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『愛玩メイド"KEI"』1-4

作.黒い枕
イラスト.神山

(1-4)

「ううぅ」
「あら、なんで照れているのかしら? 貴方は私が望むことは全て受け入れられるんじゃないの?」
「そう…ですけどもおー」
「可愛いわよ、その牛メイド服」
 普段着となっているいつものメイド服ではなく――牛をイメージした派手なメイド衣装を身に纏う”KEI”。
 けしからん胸だけでなく四肢や後ろまで、かなり露出させた仕様に丸裸にされた気分で、
彼女は鏡の中を覗きこんでいた。
 丈の減ったスカートから寒い風が入り込み、必要以上に背中が強張る。
 そんな彼女の姿に何を思ったのか、ご主人さまは両手を掛けるようにして抱きついた。
 何気に胸の部分に力を入れながら、一緒になって鏡を見る。
「ふぁ、ご、ご主人さま、何を!?」
「――ご主人さまがやることを一々、メイドに言わなければいけないの?」
「そんなことは、ありませんが……」
 恥辱のあまりに頬を桜色に染めげ、鏡の中のご主人さまに悲願する。
 しかし、そんな”KEI”の願いなど、最初から否定されているモノ、みたいに、ご主人さまは
最後の決め手を彼女の首につける。
 鏡越しだから、簡単にその正体が分かり、情けなさに両目の端から涙が零れた。

塚倉 挿絵1

「これで完成。 今日一日――牛メイドとして私に仕えなさい」
「………モォ…ォ――ンモモォッ??!(ハイ……えっ、何ですか、これ?!!)」
 モォモォと、本当の牛のように可憐な声を連呼していく”KEI”。
 10と2回。
 鳴いて、やっと首に付けられた―――鈴が原因だと分かった。
 丸い鈴ではなく、四角く開いた口が特徴の本当にホルスタインに付けるような鈴だ。
 原理は分からない”KEI”の言葉を制約していた。
「モオォー!! モッ、ンモオオ!!」
 ―――酷すぎます!! はっ、外して下さい!!
 自身ではそう言っているつもりでも、空気に伝わるのは牛の鳴き声。
「ん? なぁに? 私は人間だから牛の鳴き声で言われても何も分からないわ。
そんなことすら理解出来ないなんて、本当に牛並みのお頭ね……」
 さも分かりません、みたいに苦笑しつつ首を傾げる麗しいご主人さま。
 しかし、その表情の余裕さは、目の前の人物が自分の声の意味に気がついていることを悟っているとしか思えないほどだった。
「モオオォ……ン、モオッ!!」
「―――いい加減に静かにしないと、牛メイドでなく、ただの牛女として過してみる?」
 冷たく汚物を見るかのような視線に”KEI”はご主人さまが本気であることを痛感して、
涙を零しながら、黙るしかない。
「宜しい、じゃあ取り合えず、紅茶でも持ってきて貰おうかしら……」
「………………」
「―――――――――返事は?」
「モ、…モオ、ォ」
 ――――――ハイ。
 そんな一言を述べる権利すら奪われた"KEI”。
 しかし。
 しかし―――――それでも彼女はご主人さまに仕えなければならない。
 頷き、お辞儀を済ませ、ドアから出て行く。
「ンオォ、モ、モオォ……」
 ドアを丁寧に閉めながら、――、一言も喋りたく――本心を偽り、最後までご主人さまに
笑い顔を向けて彼女は台所に向かっていったのだ。

 ―――――カラン、チャ、リン、カン。

 首元の鈴が奏でる音が、自分が人間ですらなくなったことを実感させるよう"KEI”の聴覚に響く。
 
 ―――そう、なのだ。

 ”彼”はもうナンバー2のホストでなく、――ドジで無能で、淫乱な――愛玩メイド――ですらなく
ご主人さまに所有される――モノなのだ。
 ご主人さまに遊ばれ、ご主人さまを悦ばすこと、こそが自分の仕事。
 女にされた"彼"にはご主人さまに仕える以外の道しか、残されていない。
 女に変えられてから、約四ヶ月、半。
 今日も”KEI”の、ご主人さまに仕える日々が続いていた。

<第二章につづく>

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