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投稿TS小説 貧しいマント(1)  by.りゅうのみや

「ちょ……あなた、優が…優が……!」
「いったいどうし……え、もしかしてこれは…」
それは僕が3歳の、まだ物心つくかつかないかの出来事でした。

五年後…
「行ってきまーす!」
元気よく玄関から飛び出す、パタパタと音を鳴らせているのは
ランドセルの留め具を掛けていないため。
ランドセルには教科書やノート、筆箱に、たて笛、30cm物差しと、
あとはマントまで入っている。
僕が装着して膝の高さまで届くような大きさのマントは、
表は黒地が、裏は赤地が施されている。
「よう、すぐる」
「おはよ、けんちゃん」
彼は佐藤健太、家もお隣だし、幼稚園時代からの友達だ。
ああ、そういえば僕の紹介がまだでしたね。
大里優(すぐる)、小学3年生ということもあって、まだまだあどけなさを残しています。
「今日もマント持ってきたのか?」
「えへへ、まぁね。僕のチョコレートマークってやつ?」
「……すぐる、英語苦手なら無理して使うな」
「だけど、このマントはあくまでも演出のためであって、
ホントは今この場でもできるんだけど」
「かぁーっ! 分かってないなすぐる、
変身ヒーローは常に自分の変身するところは人には見せないのがお約束だろ」
「僕、変身はするけど、ヒーローじゃないし」
「それから、ほら、煙玉ありったけ用意したぞ」
「わぁ~、ありがとう」
「また意味もなく使いきったりするなよ、
人目に気づかれず変身するために持ってきたんだからな」
「え~、使ってナンボの煙玉でしょ」
そう、僕は変身ができるけんちゃん曰くスーパー小学生。
何に変身できるかって?
それはこれからのお楽しみ。

ところ変わって昼休みの体育館の倉庫室。
「さて、マントと煙玉を持ってきたよな」
「うん、でもここ薄暗くて埃っぽいよ」
「ここくらいしか人に気付かれる心配のない所はないの」
僕はマントを手慣れた手つきで肩に巻き、
スカーフに縫い付けてあったマジックテープで固定する。
マントは外側が黒、内側が赤になっている。
そして僕は右手に持っていた煙玉を床に叩きつけた。

ボンっ!

辺り一面を煙が包んだ。
しばらく経ってから煙りが止んでそこにいたのは…、
「よし成功だ!」
「は、恥ずかしいな。こんな練習何の役に立つのかな」
優の立っていた場所には、誰か別の女の子が立っています。
華奢な体つきで、顔立ちはまだまだ幼さが残るものの、可憐そのもの。
髪は肩の高さまで伸びていて、髪全体にウェーブがかかって何とも可愛らしい風貌をしている。
「ようやく煙が消えるまでに変身することと、
マントを返すことができるようになったな、すぐる」
そうなのです、僕は女の子に変身する能力を持つ他の人とは違った人なのです。

僕が3歳の時、両親はある変化に気がつきました。
男性にあるべきもの、つまり男性器が目の前で消える珍事件に遭遇したのです。
一緒に風呂に入っていた二人は大慌てで僕を大学病院に連れて行きました。
精密検査の結果、奇妙な現象を目撃したと医師は述べました。
性染色体の配列XYの情報がどうやら本人の意思で突如XXに変わることができるのです。
僕にはそれが何を意味するのかよく分からなかったけど、
男の子から女の子に変身することが科学的に確認されたらしい。
XXからXYに戻ることもできるし、それ以外は特に体に影響はなく、
それ以上の変化はなかったとか何とか言ってたっけ。
小さいころからずっと聞いたその言葉は、まだまだ僕には難し過ぎて
頭で暗記しているくらいのものでしかなかった。
ただ、僕がなぜこのようになったのか、両親はある程度気づいていたようです。
お母さんは大学生の時、実験室の薬品数種類を体に被り、そのために女性になったのです。
ちなみに同じ実験室でその時の状況を目撃したのが、お父さんでした。
子供を作る時、両親は奇形児ができるのではないかと憂慮したようです。
しかし特に大きな変化はなく、その後の変化も順調と思えた時期にこの出来事、
もはやそれ以外の理由で優が女の子になる理由は
なかったと言ったような言ってなかったような…。
とにかく、僕が今学んでいる授業の内容からすると
桁が違うレベルなので、詳しくは覚えていない。
ただ変身できる、それだけで十分だった。
さすがに人に見せるのはまずいと思って、人目を避けて変身を遊んでいるのだが…。

「もう戻っていいでしょ。それから戻るときは煙玉使わなくてもいいよね」
「俺しかいないからいいぜ、ただしおれが後ろを向いてからだ。
それとマントは元に戻すようにな。」
ぴかぴかっ
僕の全身から穏やかな光が輝いたと思うと、元の男の姿に戻っていた。
これでは目立つしそのため正体もすぐばれるといったところか。
「じゃあもう一度、煙玉を使って変身するんだ」
「またぁ、いい加減疲れたよ」
しかし、ここで断ればライダーキックが炸裂することを心得ているので、反論はできない。

ボンっ!

