Latest Entries
アリスドール3(18禁)
アリスドール3 ~ はじめての…… ~
もうもうと立ち込める湯気と、敏感な柔肌を包む滑らかな泡。浅く張ったお湯にたっぷりのシャボンを泡立てた浴槽の中で、ボクはハルカさんに産湯に入れられていた。
「あン、ヘンなとこ触わんないでよ」
「動かないで! 洗えないでしょ、私まで泡だらけになっちゃう」
人工体のドールといっても、生体部分の新陳代謝があるし、汗もかく。だから生身の人間と同じように、お風呂に入らなきゃならない。特にチャンバー(人工体培養槽)から出たばかりの体は結構汚れている。その体を清めるのと、早く体の感覚に慣れるために、新しい体で目覚めた時には必ず入浴することになっている。けれど新しい体では、まだ思うように動くことができない。”体が動くことを覚えていない”からだ。赤ん坊同然の動きしか出来ないのに、一人で入浴なんて自殺行為だ。だから恥ずかしくても、他人の世話にならなければならないんだけど……。
「ボクだけ裸なんて、ずるいや」
「いくら今は女性の体だからって、中身はオトコのあなたに簡単に見せるほど、このハルカさんはお安くないわよ」
体を洗ってもらう以上、ボクは当然裸だったけど、ハルカさんは水着の上に大きめのTシャツを着ていた。
「だって、ハルカさんはボクの……、全部見ちゃってるじゃないか!」
「あら、いいじゃない。女同士だから恥ずかしいなんてこと無いわよ」
「……さっきと言ってる事が違う」
「でも本当に赤ちゃんみたいにすべすべの肌。 うらやましいわぁ」
「ハルカさんエッチな触り方しないで! くすぐったいよ」
「ほら、暴れないで。こうやって早いうちから、あちこち触ったり、動かしてあげる方が、早く自由に動けるようになるのよ。カズヤ君にも言われたでしょ?」
「だからってさぁ……」
「ところで、どうだった?」
「何が?」
「したんでしょ? 前の体で。 “処女喪失”の気分はどうだった?」
「な、そんなこと聞いてどうすんのさ?」
「いやその、どんな気分だったのかなーって。 興味あるしさ。 ネ、教えてよ」
「ボクはカズヤと寝てないよ」
「うそばっかり。 ちゃんと調教は全て完了しましたって、カズヤ君が報告してたわよ」
「“調教”じゃなくて“調律”! 誰かに聞かれたら誤解されるじゃないか」
「で、どうだったのよ?」
「だから、カズヤとはしてないよ。……アレの時は、ドールの人工知能に代わってもらったから。 ボクはずっと眠っていたし、その間の記憶もボクが目覚めた時に、消えるようにしておいて貰ったから、知らない」
「……あきれた。 インチキしてたの?」
「インチキじゃないよ。 ちゃんと調律できたって、カズヤが言ってたもん」
「じゃあナニ? 恥ずかしいんだけど見せちゃってもいいかなーとか、敏感なところをイジられてゾクゾクしてくるけどキモチイイ感じとか、もっと優しくして欲しくて、切ない気持ちになっちゃったりとか、自分でも嫌になるぐらい恥ずかしいことを言っちゃたりやっちゃったりして、自己嫌悪になりそうになるんだけど、やっぱりそれもアリかなっと開き直っちゃったりとかっ! 最後気持ちイイんだかなんだかよくわかんなくて、それでも好きな人とひとつになれて、そんでもって相手も満足してくれたからうれしいなっ!! と思える自分が可愛いく思えちゃったりとか、そーいうのもゼンゼン無かったわけっっ!!??」
「無い」
早口でまくし立てるハルカさんの長い質問に、ボクは一言で答えた。
「まさか、キスもして無いなんて、いわないわよね?」
「もちろん! して無いよ」
「……これは由々しきことだわ。入念な対策を練らないといけないわね」
「そ、そんなぁ。 だって、カズヤとは長い付き合いで、友達だし、……男同士だし」
「アレだけおいしいシチュエーションで、何も無かったなんて、信じられないわ」
「残念でした。カズヤはああ見えても紳士なんだよ」
「何やったってかまわない女がすぐそばにいるのに、何もしないなんて男じゃないわねぇ」
「ハルカさん、男ってモノを勘違いしていない? そりゃ、同じ部屋で寝ることとかもあったけど、一度もカズヤに襲われたことなんて無いよ」
「インポなのかしら?」
「イン……。いや、それは無いと思う」
「確かめたの?」
「いや、そうじゃないけど……、そういうのは……その……。一緒にいればわかるよ! 説明しない!」
「ふーん?」
「それに! ボクらは男同士の親友同士だもん。カズヤだって仕事じゃなければ、ボクとなんかするわけ無いだろ」
「そういうもんかしらねぇ……?」
考え込んでしまったハルカさんだったが、すぐに何か思いついたように僕の股間に手を伸ばし、一番敏感な突起に触れた。
「ひゃぁっ!」
「おっと」
突然の刺激にのけぞり、泡の中に埋もれそうになったボクの体を、ハルカさんが支えた。しかし後ろから胸を掴む様に腕を回し、しかもその手は微妙に動いてボクの胸を揉んでいる。でも逃げることも出来ない。 精一杯の抵抗をしたって、せいぜい体をくねらせるのが関の山だし、振り払おうと少しは腕を動かすことも出来るけど、大人のハルカさんに抗うだけの力は出せなかった。
「やぁっ、やめてよ。 ハルカさん!」
「逃がさないわよ」
ハルカさんはボクを右手で抱き寄せるように後ろから左の胸を揉みながら、同時に左手で、股間の谷間をなぞり始めた。ゾクゾクするような感覚が背筋を駆け抜ける。それにさっきから、ハルカさんがねちっこくボクの体を洗うものだから、体の奥がむずむずして仕方が無い。
「ハルカさん、駄目だってば。 おかしくなっちゃうよ……」
「抵抗しても無駄よ。あなた、まだ調教始めていないのにココが感じるってことは、あなたの記憶に残っているってことよ」
「ボ、ボク、オナニーなんてしてないもん!」
「あらぁ、私はそんな質問、していないわよ」
嵌められた。というより自分の失言を恨めしく思った。
「じゃあ、こんなのはどうかしらね?」
そういって、ハルカさんは秘唇の奥に隠れた、穴の中に指を入れる。
「んんん……」
ボクの背中を悪寒が走り、異物感に身悶えるが、ハルカさんは容赦なく指を深く挿れて行く。ボクは頭を振って抵抗の意思を示すけれど、ハルカさんは指の責めを止めてはくれない。
「これは感じる?」
そういって膣に入れた指を、お臍の側にクイっと曲げた。
「ああっ!」
ハルカさんの指が、ボクの中の何かをグリグリとするような刺激を感じたかと思うと、下腹部から体の中心を通り、脳にまで届くような震えが襲う。ボクの呼吸は乱れ、肩を使わなければまともに息も出来ない。
「やっぱりね、あると思った。 Gスポットって言うのよ。すごいでしょ?」
「……はぁ、はぁ、お願い、もう止めて」
「ふふふ、そうね、元が男の子なら、こういうのは判り易いでしょ?」
「ひゃぁっ!」
ハルカさんは器用に指を動かして、さっきのグリグリを刺激しながら、秘裂の頂点に隠れた突起を別の指で刺激する。もっとも敏感な2箇所からの同時攻撃に、僕はなすすべも無く感じさせられてしまう。強すぎる刺激に翻弄されながらも、せめて声だけは出すまいと、唇をぎゅっと閉じる。
「んふ、我慢しなくてもいいのに」
ハルカさんの激しい責めに、ボクのはかない抵抗も、すぐに挫けてしまう。火を付けられた女芯からあふれ出す情欲が口からも漏れ出る。
「んあっ! ……んん、……いやぁっ! あぁん! はぁ……はぁふ……」
