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『愛玩メイド"KEI"』2-1

第一章はこちら
塚倉

作.黒い枕
イラスト.神山


(2-1)

「……うざってえー、ブス」
 悪態をつきながら一人の男が白いシャツを着込んでいた。
 髪を紫に染め上げ、ピアスをしている整った顔立ちの美麗な男。
 普通なら、愚痴りながら着替えている青年のシーンなのだが、そこに女が加わると、
一変する。
 ――特に顔を血塗れにし、二倍ぐらい膨らませている女性がうめき声を上げながら
ベッドに寝かされていたら、なおさら異常である。
「…っ…………ん…がっ……ぁぁ……」
 女性は顔中、痣だらけで特に左目は失明しているように充血していて、日本のドラマでは、まず放送出来ないような"重傷"

 鼻は一目瞭然で折れ曲がり、セミロングの茶髪は鮮血に染まって、口からは
獣のうめき声よりも不気味な音が漏れ出していた。
 そんなただ事ではない女をよそに、なおも男は――坂倉 慧刻(ケイト)は、
脱いだ服を着込んでいた。
 ――まるで死に瀕しているのが虫か何かのように、手鏡で自身の容姿をチェック
までしている。何故なら――。

「いいか!! もし俺のこと訴えたら、今までの写真ばら撒くからな! 俺様に二度と

近づくなよ!!」
 ――彼女を痛めつけた当事者だったからだ。

 しかし、彼は後悔も懺悔もなく、罵倒さえ吐いて―――玄関に向かう。
(ちっ、……もう、少し蓄えていると思ったのに二百万くらいで泣き言かよ。

ブスの上に、金も無いなんて価値が無さ過ぎ)
 坂倉 慧刻にとって――臥せている女性の価値は、その程度のモノ。
 ルックスもスタイルも、セックスすらも気に食わない。
 彼女に付き合っていたのは、何もかもが――金銭目的。
なのに、はした金寄越しただけで結婚してよ、などと”悪い冗談”を吐いた。
付きやってあげていた自分に対して、同等の存在かのように。

 キレる―――理由などそれで十分。
 

 馬乗りになり大人の、それも男の腕力で――数十発――殴った。
 『撲殺』の一歩手前まで。
 ”女”の戯言に、 彼が思ったことは、憤怒一つ。
(俺に向かって、ふざけやがって)

 自分は悪い筈などない。
 悪いのは女の方であり―――彼の中では自分こそが被害者だった。

 最後の10万が入った封筒を懐に入れて深い青のスーツを完璧に羽織、白と青に
彩られた服装と紫髪を最期まで入念に確かめると、玄関を開けて出て行く。

 ――『愛』どころか、最後まで女性を『心配』せず、――振り返りもしなかった。

  

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



「……んだよ、中途半端な時間だな、酒でも飲みに行くか………」

 女のマンションに一分一秒も居たくない慧刻は、夜をどう徘徊するか迷っていた。

 真っ直ぐ家に帰るのも、嫌な時間帯に暇にされた彼は子供の癇癪のようにタバコに

火をつけて気分を落ち着つかせる。

(ん、……今日は女、…はいいや。 どうせ腐らせるほど”有る”んだから)

 夜中の道を歩きながら繁華街の方に歩んでいくが、自分の縄張りでないから中々、

決まらず街中をうろつく。一本目も終わってしまう。

 最初のタバコを堂々とポイ捨てして、二つ目に火種を作ろうとして――止まった。

「おっ………ありゃぁー」

 ふと、目が止まったのは店の看板でなく一人の人間。……女ではない。
 今日はトコトン”くだらない連中”のことは忘れ、飲み倒れるつもりだったから、尚更。  
 つまりは――必然的に彼が注目したのは男だった。
 自分よりかは、劣るものの、かなり良いルックスをした青年。
 所謂、草食系みたいな中性的な顔立ちにメガネを掛けた容貌で自分と同じく奇抜な色
をした髪――グリーン。
 少年にも見えるがさすがに夜の、この時間に飲み屋や、妖しい店が立ち並ぶ場所を
歩いているから歳も近いだろう。

 無論、坂倉 慧刻には男色の趣味など無い。

 では、何故その青年に注目していたかと、言うと――――。

(中訓のダンナの好みにピッタリじゃねえか……かなりの額貰えるかも)

 “商品”として品定めしていた。

 彼はヤクザに女を売るどころ男も売っていたのだ。
 自身が勤めているホスト・クラブに働きに来た奴や、貢がせた女の親族などなど……。
 そんな法外的なアルバイトのお陰で彼は26歳の若さで数億の財産を手に入れていた。
 さらに今宵は、馬鹿な女の所為で気分が悪く、その分良い思いをしようと決める。
(くっく、――まぁ世間の厳しさを学ばずに、こんな所に来たことを後悔するんだな)

 これは――ボーナスだ。

 金が有ると思い肉体関係を結んだ女が、期待はずれだった分の幸福。
 ここぞと、ばかりに垢抜けない青年に社会勉強させて高額の報酬も得る――
笑わない人間が何所にいる。
 持ち前の美貌で、標的に気軽に声を掛ける。

「よおっ!どうした、にーチャン? 飲み仲間がいなくて困っているのか?」
「えっ……ボ、ボク……です、か?」

「そうそう、俺も今日はツイてなくてねぇ、一緒に飲まないか?」

「えっ、でも………」
 困惑する"獲物"。
 流石にこう言う場面で、男を騙すのは女の方がスムーズだったろう。

 しかし、彼は流れるように強引に店に誘う。
 自身の長身と少年のような男との身長差で少し無理っぽかったが、肩に腕を回し、
今一状況を読めないの青年の体を強引に動かす。
「ちょっ……ちょっと!?…あの…あの」
「寂しいこと言うなよ、……俺の奢りで良いから飲もうぜ」

 ―――もっとも、それ以上に稼がせてもらう。

 そんな意図を隠しながら、建物の中に消えていく慧刻と青年。表面上は本当の知人の
ようだが、その内面は違っていた。





 ――――"お互いに"――――。





~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
<つづく>

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