FC2ブログ

Latest Entries

チェンジ・ライフ・ラプソディー (7)

第一話はこちら

作.エイジ 
キャラクター作成.倉塚りこ

 ガチャ。ギィ…。
 鍵穴に鍵を差し込み扉を開けると眼前に広がるのは見慣れた自室。それを確認して俺は安堵に胸をなで降ろす。
 やはり自分の部屋は安心できる。それはここが自分の居場所でありテリトリーだからかもしれない。
「お邪魔します」
「失礼します…」
「上がりま~す」
 …まあ今回は自分以外にも数人がこの部屋に上がりこんでいるけどな。その数自分も含めて四人。1LDKの部屋はたちどころに埋めつくされ、一人だと若干広く感じた室内が狭くなってしまった。
「よっこいしょ…っと」
 持っていた買い物袋を床に降ろし、一息。
 その様子に雪緒がくすくすと笑った。
「…なんだ?」
「先輩おじさんみたいです」
 俺はその言葉にムッとする。
「外見はそんなに可愛いんですからもっとちゃんとしてくださいね」
「…努力するよ…」
 …まあそもそも。こうならなければそんな事を気にする必要もなかったわけだが…。それは言わぬが吉、だな。
 だから俺は別の話題を振る。
「しかし本当にいいのか? これだけの物を全部そっち持ちで」
 置いた買い物袋を見回して俺は尋ねる。
 服、下着だけじゃない。簡単な基礎化粧品に洗顔料、さらには学校の女子制服まで。今日使った金額は少なく見積もっても十数万はくだらないはずだ。ポンポンと簡単に出せるお金じゃない。少ないが俺も少しくらいなら…。
 だが雪緒の表情が呆れていることに気がつき、俺はそこで思考を中断する。
「先輩」
 言葉は雪緒ではなく月夜からきた。
「何度も言いました。気にしないでくださいって」
「そうですよ。悪いのは私達なんだから先輩は気にしたらダメですよ?」
 花穂も月夜に同調する。
「先輩をこんな風にした張本人が言えたセリフじゃないと思うけどね…。でもまあ、そういうことです。先輩が気にすることじゃありませんよ」
 そして雪緒も花穂にジト目を向けつつ言う。
 …なら俺が言うことはただ一つだ。
「ありがとな」
 その言葉に姉妹達は満足そうに笑った。


「先輩。お風呂先に入っちゃってください。ご飯ができるまでもう少しかかりますから」
 シチュー鍋をコトコトと煮込ませながら雪緒が言う。
 俺はオセロ盤(対戦相手は花穂。勝敗は7:3くらいで俺が勝ち越してる)から顔を上げ、
「風呂?」
「はい。先輩昨日もお風呂入っていないでしょう?」
「それはまあ…」
 雪緒の言葉通り俺は昨日から風呂に入っていない。だから風呂に入ってさっぱりしたいという気持ちは当然ある。
 あるんだが…
「今まで通りに洗っていいのか? この身体」
 俺の言葉はまったくの予想外だったのか。雪緒はおろか、月夜、花穂の二人までポカンと俺を見ていた。
 そんなに変な質問だったろうかと俺は内心首を捻る。
 今の肉体が男の時とはまったく勝手が違うこと。それはもう嫌というほど実感している。
 だから身体の洗い方も男の時とは違うだろうと思ったんだが…。
 一応念のために尋ねてみる。
「…力任せにこするだけじゃダメ…だよな?」
「そ、そうですね。確かにそれだと身体を痛めちゃいますけど…」
「…だよな」
 やっぱりというかなんというか…。
「じゃあ誰かが一緒に入って洗い方を教えるしかないですけど―――」
 その言葉に月夜と花穂、二人が反応した。互いに瞳を輝かせて俺を見つめてくる。…怖いっつーに。
 俺は雪緒に助け舟を求めるが、
「じゃあ…花穂。お願いね」
「やった~!」
 歓声を上げる花穂と、
『雪緒~!!』
 怒声を上げる月夜と俺。
 それに雪緒は苦笑して、
「私は今料理中ですから無理ですよ。かといって月夜は何度も襲われてるから安心できないでしょうし。―――そんなわけで月夜は自業自得」
 言われた月夜は不満そうに頬を膨らませていたが、やがてふいっとテレビの方へと視線を移した。
「で、花穂なのはなんでだ? 俺からすると花穂も月夜とどっこいどっこいなんだが」
 なにせこんな風にした張本人だしな。
「ひど~い。私は月夜ねぇとは違って見境なく襲ったりしないよ~!!」
 花穂が俺の言葉に不満の声を上げるが…無視。
 雪緒の返答はこうだった。
「先輩にとっては大して変わらないかもしれないですけど、一応花穂は無理矢理ってことはしませんから大丈夫ですよ。…たまに暴走しますけど」
「おい!?」
 今なんか聞き捨てならないことを聞いたぞ!?
「し、心配ないですよ。それにいざとなったら大声を上げてもらえば飛んでいきますから!」
「絶対だからな…」
 頷く雪緒。
「じゃあ先輩。レッツラ・ゴー!」
「わかったから引っ張るな花穂!」
 こうして俺は花穂に連れられて風呂に入ることになった。


