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『愛玩メイド"KEI"』2-3

作.黒い枕
イラスト.神山

(3)

「ミラ、”この皮”を外しなさい」
「分かりました、ご主人さま。 ……それじゃあ、ちゃんと押さえていてくれよ、姉さん」
「了解です」
 押さえつけている人数が少なくなった分、楽になると思いきや、人外じみた腕力は、健在。胸の足はさらに深く床と彼の肉体を押し付けた。

 ぶにゅり、ぶにゅり。

 そんな音すら聞こえそうなぐらい無骨なブーツと肉感的な乳房が押し合っている。
 勿論、乳の方が一方的に押されており、役に立たない。
 肺が圧迫され、彼の脳に何らかのノイズが不定期に生じる。
 涙が零れることも止められず、異様に美肌になった外皮を進み落ちた。
 こんなにも涙の冷たさを鮮明に感じたことは、記憶の限り皆無だ。
 圧迫感が強くなるにしたがい息苦しさが悪化し、我ながら虫の息のような状態だった。
 さらに正体不明な疼きが体を走り抜けた。
 頭脳にまで及ぶ、上皮を走る痺れに無力。
 それでも何とか慧刻は抗おうと、もがいた。だが、その度に痛みは増し、会話することすらさせて貰えない

「くる……はずっ……ンン……はずせ…ぇ…がはあ…っ!?」

「煩い、ご主人さまの嗜好に刃向かうなんて出来の悪いメイドね。 ほらミラも早くチャックを下ろしなさい」

「ハイ―――」
 一層、暴力染みた重さに半強制的に空気と恥辱交じりの涙を出させる。全力疾走とは、また違う苦しみ。
 外見は美女の慧刻は、内面も女性のように弱弱しく喘ぐ事しか許可されない。
 彼を無視し、ご主人さまは命令を早々と双子の片割れに告げた。

 すると忠実にミラは動き、ご主人さまの後ろに回り込み、ジャンプする。



 ――――”ジィァァァァ”――――。

 身近に聞く音の一つだった。――ジッパーの金属音。
 彼女が着地するまで響いた音が正体不明の微熱に襲われている慧刻の耳にも届いた。
 “何”――のジッパーが下ろされたのか、分からない。
 しかし、日頃から聞くことがあった、その音は紛れもなくジッパー特有の音。
 金属が擦れ合っている、確かな証拠。
 熱と痛みに苦しい中、彼は強引に視界を動かす。自身の巨乳と支配している足で邪魔されて見え難い。踏まれていない乳房がふるんと、震える。
 振動が体に浸透していくのを必死にやり過ごし、ご主人さまを名乗る男と少女メイドの二人を捉えたのだが―――。

「―――――なあ!??」
 今までの責めを忘れるかのように、彼は目を丸くさせ驚いた。
 腕が自由なら両手で目を擦り正気を疑うほどに。
 この時ばかりは、虐待されている胸元の痛み、押さえつけられた両手足、
――などを忘れて青年と少女を凝視した。

 何故なら、彼を踏みつけている人物の背中から。

「ふぅー、……驚いたかしら?」

 ―――女が…… “美女”が現われたからだ。
 時代絵巻か――或いは”妖怪”絵巻にでも出てきそうな黒髪黒目の姫君。
 髪の長さは今の彼と同じぐらいで、漆が満遍なく塗りたくられたようだ。
 瞳も純粋な色合いをしていて、その漆黒さに彼女の妖艶な雰囲気が支えられていると言って良いほどの、鋭き眼光。
 男の体の方は生気どころか、肉質すらも消失し――まさに『皮』だけになって、萎れ伏して女の右腕に納まった。
 映画の特殊メイクのように生生しい光景。
 一瞬ドッキリ・カメラを思い立ったが、数秒後に儚い夢を自らで否定した。
 冗談なんかではない ―――――これは『本物』だと。
 坂倉 慧国の"全て"が、そう呟いた。

 ――そう悟った。


 本物だと思っていた人間が――実は人間でなく、人形でもなく、単なる”着物”

―――信じろと、言うほうが無理だろう。

 だが、男の背後から這い出てきた女のカリスマ的な恐怖に――”妄想”が、妄想で在ることを許さなかった。

 それ以前に納得出来そうにもないが、男の背中から女――それも妖艶美女が、這い出たのだから、信じる以外の選択肢など無いだろう。
 全ての人間がそうとは言えないが、当事者たる彼には虚像として片付ける
――訳が無い。
 魂が震えた、真実を受け入れた。
 その時の慧刻はまさに数人の暴漢に犯されそうになる女性のように動かせないなりに身体を身震いさせる。必死に、一途に。

 豊満なメイド姿もあって、外見と中身が一致した行動に、ご主人さまを名乗っていた男――らしき女性はその笑みを深めた。

「ふふ、本当に面白いわね。この皮は」
 慧刻を驚愕させたことを満足しながら完璧に姿を露わにした美女は今まで『自分』だった――"ソレ"を摘むと、ミラに手渡す。
 肉体を踏み潰されなくなった分、かなり楽になったが、未だに放心中。
 そんな彼を気にもせずミラは自分の仕事に取り掛かる。

「いい、コレを閉まったら、例の”アレ”を着てきなさい」

「畏まりました、直ぐに済ませてきます」

 瞬く間に部屋唯一のドアから出て行く。
 美女と少女の雰囲気に、彼女たちにとって運ばれているのが人の『皮』でなく『服』でしかない物だ、と痛感する。

(なん、…なんだ!?……女になったことや、皮もそうだが……この女――!!)

