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投稿TS小説 ドッペルゲンガーの悪夢(1) 作.黒い枕

期待の新人さんです。よろしくお願いします。

作.黒い枕
イラスト.よるいち

(1)

「ねぇねぇ、直は知ってる? ドッペルゲンガーの噂」
昼食のパンをほお張りながら、声のほうを向く。
声の主の名は大村 紅美。 ワリとスタイルバランスが良く綺麗な黒髪のロングヘヤーが特徴的な女の子である。
そして、俺の幼馴染兼恋人でもあった。
「……もぐ、もぐ……お前も好きだなぁ。 こう言う話」
「なによ、その言い方は! 彼女が怖がっているのに慰めの言葉もないの!?」
「……んぐ、んぐぐ…ふー。 あのなー、何年おまえと付き合っていると思っているんだよ?
 毎回、毎回、いろいろなネタで怖がっているお前を励まし続けて、もう言葉なんて言い尽くしっちまったんだろうが……」
「うっ!!」

そうなのだ、この女は怖いものが苦手のくせに、その手のホラーものに興味津々なという支離滅裂な性格の持ち主なのだ。
本人いわく、『怖いけど、怖いからこそ見たいし知りたいの』だそうだ。
別に紅美が怖がりの癖にホラーが好きなことがイヤなんじゃない。
イヤなのは、紅美の怖がりのせいで俺にまで被害が及びことである。
何度、困った目にあったことか。特に中学のときに遊びにいった遊園地のお化け屋敷で強引に俺と共に入場した紅美は
途中の通路で錯乱状態に陥り、よりにもよって俺の首を絞めながら大暴れしたのだ。
あの時は本気で死ぬかと思った。
幸いあとから入ってきたカップルが助けてくれたので、どうにか一命を取り留めたからよかっが……。

ちなみに、紅美は錯乱に陥った原因の仕掛けがコンニャクだと知ったときはこの世の不条理を呪った。
なんで遊園地のお化け屋敷でそんな安っぽい方法を採用してるんだよ、とかコンニャクごときで暴れだすなとか俺の人生はコンニャクのせいで終わりそうだったのか、などなど。
――あれほど人生について考えさせられたことはなかっただろう。……くだらない理由でだが。

「うう、だって、だって直は気にならないの? 実際に見た人とかかなり居るらしいんだよ。それもこの学校限定で」
そして、こんどコイツが飛びついたのが最近噂の『ドッペルゲンガー』だった。
「あのなぁー。 噂は噂だろ? 心配するんじゃねぇーよ」
「うう、でも…だってぇ……」

……うっ!! ヤベェー。
紅美はかわいい。 ありとあらゆる身体のパーツが女の子らしく。美女というよりは可愛らしい女の子といわれる容姿だ。
さらに、涙目で見つめてくる様は普段の可憐さの三倍増しである。
ハッキリいって恋人の俺じゃなくても今の紅美なら誰でもドキッとするだろう。
それほどの破壊力があった。

「しゃ、しゃあねえなぁー。 俺が確かめにいってやるよ」
「ホントォー!? 直、大好きぃー」
「おわ、あぶないって」

俺の言葉に紅美は涙を瞳から消して、抱きついてきた。
注意するも、俺自身がうれしいためにあまり強引に体をうごかさなかった。

『けっ……直輝の奴…見せびらかしやがって…』
『放課後……やっちまうか?』
『いっそのこと、屋上から……』

……しくじってしまった。
俺と紅美とのやり取りを見ていた男どもが血走っている。
殺気が俺に集中してきているのが分かる。
い、いづらい。
普段は気のいい友達だが俺と紅美とが恋人になっていらい時折、ひそひそと会談している。
俺にとってホラーよりも遥かにこちらのほうが恐怖心が芽生える。
実際に2、3度袋にされたからたちの悪い冗談ではない。

「じゃ、じゃあ、早速いってくるは……場所は?」
「え? 放課後じゃないの?」
「大丈夫だって、まだ30分以上も休み時間残ってるし、次の授業は担任の先生が風邪で復習授業になるだろうから怒られる確率も低いって」
「でも……」
「それに、紅美もはやく真相がしりたいいんだろ?」

