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『愛玩メイド"KEI"』2-2

作.黒い枕
イラスト.神山

「……ん、つぅぅ」
 坂倉 慧刻が意識を取り戻したのは有り触れたバー、
―――でなく豪勢な屋敷だった。
 少なくとも気がついた部屋の内装はテレビに紹介されそうなほど品質が備わった上流階級のソレ。

 四方八方、上品な木造を中心にした作りで、一目で『本物』だと分かる雰囲気。
 眠る前に売る商品を酔わせようと酒場で飲んでいた記憶はあるモノの、
どうしてこんな所で眠っているのか。
 不思議に思いながら仕方無しに起き上がる柔らかいクッションとそれ以上に柔らかい肌――不可解な――ことが現実に起きながら、それでも彼の思考が冴えない。

「んあ? ……何コレ?」
 脳内の血液循環度が上がるたびに頭が覚醒し始め、彼は自分が所在不明の場所で寝ていたことよりも、自分がしている格好の方に注意が削がれて行く。

 着ていた青と白のスーツ姿でなく、紺色のワンピースとその上に清潔そうなエプロンが付けられていた。

 通称―――――。

「あ"ぁ"ぁ"?―――メイド服ぅ!?」
 オタク染みた知識が無くても誰もが分かるほど熱狂的な支持者を持つ――衣装。
 だが、それを男に、坂倉 慧刻が着ていたら唯の変態だろう。
 身長170オーバーで体格の良く、"怖い系"で通している、彼に絶対に似合わない組合わせと言える。
 見れば、見るほど可愛らしいソレを何故自分自身が着衣しているのだろうか、見当も付かない。

(えっ、まさか……中訓のダンナに………いや、それはない、絶対に)

 自身が知る過剰な男好きのダンナ――のヤクザの幹部を思いつくが、中訓である可能性はゼロだった。ダンナの好みは可愛らしく男と女の中間で、それが条件なのだ。

 とてもじゃないが彗刻には可愛らしいと、言うイメージは沸かない。
 顔は自然のカーブをえがいた優美なモノや獲物を逃さない獣のような鋭い目や鼻、上品さを醸し出し鼻の高さ、そしてスレンダーと、かなりの色男。
 草食系なら兎も角、肉食系の彼にメイド服が似合うなどと、思うバカは
―――いないだろう。
「チッ………本当になん…なんだぁ…………」
 洋館風のお高い部屋にメイド服を着た自分、記憶も探るも酒を飲んでいる場面で終わる。
 把握不可能な状況に思考が追いつかず悪態をつきながら混乱するのは、人として当然で………そんな人間は大抵、意味も無く体を動かしてしまう。

 慧刻も同じで、手で頭のてっぺんを掻く。

 痒いわけでもないのに。 そして。

「――ンあぁ!?」
 胸元からの感触が響き脳を揺らした。
 間抜けだと、思うが叫ばずにはいられないほどの感じたことの無い"胸部"の振動。
 素早く原因を見れば、そこにあるのはパットによって女のように膨らんだ乳。
(んあぁ!??、……このパット―――本当に肌に引っ付いているみたいだ……)
 少し擦らしただけで、揺れる乳房――少なくとも彼が性行為を結んだ相手の中で、これほど豊満に育ったモノはなかった。
 そんなご立派な乳が、自身の胸元に存在している。
 最初に自分の身体を見た瞬間に余りの、でかさに女装された際にパットも付けられていると思っていた慧刻だったが、――改めてその部分を意識すると奇妙過ぎた。
 波立つ肉、柔らかい塊がキツく何かに覆われている圧迫感、重力に引張られる重さ。

  何もかもがリアルに彼の脳みそに受信していく。

 ――ごく、り。

 自然と喉が鳴ったのを合図に不安の正体を探る為、その大きな物体を触れようとする。

 偶然接触した膨らみの横部分でなく先端部分に両手を恐る恐る近づけた。

「目覚めましたか、……坂倉さん」

「んおおおっつ!??」

 まさに今、グラグラ蠢く乳房らしきモノに手を掛けようとした瞬間。

 突拍子も無く声を掛けられ――今度は本当に飛び上がり驚く。
 つい先程の暴力沙汰と、違い犯罪行為ではないのだが、彼は何か悪いことをしたような罪悪感に体が無条件でビクつく。
 さらに揺れ動く乳に脳みそが三割ほどノック・アウトされるが、突如声を掛けた
存在に体を、そして顔を向ける。

