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1300万ヒット記念の3 『夢違いのソウル・ロック』 その2

作.黒い枕
キャラクターイラスト.都々子

 一方、哀れにも酒場で拉致され襲われそうになっていた――桃上 芙美子は酔いしれ気分のまま自分の前にいる人物に焦点をあてる。
 実は、前かがみになって彼女を見つめている男性の後ろで縛られた女性どころか、自分がされていることすら認知できていなかったのだ。
 単に、気分と勘でいった戯言。
 ―――本当に女の勘は恐ろしく、”変態”の一言で完全に人生を諦めているミツルが、
滑稽で、哀れに他ならない。
(アレ、……レ? もしかして、………――――――!?)
 そして―――気付いた。
 自分が好きで、好きでしょうがなくたまらないロックバンドのロックシンガー、――”三ヶ月 ミツル”だと。
「うわっ!! うわあぁぁ!! ミツルぅぅぅ~~~~っ」
「ひあっ、ご、ごめなさ……むごっ」
 感激に体が動いた。
 たとえ、―――今宵、自身を失意させた相手でも、今まで積み上げてきた思いが彼女を突き動かした。 ファンは所詮、ファンなのだ。
 酒で芙美子の枷が外れていたことも、要因だった。
 ――でなければ、いくら憧れの人でも、うら若き乙女が胸元に異性を迎えるなど、尋常ではない――多分。
 真逆に、口を塞がれたことで柔らかき丘の感触を味わいつつ、天国に上りつつあった――ミツルの方が平常な反応で足掻いた。
「ぷはぁ……落ちつ――――ィイ!?」
「ふっ、え?」
 正しい反応だと言えるが、条件が悪すぎた。
 大きな寝床とはいえ大人三人は許容外で狭く、座り込んでいた大地も無骨の硬い
――ものではないフカフカ毛布。
 最後の止めとばかりに勢いに乗った女の力を舐めて、力を出し切れず拮抗してしまい体勢が崩れた。
 結果―――床に落下していく二人の男女。

 ――――ガチッん!!


 床とは明らかに違う衝撃音が響きながらミツルと、芙美子は意識を失い。
 馬鹿らしいが、この日。
 ―――”三ヶ月 ミツル”、と”桃上 芙美子”――はこの世から消えた。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

