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1300万ヒット記念の3 『夢違いのソウル・ロック』 その1

作.黒い枕
キャラクターイラスト.都々子

―――――今日デ、バンドヲ、解散シマス。 今マデ――アリガトウ。

 泥酔しきって、うわ言を繰り返す桃上 芙美子は、遂先ほどの敬愛していたバンド、
 ――その中で一番好きだったロックシンガーの三ヶ月 ミツル――の言葉が頭から離れない。
 確かにプロでなく、アマチュアだったが、こんな行き成り、唐突に――解散宣言するなんて夢にも思っていなかったのだ。
「……―――ミツル、のぉ……ばっかァー、……ZANさんも……キョウコさんも……あんまりだよ、ちくしょう……―――」
「もう、……いい加減にしてよ、フミ。 私、明日大学の上、バイトなのよぉー」
 親友の言葉すら、よく聞き取れないが、誰かに当り散らすしか、胸につっかえる気持は晴れない。
 んなもん、大学三年生の私たちにはハードの『ハ』にも引っかからないスケジュールよぉッ!!と、吼えて――焼酎を喉に通す。
 絡み酒の癖があることを知らない、芙美子自身は毎度始末に悪い――が、今日はとことん
最悪だった。
「……――――グスン、……ふぇ~ん。 なんで解散なの、なの…っ?! イミわっかん、んない……」
「いい加減にしたら……―――お酒」
「何をいっていますか、キミっ!! こんな日に飲まずに、……―――なんだっけ? まぁ、いい、…のォむうう」
 ハァー、とため息をつき、ドロンしてくれた相方。
 なんて薄情な友達なんだろう。
 しかし、何故こんなことになってしまったのだろうか。
 友人――と思っている優子に――無名ながらも、抜群の音楽性を秘めているバントに招待して、いつもの2倍ぐらい楽しい時間だったのだ。
 最初のライブから見てきて,生活必要不可欠までに好きになったバンド『レイズ』。
 終始、天狗になって歌のよさを説明しながら、最高のまま終わった――本当なら。
 最後の――よりにもよって一番好きなリーダー――の一言で夢気分が壊されるなんて予想も
出来なかった。

―――――今日デ、バンドヲ、解散シマス。 今マデ――アリガトウ。
「―――ふわあぁぁんん。 マスターお代わり…!!」
 バーテンダーにやけくそ気味で頼んだ梅酒のキツい、奴を飲み干し、傷心を癒そうと奮闘する
芙美子に声をかける運命の出会い――にはならなかった。
 何故な美男子でなく――魅惑の美女だからだ。
「クス。 どうしたの、そんなに荒れて? 何だったら、私が相手をしてあげましょうかお嬢様?」
「……ぃいんれーすか? ありがとうございますっ!!」
 話、相手が四十台ぐらいのマスターしかいなくなって正直有りがたく申し入れを受けたが
――酔った眼にも女性は赤に彩られた美女だった。
 赤のパーティ用のドレススーツを着こなし、セミ・ロングの髪も深々とした赤毛。
 キャリア・ウーマンのようにメガネを掛け、ツリ上がっている瞳が優しく微笑む姿には――感服と――何故か恐怖が。
 芙美子自身、中々プロポーションは良いほうだと、思う。
 特に胸は日本女性には珍しいサイズ。しかし、相手の女性は自慢のEカップを笑い飛ばせそうな巨乳で――、一見しただけでGカップは合った。
 しかし、酒の酔いに嫉妬を零すことなく、――相手の”苗字”すらも、気にかけなかった。
「……―――それじゃあ、よろしく。 私の名前は”三ヶ月 光江(みつえ)”、よ」
「ぁぁ、これは、これは……―――あたしの名前は……桃上 芙美子でーす。 よろしくお願いしますオネー様っ」
 それから一方的に愚痴を零す、芙美子と、――それを笑いながら聞くミツエ。
 しかし、その時マスターだけが気付いていた。
 40歳に見えるが、実は三十代になったばかり彼だったが、商売上、人を見る目だけは確かだ。

(あの眼は……――ノンケでも構わず――”女”――を喰う獣の眼光だ)

 何も考えず、好きだったバンドと三ヶ月の悪口を良いながら、マスターは我関わらずを、護り通して、見事にミツエは彼女を連れ出した。
 “運命の出会い”―――にならないなどと、高をくくったが、それは早計だったことを彼女は数時間後――思い知らされるのだった。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

