FC2ブログ

Latest Entries

ユウジンと魔法のランプ(1)

作.isakoさん
キャライラスト.春乃 月さん

 はい、陛下。魔法のランプのその後のことが知りたいと仰せですか? 少し長くなりますが……
 はい、はい。ようございましょう。ではお話いたします。
 皇女と結ばれ支那の皇帝となったアラジンの頭脳は少しも雲っておりませんでした。万能のランプの精も悪人の手に渡れば子孫や国民に多大な被害をもたらすことを知っておったのでございます。それで妻となった姫の兄弟たちを破り国内が落ち着いたとき西方を侵す蛮族への親征を行いランプを持参し自らの手で厳重に隠したのでございました。
 いえいえ、もちろんこれで終わりではございません。アラジンは将来危機が起こったとき自分の様な者が再びランプを手にすることができるよういくつかのヒントを残したのでございます。
 案の定数百年ののちあれほど栄えたアラジンの王朝も衰退し大陸の東は戦乱に見舞われました。と申しましてもアル=クルアーンの教えが誕生するはるか前にございます。
 アラーは偉大なり!
 さてランプの後継者となる若者オ=グラ=ユウジンはアラジンの国よりさらに東、海を隔てた島国で生まれました。そして……



 最後の行程は1人で歩み俺は中原よりはるか西の廃墟に立っていた。羊皮紙に書かれた指示に従い石版をのけて地下に進む。
 ランプの置かれた石室までは半刻ほどもかかった。手をかざすと石室のたった一つしかない入り口は大石でふさがれた。別に騒ぐことはない。ランプが本物なら廃墟の上に泰山が乗っていても問題ないのだから。
 さすがにランプをこするときは緊張して手が震えた。何年にも及ぶ苦労が報われるのか……それともここで。
 俺は知らないうちに笑い声を上げていた。ランプから不思議な霧が出始めたのだ。成功だ!
「ランプの精なのか?」
思わず母国語で叫んだ。
「ハイハイサー、ご主人様」
「え?」
「おや、時代が違いましたか。ご存じなければYou Tubeで」
「すまないランプの精よ。オマエがなにを言っているのかわからない」
「これは失礼を。私めには時間も意味をなしませんので」
「お前ははるか太古か未来の話をしているのだな」
「賢明なお方ですな」
「ありがとう。誉められたついでに聞いてしまおう。お前はランプの持ち主の願いを何でもかなえてくれるんだね?」
「はい。しかし」
「何か条件があるのか」
「過度の歴史への干渉を避けるため願い事は3つに限らせていただきます」
「3つか」
「不足ですか」
「いや、それだけあれば充分だ。まず」
「少々お待ちを」
「まだ何か条件が?」
「いえ。願い事は一度にお願いします」
「なぜ?」
「3つしかないゆえ、互いに干渉するとご主人様は満足を得られないでしょう」
「わからないなあ。たとえば?」
「最初に富を願われたとします」
「ありえる望みだね」
「次に国王になりたいと」
「わかった。国王と言っても貧乏な国もある」
「オホホ、オホホホホー。大正解ですぞ」
「3つの望みの最初は国々を平和にできるほどの力、2つ目はそれを十分に維持するだけの寿命、それから」
「永遠とは参りませんよ。私の力の及ぶ限りということになります」
「どのくらい」
「私と同じくらいです」
「長いんだよね」
「人よりは十分に。ただ何年とは申せません。何しろ魔力が尽きれば消えますからね。それで最後は?」
「えーっと」
「遠慮なさらずに」
「美女が欲しい」
「美しいだけでよろしいので?」
「頭が良くて優しい美人というとそれだけで3つじゃないのか?」
「御明察。では美しい肉体だけでよろしいのですね?」
「ああ」
「私は自由だぞ!」
「え?」
 気がつくと俺の姿はランプの精(ジン)の眷属と化していた。しかも妖艶な女魔人(ジニー)である。