「どうですか――――女になった気分は?」
 声の主は、ヤクザに売り払おうとした、あの男だった。

 緑のショート・カットを揺らしながら椅子に座りながら慧刻の前に佇んでいた。

 出合った時みたいな安物のスーツでなく、西洋なんかに出てきそうな貴族の服を着ている所為か、子供らしさは消え、『大人』の風味を感じさせる。

 しかし、声を掛けられた慧刻の方は言われた言葉に男で無く、自身が溜め込んでいた懸念の方に意識が向かい、一気に爆ぜた。
「な…にぃ…」

「ん? もしかして気がついていなかったんですか」

 能天気な問いを無視して、気がつけば自身の体に視線が止まっていた。

 そこには違えようもない現実として女の体が存在していた。

 白一色の汚れ一つ無いエプロンと、反対に深い黒に支配されたワンピースに飾られた
―――女の体しか、確認出来ない。 紛れもない――自分自身の体が女。
 胸元では芳醇な塊が生きており、感触も本物。
 高級そうな布地から漏れ出した四肢の生気溢れる様は男の物とは段違い――
これも感覚として認知出来た。
 意識すればお尻もかなり肉々しい風に変身を遂げていて、ベッドの柔らかいクッションと競えるほど、しなやかだ。
 見間違うことを許さないグラマーな『女の体』と――否定出来ないほどの異性の感覚。

 パット――などでは説明出来ない怪奇が、そこには在った。

「う、そ……だろう……ああ、ない!! ない!! ない!!」
 前兆無く慧刻は半狂乱になり自身の――身体の代わりに眼光に映る女の股間に
手を動かした。

 ワンピース特有の長いスカートに阻まれながら確認できなかった性器に絶望が深まる。
 いや……性器は有った。

 だが、それは予想していたモノとは180度違っていた。
 “ソレ”は肌と一体と化し、不純物なき美しき雌の平地。
 その真ん中に僅かに感じる筋の実在―――女の性器だ。

 探せど、探せど、何人もの女を鳴かせた相棒――ペニスは見つからない。
 影すらもない。
 そして焦りを表すように頻繁に腰を回した為に一層、存在を主張する乳房の様子は、まるで人為的に付けられたみたいに少し不自然だった。

 股間の探索を諦め両手で胸を持ち上げる。

(こっ、これも……本物!?)

 エプロンの生地が歪み巨体が浮かび上がる。スイカ級の塊から漏れ出したのは――”それ”が本物である証拠の感覚であり、一体感であり、――快感だった。
 手と乳房の両方から暖かさと柔軟さを神経が脳に運んで来る。
 望みを壊すように鋭く。恐慌のまま打ち出された十本の指が布地のフェイスを越え、深く乳房に食い込む。

 そんな体勢のまま肌の暖かさが小さな手に移り、そして胸からも波打つ運動が伝わる。

 信じられないが、――坂倉 慧刻は女にされていた。
 それもメイド服を着せられた上に、グラマーな―――女に。

塚倉 挿絵2

「おっ、おい!! お前、なっなんだよ、コレ?! 俺に何しやがったんだああ!!?」

 明らかに事情を知っているだろう男に叫んだ。
 再び男に向けられた眼球には怒り以外に恐怖、不安、驚愕の光が宿り若干、怯む。
 男は何時の間か立っていて、微笑を繰り返すだけ。
 沸点が低い慧刻には、我慢など出来きる訳もなく体が動いた。

 動きにくいメイド服をヒラヒラ靡かせながら拳を顔の横に停止。

 女になって腕力が落ちたことにも、思い付かぬまま男の顔に腕を振り下ろそうと、
するが―――――

「え……?」

 世界が回った。
 挑もうとした男が一気に反転し、他の全てが逆転していく。
「……―――つた、あ、…ぁ」
 背中に鈍い痛みが発生して、ほぼ同時に聞こえた衝撃音に彼は自身が転んだことを悟った。可愛らしい女の声が口から漏れる。