「パンパカパ~ン♪ 御島 花穂による『誰でもできる入浴講座』はっじまっるよ~♪」
 パチパチパチ。
「はい拍手ありがと~。じゃあまずは最初に髪の毛の洗い方から説明するね。ここは基本男の時と大して変わりはないよ。ただ先輩は私と同じで髪の量が多いから、頭皮までしっかり洗ってね。もちろん毛先もしっかり洗うこと! こんな感じにね」
 花穂はそう言って髪の先端をゆっくりと、だが丁寧に洗っていく。
 やがてそれが済み、髪にお湯を流した。
 そうして現れたのは先程よりも艶やかさを増した自分の髪だ。
「では先輩も」
「…ああ」
 促され、花穂の髪を取ると(ちなみに花穂は今現在ツーテールにしている髪をほどいている)先程の花穂の洗い方を見様見真似で繰り返した。
 はたして花穂の評価は?
「う~ん…。ちょっと力が入りすぎてるかな~。洗った後の毛先がバラバラです」
 見てみると確かに俺が洗った花穂の先端は少しだが崩れていた。
「す、すまん」
「いいですよ~。気にしなくて。でもこれで髪の洗い方はわかりましたよね?」
「あ、ああ。大丈夫だ」
 若干の不安も残っているが、ひとまず平気だろう。基本的には男の時とそう変わらないのだし。
「じゃあいよいよ本命! 身体の洗い方にいきましょ~!」
 ビクリと震える。…うう。なんか嫌な予感がひしひしと…。
 そんな俺とは裏腹に花穂は楽しそうに、
「え~、まず身体を洗う時の基本だけど、上から下に向かうように洗っていきます。すなわち上半身→下半身の順だね」
「………」
「身体を洗うことの基本は身体についた垢を落とすこと。なのできちんと身体のすみからすみまでこすりましょう」
 ここら辺は当然というか、大前提だよな。
「ただし力いっぱいこするんじゃなくて、あくまでも優しく丁寧を心がけること。女の子の肌は繊細なのです」
 …それはもう身に染みてわかっているから心配無用だ。
「じゃあ先輩、椅子に座って。お手本として軽く洗ってあげるから♪」
「…変なことするなよ?」
 一応釘を刺しておく。花穂は笑いながら、
「しませんよぉ。安心してくださいな」
 …今はその言葉を信じるしかない。
 俺は覚悟を決めて椅子に座った。
「じゃあいきますよ~」
「ど~んとこい!」
 俺はそう返し身構える。後はただ待つのみ! 
 そして背中にタオルを当てられ、身体をこすられる。
 タオルは背中から首へと移り、腕、お腹へと移動していく。
 その感触はただ純粋に気持ちよくて、自然と身体の力が抜けリラックスでした。
 …それにしても胸を洗わないのはなんでだろう。絶対になにかしてくるかと思っていたんだが…。
「胸はちょっと特殊な洗い方をするんであえて残しました。これからレクチャーしま~す」
 まるで俺の心を読んだかのようなタイミングで花穂が言う。そして胸にタオルを当てると、
「Are You ready?」
「OKだ!」
 なかばやけくそ気味に俺は答えた。
「ではでは。え~、コホン。力を込めずに丁寧に。これは変わりません。でも洗い方にコツがあってこ~やって…」
「うひゃ!?」
 タオルが今までとは違う動きをし、俺は驚きに声を上げてしまう。
 それに花穂も驚いたのか、
「せ、先輩。平気?」
「…ああ。少し驚いただけだ」
「じゃあ続き…するよ?」
「頼む」
 俺が頷くのを確認して、花穂は再びタオルを動かす。
「え、えっと。胸を洗う時は円を描くように動かしながら洗います。こんな感じでゆっくりと…」
 花穂がタオルを動かすとその感触にぞわわ! っと肌が逆立つ。
「~っ!」
 そして声を漏らさないよう、唇を噛んで必至に抑える。
 今声を出したらマズイ。そんな予感がしたから。
 それから俺達二人は無言だった。俺は声を押し殺すことで精一杯だし、花穂もそんな様子を察したのか何も言わない。
 どれくらいの時間が過ぎたのか。数分か。数十分か。
 ざばーっとお湯がかけられる。
「―――はい。終了」
「…さ、サンキュ」
「じゃあ残りは自分でやってくださいね。私は先に上がりますから」
「? …わかった」
 疑問を覚えるも俺はあえて追及しない。俺自身そんな余裕はなかった。
「ではお先に~!」
 ガラガラ。ピシャン!
「…はああ~…」
 花穂が出ていくと、俺は脱力してずるずると椅子から転げ落ちた。

<つづく>

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

http://okashi.blog6.fc2.com/tb.php/6986-0eecb30b

この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

«  | HOME |  »

DMMさんの宣伝

 

初めての人はこちら

ts_novel.jpg

 

性の揺らぎに関する作品でお勧めのもの

ts_syouhin_20090318225626.jpg

 

性の揺らぎに関する作品(一般)

ts_syouhinもと

 

ブログ内検索

 

最近のコメント

プロフィール

あむぁい

  • Author:あむぁい
  • 男の子が女の子に変身してひどい目にあっちゃうような小説を作ってます。イラストはパートナーの巴ちゃん画のオレの変身前後の姿。リンクフリーです。本ブログに掲載されている文章・画像のうち著作物であるものに関しては、無断転載禁止です。わたし自身が著作者または著作権者である部分については、4000文字あたり10000円で掲載を許可しますが、著作者表記などはきちんと行ってください。もちろん、法的に正しい引用や私的複製に関しては無許可かつ無料でOKです。適当におだてれば無料掲載も可能です。
    二次著作は禁止しません。改変やアレンジ、パロディもご自由に。連絡欲しいですし、投稿希望ですけど。

 

全記事表示リンク

ブロとも申請フォーム

月別アーカイブ

 

最近の記事

 

ブロとも一覧


■ ブログ名:M物語(TSF小説)

 

カテゴリー

新メールフォーム

イラスト企画ご案内

20080810semini.jpg

 

リンク

RSSフィード

2020-08