煙が充満している間に、また可憐な姿になった。
煙玉は目眩ませをして安全に変身するための秘密道具らしい。
しかし、そもそも周りに人がいる時に使う方が怪しいのだが、
アニメの影響なのかそういった演出に凝るのがけんちゃんのポリシーらしい。
ちなみに女の子になる時にはマントは外側が赤、内側が黒になっている。
そもそもマントが裏表で色が違うのは、
性別が自分の意志で変わることを意味するものとなっている。
男の子の時は外側が黒、女の子の時は外側が赤と決めている。
さっきの特訓には煙があるうちにマントを裏返すことも含まれていました。
マジックテープも簡単に取り外ししやすいように工夫されています。
もちろんこのマントとスカーフを用意したのけんちゃんなのだが…。
「こらー、けむたいと思えばこんなところでいたずらをしたなー!」
鬼原こと、榊原教育指導に見つかった、こりゃまずい。
「うわっ、鬼原だ。逃げろ」
「ま、まってよけんちゃん」

うまく逃げ切れたようだが、けんちゃんとはぐれたてしまった。
もうそろそろ昼休みも終わるので、教室に戻ればまた会えるはずだが…。
「うわっ、おしっこしたくなった。女の子って、どうしてこうトイレが近いのかな」
まだ保健の授業で性について学んでいない優には膀胱の構造の違いなど、
分からないのも無理はない。
トイレの入り口にやってきた。
「今度は失敗しないぞ、女子トイレにはいいればいいんだ」
そうなのだ、以前うっかり男子トイレに入ってそのままパンツをおろしたために、
あれがないために尿は太ももをつたって流れ落ちたことが一度ありました。
しかもタイミングが悪いことに、さっきまで人がいなかったのに
男の子がトイレにやってきて……、暫くの間、トイレで謎の女の子がいたと噂が流れた。
もっとも、すぐ煙玉をつかったため顔が割れてなかったので、
こうして今も変身していても大丈夫なのだが…。
もしかして、変身する度に見知らぬ人が学校にいると思われたりしてないよね?
とりあえず、変身の時以外はマントはつけていないので、
そうそうばれる心配もないと思うのだが、
同じ学年でこういった顔をあまり見ないから……、いつかばれるかもしれない。
けんちゃんもそういったとこ、疎いんだから
ぶつぶつと文句を言ったが、さて。

僕は少し悩んでいた。
確かにトイレに行けば用を足せる。
しかし、もうそろそろ次の授業が始まってしまう。
そうなれば元に戻る時間がないので、女の子の姿で授業を受けることになる。
今はけんちゃん以外の人でこのことを知っている人はいない。
親には知られてはいけないとの理由で、外出時の変身は禁止されている。
(もっとも優は学校以外のところでしょっちゅう変身して遊んでいるのだが…)
女子トイレに入って元に戻ることもできるのだが、
そうすれば出る時に女の子に遭遇すれば、一気に騒ぎが広がる。
一方男子トイレの個室に駆け込めば、入る時にリスクがかかるが、
顔が割れていない分比較的安全(?)だし、出る時は男の子に戻っているから
そのまま授業に出ることができる。
しかし、少しでも危険な要素があったら問題になるのも事実。
そうか、こんな時のための煙玉だ。
僕は男子トイレめがけて煙玉を投げ込んだ。

ボンっ!

「うわっ、なんだ!?」
「誰だよ煙玉使ったのは」
辺り一面煙で覆われ、周りが見えなくなった。
よし、今のうちに…!
僕は男子トイレに入ると手探りでドアノブを探し始め…、

バタン

ふぅ、ぎりぎりセーフ。
どうやら無事個室に潜り込むことができた。
……
…………
…………………
さて、トイレも終わったことだし元に戻るか。
光が周りを包んだかと思うと、元の男の子に戻っていた。
先に戻ってから用を済ましてもいいのだが、我慢できなかったのだ。

<つづく>

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