ボクの意思はまだ抵抗を続けているのに、腕も足もだらしなく震えるだけで言うことを聞いてくれない。それなのにボクの体は裏切るように、悪寒から快感と変わった信号を脳に送り続けて意思をくじこうとする。だらしなく開かれた口は抗議の声すら上げられず、艶っぽい喘ぎ声がハルカさんの刺激にあわせるように漏れていく。ハルカさんに“調律”されていく自分が情けなくなって、目に涙がにじんでくる。耳元でくすぐるようにハルカさんが言う。
「うふふぅ、どぉ? 歩くことよりも先にエッチなことを、体が覚えていくのは?」
「ぃやぁ……」
”歩くよりに先に……”頭の中でハルカさんの言葉が胸にささる。
(こんなのイヤだよぉ……)
ボクの頬を汗ではない滴が伝う。やっと出すことのできた、抵抗の意思表示。ハルカさんは不意に手を止め、ボクの顔をじっと覗き込んだ。嵐のようにボクを苛んでいた刺激が止む。
「ゴメンね……」
ハルカさんは急に優しくなって、ボクの額に軽いキスをする。だけどその次の言葉は、ボクにとってはもっと残酷なものだった。
「もう行かなくちゃ行けない時間なの。あとはそうね、カズヤ君にやってもらいなさい」
「え……、何? 今なんて?」
「両親に呼ばれているのよ。 これから飛行機に乗らなきゃ」
「そんな、こんな途中でなんて、せめて他の女の人に……」
「かわいそうだけど、女性職員は今日は私だけなのよ。 だから後を任せられるのは、カズヤ君だけね。 乱暴なことしないようにちゃんと言い聞かせておくから。あなたもおねだりなんかしちゃ駄目よ。じゃあね、がんばって!」
「だ、誰がそんなこと! あ、ちょっと待って、ハルカさーん!置いて行かないでよ!」
しかしハルカさんは、まるで聞こえないかのように、体についた泡をシャワーで落として、浴室から出て行ってしまった。
「どうすればいいんだよ……」
さっきまでの刺激で、体が言うことを聞かず、腕をあげる気力も無かった。もっともそうでなかったとしても、自分の体重を支えて浴槽の縁をまたぐなんて、まだ出来そうにない。
「ん……」
ハルカさんに高められた体が、疼くように刺激を求めている。でもしばらくしたら、カズヤがやってくる筈だ。その時自分を慰める手が止まらなくなってしまっていたら、目も当てられない。だけど、さっきこの体に目覚めさせられたばかりの快感が忘れられない。手を伸ばそうとしては思い直し、身悶えて体が震えれば、切ない思いがこみ上げてくる。
(少しだけなら……、いいよね)
そうっと股間へ手を伸ばしたその時、人の気配がした。ボクは胸をかばうように、自分の肩を抱いて誰何した。
「だ、誰っ?!」
「オレだ。入っても、いいか?」
「カズヤ? う、うん。いいよ」
パンツ一枚のカズヤが入ってくる。なるべくこっちを見ないように、気を使ってくれるのはうれしいけど、足元が危なっかしい。
「カズヤ、滑って怪我したらもっと大変になるからさ、こっち見ても大丈夫だよ」
「あ、ああ……」
シャボンの泡が少しは目隠しになってくれているから今はいい。だけど風呂から上がるってことは……。
カズヤがあさっての方向を見ながら、浴槽のそばまで来た。
「なぁ……」
「なあに?」
「ハルカさん、どうしたんだ?」
「飛行機に乗るんだって。実家へ帰るみたい」
「そうか……」
「……」
「……」
見るとカズヤの顔が赤い。 恥ずかしいのはこっちの方なのに! だいたい『女の裸なんかネットで見慣れている』とか何とかいつも言っているくせに、そんなに緊張されたらかえってその方が恥ずかしい。でもこのままじゃ埒が明かない。 ボクはカズヤに言った。
「早くここから出してよ」
「そ、そうだな。 どう、すれば いいかな?」
「抱っこして。 手を引っ張ってもらっても、まだ立てないから」
「え?ああ、そうか」
カズヤの手がゆっくりとボクに向かって伸びる。でもよそ見をしているから見当違いの方向へ手が伸びて、直接ボクの秘部にカズヤの手が触れる。
「やぁっ! どこ触ってんだよぉ!」
「うわっ、す、すまん。その、泡でよくわからなくて……」
「いいよ、こっち、見ても……。 しっかり抱きかかえてもらわないと、途中で落とされたら、受身も出来ないから」
「あ、ああ」
「あんまり緊張しないで、かえって恥ずかしいから」
カズヤがボクの体に手を回して、“お姫様抱っこ”で浴槽から引き上げた。ボクの裸を隠していた泡が流れ落ちて、次第に露になっていく。ボクは不自然にならないように、胸と股間をそっと手で隠す。
「シャワーで、残った泡をきれいに流して」
「あ、ああ。 わかった」
さすがに、男だけあって軽々とボクを抱き上げて歩いていく。ハルカさんだといつ落っことされるかわからないのに。こんな些細なことに安心感と頼りがいを感じてしまうなんて……。心まで女の子になりかけてるみたいで、ちょっと嫌だ。
ボクはカズヤに抱きかかえられたままシャワーを浴びて、残った泡もきれいに流してもらう。少し熱めのシャワーが、冷えかけた体を再び温めてくれたけど、上気した肌がカズヤを煽情的にしないかと、少し不安になる。カズヤは浴室に入ってきたときからずぅっと顔を赤くしたままだ。
びしょ濡れのまま脱衣所にあがり、背もたれ付の椅子にボクを座らせてくれる。荒い網目状に編んで作られた椅子に座ったボクの姿が、壁にある大きな鏡にも映る。まだ見慣れない自分の姿が、昔見た映画に出てくる淫婦みたいに見えてイヤだった。
「その……、体も拭いてやらないと、駄目か?」
「そこの棚にバスローブが入ってると思うから、それを着せてくれない?そこにバスタオルも入っていると思うから」
「ああ、わかった」
カズヤは大量のバスタオルを使い、ボクが恥ずかしくないように気を使いながら、バスローブを着せてくれた。だけどそのまどろっこしさが、かえって裸の自分を意識してしまって恥ずかしい。それにさっきから、カズヤの視線がボクの胸元にまとわりついているような気がして、たまらなかった。今度の体は胸が少し大きくて、いかにも男が好きそうな体つきだったからだ。
「そこのエアコンの傍に、椅子ごと運んでくれない? 体が乾くまでの間、カズヤはお風呂済ませてきてよ」
「そんなところにいたら、湯冷めするんじゃ無いか?」
「ドール体なんだから大丈夫だよ。髪も解いてくれない?速く乾くと思うから」
「ああ、わかった」
バレッタで止めてあったボクの髪がぱぁっと広がる。
「今度は髪……。長いんだな」
「え? あ、ああ、そうだね。カズヤは髪が長い娘の方が好きなんだったっけ?」
「ま、まぁな……。ほ、本当にオマエなんだよな?」
「な、なんで? ボクだよ……。あ、そうか……、この体になって、初めてだっけ?」
まだ憑依が完了してから何時間と経っていない。チャンバーから出て産湯に入れられていたところだったのだから。カズヤからしてみれば、例え中身はボクであっても、初対面の女性(それもハダカ!)に会うのと一緒なんだ。
「初めまして、っていうのもなんかヘンだね。でも中身はカズヤの良く知っているボクだから、今度もよろしくね」
「あ、ああ。こ、こちらこそ、よろしく……」
ボクはバスローブを着ているといっても、その下には下着一枚付けていない。カズヤはびしょ濡れで、パンツ1枚のハダカ同然。大きな鏡の前での奇妙な“初対面の挨拶”に、ボクはさっきまでの緊張感もエッチな気分もうそのように消えて、なんだか可笑しくてたまらなかった。
-----------------------------------------
部屋に戻り、カズヤがドライヤーでボクの髪を乾かしてくれる。ドレッサーの鏡に、ボクとカズヤが映っている。丁寧に髪を梳かすカズヤの手。視線は時折ボクの胸元を漂う。モコモコとしたバスローブの上からでもはっきりとわかる膨らみと、深い襟元から見える柔らかそうな谷間。男だったらそちらに目がいくのも当然だろう。
(目で犯されるってこんな感じかな?)