「またか……よ」
 “三ヶ月 ミツルの呟きが、誰に聞かれること無く薄暗い部屋に消えていく。
 ――大学生にしか見えないほどビシッ、と決められていたが、彼はこう見えても高校二年生。
 さらに云えば、――――ロックもあまり興味がなかった。
 夢も決まっていて、―――地味ながらも小さな喫茶店のマスター。
 ミツルは嫌々、しょうがなく『レイズ』やっていただけであり、――他のバンドの人たちに失礼だが、有名になってしまったのは彼にしては”失敗”だった。
 染めた髪も、"らしい”アクセサリーも、派手やかな服も――そしてロックバンドすらも、自分で望んだことでなく、姉の指示に過ぎないのだ。
 本当の、――三ヶ月 ミツルは黒髪、メガネの物静かな高校生。
 夢も音楽関係ではないからバンドを解散したことに何とも思っていない。
 何よりも――これ以上、利用されたくないのだ。実の姉に。
 ――だからこそ、彼は助ける。 実の姉の毒牙に掛かる寸前の――少女を。
「……たっくっ。 こぉらああぁ!!」
 親の敵、――の如くドアを破るミツル。
 力も強く、ノブを回して入ったと、いうよりも”蹴破った”が似合うくらいでドアは壁に衝突した。
 勿論、大家に返すときに困りそうなぐらいの痕跡を残して。
「んもぉぉ……――――じゃましないでよお」
 しかし、怒りの感情を当てられている相手――三ヶ月 ミツルの姉、三ヶ月 ミツエ――は
心底イヤイヤな感じで、無粋な侵入者を睨んだ。
 ……―――本人には無粋な侵入者だが、広がる光景には誰もが邪魔をするだろう。
一般ピープルなら、なおさら。
 大きめのベットに乗る、優艶の美女――三ヶ月 ミツエ――は、部屋とベットの持ち主だから、別段問題はない。
 問題があるとしたら、彼女が跨っている一人の女性だ。
 酒に酔いつぶれていることが、一目瞭然の赤々とした顔。 可愛らしい顔が真っ赤に染められ、長いロングヘアーが乱れながら女性の体に掛かり、息はしているが、無反応。
 衣服はシンプルなピンクのブラジャーとショーツを残しているだけ。
 “そんな”に女を下にし、睨みながらも愉悦を隠さぬ―――――実の姉。
「……こんな酔い潰れた女の人を連れ込んで何をしようとしているんだ!? 何をっ!?
姉さんっ! 女の人でもコレは普通に犯罪だよ、分かってんの!?」
「ふふふ、何を言うのかと思えば、……――――あんたは何年、私の弟をしているのよ」
“おあずけ”されたご馳走のことしか考えていない、野蛮の眼を弟に向けるミツエ。
何所までも身勝手な、彼女が語る。
果てしない欲望のままに―――――高らかと宣誓した。
「抑制できないからこそ、――――アンタにロックバンドをやらせて、アンタに接近する女の子たちを物色してたんじゃないの!!」
「…………―――――警察に電話しよう」
 実の姉に『アホ』以外の言葉が思いつかず、リビングにある電話に向かう。 あいにくと、携帯電話を使うことを考えられないほど、脱力してしまった。主に精神が。
 三ヶ月 ミツエにとって――”三ヶ月 ミツル”は『餌』だった。
 実の姉貴”光恵”がより、多くの若々しい乙女を選別する為に利用したのだ。 彼の美貌を。
 自身の欲望と有り余る才能で”ミツル”をプロデュースして効率よくエモノを捕まえる。
 最初はただ、単にお金稼ぎだと、思わされていた彼。
 ―――正直、姉の性癖を甘く見ていたらしく―――全貌を知った瞬間本気で絶縁したくなった。
 それ以降、邪魔し続けたが、際限ない悪循環に今日終止符をつけたつもりだったが、
また見誤った。
 効率的な捕獲方法がなくなっても諦めるわけがなかったのだ。
「あぁぁ、まって、まって」
 ごめんなさい、だから警察は止めて。 むさい男しかいない世界はイヤだぁぁ!!
と、先ほどまでの独裁者ぶりをポイ捨てして、縋りつく。
 さながら、主人に許しをこう駄犬のようだ。
 ため息つきながら、国家機関の力を借りることを諦めた。
 ――――眼前でヘコヘコする”レズ”が捕まること――――でなく、自分の経歴にドロを被せたくない為に。 仕方なく折れる。
「ハァァァ、……毎度毎度。 ―――さっさと、この人着替えさして! 俺はタクシー呼んでおくから」
 眼が覚めない内に――”何も無かった”――ことにするのがベスト。
 なのに、平伏した筈の姉はしつこかった。 何時もの、三倍ぐらいに。
「いやあぁぁ、こんな良い子、中々お眼にかけれないもん。 この子と、めくるめく夜を楽しむって決めたんだもん」
