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投稿TS小説 ドッペルゲンガーの悪夢(3) 作.黒い枕

女の子に変えられる男の子 よるいち
(1)からはよるいちさんのイラストをクリック♪


―――――目の前には『私』がいた。
暗闇の中にあるのは『私』と目の前の鏡だけだった。
そして、その輝く壁の向こうにいるのはまぎれもない『黒崎 直輝』だった。
そうだ、これが『私』の身体。まぎれもない男の体。
―――――――戻れたんだ。

『違うよ。 キミはそっち、それは『俺』の鏡』

声が響き、振り返る。
またしても、正真正銘の『兄さん』が立っていた。 『兄さん』が笑いかけて違う鏡を指差す。
その鏡には『私』がうつっている。
変えられ、捻じられ、狂わされた果ての姿。
美女といってもいいほどの美貌をもっている『私』。
綺麗なはずなのに今の『私』には目の毒でしかなかった。
――――違う、『私』はじゃない。 これは違う。
もう一度、最初に見た鏡に向きなおそうと足掻く。 けれども、この鏡さえも、うつるのは女の『私』だけになっていた。
男の『私』をうつしだされない。 じゃあ、『私』はどこにいるんだ………。

『さて、遊戯のはじまりだよ。 キミは耐えられるかなぁ――――――』

『兄さん』の不気味な宣言とともに、『兄さん』と『私』だけの世界に亀裂が入り、やすやすと『私』の精神を希薄にしていく。

――――――――――そして、『私』はさらなる悪夢の中に放り込まれること、となる。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

「う………こ、ここ…は……?」
目覚めれば、真っ白で統一されているベットの上にいた。
清潔感ただよう空間ながらも薬品の臭いが漂ってくる微妙な部屋。
ここは――――――――――――――。

「ほ、保健室? なんで………?」

取りあえず、起きないと………。
むくりと、起き上がるが何か球体のモノが胸で弾み躍る。
目をみやる。
制服の下でありながら、その存在を誇示しているなにかがあった。
そうか、これが動いた拍子に変形したのが、妙な感覚の原因か。
そりゃあ、これだけ大きい乳房なら少し揺れただけでも振動が伝わってくるってもんだ。
それにしても大きい胸だ。まさしく巨乳…………。
――――――――――――――――――巨乳?

「アアアアァァァァ―――――――――っっつつ!!!」
「え?! な、なに。 なんなの?」

閃光のように記憶が脳内が駆け巡り、血管を暴走していく。
そうだ、俺は、俺は………。
―――――――思い出せるのは悪夢のような出来事。
だが、悪夢ではなかった。
冗談のような、悪戯のような、幻のような、それでいて絶対の現実。
そうだ。――――――鏡。確か、保健室の壁には大きな鏡があったはず……。
とにかく、確かめまいと、と起き上がり鏡に向き合う『私』。
そこにただずんでいあた人物は――――――やっぱり『黒崎 直輝』ではなく『私』だった。

記憶と寸分の狂いなくうつされる自分の姿。
それは今までの『私』の姿ではなく、さびれた教室の使い古された鏡にうつしだされた女性の容姿だった。これが、今の『私』。 『兄さん』ではない『私』。

「………夢…で…は……なかっ…た……ハハ、ハ…」

力なくペタリ、と座ってしまう。
腰に力がまったく伝わっていかないのは、もしかしたら腰が抜けてしまったからかもしれない。
鏡を見れば、ペタリ座りをしている『私』が異様に可愛くうつる。
それが無性に恥ずかしさを生み出し、顔が赤く変色していった。
自然と涙が溢れだしているのが、屈辱心はそれでもなお自分の中で高まっていく。

「本当に、どうしたの? …って泣いているの、黒崎さん!?」
「ふぇ…っ?!」

《追加希望イラスト、ペタリと、座って泣いている姿が鏡にうつるシーン》

人に見られた。 おまけに何て反応をしているんだ、『私』はっ!?
………って、そうじゃない。 誰だ、この人。 目がめかすんでよく見えない。
けれども、ここが保険医でこの声なら…………多麻先生。

――――――居たんだ、この人。
動転していたので、気付かなかったが確かに呼び止められていたような気にする。

「大丈夫、黒崎さん。 悩みごとだったら先生が聞いてあげようか?」
「…………………先生…………………」
「ほら、取りあえず、涙を拭いて、落ち着きましょう。 はいっ、椅子に座って深呼吸して、ね」
「―――――――――――――――っ!!」