そう思ったら、さっき中途半端に高められた感覚が、再びじわじわと高まり始めるのを感じた。
「ねぇ、そんなにこの胸が、気になる?」(やだ!何を言ってるんだろう?ボクは!)
「胸?あ、すまん。じろじろ見ているように見えたか?」
「え、いや、その……気になるなら、別に見てもかまわないけど……」(ああ! 何を言ってんのかわからなくなってくる)
「いや、どうも、その、オマエの顔が、マトモに見れなくてな……」
「顔……? カズヤはこの顔、キライ?」(なんて質問をしているんだろう! ボクは)
「い、いやそんなことは無い、そんなこと無いが……」
カズヤは明らかに狼狽しているように見えた。
「それならどうして、ボクの顔が見れないの?」
すっと手を伸ばしてカズヤの頬に手を当てる。それがあたり前のようにできる自分に、強烈な違和感を感じた。
「や、やめろよ……」
触れた手を避けようとして、カズヤが身をひねる。だけどそれが2人の体のバランスを崩し、じゅうたんの上に折り重なるように倒れこんでしまった。
ゆるく羽織っただけのバスローブの胸元がはだけ、大きく膨らんだ胸がポロリとこぼれ出る。カズヤの視線が僕の胸に釘付けになっている。
「……シタい?」(な、なんて事をボクはいっているんだろう?こんなことを言うなんてありえない!)
「な、何言ってんだよ。今日のオマエ……、なんだかヘンだぞ」
ボクの手がカズヤの頬に伸びる。
「カズヤだってヘンだよ。何赤くなってるの……」(わ、なんでこんなこと?)
「や、やめろよ。オレだって我慢できなくなっちまう」
「我慢しなくても、いいよ……」(わ、な、何いってんだボク!)
「だっておまえ、……あんなに、嫌がっていたじゃないか」
「今なら、カズヤのしたいようにできるよ」(ひぇ~)
「……いいのかよ」
何かしゃべろうとすると、またとんでもないことを言ってしまうに違いないと思い、ボクはぐっと口を閉じた。だけど、無言はカズヤにとってOKのサインと受け取られたようだった。カズヤの手が、バスローブの前を大きくはだけると、あっという間に全裸にされて、ベッドの上に転がされた。
「オレはもうスイッチが入ってしまった。抵抗しても止めないからな」
もうだめだ、カズヤは一度宣言したことは、絶対にやり遂げる負けず嫌いな性格だ。それにうまく体の動かせないボクの抵抗なんか、無いに等しい。
カズヤの手が僕の胸に触れゆっくりと、でもしっかりと揉み始めた。唇で乳首を転がすように舐められると、思わず声が出そうになって、ボクはわずかに出せる力で口を覆った。
(喘ぎ声なんて出したくない!出してたまるか!!)
そう頭では思っていても、お風呂場でハルカさんにお預けを食らった快感を、少しでも取り戻そうと体が疼き始める。
胸を刺激されているだけで、こんなだなんて……。これ以上されたら……。
「カズヤ、痛いよ……」
「あ、ああ、すまん。」
痛いなんてウソだ。ホントはこれ以上感じてしまうのが怖くなっただけ。でもカズヤはボクの言葉を真に受けて、胸を揉むのをやめて、かわりに舌で胸やおへその辺りを舐め始めた。だけどまだ”処女”のこの体は、くすぐったさを感じるだけだった。
それよりは、指でそっと愛撫してもらった方が感じるんだけどなぁ……。
そう思った時だった。ボクたちの熱っぽい行為を感知したのか、部屋の空調機の風が少しばかり強くなった。カズヤが舌で辿った濡れた道筋が、風に晒されてひんやりと浮き上がる。
「んぁっ……!」
体が新しい快感を覚えて、ドールの脳へと伝える。本当ならばありえない感覚。だけどドールの体はそれがまるで僕自身が体験しているようにそれをボクに体験させる。カズヤの”調律”がドールの体に快感を刻み込み、空調機までもがボクを”オンナ”にしようと、攻め立てているような感じがした。カズヤが少しだけ顔を上げで、ボクの表情を読み取ろうとする。
「感じるか?」
「そんなこと……、聞かないでよぉ」
喘ぎ声を聞かれてしまった恥ずかしさで、ボクは真っ赤になってるだろう顔を腕で隠した。無防備になった胸を、再びカズヤが攻め始める。大きくて柔らかい果実を弄ぶのを、カズヤは気に入ったみたいだった。
「カズヤってオッパイ性人だったんだ……」
「ああ、そうかもしれない」
だけど、ボクの言葉を不満の表れと受け取ったのか、カズヤは下腹部へと手を伸ばした。おへその下あたりから更にその下へ向かって指で辿り、いよいよその場所に届こうかと言うところで、ボクは緊張で身を硬くした。しかしカズヤはボクの予想に反して、太腿の内側をくすぐるようになぜた。
「やン……」
抑えられなかった掻痒感に、ボクは声を出してしまい、脚も広げてその感覚から逃れようとする。すかさずカズヤが股間に手を伸ばす。
「あっ、卑怯だよカズヤ」
「ぴったりと脚を閉じてたら、何もできないだろ?」
そういって、カズヤはいきなり指を挿れた。いつの間にかそこはじっとりと濡れてしまっていて、カズヤの指は難なく柔肉の門を開いていく。カズヤに触られるのは初めてだというのに、ボクの新しい肉体は、当たり前のように切なくて気持ちよくて、体を熱くさせる感情を生み出していく。
ボクももう、スイッチを入れられてしまった。
もっと強い刺激が欲しくてたまらない。もっと乱暴に、ボクを刺激して欲しい。ボクは薄目を開けて、カズヤを見つめて、カズヤの唇をみながらカズヤの首に手を絡める。声にしたくない想いを、唇を動かして伝える。カズヤがボクの腰を掴んで引き寄せ、熱くたぎったモノをボクの股間にあてがう。ボクはいよいよの”その時”に備えて目を瞑り、胸に手をあてた。
(ドール体でも、やっぱりはじめては痛いのかな……?)