 『美女』――そう評して良いほど美貌を示す皮から脱ぎ出てきた彼女に、”絶望”の二文字しか思いつかない。

 突如、男から女にされ異技以上に――内面が暗く不気味なのだ。

 これまで慧刻が出会った中でもかなりの上玉―――だが、お付き合い”したくない”と、初めて心の底から思った。

 例え、麗しい黒髪が優雅さを際立たせ、日本系にも関わらず赤いドレスが非常識なまでにマッチし、顔も凛々しい作りでスレンダーながら肉付きも良く、体が芸術そのもの――でも。 それでも関わりたくない。
 怖いのだ。
 現に彼らは無条件に背筋の神経に緊張を張らせ、無駄に強張り上がった。

 深い黒目なのに赤く光っているように感じられ、まるで目の前の美女が、伝説に語られる血を吸う化け物のように錯覚してしまう。
「ふふ、そんなに怖がっちゃって、スッカリ女の子ね、貴方。 コレが"あの"坂倉 慧刻なんて誰が信じられるのかしら」

「おっ、お前が、俺を――――――」

 確信に変わっていた内なる思いをぶつける。

 可愛らしいメイドになった姿では全然怖くないが、それでも最大級の殺意を込めて。
「ええ、女の子にしたの、――これから一生、私のメイドとして働いてもらう為に」

「さっきから……いい加減にしろよテメーら!!」

 畏怖する心を忘れたい一身で慧刻は毒を吐きつけた。
 迫力とは無縁の顔を可能な限り歪ませ、巨乳を揺らしながら自身の声を大気に打ち出していく。

「俺様を誰だと思ってやがる――坂倉 慧刻だぞ!? 何で女みたいに服従される為に生まれるような奴らにされて、お前のメイドなんぞ―――がア”ア”ぁ”ぁ”ッ?!!」
 起きてから今までの理不尽さを叩き潰すように自身の『権利』を主張する慧刻だったが、二度目の激痛が胸に走り、悶える。
 動けない胸部に癒着されている乳房に何か鋭いモノが突き刺さり、布地越しに彼の肉肌を痛めつけた。

「ぐぎゃああああ!! ……―――い、いてえぇ?!」

 凹む胸元を辿っていくと、同じようにご主人さまの足が圧し掛かっていた。
 ヒールだ。それもハイヒールと呼ばれるに相応しい踵の高さ。

 当然、そんなのモノで踏まれたら先程のブーツの数倍、下手をしたら数十倍の痛み。

 もはや、圧迫でなく肉を鋭利な刃物で刺されたような激痛に涙が本格的に溢れる。

「ぴーちく、ぱーちく、………メイドの分際で私に逆らうなんてお仕置きが必要ね」

「びぁあ、あっ!! やめ、……ぐうう、があ!!」
「こんな大きな胸をしたのが男? たかがハイヒールで踏まれヒイヒイ、言っているメイドが男? 少女に抑えられた何も出来ず苛められているのが男!? だとしら、貴方の言う『坂倉 慧刻』は変態さんね、……」

「ンぐ、がッ!! ……ひぎィ、ぎっ!!」
 食い込む硬質の感触に意識を失いそうになるほどの痛みが脳みそに押し寄せる。
 言い返したくても肉厚な乳房ごと圧迫された肺では無理だった。

 屈辱に胸奥の心臓に妙なスイッチが回り始めた。

 ご主人さまの言う通りに坂倉 慧刻の姿は完璧な女で――メイド。
 メイド服の下に有るのは正真正銘の女体だし、黒いワンピースから抜き出ている手や足は感度の良い綺麗な肌。
 スカートに隠されているお尻も抜きでて過大である。
 そんな臀部の代わりなのかウエストは細く、上に鎮座しているのは巨乳、と言う肉布団。 

 ――そんな乳に鋭く硬いモノにぐいぐい、ねじ込まれる度に、悲鳴が続く。

 皮肉にも彼が、痛めつけるようにセックスして苦しみもがいた女性と同じように。
 誰も――慧刻――自身さえも否定できないほどの『女』。
 それが今の”彼”だった。

「……ひぐうっ、………んああ!!」
「あら元気がないわね?  ……まだお楽しみはこれからなんですからね? ふふ、レラ!」
「ハイ!!………それでは坂倉さん―――頂きます」

「ぐがっ……な、に、ぃ……――――ンぶう”?!!」

 急遽、腕を縛り上げていたレラの顔が急接近したと思ったら、スピードを緩めずそのまま顔と顔とが衝突した。

 衝突―――から―――接吻。
 急展開すぎる状況と痛み、そして口内を犯される感触、慧刻の精神は限界に立たされる。

(何だ……この女……ヒィィー!??……どんどん入ってくる!?)
 感触は、それまで彼が味わったことのある女の舌――自分自身が女になった今でも
流石に、それだけは分かる。
 しかし、少女の舌は蛇のようにどんどん体内に侵入してきて暴れる。
 もはや、舌の領域を超えた長さについに喉の奥まで侵略された。
 鼻で危なげに息をしていた呼吸すらも禁止させられ――本当に窒息させられそうになる。

ツカクラ挿絵3

<つづく>

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