魔神により女体化

「どういうことだ。だましたのか」
「そうじゃない。よく考えてみなさい。望みは全てかなえた」
「しかし」
「まあまてこの種の願い事の困難さは十分心得ているはずだぞ」
「しかしこのランプは阿羅人(アラジン)の」
「前の主人のアラジンはランプが悪意を持つ者の手に渡った時の危険をよく心得ていた。そのためいくつか制限をかけたのだ。願い事を三つに限ったのもそのためだ」
「私の願いを曲解して」
「願いを厳しく判断するのはアラジンの命令による。それにお前のことは気に入っているのだぞ」
「元の姿に戻してはもらえないのか」
「やりたいことがあって力をのぞんだはずだ。それに魔人になったのは女の姿と同様願い事のせいなのだ」
「どういうことだ」
「良いか。摩訶不思議な力を持つものがこの世界の支配者になれるならお前たちが魔や神と呼ぶものは簡単にそれが実現できよう」
「たしかに」
「太古の伝説を別にすればそのような話は聞いたことがないはずだ」
「うん」
「『力』を持つものは直接支配できない。それが暗黙のおきてだ」
「俺はどうすればいいのだ」
「志を同じくするものを探して助けるのだ」
「ランプの精のように?」
「異なる世界の存在である私と違いお前には拠りどころとなるランプや壷は必要がない。自由に動ける」
「なるほど」
「お前は世を平和にするためなら身はどうなっても良いと決心してここに来たはずだ。姿かたちが変わったくらいであきらめるのか」
「指摘どおりだ。少し恥ずかしい。でも元に戻れるのかどうかは教えてほしい」
「全ての希望を果たしたとき私が訪ねよう」
「それでは?」
「そのとき特別に四つ目の願いを聞いてあげよう。さらばだ、パパラパー」

アラジンと魔法のランプ(Wikipedia)

 中国で母親と貧乏暮らしをしていたアラジンが叔父を騙るアフリカ出身の魔法使いにそそのかされて、穴倉の中にある魔法のランプを手にしたところから物語が始まる。
 そのランプを擦ると魔神があらわれた。魔神はランプを擦った者の願いを叶える力があり、アラジンはその力を使って大金持ちになり、皇帝の娘と結婚する。
 しかし、魔法使いは魔法のランプを奪い取り、アラジンの御殿ごと皇帝の娘をアフリカに連れて行ってしまう。だが、アラジンは指輪の魔神の力を借りるなどして、魔法使いから魔法のランプを取り返す。



 こうしてジニーに変身したユウジンはまた1人になりました。魔力は使い慣れていませんでしたが、先ほどランプの精が使った魔力の流れを思い出し石室からの脱出に成功します。そして支那の国内の事情を知ろうと旅に出ました。これまでも旅はしていたもののランプの捜索を第一にしていたので情報、特に軍事的なものを意識していなかったのです。
 旅は波乱に満ちたものでした。それは続く戦乱で人心が荒廃していたためだけでなくユウジンが女性化していたためでもあります。一度などは何度も夜這いをかけてくる醜男を切って捨てざるを得なくなる事件もおきました。
 このころ既にアラジン(太祖阿羅人)が開いた蘭王朝の権威は地に落ち、首都ランプ(蘭府)も戦塵と大火で荒廃し、皇帝は近くの領主の元に落ち延びると言う目も当てられない状況になっていました。
 そして数年がすぎ十分な情報を集めた所でユウジンは多くの秀才が集まる有名な先生の門をたたき研究と研鑽を始めたのです。姓は倉、名は優、字を仁尼と名のりました。男と同じように名乗ったのは女の身なれど男として生きるという意思の表示なのです。