そんな考えが頭をよぎってしまったのがよくなかったらしい。カズヤの腰の動きに反応して、ボクも腰をひねってしまった。カズヤの狙いはそれて、秘唇をなぞるように熱いものが擦りあげていく。
「怖いのか? やめようか?」
「ううん、ゴメン。……続けて」
口ではそういったものの、ボクの中に”ある感情”が芽生えてしまった。それは今までの嫌悪感では無い漠然とした”不安”。このままカズヤとしちゃっていいんだろうか? もしカズヤとしてしまったら、ボクはもうボクじゃなくなってしまうかもしれない。そんな迷いが、カズヤの挿入を阻む。何度目かの失敗の時、ちょうど太腿の間にカズヤのモノを挟んで、擦り上げる格好になってしまい、カズヤはそれで果ててしまった。カズヤが無言で、後始末をしているのを見ているうちに、ボクはとても悲しくなってしまい、すすり泣きを始めてしまった。
処女喪失への恐れと、カズヤにすまないという気持ちと、自分が何をやっているのか、もう何がなんだか解らなくなっていた。ボクは泣くしかなかった。
するとカズヤはボクを抱き起こして、ベッドの上で抱き合ったまま座る形になった。流れる長い髪が背中をくすぐり、慣れない重みを感じる乳房の先が、カズヤの体に触れる。膝を折り曲げた脚の足首に、自分の流した愛液の滴りを感じる。”おまえはもう男じゃないんだ、おとなしく目の前の男に抱かれろ”そう自分の体に言われているようで、ますます悲しくなった。カズヤの手が背中に回されて、強く抱き締められる。
『きょうは、もう止めておこう』カズヤはそういってくれると期待していた。だけどカズヤのセリフは違った。
「ここで止めたら、オレはもう二度とオマエを抱けない気がする。オマエが泣いても止めないけど、それでもいいか?」
ボクははっとした。カズヤがその気になれば、無理矢理でもボクを犯すことができる。今のボクには抗えるだけの力は無い。それでも、カズヤはボクを気遣っているんだ。それに今の仕事を続ける限り、いつかはカズヤとしなければならないだろう。胸の中に湧き上がる不安を押し殺すように、小さな声でボクは言った。
「……うん、いいよ」
カズヤの手がボクの腰に回され、少しだけ持ち上げた。そして反対の手を使って、確かめるようにボクの秘唇を割り開く。ボクもカズヤの分身に手を添え、導くように自分の入り口に押し当てる。
「いくぞ」
「うん」
ボクの腰を支えていた手の力が緩められ、膣内にゆっくりとカズヤが差し入れられていく。今度はボクの体重を使っているから、逃げたくても逃げられない。感じるだろう痛みを想像して少し身を堅くしてしまったけど、滴り落ちるほどの愛蜜が潤滑剤となって、思ったよりも抵抗無く入っていく。カズヤの熱くて堅くて太いものに、どこまでも刺し貫かれているような感じがした。カズヤが動きを止めて、ボクに問いかける。
「痛くないか?」
「うん、大丈夫。処女だからって痛いわけじゃ、ないみたいだね、へへ」
気遣ってくれるカズヤに心配かけまいと、ボクも精一杯答える。だけど、はっきりいってあまり気持ちいいものじゃなかった。カズヤがそのままボクを押し潰す格好でベッドに倒れ込んで、より深く繋がろうとする。
「動くぞ」
「う、うん」
カズヤの抽挿が始まり、ボクの膣内をカズヤの肉棒がこすり上げる。内臓をかき回されるようなその刺激は、決して気持ちの良いものではなかったけど、思っていたよりも、ボクの中は敏感だった。カズヤのくびれているところとか、膨らんでいるところとか、まるで手のひらで感じるように伝わってくる。動きを止めると浮き出た血管から、カズヤの拍動までが伝わってくる感じだった。敏感ではあったけど、拍子抜けするほどのセックスの感触に、ボクは少しだけ安心した。自分が狂って痴態を振りまくようなことには、ならなそうだった。
(最初から気持ちよかったら、調律する意味が無いもんなぁ……)
そう考えたら、少しだけ気持ちに余裕が出てきた。その反面カズヤはだんだんと息が荒くなって来ている。
「ねぇ、カズヤ。気持ちいい?」
「あ、ああ。スゲー気持ちいいよ」
「えへへ、良かった」
「つらくないか?」
「大丈夫。だけど、髪が引っ張られて痛いんだ。脇へよけてくれない?」
「ああ、わかった」
そういってボクの背中に手を回した時だった。カズヤの堅いものが微妙に角度を変えて、ボクの中の”しこり”に触れた。ぞわぞわとする感覚が体を震わせながら駆け上がり、おなかのなかから熱いものがこみ上げてくる。突然湧き上がる快感に、ボクは喘ぎ声が漏れないように口を堅く閉じるのが精一杯だった。そしてボクの体に変化が起こった。お腹の奥にある何かが、繋がっているカズヤの先端を包み込もうとゆっくりと動いたのだ。
「く、オマエの膣内、すごいな……」
カズヤが言う。まるで、膣の中にもう一つ口があって、カズヤの頭の部分をくわえ込んでいくみたいだった。
「もう、我慢できない……」
カズヤがそういって、更に深く腰を打ちつけたときだった、ボクの胎内の最奥にある口の更にその奥にカズヤの先端が触れたとき、体中に電気が走り背骨を通り抜け、脳を直撃した。
「ああぁっ!」
ボクは全身が痙攣するような感じがして、包み込んだカズヤのモノを更に強く締め上げる。ボクの膣内のカズヤの形が、はっきりと頭の中に浮かび上がる。
「くぅうっ!」
カズヤもこの締め上げには我慢できなくなり、熱いものをボクの中にぶちまけた。入り口から駆け上がり、胎内の奥に叩きつけるようにして吐き出されたカズヤの精液が、行き場がなくなって腹内を満たしていくような感覚までハッキリと感じ取れるようだった。
(やっぱりこの体は、そのために造られて……)
脳髄までじんわりと痺れていくような感覚が全身を駆け抜け、ボクの意識は白濁した霧の中へ埋没していった。
-----------------------------------------
朝、偶然にも2人同時に目が覚めた。というより、ボクがカズヤの重みに耐えかねて目が覚めてしまい、それで動いたからカズヤも起きてしまった。先に口を開いたのはカズヤだった。
「お、おはよう」
「おはよう」
「…………」
「…………」
「昨夜は、その……」
「……重いんだけど」
「ああ、ス、スマン」
カズヤがあわてて、ベッドから起き上がろうとする。
「あ、毛布もっていかないでよ! もう少し気遣って欲しいな」
「わ、悪かった」
ついついボクも口調がきつくなる。大体初めての朝なんだから、もう少し気の利いたセリフぐらい言えばいいのに。
ボクは拗ねる様にそっぽを向いて、カズヤに言った。
「喉が渇いたから、何か持ってきてよ」
「あ、ああ。わかった」
ボクは自分でもわかるほどに赤くなり始めた顔を、カズヤに見られたくなかった。
ちらっとカズヤの顔を見たとたん、ボクの中に今までとは違った感情が、芽生えていた。
-----------------------------------------
数日後、少し早めのランチを一人で食べていると、帰省を終えたハルカさんがやってきて、ボクにそっと耳打ちする。
「どう? カズヤ君とは、エッチできた?」
「……ボクの体に、何かしたでしょ?」
「え? 何のことかしら?」
臆面もなく知らない振りをするハルカさん。だけど今度こそ問い詰めてやる! そう思ったけど、ハルカさんのほうがボクよりもずっと上手だった。
「それよりどうだったのよ? 否定しなかったってことは、シタのね?」
「…………」
「赤くなってカワイイ。思い出しちゃった? じゃ、今度はお姉さんと、もっと楽しいことしましょうか?」
そういって、唇を顔に寄せてくる。あわてて体を引いて拒否する。
「だ、駄目。キスはダメ!」
「あら、どうして?」
「……まだ、して無いから」
「やれやれ、キスも自然にできるように設定しておけばよかったわねぇ」
「×■○▽!! や、やっぱり、ハルカさんが何かしたんだ!」
「リンクシステムにアクセスできるのは、あなたたちだけじゃないのよ。 それより!」
まだまだボクよりも強い力でぐっと抱き寄せ、顔を近づけるハルカさん。今度こそキスされちゃうのだろうか? 真っ赤なルージュを引いた唇に目が吸い寄せられる。体は女の子になったとはいえ、心はまだ男の心が強い筈のボク。美人で魅力的な女性にキスを迫られたら。
(でもまぁ、いいか……)
目を閉じて軽く唇を閉じると、背中に回された手の力がふっと緩む。ハスキーなハルカさんの声が耳元で囁く。
「ファーストキスは好きになった男の人とね。それは女の子なら誰でも願う、大切な気持ちだから」
そういうと、ハルカさんはボクのオデコに軽くキスをして行ってしまった。
登場も突然なら、去っていくのも風のようだ。
入れ替わるように、カズヤがやってくる。
「ハルカさんと、何話していたんだ?」
「い、いや別に……」
思わず顔が赤くなる。原因はわかってる。
「食べ終わったのなら、部屋へ戻ろうか? そろそろ日常生活レベルのことは、できるようにならないとな」
「う、うん。じゃあさ、肩を貸してくれない? 支えてくれれば、もう歩けると思うからさ」
「あ、ああ、わかった」
カズヤの手を借りて、ゆっくりと歩き始める。そういえば、昔こんな風に肩を貸し合って歩いたことがあったな。あの時は、男同士の友達って本当にいいなって思ってた。でも今は……。
もうボクたちの関係は、今までとは違うものになりつつあるのかもしれない。この仕事を続ける限り、ボクがどんなドール体に移り変わっても、ファーストキスも初体験もカズヤとするんだろう。カズヤはそのこと、どう思っているんだろうか?