「その外見で……―――その口調は似合わないと思うけど?」
 特大の人形と化した女性に抱きつきながら、言葉も子供に戻すミツエ。
 確かに、赤一色で装飾されたナイス・バディーと凛々しい顔つきとメガネ――の大人びた女性が演じるには”あまりにもギャプが有り過ぎた”。
(あぁぁ、もう今日はなんでこんなにも、しつこいんだ!?)
 他の一般男性なら、このギャップもいい、と貰ってくれるかもしれが、散々振り回された実弟のミツルには痛くも痒くも―――ない。
「ほら、早くしないと起きちゃう……――――!!」
 その瞬間、ミツルは心臓が沸騰したのを感じた。
 心臓だけでなく、血管が逆流したように騒がしく、脳が視界に入った女性の顔を離さない。
(かっ、可愛い―――、って何考えてるんだ俺は?!)
 俗にいう――、一目惚れだった。
 “それ”を完全に把握するには恋愛経験が圧倒的に疎く、狂喜する体を押さえるのに必死。
 そして、首を切るチャンスを伺っていた姉がここぞ、とばかりに笑う。
「へぇぇぇ、―――」
 今まで冷静且つ、有無言わせない正義の断罪者―――たるミツルが今日初めて見せた隙。
 彼とは違って、恋愛に限らず人生経験は実年齢の五倍だと、自負しているミツエである。 
 行動も早く、―――最善を提案する。
「ふふ、気になる、気になる。 可愛い子だもんねぇー。
……――――ねぇ? ここは姉弟仲良く、二人で――――やらない?」
「ぶうぅ―――っ?!?!」
 勝負を決めようと直球で”最善策”をぶつけるミツエ。
 しかし、もう少し誘惑する必要があったらしく、姉とは反対に理性が整ったミツルは目的を思い出し、振り出しに戻る。
 どちらも、決め手が欠けているまま、数分。
 未だに対峙する姉と弟。
 姉は―――知っていた。 このまま欲望のままに眠り姫を犯せば、目の前の騎士気取りの男が本気で止めに来ることを。 逆に、何もしなければ動けない理由があることも。
 長年の付き合いで、知っているが、ミツルは義理堅い古きよき時代の男だ。
 例え――、一目惚れした女性が、淫猥な姿で――意識なく――そこにいるのに何もしない。
 手を伸ばせば手駒どころか、簡単に陵辱出来るのに……出来ない良識人。
 彼女は勝つために、彼の理性を陥落させようと、ジワリジワリ。
 時に――大人、時に――子供、で果敢と堕落させようと、会話を武器に奮闘した。
 だから、彼女が負けたのは――ミツルのほうが圧倒的に有利なのと、焦っていたことに
気が付かなかったことだろう。
 行動に移せば、必ず妨害され、チャンスが無くなる彼女と違い、彼の方は時間をかけるだけ、損だったことだ。故に――――。
(……起きそうにないし、――これしか、ないか)
 覚悟を決めて、下着姿の刺激的な――何故か胸躍る――女性を”自分”で着せ替えることにした。
「なぁぁぁ!? ちょ……まっ、…ずるィィ。 初心な、あんたが女の子の服を着替えさせるなんてぇぇぇ」
「誰のせいだ!! ……―――っと声静かにしてくれっ」
「うぐっ、……ふぐうう――――うえぇぇぇんんんん」
 ここまで着たら諦めるしかないのだが、彼女は心底、淫欲のままに邪魔するものに飛び掛る―――が、流石は百戦錬磨ミツルに難なく敗られた。
 流れを利用して動きを封じられ、しかも、彼女が――連れ込んだ女の子の為に用意した――オモチャで縛られる始末。
「む”ブヴぅ(鬼ィ、悪魔ァ!!)」
 自身の完全勝利を確信し、意識不明のお姫様を着替えさせるミツル。
 しかし、”運命”が、――許さなかった。
「変態……?」
「えっ………―――あっ」
 簡単なシャツから着替えさせ本当に後、少しだった。
 後――もうちょっとで、半ズボンを着せたら完成だった。 ベルトなどに拘らなかったら違ったかもしれないが、現実は非常で――襲われそこねた女性が目覚めている。
(うおーい!! これじゃあ俺が、主犯じゃないか)
 股間で服を弄る男と、後ろで縛られている女性。
 気のせいか、ざまぁーみろ、と姉が叫んでいる気がした。――現に笑っている。
 死刑執行前の絶命的な展開にもはや、覚悟を固めるしかない哀れな――高校二年生。
 早いうちに止めさせておくんだったと、姉を恨む。
 嘆きながら――罪を償ったら、今度こそ姉と縁を切ることを決めた。
 絶対、無罪を勝ち取れないと悟り、決死の思いで彼女を見つめる。

<つづく>

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