☆ ☆

☆ ☆

 学問に終わりはなく学べば学ぶほどわからないことが増える。それに最近は西方の宗教で言う煩悩に悩まされることも多い。男の心と淫乱なジニーの肉体をもつ身の辛さだ。それに耐えられるのは私の意地のおかげかもしれない。この地に平和をもたらす力がほしいと言った偉そうな人間が肉欲に溺れたらランプの精は愉快そうに大笑いするだろう。ランプの精は近くに来ることもあるのだろうか。
 少し早く目が覚めたので布団の中でいろいろ考えているうちに外は明るくなってきた。床から出ようと起き上がると女の子の元気な声が聞こえてくる。
「仁尼娘娘(ジニーニャンニャン)!」
近所の少女華である。
「起きてるわよ、どうしたの?」
「大変なの娘娘、こんな大男が」
ここで華は身振り手振りで大猿のような男の形態を真似たので私は大笑いをしてしまった。
「まあ! そんな人間がいるのかしら」
「本当だってば。娘娘の家の場所を聞いてきたから遠回りの道を教えてやったわ」
「あらあら」
「逃げるなら今のうちよ」
「でも華、この村で私の庵のことをたずねたのなら先生の紹介のはずよ」
「そうなの?」
「ええ」
「私がお茶を出すわ」
頼もしい護衛の申し出を私は受けることにした。
 華の話から察するとごつい外見はともかくどうやらある程度の身分の者らしい。しかし私の望む話である可能性は低いだろう。この地に身を落ち着けてから何度か誘いを受けたことはある。しかしそれは全て私を宰相の地位に導く話ではなく、妻妾にと望むものであった。
 しかし驚いたことに現れた大男は私を配下にと望んだ。こうなると問題はこの男の実力である。男は城を持っているといってもこの辺りの大領主の北方の警備に当たる大きな砦程度の城をあずかっているだけだ。ただ外様でそれだけ信頼されるのは男に徳がある証拠かもしれない。私は即断を避けて考えさせていただくとだけ言った。
 期待を持たせるような言い方はしなかったつもりだが、男はそれからも何度か我が庵を訪ねてきた。ただ私が出庵を決めたのは熱心な彼の勧誘ではなく、男に華がなついたためだった。
 必ず側に呼んでほしいという華を残し私は男と北へ向かった。周りの景色が変わるたびに男は私に質問し、私は攻守それぞれの場合の布陣を講釈した。経験豊富な彼には私の実力がわかっただろう。もっとも私の実戦経験は乏しい。
 城のある地に着き城門をくぐると1人の大男が私の前に立ちふさがった。
「戦場は女子の来るところではない。床(とこ)の中ならいざ知らず」
主君の苦虫をかみつぶしたような表情にもかかわらず。男は長柄の武器をしごいた。
「仁尼さま、あの者は放っておいて。吾が止めますゆえ」
「そうも参りません。城の中にもあの者に同調するものは多いはず。ここで力を示しておくべきでしょう」
「しかし……あの者の武勇はご存知かと」
「まあ見ててください」
今天下に1対1であの男に勝てる者はいないかもしれない。ただし人間に限ればだ。私は肉体的にもそれを凌駕していた。
 私は領主の横に来た長髭の男から大薙刀を借り馬腹を蹴った。
 勝負はなかなかつかない。腕力では私が勝るものの実戦を経てきた相手の習熟度は段違いなのだ。圧倒的な優位を見せつけて降参させようという作戦は捨てるしかない。かといって力で強引に押せば命にかかわるかもしれないし、ここで魔力を見せるのはまずい。私は運良く相手の武器を上方に跳ね上げることに成功した隙に馬を寄せて組み付きともに地面に落ちた。足を絡ませ胸を付き合わせると兵隊たちがはやし立てる。男は顔を真っ赤にして叫んだ。
「降参だ! 俺の負けでいい」
私はそのまま馬に跨り城主の元に戻った。彼は
「張将軍と引き分けとはすごい」としきりに感心している。私は薙刀を持ち主に返した。
「ありがとう。素晴らしい武器ですね。えーっと?」
「関と申します。雲長とお呼びください、軍師殿」

☆ ☆

 こうしてユウジンはアラジンから23代目にあたる阿備玄徳に仕えることになったのです。

<つづく>

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

http://okashi.blog6.fc2.com/tb.php/5724-93f1118b

この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

«  | HOME |  »

DMMさんの宣伝

 

初めての人はこちら

ts_novel.jpg

 

性の揺らぎに関する作品でお勧めのもの

ts_syouhin_20090318225626.jpg

 

性の揺らぎに関する作品(一般)

ts_syouhinもと

 

ブログ内検索

 

最近のコメント

プロフィール

あむぁい

  • Author:あむぁい
  • 男の子が女の子に変身してひどい目にあっちゃうような小説を作ってます。イラストはパートナーの巴ちゃん画のオレの変身前後の姿。リンクフリーです。本ブログに掲載されている文章・画像のうち著作物であるものに関しては、無断転載禁止です。わたし自身が著作者または著作権者である部分については、4000文字あたり10000円で掲載を許可しますが、著作者表記などはきちんと行ってください。もちろん、法的に正しい引用や私的複製に関しては無許可かつ無料でOKです。適当におだてれば無料掲載も可能です。
    二次著作は禁止しません。改変やアレンジ、パロディもご自由に。連絡欲しいですし、投稿希望ですけど。

 

全記事表示リンク

ブロとも申請フォーム

月別アーカイブ

 

最近の記事

 

ブロとも一覧


■ ブログ名:M物語(TSF小説)

 

カテゴリー

新メールフォーム

イラスト企画ご案内

20080810semini.jpg

 

リンク

RSSフィード

2019-10