「ねぇ、カズヤ」
「ん、なんだ?」
振り向いたカズヤに、小鳥がついばむ様な軽いキス。これがカズヤとのファーストキス。
ボクはカズヤに恋してる。
ありす
2005年09月25日(日) 16時13分56秒 公開
<一応、ご本人と支援所管理人さんの許可は頂いてるので転載させて頂きます。>
もうもうと立ち込める湯気と、敏感な柔肌を包む滑らかな泡。浅く張ったお湯にたっぷりのシャボンを泡立てた浴槽の中で、ボクはハルカさんに産湯に入れられていた。
「あン、ヘンなとこ触わんないでよ」
「動かないで! 洗えないでしょ、私まで泡だらけになっちゃう」
人工体のドールといっても、生体部分の新陳代謝があるし、汗もかく。だから生身の人間と同じように、お風呂に入らなきゃならない。特にチャンバー(人工体培養槽)から出たばかりの体は結構汚れている。その体を清めるのと、早く体の感覚に慣れるために、新しい体で目覚めた時には必ず入浴することになっている。けれど新しい体では、まだ思うように動くことができない。”体が動くことを覚えていない”からだ。赤ん坊同然の動きしか出来ないのに、一人で入浴なんて自殺行為だ。だから恥ずかしくても、他人の世話にならなければならないんだけど……。
「ボクだけ裸なんて、ずるいや」
「いくら今は女性の体だからって、中身はオトコのあなたに簡単に見せるほど、このハルカさんはお安くないわよ」
体を洗ってもらう以上、ボクは当然裸だったけど、ハルカさんは水着の上に大きめのTシャツを着ていた。
「だって、ハルカさんはボクの……、全部見ちゃってるじゃないか!」
「あら、いいじゃない。女同士だから恥ずかしいなんてこと無いわよ」
「……さっきと言ってる事が違う」
「でも本当に赤ちゃんみたいにすべすべの肌。 うらやましいわぁ」
「ハルカさんエッチな触り方しないで! くすぐったいよ」
「ほら、暴れないで。こうやって早いうちから、あちこち触ったり、動かしてあげる方が、早く自由に動けるようになるのよ。カズヤ君にも言われたでしょ?」
「だからってさぁ……」
「ところで、どうだった?」
「何が?」
「したんでしょ? 前の体で。 “処女喪失”の気分はどうだった?」
「な、そんなこと聞いてどうすんのさ?」
「いやその、どんな気分だったのかなーって。 興味あるしさ。 ネ、教えてよ」
「ボクはカズヤと寝てないよ」
「うそばっかり。 ちゃんと調教は全て完了しましたって、カズヤ君が報告してたわよ」
「“調教”じゃなくて“調律”! 誰かに聞かれたら誤解されるじゃないか」
「で、どうだったのよ?」
「だから、カズヤとはしてないよ。……アレの時は、ドールの人工知能に代わってもらったから。 ボクはずっと眠っていたし、その間の記憶もボクが目覚めた時に、消えるようにしておいて貰ったから、知らない」
「……あきれた。 インチキしてたの?」
「インチキじゃないよ。 ちゃんと調律できたって、カズヤが言ってたもん」
「じゃあナニ? 恥ずかしいんだけど見せちゃってもいいかなーとか、敏感なところをイジられてゾクゾクしてくるけどキモチイイ感じとか、もっと優しくして欲しくて、切ない気持ちになっちゃったりとか、自分でも嫌になるぐらい恥ずかしいことを言っちゃたりやっちゃったりして、自己嫌悪になりそうになるんだけど、やっぱりそれもアリかなっと開き直っちゃったりとかっ! 最後気持ちイイんだかなんだかよくわかんなくて、それでも好きな人とひとつになれて、そんでもって相手も満足してくれたからうれしいなっ!! と思える自分が可愛いく思えちゃったりとか、そーいうのもゼンゼン無かったわけっっ!!??」
「無い」
早口でまくし立てるハルカさんの長い質問に、ボクは一言で答えた。
「まさか、キスもして無いなんて、いわないわよね?」
「もちろん! して無いよ」
「……これは由々しきことだわ。入念な対策を練らないといけないわね」
「そ、そんなぁ。 だって、カズヤとは長い付き合いで、友達だし、……男同士だし」
「アレだけおいしいシチュエーションで、何も無かったなんて、信じられないわ」
「残念でした。カズヤはああ見えても紳士なんだよ」
「何やったってかまわない女がすぐそばにいるのに、何もしないなんて男じゃないわねぇ」
「ハルカさん、男ってモノを勘違いしていない? そりゃ、同じ部屋で寝ることとかもあったけど、一度もカズヤに襲われたことなんて無いよ」
「インポなのかしら?」
「イン……。いや、それは無いと思う」
「確かめたの?」
「いや、そうじゃないけど……、そういうのは……その……。一緒にいればわかるよ! 説明しない!」
「ふーん?」
「それに! ボクらは男同士の親友同士だもん。カズヤだって仕事じゃなければ、ボクとなんかするわけ無いだろ」
「そういうもんかしらねぇ……?」
考え込んでしまったハルカさんだったが、すぐに何か思いついたように僕の股間に手を伸ばし、一番敏感な突起に触れた。
「ひゃぁっ!」
「おっと」
突然の刺激にのけぞり、泡の中に埋もれそうになったボクの体を、ハルカさんが支えた。しかし後ろから胸を掴む様に腕を回し、しかもその手は微妙に動いてボクの胸を揉んでいる。でも逃げることも出来ない。 精一杯の抵抗をしたって、せいぜい体をくねらせるのが関の山だし、振り払おうと少しは腕を動かすことも出来るけど、大人のハルカさんに抗うだけの力は出せなかった。
「やぁっ、やめてよ。 ハルカさん!」
「逃がさないわよ」
ハルカさんはボクを右手で抱き寄せるように後ろから左の胸を揉みながら、同時に左手で、股間の谷間をなぞり始めた。ゾクゾクするような感覚が背筋を駆け抜ける。それにさっきから、ハルカさんがねちっこくボクの体を洗うものだから、体の奥がむずむずして仕方が無い。
「ハルカさん、駄目だってば。 おかしくなっちゃうよ……」
「抵抗しても無駄よ。あなた、まだ調教始めていないのにココが感じるってことは、あなたの記憶に残っているってことよ」
「ボ、ボク、オナニーなんてしてないもん!」
「あらぁ、私はそんな質問、していないわよ」
嵌められた。というより自分の失言を恨めしく思った。
「じゃあ、こんなのはどうかしらね?」
そういって、ハルカさんは秘唇の奥に隠れた、穴の中に指を入れる。
「んんん……」
ボクの背中を悪寒が走り、異物感に身悶えるが、ハルカさんは容赦なく指を深く挿れて行く。ボクは頭を振って抵抗の意思を示すけれど、ハルカさんは指の責めを止めてはくれない。
「これは感じる?」
そういって膣に入れた指を、お臍の側にクイっと曲げた。
「ああっ!」
ハルカさんの指が、ボクの中の何かをグリグリとするような刺激を感じたかと思うと、下腹部から体の中心を通り、脳にまで届くような震えが襲う。ボクの呼吸は乱れ、肩を使わなければまともに息も出来ない。
「やっぱりね、あると思った。 Gスポットって言うのよ。すごいでしょ?」
「……はぁ、はぁ、お願い、もう止めて」
「ふふふ、そうね、元が男の子なら、こういうのは判り易いでしょ?」
「ひゃぁっ!」
ハルカさんは器用に指を動かして、さっきのグリグリを刺激しながら、秘裂の頂点に隠れた突起を別の指で刺激する。もっとも敏感な2箇所からの同時攻撃に、僕はなすすべも無く感じさせられてしまう。強すぎる刺激に翻弄されながらも、せめて声だけは出すまいと、唇をぎゅっと閉じる。
「んふ、我慢しなくてもいいのに」
ハルカさんの激しい責めに、ボクのはかない抵抗も、すぐに挫けてしまう。火を付けられた女芯からあふれ出す情欲が口からも漏れ出る。
「んあっ! ……んん、……いやぁっ! あぁん! はぁ……はぁふ……」