  男と女の体の構造は違う。

 そんな常識すら忘れていた――――坂倉 慧刻の落ち度だった。
 背は一回り小さく成り、肩は内的に凝縮されている。
 腕や足も、今までとは比べようもなく貧弱なモノに変わり果てて、その分、美しさが増して、自然と内股歩き。
 体全体もふっくらと肉が増したみたいに柔らかく特に、胸と尻は異常なほど膨張している。ほんの少し動かしただけで反応してしまうほどの乳が走ることで銃弾を撃ったように狂い回り、臀部など2,3キロぐらい重りを付けられたようだ。
 そんな体なのにウエストは極めて細い。

 そんな状態で怒りに任せた結果が―――コレだった。

 バランスを崩し、横転してしまったのだ。

 普段の彼なら、軽い痛みだけなのだが、今の体にはかなり負担だったらしい。
 涙腺も緩くなっている為、涙が数滴零れる。

「くぅ……――――この……なっ!?」
 徹底的に笑い顔を貫く男に痛みよりも怒りが勝り起き上がろうとしたが、
何故か、起き上がれない。
 上がらない腕と足に視線を移せば答えは、簡単だった。
 まず、足の方は地面の硬質且つ、大理石を思わせる上品な材質から手らしきモノが、
足首を捕縛していた。

 冷たい感触すら気がつかないほど錯乱していた彼は、余計にこれが悪夢ではないかと
疑った。
 元々、男を女にすることは費用や時間、技術さえ有れば出来ることは慧刻も許容出来るだろうと考えていたが――今、彼の足を押さえているのは――完全に常軌を越えたモノ。
 ファンタジー世界の魔法が現実で行われたような心境。
 そして腕の方は二人のメイド――少女が腕を押さえつけている。
 足よりは現実味があるように思われたが、つくづく怪異らしく押さえている腕が一ミクロンも動かない怪力。
 女になってしまった為かもしれないが、少なくとも慧刻には象に押さえつけられているような圧迫感を連想させられた。

「なっ、なんだ、お前らは!?」
 地面から生えた腕らしき物体を認めたくない彼は、逃避する意味も兼ねて怪力少女たちに意識を向けた。

「始めまして、私たちはご主人さまのメイドです。 私がレラで、この子が……」

「ミラだ。 ヨロシク新人くん」

「違いますよぉ~、新人ちゃんですよぉぉ」

 悠長に自己紹介してくる二人は踏ん張る慧刻をあざ笑うように腕を押さえる。
 どうやら右腕を押さえつけている淡い茶色の短髪なのがレラで左の蒼の長髪がミラ。

 鏡に映っているようにそっくりだから、恐らく双子なのだろう。

「はっ離せよ!! この―――くそおお!!」

「ダメです。 ご主人さまの命令なので」

「新入り、アンタもご主人さまのメイドなら主人の意向に従えよな」

 力では適わないことを知り生来のガン飛ばしで脅すも、少女たちは引かずに腕の力を強める。 胸の揺らめきだけが強くなることが悔しく、過剰なまでに少女たちに噛み付く。
「 ふざけるな!! 誰がメイドだ。第一に、俺はおと……んがああ!??」
 『男』―――そう言おうとしたとたんに胸部に走る痛みに支配された。
 叫ばずにいられないほどの衝撃に混乱が深まる。
 自由に出来る数少ない部分の首を傾け、胸元を確認した。
 またしても原因が一目で理解出来た。
 男の足が無慈悲に乳を踏んでいたからだ。
 大きな塊がエプロンとワンピースごと踏みつけられ潰される。
 丁度、肺と心臓も踏み潰すように踏まれ、苦しく罵倒どころか、息するのも難しい。

「こんなに巨乳になっちゃって男だなんて。 冗談が旨いですね坂倉さん」

「がっ……ちが……ゲホっ……お、俺……は……」

「往生際が悪いですねー。坂倉さんはもう、ボクの――いえ、私のメイドなのよ、諦めなさい」
「―――な”っ”!? …っ………そ"の"ごえ"…」
 突然、男の声が変わる。
 まるで女に変えられたように慧刻の同じように男の声色から女のモノへと。
 そんな彼の驚きさえも何事もなく徹底的に見下ろしながら笑うと、双子のメイド
―――ミラに命令する。

<つづく>

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