fc2ブログ

Latest Entries

「カストラート」 (そんな、おままごとみたいな……Noch einmal) (17) 作.ありす 挿絵.東宮由依

第16幕 スキンシップ作戦(Ⅱ):接触編

 しかし、相談した3人が3人とも、同じ答えとツッコミだったとは……。
 ここで勇気を出さなきゃ男が……いや女が廃る?
 でも体で迫るといってもなぁ……。体格が違いすぎるし、自分で見ても明らかに子供だ。
 いや、それなりに成長はしていると思うけど。クララがロリコンとは思えないし、それに、一緒に寝てしまった時だって、クララは私に何もしなかった。
 その気になれば、力ではまったく敵わないのだから、好きに出来るはずだけど、クララはそういう人ではなかった。そのことは、つまり、私を女とは見ていないということなのかもしれない。
 つくづく自分は中途半端な人間であると思い知らされてしまうけど、一線を越えたら……、少なくとも、クララと本当の夫婦になれば、中途半端な私も、ちょっとはマシになるかもしれない。
 それは男に戻ることを、あきらめるということになるかもしれないけれど、少なくとも今よりはマシなんだと、そう思うことにしよう。


 で、決行は今夜!
 思い立ったが吉日、って東洋のことわざらしい。
 なぜなら、今夜はファリンとハルは隣のポム村に滞在中で、帰ってこないからだ。
 あの二人、最近頻繁に外泊するようになったけれども、もしかして……。
 だけどどうやっているんだろう? いや、そんな想像しちゃいけない。

 私はヘルマ直伝の、精力のつくメニューで食卓を飾り、クララの帰りを待った。

「なんか変わった味のする、食べ物だね」
「うん。ヘルマが教えてくれたんだけど、ちょっと苦いね。でも精力がつくんだって」
「精力?」
「うん、夜の……じゃなくて、ほら、もう直ぐ刈入れでしょ? 体力付けとかなくちゃ」
「ああ、そうだな」
「ね、今晩は二人きりなの。こっちに泊まっていくでしょ?」
「ん、ああ……。クノがそういうなら」
「そうだ! ヘルマがね、いい匂いのする石鹸をくれたの。後で使ってみない?」
「ああ、そうだね」

 クララはちらちらと私を見ながら、はっきりしない返事をする。
 視線は私の胸元に来てるのかしら?
 私はこの前エルダの店で格安で買った、あの服を着ていた。体の線が出る奴。
 ヘルマが“犯罪的”といった、胸の膨らみと谷間が目立つ恥ずかしい服だけど、とりあえずその気にさせられそうな服は、これしかもっていない。スケスケのはまだ後だ。

「どうしたの? クララ。やっぱりおいしくなかった?」
「ん、ああ、そんなこと無いよ。ちょっと変わっているけど、悪くは無い」
「“オトナの味”って奴でしょ?」

 私は片目を閉じて、クララに体を寄せて、わざと胸をクララの腕に押しつけた。
 キスぐらい迫ってくるかと思ったが、微妙に体をずらす。
 私が誘っていることぐらい、気づいてもよさそうなものなのに。

 そして就寝前の入浴タイム! 
 ちょっと、いやかなり恥ずかしいけど、石鹸作戦の開始だ!

「クララ、石鹸もって来たよ。入るね」
「ん? ああ……」

 私は意を決して、着ているものを全部脱いで、タオルで前をちょっと隠してクララの傍まで来た。

「ク、クノ! 裸じゃないか!」
「うん。私だってヘルマがくれた石鹸、試してみたいもん。それに、たまには私のことも、洗ってくれてもいいじゃない?」
「じ、自分で洗えばいいだろ……」
「なあに? 恥ずかしいの?」
「恥ずかしいのはクノのほうだろう? 入ってきたばっかりだっていうのに、顔が真っ赤だぞ」
「そんなの、クララだって……」
「ぼ、僕はずっと湯に浸かっていたんだから、当たり前だろう?」
「じゃあ、いいじゃない。女の裸なんて、見慣れていたでしょう?」
「他人のなんて、そうそう見たことなんかないよ。キミも女の子なら、もっと恥じらいを持てよ」
「いいじゃない、他人の目を憚る関係でもないんだし」
「どこでそういう言葉を覚えてくるんだ?」
「子ども扱いしないで」
「か、体はまだ……、子供じゃないか」
「子供かどうか、確かめてみたら?」

 一瞬こちらをちらっと見たけど、クララは直ぐにそっぽを向いて桶の水を頭からかぶった。

「さ、先に出るよ」

 もう! そんなに恥ずかしがらなくたっていいのに!
 まぁ、この場で欲望のままに押し倒されるよりはいいけど……。

   *―――*―――*―――*―――*―――*―――*―――*―――*―――*

 石鹸作戦は失敗。だけど夜はまだ長い。
 私は薄絹で出来たベビードールとかいう、エルダにもらった服に着替えた。
 私が着るとフードの無いマント被ってるみたいだけど、エルダが付けてくれた腰の両側のリボンをきゅっと締めると、かわいらしいネグリジェに早がわり。
 スケスケなのは少し……だいぶ恥ずかしいけど、夜はどうせ暗いからよくわからない。
 私は枕を抱えて、客間兼クララの寝室の戸をノックした。

「ねぇ、入ってもいい?」
「どうしたんだ? こんな夜中に?」

 私は戸をあけて部屋に入り、ベッドに腰掛けてたクララに近づいた。ふふふ、びっくりしてる。
 こんななりだけど、ちゃんと胸だって相応にあるし、背が小さいことを除けば、大人の女性とそれほど変わらないプロポーションでしょ?