優しさが骨身に染みることをこれほど感じたことがあっただろうか。
女の子みたいに俯きながらコクンと、何度も、何度も頷く。
考えれば、考えるほど、恥ずかしい行為をしていると思うが…………この理不尽な状況の中で精神を落ち着かせるには誰かに縋るのが、一番効果的だったからしかたない。
人間、処理できない事態になったら協力者ほど喜ばしいものはないのだから。
薦められるままパイプ椅子に腰を下ろす。
やはり、違う。 たかが、座るという行動だけでも男と女の違いが如実に伝わってくる。
特に胸やヒップの振動が男の比じゃなく、何故だか心もないような感覚が脳に伝わってくる。おまけに一物がなくなった股間部分に両足がフィットする感触までついて来る。
これが――――――女の身体。 今の『私』の体………。

「大丈夫? 落ち着いた?」
「―――――あっ……は、はい、大丈夫………です……」

とはいったモノの………どう説明しよう。 落ち着いて考えれば、どう話すべきなんだ。
まさか、『兄さん』に女の子にされたんですけでも……『私』は『黒崎 直美』なんです、なんて言えるわけないし…………。
第一に、何で『私』のことが分かるんだ。
落ち着いてみれば、先生の対応のしかたも妙だ。 『黒崎』さんって、言ってるんだから『私』のことを『黒崎 直輝』として話してくれているのは分かるけども……。
――――――――ふと、自分の身体を観察する。
ずけずけと、制服を押し上げる巨乳。
男とはまた違う、素晴らしいお肌。
男の一物がなくなり、悲しいほどまですっきりしている股間。
美を追求しすぎたように完成された乙女の体が、そこにはあった。
これが今の『私』。
感覚が勘違いとさえ思えるほど変わり果てた身体。
とてもじゃないが『黒崎 直輝』としては見えないだろう容貌。
これを、どうしたら『私』に見えるんだ………?

「黒崎さん…………?」

考え込んでいたせいか、先生はより真剣に悩みを聞きだそうと『私』に詰め寄る。
とにかく聞いてみよう――――――――これ以上待たせるのも失礼。
そう、思い。 疑問を押しのけて会話をはじめる。

「先生………………」
「ん、なに?」
「あの先生は、どうして『私』のことを『黒崎』さんって、呼んでいるんですか?」
「……? 質問の意味が良く分からないわ?」
「い、いえ。 ですから、どうして『わた――っ?』」

ストップ。落ち着け、落ち着け『私』。
今、なんて言った。 私………って言ったのか。
――――『私』の名前は『黒崎 直輝』って。

「……っつ!!」

思おうとするイメージがずれている。
自分自身のイメージが思い出そうとする記憶と異なって、内にも外にも反映される。

「なんでっ! どうしてっ! 『私』って思うんだぁつつ?!」
「ちょ、落ち着いて黒崎さん、どうどう」
「それは、馬のあやし方だぁっっつつ?!!」

などと、突然立ち上がった『私』に対して、ボケた先生に突っ込んでも頭は冷えず、むしろオーバーヒートしそうで倒れそうだ。
『私』が『私』として認識できない。
自分のことをイメージすると、変身前の『私』の姿ではなく、変身後の女の姿が浮かんでくる。
どうなっているんだ。 自分が思う自分がいつの間にか、女の『私』になっている。
注意深く考え込まなければ、あの『ドッペルゲンガー』のことを『兄さん』としてでしかイメージ出来なくなっていた。『私』…………『黒崎 直輝』については固有名詞みたいな感じではイメージ出来るが、自分として認識して思い出そうとしても『私』として頭の中でが上書きされる。自身の名前は 『黒崎 直美』と言う、知らない名前の人物しか頭には蘇らない

「わ……『私』……『わた…し…』、くっ!ちくしょう! やっぱり言えないっ!!」
「あはは、く、黒崎さんが壊れた。 私のせい…か…な? 私があまりにも綺麗な寝顔にスリスリしちゃったからかな~。 でもね、神様、仏様、あんな寝顔になにもしない生物はいないんです。
だから、許して、お願い…………………」

確かに、『私』は壊れている……否、壊されてしまった。
自分の姿形すらも奪われて、さらには自分としての意識すらも強奪されてしまったってことなのか。 もう、なんがなんだか分からない………。
こんなの分かるわけがないのは当たり前だろう。

