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猫(NYAN)☆猫(NYAN)☆パニック (8) 

猫(NYAN)☆猫(NYAN)☆パニック (1)はこちら

作.POPO
イラスト:倉塚りこ

いつもより早い時間に登校したので通学路の学生の数もちらほら歩いてるだけで目にはいるだけでも数えることができる程度である。
いよいよ学校の門が近つ゛いてきたことで薫の緊張が高まってきているのが隣を歩いているユリにもビシビシと伝わってくる。そのとき二人の前を黒猫が平然と横切る。薫の顔がサッと蒼ざめる。
「く、く、黒猫だわっっ!!!黒猫よっっ!!!ふ、ふ、ふ、不吉だわっっ!」
「しっかりしなさいっ!男の子でしょ!じゃなかった・・・女の子でしょ!!!」
「良くない事がおこる前ぶれよっっ!お家(うち)に帰るうぅぅ!!」
ユリは、混乱している薫をどうっどうっとなだめ落ち着かせようとする。
取り乱している薫の腕をギュッと掴んで、薫のおびえている目を見据えて
「男の子って言うのは・・・じゃなかった人間っていうのは、人生に壁が立ちはだかるときがあるのっ!でもそんなときでも逃げずに勇気を持って乗り越えなければならないのよっ!」と、どこかで聞いたようなセリフを思い出しながら説得する。
熱血青春テレビドラマの台詞のようなユリの言葉を聞き、ようやく薫は我にかえり気を取り直して冷静になる。
「う・・・・うん・・・・」
と薫はユリの手をギュッと握りながら一歩一歩踏みしめながら学園の門をくぐる。
青春ドラマ好きの学園の門番のおじさんは二人の情熱のこもったやりとり一部始終眺めていて(青春してるな~いいいなあ~)と微笑ましく思うのであった。

校門をくぐり、薫とユリは別れる。薫は、自分が女の子になったことを担任の日高先生に報告すべく職員室へ行かねばならないのだ。
ユリは一足先に教室へ行く。ユリはパニックにならないようにクラスメートに薫が女の子になってしまったことを言っておこうと思っていた。教室にはすでに数人の生徒いたが、いつものようにお喋りしている者は一人もおらず皆朝っぱらから真剣に勉強している。男子生徒の一人がユリの姿を認め、
「おい白川、大変だぞ今日の1時限目の数学。抜き打ちテストだそうだ」
「えっ・・・」
聞くところによると昨夜学校の近くの喫茶店「キャット・ダンシング」で数学の教師富良が生徒たちが苦しむ顔を想像し微笑みながら抜き打ちテストの答案の校正しているのをうちのクラスの生徒が見かけたということだった。
学生たちは、嵐のごとく襲い掛かってくる抜き打ちテストに備えるべく皆教科書、ノートとにらめっこ状態でユリの話などとてもじゃないが聞いてくれそうもなかった。ユリは、薫が女の子になったことをクラスメートに言いそびれてしまった。
「あ・・白川さん」女子に呼びかけられ振り返る。「富良先生があなたのこと呼んでいたわよ。『すぐに職員室へ来るように』って。数学のプリント運ぶの手伝ってくれって」ユリは今週プリント係であった。富良先生は、抜き打ちテストの答案だけでなく、数学の資料だの宿題だのたっぷり用意しているようだった。  

朝の早い職員室に、二人の向かい合う立ち姿があった。
薫の担任の日高女史は、40ン歳でありながらも独身でもう結婚をあきらめ開き直って教育に残りの人生を捧げると決心しているツワモノであった。日高先生は、男が女に変わったぐらいで驚いてなるものかとの両手を腰にあて薫を見下ろし勢いまくしたてる。
「あなたが女性になったことは先ほどお母様からの電話で聞きました。本日からわが校はあなたを一人の女子高生としての人格を認めます。あなたもその期待に応えるべく節度と品位をもって女子高生として生活してください」
薫の学校セントチャペル高校は上品な私立高校なのでいろいろと決まりごとが多いみたいで「女子高生となったからにはおしとやかにしなければなりません。スカートの丈の長さは校則で決まっていますので厳守して下さい。口紅、マニュキュアなど化粧の類は原則禁止です。ネイルアートなどはもっての外(ほか)です。靴下は清潔感を感じさせる白いものでなければなりません」
いろいろと細かい要求がつきつけられてくる(女の子って大変だな)と思ってしまう。これらの決まりごとを守っているユリが自分よりえらく思えてきた。
日高先生は、激しく喋り捲(まく)ってその振動でずれてしまった三角めがねを右手の親指と人差し指でつまんで位置を正し、一息おいて
「トイレは問題がおきてはいけませんので職員用トイレを使いなさい」
「異性間不純交遊は絶対にいけません、男の人と付き合うときは清く正しいプラトニックな交際でなくてはいけません!」
先生は自分がきれいな体であるゆえかやたら強調する。薫は、(自分にはユリというガールフレンドがいるのに男子生徒なんかと付き合うわけないのに・・・)と思うのだが日高先生の演説を遮(さえぎ)ってはいけないと思い黙っているのだった。
日高先生はテキパキと事務的に物事を伝えてくる。あまりに大きな声でまくしたてるので近くの先生も何事かと眺めている。薫は、恥ずかしくて一刻も早く職員室から立去りたかった。やっと演説が終わったのか
「さあっ、教室に行きましょう」激励のためか声がさらに大きくなる。
教室へ向かおうとする先生を薫は「あのっ。先生」と呼び止める。
「あの・・・その・・・あたし・・・・」
先生は薫の方へ振り向くと薫は、モジモジしている。教室へ行くのが怖いというのがわかる。
「大丈夫。安心して先生にお任せなさい」
と、薫を励ますようにニッコリと微笑みかけるのだった。