ボクの意思はまだ抵抗を続けているのに、腕も足もだらしなく震えるだけで言うことを聞いてくれない。それなのにボクの体は裏切るように、悪寒から快感と変わった信号を脳に送り続けて意思をくじこうとする。だらしなく開かれた口は抗議の声すら上げられず、艶っぽい喘ぎ声がハルカさんの刺激にあわせるように漏れていく。ハルカさんに“調律”されていく自分が情けなくなって、目に涙がにじんでくる。耳元でくすぐるようにハルカさんが言う。
「うふふぅ、どぉ? 歩くことよりも先にエッチなことを、体が覚えていくのは?」
「ぃやぁ……」
”歩くよりに先に……”頭の中でハルカさんの言葉が胸にささる。
(こんなのイヤだよぉ……)
ボクの頬を汗ではない滴が伝う。やっと出すことのできた、抵抗の意思表示。ハルカさんは不意に手を止め、ボクの顔をじっと覗き込んだ。嵐のようにボクを苛んでいた刺激が止む。
「ゴメンね……」
ハルカさんは急に優しくなって、ボクの額に軽いキスをする。だけどその次の言葉は、ボクにとってはもっと残酷なものだった。
「もう行かなくちゃ行けない時間なの。あとはそうね、カズヤ君にやってもらいなさい」
「え……、何? 今なんて?」
「両親に呼ばれているのよ。 これから飛行機に乗らなきゃ」
「そんな、こんな途中でなんて、せめて他の女の人に……」
「かわいそうだけど、女性職員は今日は私だけなのよ。 だから後を任せられるのは、カズヤ君だけね。 乱暴なことしないようにちゃんと言い聞かせておくから。あなたもおねだりなんかしちゃ駄目よ。じゃあね、がんばって!」
「だ、誰がそんなこと! あ、ちょっと待って、ハルカさーん!置いて行かないでよ!」
しかしハルカさんは、まるで聞こえないかのように、体についた泡をシャワーで落として、浴室から出て行ってしまった。
「どうすればいいんだよ……」
さっきまでの刺激で、体が言うことを聞かず、腕をあげる気力も無かった。もっともそうでなかったとしても、自分の体重を支えて浴槽の縁をまたぐなんて、まだ出来そうにない。
「ん……」
ハルカさんに高められた体が、疼くように刺激を求めている。でもしばらくしたら、カズヤがやってくる筈だ。その時自分を慰める手が止まらなくなってしまっていたら、目も当てられない。だけど、さっきこの体に目覚めさせられたばかりの快感が忘れられない。手を伸ばそうとしては思い直し、身悶えて体が震えれば、切ない思いがこみ上げてくる。
(少しだけなら……、いいよね)
そうっと股間へ手を伸ばしたその時、人の気配がした。ボクは胸をかばうように、自分の肩を抱いて誰何した。
「だ、誰っ?!」
「オレだ。入っても、いいか?」
「カズヤ? う、うん。いいよ」
パンツ一枚のカズヤが入ってくる。なるべくこっちを見ないように、気を使ってくれるのはうれしいけど、足元が危なっかしい。
「カズヤ、滑って怪我したらもっと大変になるからさ、こっち見ても大丈夫だよ」
「あ、ああ……」
シャボンの泡が少しは目隠しになってくれているから今はいい。だけど風呂から上がるってことは……。
カズヤがあさっての方向を見ながら、浴槽のそばまで来た。
「なぁ……」
「なあに?」
「ハルカさん、どうしたんだ?」
「飛行機に乗るんだって。実家へ帰るみたい」
「そうか……」
「……」
「……」
見るとカズヤの顔が赤い。 恥ずかしいのはこっちの方なのに! だいたい『女の裸なんかネットで見慣れている』とか何とかいつも言っているくせに、そんなに緊張されたらかえってその方が恥ずかしい。でもこのままじゃ埒が明かない。 ボクはカズヤに言った。
「早くここから出してよ」
「そ、そうだな。 どう、すれば いいかな?」
「抱っこして。 手を引っ張ってもらっても、まだ立てないから」
「え?ああ、そうか」
カズヤの手がゆっくりとボクに向かって伸びる。でもよそ見をしているから見当違いの方向へ手が伸びて、直接ボクの秘部にカズヤの手が触れる。
「やぁっ! どこ触ってんだよぉ!」
「うわっ、す、すまん。その、泡でよくわからなくて……」
「いいよ、こっち、見ても……。 しっかり抱きかかえてもらわないと、途中で落とされたら、受身も出来ないから」
「あ、ああ」
「あんまり緊張しないで、かえって恥ずかしいから」
カズヤがボクの体に手を回して、“お姫様抱っこ”で浴槽から引き上げた。ボクの裸を隠していた泡が流れ落ちて、次第に露になっていく。ボクは不自然にならないように、胸と股間をそっと手で隠す。
「シャワーで、残った泡をきれいに流して」
「あ、ああ。 わかった」
さすがに、男だけあって軽々とボクを抱き上げて歩いていく。ハルカさんだといつ落っことされるかわからないのに。こんな些細なことに安心感と頼りがいを感じてしまうなんて……。心まで女の子になりかけてるみたいで、ちょっと嫌だ。
ボクはカズヤに抱きかかえられたままシャワーを浴びて、残った泡もきれいに流してもらう。少し熱めのシャワーが、冷えかけた体を再び温めてくれたけど、上気した肌がカズヤを煽情的にしないかと、少し不安になる。カズヤは浴室に入ってきたときからずぅっと顔を赤くしたままだ。
びしょ濡れのまま脱衣所にあがり、背もたれ付の椅子にボクを座らせてくれる。荒い網目状に編んで作られた椅子に座ったボクの姿が、壁にある大きな鏡にも映る。まだ見慣れない自分の姿が、昔見た映画に出てくる淫婦みたいに見えてイヤだった。
「その……、体も拭いてやらないと、駄目か?」
「そこの棚にバスローブが入ってると思うから、それを着せてくれない?そこにバスタオルも入っていると思うから」
「ああ、わかった」
カズヤは大量のバスタオルを使い、ボクが恥ずかしくないように気を使いながら、バスローブを着せてくれた。だけどそのまどろっこしさが、かえって裸の自分を意識してしまって恥ずかしい。それにさっきから、カズヤの視線がボクの胸元にまとわりついているような気がして、たまらなかった。今度の体は胸が少し大きくて、いかにも男が好きそうな体つきだったからだ。
「そこのエアコンの傍に、椅子ごと運んでくれない? 体が乾くまでの間、カズヤはお風呂済ませてきてよ」
「そんなところにいたら、湯冷めするんじゃ無いか?」
「ドール体なんだから大丈夫だよ。髪も解いてくれない?速く乾くと思うから」
「ああ、わかった」
バレッタで止めてあったボクの髪がぱぁっと広がる。
「今度は髪……。長いんだな」
「え? あ、ああ、そうだね。カズヤは髪が長い娘の方が好きなんだったっけ?」
「ま、まぁな……。ほ、本当にオマエなんだよな?」
「な、なんで? ボクだよ……。あ、そうか……、この体になって、初めてだっけ?」
まだ憑依が完了してから何時間と経っていない。チャンバーから出て産湯に入れられていたところだったのだから。カズヤからしてみれば、例え中身はボクであっても、初対面の女性(それもハダカ!)に会うのと一緒なんだ。
「初めまして、っていうのもなんかヘンだね。でも中身はカズヤの良く知っているボクだから、今度もよろしくね」
「あ、ああ。こ、こちらこそ、よろしく……」
ボクはバスローブを着ているといっても、その下には下着一枚付けていない。カズヤはびしょ濡れで、パンツ1枚のハダカ同然。大きな鏡の前での奇妙な“初対面の挨拶”に、ボクはさっきまでの緊張感もエッチな気分もうそのように消えて、なんだか可笑しくてたまらなかった。
-----------------------------------------
部屋に戻り、カズヤがドライヤーでボクの髪を乾かしてくれる。ドレッサーの鏡に、ボクとカズヤが映っている。丁寧に髪を梳かすカズヤの手。視線は時折ボクの胸元を漂う。モコモコとしたバスローブの上からでもはっきりとわかる膨らみと、深い襟元から見える柔らかそうな谷間。男だったらそちらに目がいくのも当然だろう。
(目で犯されるってこんな感じかな?)