(あぁぁ、頭、痛い。 ~~~~一人暮らし、しよう。 ……って内の高校、バイトできないんだあぁ。 ……あぁあ!! あの子は――――――??)
 ズキズキ、痛む額を押さえ、三ヶ月 ミツルは眼を覚ました。
 だが、妙な感覚に襲われて、今一、目覚めが悪い。
 頭の痛みにしても外側は兎も角、内側すらも突かれている感じで、キツく思考が遅い。
 以前、姉たちに酒をたらふく飲まされた時みたいにクラクラ――して”二日酔い”みたいだ。
 さらに言えば体の感覚もオカシイと、思えば服が違っていた。
 そうか服のせいかと、――自己完結したが、それでも違和感は拭えない。
 今まで感じたことがない絶対的な――”違い”――を感じるが、やはり未だに分からない。
(アレ―――なんで俺ベットの上に………?)
 途切れる前の記憶が、確かなら彼は硬い床に寝ていなければならないのに、今はフカフカの――あと少しで犯罪が行われそうになった場所――に居た。 毛布まで被されて。
 姉――な訳が無い。
 自分で思うのもなんだが、ミツルは長身な方だ。
 男をカッコ良くみせるベストの長さで、それだけ体重もある方なので年上とはいえ、女の身で彼を持ち上げられる訳も無い。
「ん……これ”女の服”? ……しかも、あの子の??」
 『誰が』こんなことをしたのか、推理ドラマの主人公になった気分で推理をしていた彼だったが、起きて数分――過度に鈍感すぎるが、――彼は気が付いた。
“―――何もかもが、オカシ過ぎること”、を。
 まず、服が違う。 が、正確に述べれば、白とグレーの縞々シャツとベルトが目立つシャツ以上に濃いグレーの半ズボン。
 ――思わず見惚れた女性のモノに間違いない。 ミツル自身、着替えさせたのだから。
「えっなに……何コレ? え、」
 しかし、それでも――奇妙過ぎて――姉の奇行に振舞わされて鍛えられた彼の精神でも混乱するしかなかった。
 服も不思議だったが――問題は服と体は調和加減。
 これで、破けていたり、ギチギチだったら、まだ正常心を失わなかったろう。
 違和感の主な原因、全身の感触が何時もと、まったく違うのもそうだが、今、ミツルの意識が集中していることは、唯一つ。
 そう、眼前に広がる――自分の体――ではなく女体から眼が離せない。
 膨らみ綺麗な丘が出来ている胸――どうみても乳房。
 悪夢を見た子供のように震えて、両手を胸元の上に持ってくる。
 まるで悪夢の元凶を直視したくないかのように。 だが、己が腕も彼を絶望に叩きつける現実の一つでしかなかった。
 男と女の違いをここまで感じることは、無いだろと記憶の中の自分の両腕と、目の前の細腕を、――他人事のように見比べ、彼は仰天した。
 今までの自分とは面積が三分の二ぐらいの腕の太さと指の鋭さ。
 一目で違いが、分かるというのにご丁寧に右手に赤布の極小のアームカーバと左にシンプルな金属製バングル。
 布製の方はまだしも、金属製のアクセサリーは間違いなくサイズ補正は不可。
 必然的に認めるしかない―――少なくとも付けているバングルがピッタリなぐらいに、体が縮んでいることを。
 そこまでした後は大雨の堤防みたいに決壊するように――早々且つ、重々しく確かめていく。
 無論、彼自身に襲い掛かってくる異常事態を。
 下半身の足が殆ど、露出しているが、女の子特有の優雅な肉付き。 お世辞でなく、
とても綺麗だが、ミツルにはマイナスでしかない。
 本来なら―――有ってはいけないのだから。
 次々に、体のほとんどを触り、長く伸びきっていた髪の毛を触る。
 長さどころか、色と質が別物であることを悟り、最後に泣き出しそうになる心を抑える為、両肩に交差した手で掴み蹲る―――が。
「んああぁぁぁ!!?」
 胸元から止めといえる、衝撃が走る。
 思わず、肩とのドッキングを離し、胸元を――膨らんでいる胸を見た。
 服の上からでも順調に育っていることが分かる柔らかさと感触に脳がかき乱されたのだ。
 ひぁん!!? と、叫ばなかっただけでも自分を褒めたい気分になったミツル。
 それほど上膊に感じた暖かさと、胸そのものから未知の感覚が――”男だった”――ミツルには許容できるものではなかった。
 しかし、意識してしまったが、覚悟して触れていなかった部分の一部に手を掛けた。
 オモチャのように壊れそうな可憐な手だったが、性能は正常に働いていた。
「~~~~~~~~~ッ?!!」
 不本意だったとは、いえ自らの胸倉の感触を味わった彼だったが、最後まで嘘であって欲しく、覚悟を決めたが無駄だった。
「―――――ない」
 もう一つの怖すぎて腕を向けれなかった股間にも、勢いと覚悟で触れたが――やはり、ない。
もう、唖然とするしかない彼は、この部屋に姿見があることを思い出し、素早く身を浮かせた  ―――つもりだったが、”女の体”を旨く動かせず、危なげに鏡に向かう。
 そこの映し出されたのは――”三ヶ月 ミツル”――では、なかった。
 徹底的且つ、パーフェクトに。
(嘘だろ――っ!! でも、これは―――――)
 予想通り、そこには名も知らない可憐な少女風な女性がいた。
 冷たい感じを放つ、鏡面に眼を潤ませながら驚愕と唖然の感情に支配されながら映し出されている。依然として顔の可愛さは消えていない。
 過保護な――父親気分になってしまいそうだ。
 名前すら知らずに助けて、さらに人形のように意識がないにも関わらず見惚れてしまった愛しきお姫さま。
 今度は鏡の世界に囚われてしまったように見えるが、ミツル自身が、その女性の体に閉じ込められてしまっていた。
(なんだってんだよ一体――――)
 疑問に答える声がないまま鏡のまえで絶望していた彼だった彼女――”桃上 芙美子”。
 その姿は、小動物と重ねられるほど可愛らしく、自分ではなかったら思わず、抱きついて慰めただろう。
 だが、――その女性が、――ロングヘヤーを靡かせ、予想していた通りガラス玉のように綺麗な瞳をした女性が自分自身。
 それが鏡の中も、現実も、共通した真実だった。
 そして、――――――。
「起きた? まったく、混乱するぐらいなら私を呼ぶぐらいしなさいよねっ」
 どうやって抜け出したか分からないが、何にも束縛されていない、姉――三ヶ月 ミツエ――と。
「ミツル…――くん。 だよね?」
 “三ヶ月 ミツル”――が外見上は実姉の後ろから飛び出してきた。
 不安な思いが声にまで浸透して、自信がなそうな顔色。
  けれども問いに絶対の確証があるため――彼女だった彼は――見据えた。
 自分自身の――”桃上 芙美子”――の姿をした”三ヶ月 ミツル”を、臆しながらも逃さぬように。
(まさかっ!?)
 異性どころか、他人になってしまったことが、痛感できているからこそ、姉ミツエと自分の姿をした男が――自分のこと”三ヶ月 ミツル”と、認識できた奇跡に我ながら恐る恐る、目を開かせる。    
 ――仮説を思いつくと、眼前の”自分”と、同じように声を震わせながら、妙な自信と共に確認する。
「……俺…たち、もしかして―――」
「うん。 いい難いんだけど、私たち……―――」
『入れ替わってる』

 声が合わさり、部屋に響き、ミツル自身の耳に届いた。
 そして理解してしまった。
 自分が名も知らぬ可憐な女性と、―――――体が入れ替わってしまったのだ――――と。

少年ロックシンガーが女の子と入れ替わっちゃう

<つづく>

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