日高先生の後について廊下を歩いていると。なぜかユリが向こうから歩いてくる。しばらく思い巡らせて「あ・・・・ユリさんはプリント係だったんだっけ」と思い当たる。ユリは、日高先生に「おはようございます」と挨拶する。その後ユリは、すれ違いざまに両手で拳(こぶし)を握って先生の後ろを歩いている薫に小声で「ファイト!」と握ってる拳をつきだし元気つ゛けるためニッコリ笑いかけ囁く。薫は、ユリのいない教室へ行くのかと思うと少し心細くなった。

日高先生と薫は、次の授業のはじまる15分前に教室にはいる。すでにクラスメートは揃っているようであった。
日高先生の後から入ってくる薫の女子高生姿を見た男子生徒たちは、転校生が来たと勘違いして「おおぉぉぉっ」とどよめく。
パンパンと手をたたいて日高女史は「お静かにっ!」
「ここにいる女子高生はクラスメートの伊集院薫君です。昨日まで男子生徒でしたが家庭の事情で今日から女子高生として通うことになりました。皆さんもこの現実を冷静に受け止め、暖かくもと彼だった彼女を受け入れてあげてくださいっ!」
教室の時間が一瞬止まり生徒全員の目が点になり口があんぐりとあいた状態になった。
薫は真っ赤になってただその場に俯(うつむ)くしかなかった。
日高先生は続ける。「彼女のような心の病を持った人はこの世にたくさんいます。彼女のような人はえてして世の中から差別されてしまいます。それが怖くて伊集院さんもずーっと『女の子になりたい』という思いをひた隠しにして今の今までじぃ~っと耐え続けて来たのですっ!どんなにつらく苦しいことだったでしょう」感極まって先生の目から涙があふれ出る。先生はどうやら勘違いをしているようだった。
薫は、うろたえてしまいオロオロして「あ・・・あ・・・あの先生・・・あの・・・あの・・・・違(ちが)・・・・・」と先生を止めようとする。
しかしオーバーヒートしてしまった先生を誰も止めることはできなかった。薫の方を向き(あなたの言いたい事はちゃーんと先生にわかっていますよっ!先生に任せなさいっ!)と薫に目で合図を送る。(ひっひえぇぇ~)薫は先生の気迫にたじろぐ。
先生は白いハンカチを取り出し涙をぬぐう。「伊集院さんはこうして勇気を持ってクラスメートの皆さんに自ら身をもって『女の子になりたかったんだ』とカミングアウトしたのですっ。なんという立派なことでしょうっ!皆さんはこの重い思いをしっかりと受け止めなければなりませんっ!それがあなた達の義務なのですっ!彼女をいじめたり差別することは絶対にいけません!そんなことをする人は虫ケラ以下ですっ!そんなことをする生徒を先生は許しませんからっ!そういう生徒がいたら厳罰に処します!いいですねっっ!!」
教室は水をうったようにシーンとしてしまった。
ハアハアいいながら先生はまた薫の方へ振り向くと
「あなたも決心したからには自分の生き方を最後まで貫くのですよっ!」と励ますように言う。
「・・・・・・・・・・・・・」薫は、すっかり動揺してしまい金魚のように口がパクパクするのだが言葉が出てこない。まったくのありがた迷惑大きななお世話状態であった。
「返事はっ!」語気荒く先生は薫に詰め寄る。
「は、は、は、はいっ」つられて薫は返事をしてしまう。
「じゃあ席につきなさい」
薫は、自分の意志で女の子になったかのように扱われショックでヨロヨロとかつての男だった時の自分の席へ座ろうとする。そのとき日高先生は「あっ。伊集院さん」と薫を呼び止める。「言い忘れてました。体育の着換えは女子全員の着換えが終わってから一人で着替えるのですよ。問題があってはいけません。何と言ってもあなたの立場は特殊なのですからね」
『差別してはいけない』と言いながらキチンと差別する日高先生であった。

<つづき>

コメント

作家さんと連絡取れませんのでなんともならないのです。すいません。

いつになれば、超長期休載が終わるのですか?

超長期休載中なのですー。すいません。

画像付きで早く続きが読みたいです

うーん…
動物系の小説だから参考にしようと思ったけど
なんか違った…

こちらは長期休載中ですねー。帰ってこられるとよいのですが

色付きの文字速く続きがみたいです

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