――――――――――――――『私』は誰だ………誰、なんだ。

「すいませーん。 多麻先生、『ナオミ』の体調は大丈夫ですか?」
「ああ、黒崎くん。 良い所に来てくれたよぉ――っ!」
「――――――――えっ!」

多麻先生が向いたドアの向こう。
そこには――――――――『黒崎 直輝』こと『兄さん』が微笑んでいた。

《続く》

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「ドッペルゲンガ―の悪夢」

(3)
「おい、放せ! 放ってっ!!」

―――突如として現われた『兄さん』に腕をつかまれ、あっという間に保健室を連れ出される『私』。
思考が停止すること数秒。ようやく再起動を果たした脳が発した命令で掴まれている腕を強引に振り払う。

「…………反抗的だな『ナオミ』は……」
「私の名前は『ナオミ』じゃないっつ!!」
「じゃあ、誰なんだい?」
「そ、それは………」

大声で、『黒崎 直輝』の名を叫びたい。だが、それは出来ない。
目覚めた時から『私』は『私』の名前すらも自由に名乗れないようにされていた。
犯人は目の前の『兄さん』なのは間違いない。
『兄さん』は『兄さん』ではないのだが、名前と同じく歪み曲がり頭に反映される。
違うと本質的に判りながら、思い通りに答えが出せない憤慨がじわりじわり心を濁す。
――――――――悔しい。 ただ純粋に。何もかもが、眼前の『兄さん』に支配されていることが。
そして、その支配から抜け出せない自分自身が。何よりも悔しくて仕方ない。

「……くっ…わ、『私』の名前、は…『黒崎 直美』だ……ってまたか……っ」
「あはは、ほら『ナオミ』で合ってるだろ?」
「だ、黙れ!! こ、これは『兄さん』のせいじゃないかっ!!」
「へぇー? 随分反抗的、……なんだね『ナオミ』は…」
「―――――――えっ?」

ガツンと、重い響きが耳に伝わってくる。
『兄さん』の腕が力強く壁を叩きつけられた音だった。
『兄さん』は、そのまま覆いかぶさるように段々と近寄る。いくら女にされて身長が短くなったとはいえ『私』と『兄さん』との身長差は僅かなハズだった。
なのに、今の体勢ではさらに大きな背丈の差を感じ取られるようなモノだった。
理由はシンプル。
『私』自身が『兄さん』から感じる荒々しいくも冷淡な空気に怖気づき腰は引けていたからだった。
腰を少し退けただけだというのに、それが何十倍にもなって現実に反映される。
負けたくないと―――――強く、強く思いながら条件反射で後退してしまう『私』の身体。
見上げているような姿勢になった状態が『私』の心に千万無量並みに溜まっていた恐怖心がダムの決壊のように漏れでしてくる。

―――――これじゃあ、本当に女みたいじゃないか。
今の『私』には前進するしかなかった。 逃げ腰態勢そのものが『私』の心すらも女に変えていくようで、ただ無性に怖かったからだ。
だから逃げることも、避けることも出来ない。
肌に冷たい何かが流れ出したのをきめ細かくなった肌が感知した。
女は涙もろいとはよく聞くがここまでとは。 何回泣いただろう。
もしかしたら普通の女性よりも涙を出やすいように作られてしまったのかもしれない。
それとも、『私』が本心で泣きたい気持ちが我慢できなかったのが原因だったのか。
―――――――――――――真実は分からないが涙は止まらない。

「そんなに自分を偽ってつらくない?」
「な、なにを…………んんっ??!」

口が塞がれる。
ただし、今回はアノ不可思議な力ではなく、物理的な方法で行われた。―――口づけだ。
こともあろうに『兄さん』は『私』と口と口を重ね合わせてきた。
嫌悪感が噴出す、理解できない行動。
とにかく気持ちが悪く、突き放そう足掻くがまるで意味を成さない。
頭と腰周りに腕を素早く体を捕らえて離さない。 あの妙な能力を使われていないのにも関わらず、なすがままに翻弄されてしまう。
舌が潜り込んでくる。口の中で暴れる、暴れる、暴れまわる。 舌口同士が強く交じり合い、口内でダンスを模様していく。

「…んんっ?!! んむっ、んんっ……ぷはっ!??」
「……ふう、いい感じ、いい感じ」

時に換算すれば」数秒で終わった行為。
程度は軽いモノでもソレはまさしく『女』がされるような口づけ。
入れられたべろすらも『私』から男を容赦なく奪っていく、耐え難い現実。
接吻――――――たったそれだけなのに心と体が容易に融解され、ごちゃ混ぜに煮たされるような快感。
心は形に出来ないように破壊されていたが、体は至ってシンプルだった。
熱い。――――――熱い。――――――熱い…よお。
雄からの刺激に高揚感を隠さず汗が噴出してくる雌の身体が常時の数倍熱さを高めていく。
身体からジンワリと、伝わってくる軽やかでそれでいて情熱的な衝動。