――この時、信じて疑わなかった。

いつものように、噂は噂で。 紅美に文句をいい、それを紅美が笑いながら誤魔化す。
『黒崎 直輝』と『周防 紅美』の日常は壊れないことを……。

――俺は信じて疑わなかった。
それが簡単に狂ってしまうことも知らずに……。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「ここか……」
使い古された教室。
今は使われず、倉庫になっているはずの部屋の前に俺は来ていた。
さすがに、噂になってるせいか人通りが少ない。

「さてと、来たには来たけども……」

開いていない。
当然だ。 いくら使われていない教室でも鍵くらいかけている。
とりあえず、妖しいところは何にもないし、まだ時間があるから別の出現場所でも探すか。

ガラッ。
もう一つの出現場所である男子トイレに向かおうとした矢先に。
ドアが開く音が聞こえた。
いつもの、俺なら普通に振り向いただろう。 紅美に付き合いホラー関係には相当の免疫力がついていたからだ。
だが、今回は違った。
なんともいえない不吉な感覚が脳に訴えかける。

「確かに…閉まってたはずだ…よ、な…」

けれども、その訴えかけも聞かずに部屋へと踏み入れる。
不思議な感覚だった。 まるで誘い込まれるように気が付けば俺は教室の扉を開けて入っていたのだ。

なんだ……やっぱり何にもないか。
自分自身でもなにかを期待していたのだろうか。
目の前に広がる何の変哲もない倉庫風の部屋の現状をみて明らかに俺は落胆していた。 いつもとは違う何かがあるのではないかと……。

でも、それは期待はずれだった。
壁際にたてかけられている学芸会で使われただろう大道具。 使われなくなった机と椅子との数ダースほどの山。 被された布の隙間から伺える大鏡。
周りにたちこめる澱んだ空気も二ヶ月まえに手伝いで訪れたときと同じだった、変わっていない風景にわけの分からない高揚感は、早々と消えていた。

やっぱり、何にもないか……もう帰ろう。
時間はまだ十分あるから、別の場所もいけるけど……意欲が薄れた。
どうせ、無駄だ。 このまま帰ろう。

「どこに行くんだい?」
「――――え?」

―――――後ろから唐突に声が聞こえた。
とっさに体を振向かせる。

そこにはニタニタと笑う『俺』がいた。
容姿も容貌も声をかけてきた声自体もまんま俺――『黒崎 直輝』
そのものが目の前に立っていた。

「…………おっ、おま」
「ハイハイ、キミの混乱は分かるけど――黙る……っ!」
「……………ッ?!」

『俺』がいうと、声が聞こえなくなる。
違う。 俺の喉から声が出なくなったんだ。でもなぜ………?
焦って喉に手をやるも口がパクパク動くだけで声がでない。
理由も方法も分からないがコイツはヤバイ。
本能が全身全霊でサイレンを体中に轟かせて、全力でドアに向かう。

「――――止まれ」

けれども、ドアのノブに手が止まったところで再びの命令。
またしてもリモコン操作されているように動かなくなる。

「残念、ボクに……ああ、そうか『俺』だね。 ……『俺』に向かわず一目散に逃げるのは賢明だったけど相手が悪かったよ。とりあえず――『俺』のほうに振り向け」

体が俺の意思に逆らい、動き出し反転する。
いまだに屈託のない笑みを浮かべジロジロとこちらを見つめる『俺』

「…………………ッ!!」

無駄と分かりながらも口を動かし、コミュニケーションをはかる。
けれどもやはり、言葉にならない。

「ん? 『俺』がなんなのかって? 決まってるじゃないか君が探していた、『ドッペルゲンガー』だよ」

信じたくなかったが、事実のようだ。
俺そっくりの外見に謎の能力―――――おまけに心まで読めるようだ。
………ただ案外、温厚そうな性格のようにうかがえる。
ならば話し合いでも大丈夫かもしれない。

「ははは、残念だけれども話し合いは無理なんだ」

前言撤回。
コイツは紅美以上に厄介だ。
常に笑っているのに目が笑っていないのがいい証拠。

「よし、最初は無難に―――『妹』にしよう」

おまけに何を言っているのか分からない。
品定めするようにグルグルまわって見つめてくるのも、ハッキリ言って滅茶苦茶怖い。
…………妹ってなんのことだ?