「ねぇ、“カール”?」
「……ど、どうしたんだよ、寝たんじゃなかったのか?」
「今日はさ、その……、一緒に寝ない?」
「な、なに言ってるんだ。自分のベッドで寝ればいいだろ?」

 暗闇でもわかるほど、びっくりして顔が赤くなってる。でも嫌そうな顔はしていない。

「いいじゃない、たまには。婚約者なんだから、一緒に寝るぐらい」
「でも、夫婦じゃない。キミはいつも自分で、そう言ってるじゃないか」
「……いいよ」
「いいって、何が?」
「夫婦になっても、……いいよ」

 クララの目が大きく見開いて、瞳が光っている。あの時の夜と同じだ、と思った。

「クノ、自分の言っていることが、わかっているのかい?」
「もちろん。私と夫婦になるの、嫌?」

 私は左手を差し出した。窓辺から漏れ差し込む月の光に、指輪が光る。
 その手をクララが取った。

「キス、してよ」

 クララは手にぐっと力をこめて、私のことを勢い良く引き寄せた。私はベッドに倒れこむように腰掛けた。
 普通に並んで座っても、クララの唇は私の額よりもずっと高いところにある。
 目を閉じて上を向くと、背中に手を回されて抱きしめられると同時に、大人のキスをされた。
 長いようで短いキス。私はクララの顔を見つめた。クララも緊張のせいか、少し手が震えていた。
 私は腰に手を回して、リボンを解き、ベビードールを脱いだ。
 クララがつばを飲み込む音が、聞こえたような気がした。

「どう? 私、ちゃんと体もオトナだよ?」

 するといきなり手をひっぱられ、あっという間にベッドに押し倒された。
 私はいきなりだったのでびっくりしたけれど、目を閉じて次の行為に移るのを待っていた。
 だけどいっこうにその時はやってこなかった。
 恐る恐る目を開けると、クララが言った。

「クノ、少しは抵抗しろよ。じゃないと、僕だって我慢できなくなる。いいのか? 本当に」

 本当は、ものすごく不安だ。これから起きるであろう事に、軽い恐怖すら感じる。
 覆いかぶさるように、私をベッドに押さえつけているクララが怖い。
 でもここで耐えられなかったら、今までの努力がすべて無駄になる。
 私はぎゅっと目を瞑り、うんともいやだとも言わなかった。自分からはやはりまだ言えない。
 でも抵抗する気はなかった。覚悟は済ませていたのだから。

 抑えられていた手首に加えられていた力がふっと無くなり、威圧されるような気配も消えた。
 そうっと目をあけると、クララは私の胸元をじっと見つめたままだった。

「クララ…? どうしたの?」

私の声に、クララははっとした顔をして、こめかみに手を当てながら頭を振り、ベッドの端に座りなおした。

「出かけてくる」
「出かけるって、こんな時間に? どこへ?」
「どこでもいいだろう」
「待って、私も一緒に行く」
「ついて来るなよ。女の子の出歩く時間じゃない!」
「なんで? どうしてそんなこというのよ! せっかく、……せっかくその気になったのに、いざとなったらなんて。やっぱり私のこと嫌いなの? こんな子供だから?」

 クララは答えず、上着を羽織ると一人でさっさと出て行ってしまった。

「酷いよ…」

 私は一人取り残されて、とても悲しくなって、どうしていいのかわからなくて、頭がぐちゃぐちゃになっていた。

<つづく>

コメント

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

http://okashi.blog6.fc2.com/tb.php/4929-e7373b01

この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

«  | HOME |  »

FANZAさんの宣伝

 

初めての人はこちら

ts_novel.jpg

 

性の揺らぎに関する作品でお勧めのもの

ts_syouhin_20090318225626.jpg

 

性の揺らぎに関する作品(一般)

ts_syouhinもと

 

FANZA専売品コーナー

ブログ内検索

 

最近のコメント

プロフィール

あむぁい

  • Author:あむぁい
  • 男の子が女の子に変身してひどい目にあっちゃうような小説を作ってます。イラストはパートナーの巴ちゃん画のオレの変身前後の姿。リンクフリーです。本ブログに掲載されている文章・画像のうち著作物であるものに関しては、無断転載禁止です。わたし自身が著作者または著作権者である部分については、4000文字あたり10000円で掲載を許可しますが、著作者表記などはきちんと行ってください。もちろん、法的に正しい引用や私的複製に関しては無許可かつ無料でOKです。適当におだてれば無料掲載も可能です。
    二次著作は禁止しません。改変やアレンジ、パロディもご自由に。連絡欲しいですし、投稿希望ですけど。

 

全記事表示リンク

月別アーカイブ

 

最近の記事

 

カテゴリー

新メールフォーム

イラスト企画ご案内

20080810semini.jpg

 

リンク

RSSフィード

2024-02