ち、違う。違う――――――『私』は女じゃない。不可思議な感覚にがんじがらめされた頭脳。だが、それでも分かってしまう。分かってしまった。自分が、自分が―――――――

「女の気持ちになちゃったこと?」
「っ!? 『兄さん』、また心を………………っ!!」
「うん、読んだよ。 って言うか、恥じることじゃないじゃないか。
 だって『ナオミ』は女の子なんだから女の気持ちになるのは当たり前だろ?」

気付かれた。気付かれてしまった。
ただのキス。
それだけなのに疼きあがった女の身体に同調してしまった『私』の心。
それを『兄さん』に気付かれてしまった――――――。

「―――な、なんで…こんなことを……っ!」
「ん、もう、叫ぶ気力すらないのかな?」
「……くっ、煩い、黙れ馬鹿っ!!」

悔しいが『兄さん』の言うとおりだった。
今直も身体は火照りだした余熱が暴走して全体をはしゃぎ回って行く。
―――――この感じはなんなんだ。
男とは違い体全体が性感を喜んではしゃいでいるような感覚。
怒りに身を任せないと、意識をその快楽の放流に流され、どこまでもいってしまうような畏怖すら沸きだしてしまう未知の感覚。
この絶大なる快感の流動、これが女の身体………。

「……結局、お前は…ハァ、ハァ―――なん、なんだっ!?」
「何なのか………そんなの『俺』が分かるわけないじゃないか」
「はぁ―――っ?」

返される答えに『私』は熱い体をほんの一瞬、憤りを忘れて、呆けた。
何を言っているんだ『兄さん』は。
最初っから意味は分からない続きで今さらだろうが、それでも律儀にショックを受ける脳。

「『俺』は確かに人間にドッペルゲンガーと言われる存在だけども、それは人間が勝手に名付けた名称で自分自身で何者なのかが分からないんだ」
「………分からない?」
「そ、気付いたときには、君たちみたいに肉体を持ってるわけでもなく、まさに幽霊のように誰にも感知されずに世界をさ迷っていたんだ
―――――あの頃は本当に何も出来なかった。 ただキミたち人間を羨んで生きていく日々。
………だけども、ある日、そのもやもやとした感情が爆発した瞬間―――『俺』は自分の能力を発言させて、そして理解した。―――――自分の本質を」
「ほ、本質…………」
「そう『俺』の本質は『無』そのもの、ただ意識を持つ存在してはならない者―――――だからねっ」
「んんあぁっ………?!!」

電撃のような炎の刺激。
息すら出来ない程、身体が熱烈に扇ぎ立てて震え上がる。
原因は明確だった。
『私』の大きく熟成された乳房がまるで透明な手によって激しく歪められ撫で回されていたのだ。
大きく実った球体は中には何も入っていないようで、変幻自在に蠢いては、その弾力を持っては元に戻り、また変わり、戻り、変わりの繰り返す。
その度に喘ぎ声が熱を帯、身体中に汗が纏まりつき始め、その内部の高温は容易く自分の思考をもまどろみの中へと誘われる。

「―――――他人から存在を奪うことでしか世界に干渉できない」
「……んん……ぁあ、ん……う…むんっ……ばぁうぅ……あっ……」

せめて喘ぎだけでも止めたくて震える唇を噛みつき手で何重にも塞いでいくもまるで意味がない。
胸が変形していくたびに血が滲んできた唇はいやらしい女の声を伝えてくる。
胸が元に戻る反動がくるたびに手は溜まらず、その力を緩めていく。

「そう、キミが生きてきた『黒崎 直輝』と言う存在を『俺』が横取りしたから『俺』は『黒崎 直輝』として生きられるんだ…………原理は分からないけど君たちの言う超現象の類だろうけど」
「くっは、ぁ………ん、……はぁ……ぁ……」
「ふふふ、そして『俺』は存在を取って代わるだけではなく人間を好き勝手変異させることが出来るんだ
………まぁ、こっちの方の能力は最初ころは使わなかったけども今はバシバシ使っているよ。現にキミを女に変えたり、この廊下に人が来ないようにしたりね」