―――――そして、“命令“がはじまった。

「まずは――巨乳になれ…それもとびっきり綺麗な形」

巨乳……? 元より『ドッペルゲンガー』なんて未知の存在の思考なんて人間である俺には理解できないのかもしれないが……。
意味を理解できないことで現実逃避したかったが、それは許されなかった。
ヤツの瞳が無機質な瞳がギラギラの肉食獣の瞳に変貌していて俺を捕らえてはなさないからだ。
思わず、ゾクッと寒気がしてしまうほどに……。

その時、胸辺りの感触に異変が生じた。
妙に温かくなり、むずむずと痒くなってくる。
奴の支配を逃れている数少ない部分の一つである首を曲げ下を見やる。

――――え? ……そ、そんなバカな!?
わずか5分ぐらいの時間で不可思議なことが連発しているがこれだけは信じられなかった。 事実を疑い、次には自分自身の目を疑う。
けれども、やはり嘘ではないようだ。

――胸が膨らんでいる。
見えた光景は徐々に制服を上へ上へと押し上げる胸。
間違いなく俺の胸だ。 俺の胸が急成長しているんだ。
俺の胸板が風船のように膨らんでいく。
布地を自分の胸が押し上げてくる感覚がつたわってくる。 感覚だけではなく、見ているその瞬間にさらに膨らんでいく。
ついには、俺の視界の殆どが自分の胸に支配されるが、まだ続く。
布地にしめつけられて、きつくなったところでようやく驚異的な成長は終わりを告げた。
出来上がった胸の有様は、まさしく…………。

―――――――巨乳。
それも『ドッペルゲンガー』いっていた通りの美乳が出来上がった。
制服の布地が痛く、夢ではないことを教え続ける。
最後のおまけに出来上がった胸に曲がっている様は妙にリアルに感じた。
ゴクリと、喉が鳴る。
自分の胸に欲情したわけではない。 自分の体がこうも簡単に変えられたことに戦慄にも似た感情を抱いたからだ。
どうなっているんだ…っ!? なんでっ!? どうして!?

「次は――ツルツルのお肌、まるでそう初々しい赤ん坊みたいなお肌で美白」

また、あの意味不明な言葉。
すると、またしても変化が俺の身を襲う。
肌がつやつやになっていく。 それも不気味なスピードでだ。
普段から男のわりには白くて綺麗な肌だと女の子たちに羨やまれていたが……新しくなった肌は通常時の1,5倍ぐらい洗練されたモノにされていた。
これじゃあ、まさに女の肌だ。そのものだ。

またも、アイツの言葉通りに変化を許容する自分の身体。
そ、そんな…まさか……でも………。
ぼやぼやと浮かんでいた疑惑が頭の中で構築されていく。
間違いない。
コイツは――――物質的にも俺を好きなように出来るんだ……。
『ドッペルゲンガー』の力かなんかは知らないが、俺の身体の行動だけではなく形や性質すらも容易に干渉することが出来るんだろう。
でも、今度の“命令”は何なんだ?

これじゃあ……まるで、俺を……俺を―――!

ま、まさかな、いくらなんでもそんなことがあるわけがない。
そう考え直す、俺。
しかし、そんな信じたくない現実から逃げるだけでしかない空虚な思い込みは簡単に壊される。

「そう、正解。これからキミは“女”の子になるんだよ。 大丈夫、心配しなくても飛びっきりかわいい娘にしてあげるから」

ああ、そうかよ。 俺には希望を抱くことも許さないのか。
ヤツの変わらない笑顔がよけいに腹が立ち、疑問が浮かぶが今は問題ではない。
このまま、“命令”が続けば俺は間違いなく“女”にされてしまう。
冗談ではない。 俺は男だ。
こうなったら今は、少しでもコイツと交渉して改造をやめてもらわないと……。
ゴクリと、再び鳴り響く喉。
――止めてくれ、頼むから! 元に戻してくれ! お願いだ!!

女の子に変えられる男の子 よるいち

<つづく>

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