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「カレーライス」 第一章(2)

(2)

「なぁ、葵?」

 私は驚くほど軽い葵をひざに乗せ、頭を撫でながら慎重に話しかけた。

「はい、先生」
「明日、お客さんが来るんだ。その人に葵も会って欲しいんだけど、いいかな?」

 とたんに葵の顔が蒼褪めていく。

「怖がらなくても大丈夫だよ。葵と同じ女の人だよ。だから心配しなくても、怖いことは何一つないから」
「葵はどこも悪くないです! 熱だってないし、お腹だって痛くありません! だから!」

 そうか。葵は先週のことをまだ覚えていて、それを怖がっているのか。

 熱を出した葵のために呼んだ医者は、葵の恐怖心を煽るには出来過ぎていた。
 大柄な筋肉質の体に、ひげを生やした男性医師を見たとたんに、葵はべそをかき始め、診察のために胸をはだけさせようとしたのを、泣いて抵抗した。
 せめて女性の医師を頼むべきだったかもしれない。
 高熱に立つ事もできない筈の小さな体の、どこにそんな力が残っていたのか、泣き叫んで必死に抵抗する葵を押さえつけ、注射までさせるには、結局麻酔をかがせるしかなかった。
 内科相当の所見でなければ、私が診てやれたのだが……。

「訪ねてくるのは女の人だよ。葵と同じね。だから怖がらなくても大丈夫だ」
「でも……」
「できれば、葵にはその女の人と、仲良くなってもらいたいんだ」
「どうして?」
「一緒に住んでもらおうと思うんだ。先生には……」

 言いかけたところで、葵はわっと泣き出してしがみついてきた。

「嫌! 先生が他の女の人のものになっちゃうなんてイヤ! 先生は、先生は葵だけのものだもん!」
「葵、先生はお仕事がたくさんあってね。昼間の間、葵と一緒にお留守番をして、面倒を見てもらう人を頼んだんだよ」
「葵は、先生の迷惑になっているの……?」
「そんなことはないよ。葵が来てくれて先生はとっても毎日が楽しいよ。でもね、先生だってたまには外に出て仕事をしなきゃいけないんだ。葵は僕がちょっと買い物に出かけようとするだけで、泣いて引き止めようとするだろう?」
「だって、……一人は嫌なんだもん。先生と一分、いいえ、一秒だって離れるのは嫌なの。だから……」

葵はすすり泣きながら、くぐもった声で言った。

「葵には、いつか普通の人と同じように、暮らしていけるようにしてあげたいと思っているんだ。これはその第一歩だよ」
「ワタシ、先生に迷惑ばかりかけているの、自分でもわかってる。でもね、葵はどうしようもなく不安なの。先生のそばにいないと、葵、胸が押しつぶされそうになるの。だけど、先生がどうしてもって言うなら、我慢する。でもね、先生……」

 葵は顔をぐちゃぐちゃにさせたまま立ち上がり、薄布一枚のワンピースを脱いだ。
 虐待の跡が生々しく残る、儚げな裸身が惜しみなく晒される。

「ご褒美をください……。葵を不安にさせないで、お願い!」
「ああ、判ったよ」

 葵は私の胸に飛び込んで来た。
 私は一日に最低2度は葵とセックスをする。
 多いときは、日に4回。
 朝と夜。そして私が自宅にいる場合は、葵が感情を昂ぶらせた時。
 葵にとって、セックスをするということは、食事をするのと同じ。
 いや、それ以上に大切なことなのだ。
 そういうふうに、心と体に深く刻み込まれてしまっていたのだ。
 葵にとってはセックスをするということは生きることであり、それ以外の時間は死んでいるも同然だった。

 股間に手を這わせると、ビクンと骨ばった体を強張らせる。
 しかしそれは抵抗を示すものではなく、極限までに高められた性のセンサーが機能していることを示す、悦びの反応だった。
 その証拠に、指を差し入れた肉洞から、泉のように愛液が溢れ出してくる。
 本人の意思とは関係なく、無理矢理に求められても直ぐに反応できるように作り変えられた、悲しい少女の躰。

「先生? どうしたの?」

 頬を赤く染め、とろんとさせていた瞳を不安の色に変えて、私の顔色を窺う。
 いけない、つい手が止まってしまった。

「いや、なんでもないよ。ここじゃあ寒いだろう。葵の部屋に行こうか?」
「……うん。先生がそう言うなら。ワタシ、先に行って待っていますね」

 本当は今すぐにでも、高みに連れて行って欲しいのだろう。
 一瞬、辛そうにうつむいたけれど、涙をこらえるような笑顔を見せると、一糸纏わぬ裸身を翻して、部屋を出て行った。
 醜い大きな傷痕を残したままの背中を見送りながら、私はため息をついた。

「少しは体を、綺麗にしたやったほうが、よかったかな……」

 衰弱してやせ細り、至る所に虐待の後を残す葵の裸身。多少血色が良くはなったものの、透き通るような白い肌に残る、無数の斑模様は見ているだけでも痛々しい。
 もしかしたらそれが、陵辱者を怯ませる為の鎧になるかと思って、敢えてそのままにしておいたのだが……。
 だが、小さな背中に今も残る、大きな傷痕を見るたびに、自分がこの少女に刻み付けてしまったものの罪深さに、自責の念を深めるばかりだった。

「先生、早くぅ!」
「ああ、今行くよ」

 私は机の引き出しから、ボイスレコーダーを取り出して、スイッチを入れた。
 これからの情事を録音しておいて、後でメディアに焼いておくのだ。
 こうしておけば、葵は私が留守の間にメディアを再生して、私とのセックスを思い出しながら、自慰に耽ることが出来る。
 一人では寂しくて胸が張り裂けそうになると訴える、葵の悲しい精神安定剤だ。

 葵の心を蝕もうと忍び寄る過去の記憶。
 それは一日に何度も甦っては、葵の心を痛めつけていく。
 私とのセックスから得られる性的な快感を唯一の依りどころとし、千切れかけた精神の糸を繋ぎとめる。
 そうやって一日を過ごすことで、葵は自分が生きていることを実感し、明日に心を継いでいくことが出来るのだった。

<つづく>

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