カノンちゃんはウオータースライダーへと奨を連れて行く。
二人で滑る。
また上る。
滑る。
また上る。
滑る。
また上る。
あ、ひっくり返って滑った。
「がぼごぼがぼ」
「おーい、奨。大丈夫かぁ」
慌てて水中から引き上げる。
涙目だ。
「あのねぇ。怖いからもう泳がないの」
いや、別に泳いでないよ、キミは。
「奨くーん」
カノンちゃんのお誘い。
彼女の手が奨の手を引く。
「もう、泳がないから!」
奨の拒絶。
カノンちゃんはとっとと先へ行き、スライダーの上へと向かう。
「バイバイ!」
「待ってよー」
慌てて彼女を追いかける奨。
ああ、いいねぇ。青春だぁ。


ふぅ。
妻に奨を任せて、プールサイドで一休み。
白い椅子に机。そしてパラソル。オレンジジュースには氷が浮き、長いストローが突っ込まれている。
今回、金曜日なせいか、若い家族連れと小さな子供がメインの客層のようだ。
若いお姉さんはいないが、若いお母さんや、ロリな女の子達もそれはそれで良いものだ。
「可愛い息子さんですね」
その時、次元を裂いて私の傍らに現れた美女一人。
田舎の海水浴場に場違いなハイレグビキニ。
「オーヴァくんか。相変わらずアニメから出てきたみたいに美しいね」
「有難うございます、あむ様」
オーヴァくんは私がこの世に愛と希望をもたらす代わりに私に力を与えてくれる契約を交わした悪魔だ。本人はヤプール神の電脳美少女巫女を名乗っているが。
「見ての通り、今日は家族サービスだ。キミの出番は無いかと思うが」
「あら。アクセスアップには我らがメインコンテンツたる新たなTSが必要です。今回はこの私が自ら手を下して、新たなTSを誕生させてご覧に入れましょう」
オーヴァくんの目は奨に注がれている。
「こらこら、家族には手を出すな。私は自分の息子が女の子にされて喜ぶような鬼畜ではないぞ。もっと良いターゲットが、ほれ、あそこに」
「へぇ」
オーヴァくんの目が私の指差す方を向く。

「おい、逃げるの無しな」
田舎のスポーツが得意な少年と言ったところか。真っ黒に日焼けして精悍な顔。
「うん」
水色のスクール水着っぽいものを着ている女の子が頷く。こちらも日に焼けた顔がボーイッシュで可愛い。まだ膨らみがほとんど無い胸。でも、微妙な曲線が女の子だと健気に主張する。成長途上、日々変わり続け一瞬一瞬が見逃せない。そんな感じの女の子。
よくわからないが男の子と女の子はお互いの手と手をがっしりと掴み押し合いへし合いを始める。
じゃれあっているのだ。
弾ける笑顔。
気は許しているが、異性としての意識はまだ無い。良い。実に良い。

「なるほどー。小学校高学年ですかねぇ」
オーヴァくんの顔に邪悪な笑みが宿る。
「見給え。紛う事無き青春の一コマ。実に実にすばらしい。だが、彼らはその素晴らしさを認識しているのだろうか?否。大切なものは失って初めて気付くもの。このまま放っておけば、彼も彼女も他の男女とくっついてしまうかもしれん。オーヴァくん、我々の手で、彼らにハッピーエンドを与えてやろうではないか」
「はい。マスター!」
オーヴァくんのビキニが真ん中で分離し、パカッと開く。
そこにはメカメカしい金属がむき出しで、周りの空間から何やらエネルギーのような赤い粒子を集める。
「エネルギー充填、完了。目標正面の男の子ッ。ターゲット、ロックオン」
赤い十字架が、彼の顔面を捉える。
しかし、勿論我々以外には見えない。
「女性化光線、発射!」
オーヴァくんの胸から照射された赤い光線が男の子に浴びせられる!
i_1 (2)