そう思ったら、さっき中途半端に高められた感覚が、再びじわじわと高まり始めるのを感じた。
「ねぇ、そんなにこの胸が、気になる?」(やだ!何を言ってるんだろう?ボクは!)
「胸?あ、すまん。じろじろ見ているように見えたか?」
「え、いや、その……気になるなら、別に見てもかまわないけど……」(ああ! 何を言ってんのかわからなくなってくる)
「いや、どうも、その、オマエの顔が、マトモに見れなくてな……」
「顔……? カズヤはこの顔、キライ?」(なんて質問をしているんだろう! ボクは)
「い、いやそんなことは無い、そんなこと無いが……」
カズヤは明らかに狼狽しているように見えた。
「それならどうして、ボクの顔が見れないの?」
すっと手を伸ばしてカズヤの頬に手を当てる。それがあたり前のようにできる自分に、強烈な違和感を感じた。
「や、やめろよ……」
触れた手を避けようとして、カズヤが身をひねる。だけどそれが2人の体のバランスを崩し、じゅうたんの上に折り重なるように倒れこんでしまった。
ゆるく羽織っただけのバスローブの胸元がはだけ、大きく膨らんだ胸がポロリとこぼれ出る。カズヤの視線が僕の胸に釘付けになっている。
「……シタい?」(な、なんて事をボクはいっているんだろう?こんなことを言うなんてありえない!)
「な、何言ってんだよ。今日のオマエ……、なんだかヘンだぞ」
ボクの手がカズヤの頬に伸びる。
「カズヤだってヘンだよ。何赤くなってるの……」(わ、なんでこんなこと?)
「や、やめろよ。オレだって我慢できなくなっちまう」
「我慢しなくても、いいよ……」(わ、な、何いってんだボク!)
「だっておまえ、……あんなに、嫌がっていたじゃないか」
「今なら、カズヤのしたいようにできるよ」(ひぇ~)
「……いいのかよ」
何かしゃべろうとすると、またとんでもないことを言ってしまうに違いないと思い、ボクはぐっと口を閉じた。だけど、無言はカズヤにとってOKのサインと受け取られたようだった。カズヤの手が、バスローブの前を大きくはだけると、あっという間に全裸にされて、ベッドの上に転がされた。
「オレはもうスイッチが入ってしまった。抵抗しても止めないからな」
もうだめだ、カズヤは一度宣言したことは、絶対にやり遂げる負けず嫌いな性格だ。それにうまく体の動かせないボクの抵抗なんか、無いに等しい。
カズヤの手が僕の胸に触れゆっくりと、でもしっかりと揉み始めた。唇で乳首を転がすように舐められると、思わず声が出そうになって、ボクはわずかに出せる力で口を覆った。
(喘ぎ声なんて出したくない!出してたまるか!!)
そう頭では思っていても、お風呂場でハルカさんにお預けを食らった快感を、少しでも取り戻そうと体が疼き始める。
胸を刺激されているだけで、こんなだなんて……。これ以上されたら……。
「カズヤ、痛いよ……」
「あ、ああ、すまん。」
痛いなんてウソだ。ホントはこれ以上感じてしまうのが怖くなっただけ。でもカズヤはボクの言葉を真に受けて、胸を揉むのをやめて、かわりに舌で胸やおへその辺りを舐め始めた。だけどまだ”処女”のこの体は、くすぐったさを感じるだけだった。
それよりは、指でそっと愛撫してもらった方が感じるんだけどなぁ……。
そう思った時だった。ボクたちの熱っぽい行為を感知したのか、部屋の空調機の風が少しばかり強くなった。カズヤが舌で辿った濡れた道筋が、風に晒されてひんやりと浮き上がる。
「んぁっ……!」
体が新しい快感を覚えて、ドールの脳へと伝える。本当ならばありえない感覚。だけどドールの体はそれがまるで僕自身が体験しているようにそれをボクに体験させる。カズヤの”調律”がドールの体に快感を刻み込み、空調機までもがボクを”オンナ”にしようと、攻め立てているような感じがした。カズヤが少しだけ顔を上げで、ボクの表情を読み取ろうとする。
「感じるか?」
「そんなこと……、聞かないでよぉ」
喘ぎ声を聞かれてしまった恥ずかしさで、ボクは真っ赤になってるだろう顔を腕で隠した。無防備になった胸を、再びカズヤが攻め始める。大きくて柔らかい果実を弄ぶのを、カズヤは気に入ったみたいだった。
「カズヤってオッパイ性人だったんだ……」
「ああ、そうかもしれない」
だけど、ボクの言葉を不満の表れと受け取ったのか、カズヤは下腹部へと手を伸ばした。おへその下あたりから更にその下へ向かって指で辿り、いよいよその場所に届こうかと言うところで、ボクは緊張で身を硬くした。しかしカズヤはボクの予想に反して、太腿の内側をくすぐるようになぜた。
「やン……」
抑えられなかった掻痒感に、ボクは声を出してしまい、脚も広げてその感覚から逃れようとする。すかさずカズヤが股間に手を伸ばす。
「あっ、卑怯だよカズヤ」
「ぴったりと脚を閉じてたら、何もできないだろ?」
そういって、カズヤはいきなり指を挿れた。いつの間にかそこはじっとりと濡れてしまっていて、カズヤの指は難なく柔肉の門を開いていく。カズヤに触られるのは初めてだというのに、ボクの新しい肉体は、当たり前のように切なくて気持ちよくて、体を熱くさせる感情を生み出していく。
ボクももう、スイッチを入れられてしまった。
もっと強い刺激が欲しくてたまらない。もっと乱暴に、ボクを刺激して欲しい。ボクは薄目を開けて、カズヤを見つめて、カズヤの唇をみながらカズヤの首に手を絡める。声にしたくない想いを、唇を動かして伝える。カズヤがボクの腰を掴んで引き寄せ、熱くたぎったモノをボクの股間にあてがう。ボクはいよいよの”その時”に備えて目を瞑り、胸に手をあてた。
(ドール体でも、やっぱりはじめては痛いのかな……?)