まぁ、残念ながら万能ではないけども…と、締めくくる『兄さん』だが、皮肉にしか聞こえない。可笑しいとは思っていたが人が来ないのさえも操作が出来る力―――――いや、そもそも人の姿形、そして存在を自由自在に出来る力なんて『万能』そのものじゃないか。

「……くそっ……じゃあ、……な、何で『私』を……女…にしたんだ…っ」
「決まってるじゃないか、『俺』が―――――――――――楽しむためだよ」
「……んぁ…!?? ……ふ、ふざける……んんむっっ……?!」
「………ふふ、だって考えてご覧よ。 遥か昔から存在してきた『俺』だよ? 悠久の時の中に生きてきたら一工夫した娯楽を楽しみにするのは当たり前じゃないか―――――それにキミはもう『俺』に存在を奪われたんだよ、もう君は『俺』のモノなんだ、モノ。 だから反抗したって無駄だよ」

―――――モノだと。
その時、『私』はようやく理解した。 女に変えた理由。
『兄さん』にとってもはや『黒崎 直輝』という存在は自分であり、『私』という存在はモノとしか思っていなかったんだ。それもオモチャという道具。
それが『黒崎 直美』という『兄さん』が作った、遊ぶだけの―――――モノ。
それが今の『私』―――――『黒崎 直美』なんだ。
逃げることも、拒絶することも最初から出来るわけがない。
『私』に変えられたときから………いや、あの教室で出会ってしまった瞬間から『私』は人間ではなく、ただの遊び道具。
―――――存在を奪われた『私』にとって、『兄さん』は文字通りの絶対創造主。

「……………あ、ああ……っ」

逃れられるわけがなかったのだ。
また、流れ出していた涙さえも『兄さん』の意思一つでどうにでもなる。
全てが許されない存在がどうして、逃げることが出来るのだろうか。
いつに間にか止められた胸への攻撃も、それまで信じられないほど高熱がたぎっていた身体が嘘のようにどうでもいいようになった。 凍りつく心。

「理解してくれたのは嬉しいけど、諦めすぎちゃうのも、つまらないな」

心底。
心から漏れ出したであろう不満。 ,もちろん気遣って言った言葉ではない。 ゲームなんかで相手が弱すぎると興ざめしてしまう。
つまり、そう言ったニュアンス。
どこまでも『兄さん』は『黒崎 直美』で遊ばないと気がすまないのだ。

「う~ん、どうしようかなぁ~」

微笑を浮かべ、観察してくる。挙動、一つ一つに脅えだす心と体。
もはや、何も出来ない、考えられない。 ただ願うだけ。
気まぐれでもいい、奇跡でもいい、『兄さん』がこの『お遊び』に飽きて『私』を解放してくれるという儚い祈り。
この際、女のままでさえでもいいと思うほどの切なる心。

「よし、なら―――――」

ヒっ、という金切り声と共に強ばる身体。
今度はどんな目に合わされるという恐怖ではない。自分が本当に遊ばれるだけの存在であることをより深く理解されてしまうことに対する恐怖。
―――――人間の、『私』の尊厳が壊される恐れ。
動かない体と心が暗黒の未来を連想するのだが――――――。

「いたいた、直にナミちゃん―――っ!!」

――――――――思わぬところで助けが来た。
それは見知った少女の声。
『私』たち、二人に纏わり付いていた空気にそぐわぬ響きのリズム。
『兄さん』も声に主のほうに振り向き、『私』も釣られて廊下の向こうに焦点をあてる。

【見本イラスト、希望】

「もう、直ったら、ナミちゃんを連れてきたらさっさと連れてきてよっ!! まったく」
「―――――く、紅美………っ!!」

制服を身に纏い、カバンを豪快に背負って可愛らしく憤慨している少女。
―――――――――――『周防 紅美』がいた。

≪あとがき≫
少し遅れましたが三話目が出来ました。
ご感想または訂正を期待してますので是非送ってください。

無問題ですw

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  • 男の子が女の子に変身してひどい目にあっちゃうような小説を作ってます。イラストはパートナーの巴ちゃん画のオレの変身前後の姿。リンクフリーです。本ブログに掲載されている文章・画像のうち著作物であるものに関しては、無断転載禁止です。わたし自身が著作者または著作権者である部分については、4000文字あたり10000円で掲載を許可しますが、著作者表記などはきちんと行ってください。もちろん、法的に正しい引用や私的複製に関しては無許可かつ無料でOKです。適当におだてれば無料掲載も可能です。
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