「あ」
「どうしたの」
びくりと体を震わす男の子を気遣う女の子。
「な、なんでも無い」
強がる男の子。
「顔が赤いよ」
「ひやっ」
無造作に伸ばされた女の子の手が男の子のおでこに伸びる。
ふむ。ちょっと熱っぽいかな。
一方男の子は敏感になった自分の体に戸惑う。
「あ、れ?」
女の子の視線が男の子のおっぱいに注がれる。
なんか、膨らんでる?
「な、何見てるんだよ!」
男の子は顔を赤らめ胸を隠す。
「なんか、おかしくない?まるで女の子みたい」
女の子の手が男の子の腕に伸びで隠された胸をあばきたてようとする。
男の子は必死にガードする。
「やめて。やめってって」

i_2.jpg

その声のトーンが上がっている。
「やっぱり変だよ。ちょっと見せて。見せてってば」
「「き、きゃぁぁあ」」
どっぽーん。
プールに落ちる二人。

「成功です。フフフ」
「見事だ。自らの変化に戸惑う男の子。そして、それを間近で見て少女はやがて自分の秘めたる思いに気付く。カンペキだ。見えた!ハッピーエンド間違い無い」
私は太鼓判を押す。日本で起こる原因不明のTSの62%は我々の仕業なのだ。
「ええ。良いことをしましたね。あら、奥様がお呼びですよ」
「うん。あいつも読者サービスを考えてもっとセクシーな格好をすれば良いのだが」
こちらに向けて手を振る妻と息子。
妻は水着は着ないという宣言をして、ジーパンにシャツだ。
「いやー、奥様は読者がいるなんて知らないんじゃないですかねー」
「む。それもそうか。じゃあ、また夜に」
「ではではー」
オーヴァくんが次元の裂け目に消える。
私は妻と息子の方へ向かう。
「お兄ちゃんとー、お姉ちゃんがー、どっぽーんって、落ちたの。水がぴゅーって飛んだよ。奨ちゃんはびっくりしちゃった」
「そっかー。どうしちゃったのかなー」
私は息子の手を引き撤収の準備を進める。
お昼寝があるからそろそろ帰らねば。
息子は何度も消毒用のプールに漬かる。
やっぱり馬鹿だ。
可愛いなぁ、もう。
私と息子はシャワー室へ向かう。
「うわぁー、無い!」
隣でさっきの男の子が泣きそうな顔で叫ぶ。
「奨ちゃんねぇ、女の子になっちゃったよ。ほら」
息子がおちんちんを隠しておどける。
奨、、、恐ろしい子。
とか思ったけど、まぁ、良くあることだ。そういう事にしとこう。
男の子はすごい目で奨を睨み、泣きながらどっかにダッシュして行く。
おいおい、息子に罪は無いぞ。
てゆうか、パンツははけ。

「そんじゃあ、帰ろっか」
「うん」
「プールは楽しかったですか?」
「うん。すっごく楽しかったよ」
そうか。それは良かった。
新たなTSも出来たしな。
私たちは車に向かう。耐熱シートを配置してたのと、妻が一足先にクーラーを点けてたので、思ったほどには暑くない。
私は荷物をトランクに放り込み、奨をチャイルドシートに載せる。
走り出すとたちまち奨は眠りこける。
疲れていたのだろう。
そんな顔をルームミラーで見ると幸せになってくる。
なんて可愛いのだろう。
そうだよなぁ、TSするにしても中学生や高校生になってからだよなぁ。

<おしまい>

コメント

コメントありがとうございます。秘密コメントはレスが返しにくいなぁw

「交流は良いかと思い入れた」という箇所は「交流は良いかと思っているのだ」
>分かりにくかったようですので、交流は良いかと思いこの幼稚園に入れた、に修正しました。

プールが舞台なのに海水浴場となっている箇所が一か所
>付近一帯が海水浴場でその中にプールがあるのでスルーしてください。

格好が物語の前後で食い違っている
>と言われて探したけど特にそんな箇所は見つかりませんでした。まぁ、そこは萌え対象のキャラじゃないんで気にしないでください。

出来たら続編を書いてくれませんか。
>女性化した男の子の方は書くかもしれません。

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