そんな考えが頭をよぎってしまったのがよくなかったらしい。カズヤの腰の動きに反応して、ボクも腰をひねってしまった。カズヤの狙いはそれて、秘唇をなぞるように熱いものが擦りあげていく。
「怖いのか? やめようか?」
「ううん、ゴメン。……続けて」
口ではそういったものの、ボクの中に”ある感情”が芽生えてしまった。それは今までの嫌悪感では無い漠然とした”不安”。このままカズヤとしちゃっていいんだろうか? もしカズヤとしてしまったら、ボクはもうボクじゃなくなってしまうかもしれない。そんな迷いが、カズヤの挿入を阻む。何度目かの失敗の時、ちょうど太腿の間にカズヤのモノを挟んで、擦り上げる格好になってしまい、カズヤはそれで果ててしまった。カズヤが無言で、後始末をしているのを見ているうちに、ボクはとても悲しくなってしまい、すすり泣きを始めてしまった。
処女喪失への恐れと、カズヤにすまないという気持ちと、自分が何をやっているのか、もう何がなんだか解らなくなっていた。ボクは泣くしかなかった。
するとカズヤはボクを抱き起こして、ベッドの上で抱き合ったまま座る形になった。流れる長い髪が背中をくすぐり、慣れない重みを感じる乳房の先が、カズヤの体に触れる。膝を折り曲げた脚の足首に、自分の流した愛液の滴りを感じる。”おまえはもう男じゃないんだ、おとなしく目の前の男に抱かれろ”そう自分の体に言われているようで、ますます悲しくなった。カズヤの手が背中に回されて、強く抱き締められる。
『きょうは、もう止めておこう』カズヤはそういってくれると期待していた。だけどカズヤのセリフは違った。
「ここで止めたら、オレはもう二度とオマエを抱けない気がする。オマエが泣いても止めないけど、それでもいいか?」
ボクははっとした。カズヤがその気になれば、無理矢理でもボクを犯すことができる。今のボクには抗えるだけの力は無い。それでも、カズヤはボクを気遣っているんだ。それに今の仕事を続ける限り、いつかはカズヤとしなければならないだろう。胸の中に湧き上がる不安を押し殺すように、小さな声でボクは言った。
「……うん、いいよ」
カズヤの手がボクの腰に回され、少しだけ持ち上げた。そして反対の手を使って、確かめるようにボクの秘唇を割り開く。ボクもカズヤの分身に手を添え、導くように自分の入り口に押し当てる。
「いくぞ」
「うん」
ボクの腰を支えていた手の力が緩められ、膣内にゆっくりとカズヤが差し入れられていく。今度はボクの体重を使っているから、逃げたくても逃げられない。感じるだろう痛みを想像して少し身を堅くしてしまったけど、滴り落ちるほどの愛蜜が潤滑剤となって、思ったよりも抵抗無く入っていく。カズヤの熱くて堅くて太いものに、どこまでも刺し貫かれているような感じがした。カズヤが動きを止めて、ボクに問いかける。
「痛くないか?」
「うん、大丈夫。処女だからって痛いわけじゃ、ないみたいだね、へへ」
気遣ってくれるカズヤに心配かけまいと、ボクも精一杯答える。だけど、はっきりいってあまり気持ちいいものじゃなかった。カズヤがそのままボクを押し潰す格好でベッドに倒れ込んで、より深く繋がろうとする。
「動くぞ」
「う、うん」
カズヤの抽挿が始まり、ボクの膣内をカズヤの肉棒がこすり上げる。内臓をかき回されるようなその刺激は、決して気持ちの良いものではなかったけど、思っていたよりも、ボクの中は敏感だった。カズヤのくびれているところとか、膨らんでいるところとか、まるで手のひらで感じるように伝わってくる。動きを止めると浮き出た血管から、カズヤの拍動までが伝わってくる感じだった。敏感ではあったけど、拍子抜けするほどのセックスの感触に、ボクは少しだけ安心した。自分が狂って痴態を振りまくようなことには、ならなそうだった。
(最初から気持ちよかったら、調律する意味が無いもんなぁ……)
そう考えたら、少しだけ気持ちに余裕が出てきた。その反面カズヤはだんだんと息が荒くなって来ている。
「ねぇ、カズヤ。気持ちいい?」
「あ、ああ。スゲー気持ちいいよ」
「えへへ、良かった」
「つらくないか?」
「大丈夫。だけど、髪が引っ張られて痛いんだ。脇へよけてくれない?」
「ああ、わかった」
そういってボクの背中に手を回した時だった。カズヤの堅いものが微妙に角度を変えて、ボクの中の”しこり”に触れた。ぞわぞわとする感覚が体を震わせながら駆け上がり、おなかのなかから熱いものがこみ上げてくる。突然湧き上がる快感に、ボクは喘ぎ声が漏れないように口を堅く閉じるのが精一杯だった。そしてボクの体に変化が起こった。お腹の奥にある何かが、繋がっているカズヤの先端を包み込もうとゆっくりと動いたのだ。
「く、オマエの膣内、すごいな……」
カズヤが言う。まるで、膣の中にもう一つ口があって、カズヤの頭の部分をくわえ込んでいくみたいだった。
「もう、我慢できない……」
カズヤがそういって、更に深く腰を打ちつけたときだった、ボクの胎内の最奥にある口の更にその奥にカズヤの先端が触れたとき、体中に電気が走り背骨を通り抜け、脳を直撃した。
「ああぁっ!」
ボクは全身が痙攣するような感じがして、包み込んだカズヤのモノを更に強く締め上げる。ボクの膣内のカズヤの形が、はっきりと頭の中に浮かび上がる。
「くぅうっ!」
カズヤもこの締め上げには我慢できなくなり、熱いものをボクの中にぶちまけた。入り口から駆け上がり、胎内の奥に叩きつけるようにして吐き出されたカズヤの精液が、行き場がなくなって腹内を満たしていくような感覚までハッキリと感じ取れるようだった。
(やっぱりこの体は、そのために造られて……)
脳髄までじんわりと痺れていくような感覚が全身を駆け抜け、ボクの意識は白濁した霧の中へ埋没していった。
-----------------------------------------
朝、偶然にも2人同時に目が覚めた。というより、ボクがカズヤの重みに耐えかねて目が覚めてしまい、それで動いたからカズヤも起きてしまった。先に口を開いたのはカズヤだった。
「お、おはよう」
「おはよう」
「…………」
「…………」
「昨夜は、その……」
「……重いんだけど」
「ああ、ス、スマン」
カズヤがあわてて、ベッドから起き上がろうとする。
「あ、毛布もっていかないでよ! もう少し気遣って欲しいな」
「わ、悪かった」
ついついボクも口調がきつくなる。大体初めての朝なんだから、もう少し気の利いたセリフぐらい言えばいいのに。
ボクは拗ねる様にそっぽを向いて、カズヤに言った。
「喉が渇いたから、何か持ってきてよ」
「あ、ああ。わかった」
ボクは自分でもわかるほどに赤くなり始めた顔を、カズヤに見られたくなかった。
ちらっとカズヤの顔を見たとたん、ボクの中に今までとは違った感情が、芽生えていた。
-----------------------------------------
数日後、少し早めのランチを一人で食べていると、帰省を終えたハルカさんがやってきて、ボクにそっと耳打ちする。
「どう? カズヤ君とは、エッチできた?」
「……ボクの体に、何かしたでしょ?」
「え? 何のことかしら?」
臆面もなく知らない振りをするハルカさん。だけど今度こそ問い詰めてやる! そう思ったけど、ハルカさんのほうがボクよりもずっと上手だった。
「それよりどうだったのよ? 否定しなかったってことは、シタのね?」
「…………」
「赤くなってカワイイ。思い出しちゃった? じゃ、今度はお姉さんと、もっと楽しいことしましょうか?」
そういって、唇を顔に寄せてくる。あわてて体を引いて拒否する。
「だ、駄目。キスはダメ!」
「あら、どうして?」
「……まだ、して無いから」
「やれやれ、キスも自然にできるように設定しておけばよかったわねぇ」
「×■○▽!! や、やっぱり、ハルカさんが何かしたんだ!」
「リンクシステムにアクセスできるのは、あなたたちだけじゃないのよ。 それより!」
まだまだボクよりも強い力でぐっと抱き寄せ、顔を近づけるハルカさん。今度こそキスされちゃうのだろうか? 真っ赤なルージュを引いた唇に目が吸い寄せられる。体は女の子になったとはいえ、心はまだ男の心が強い筈のボク。美人で魅力的な女性にキスを迫られたら。
(でもまぁ、いいか……)
目を閉じて軽く唇を閉じると、背中に回された手の力がふっと緩む。ハスキーなハルカさんの声が耳元で囁く。
「ファーストキスは好きになった男の人とね。それは女の子なら誰でも願う、大切な気持ちだから」
そういうと、ハルカさんはボクのオデコに軽くキスをして行ってしまった。
登場も突然なら、去っていくのも風のようだ。
入れ替わるように、カズヤがやってくる。
「ハルカさんと、何話していたんだ?」
「い、いや別に……」
思わず顔が赤くなる。原因はわかってる。
「食べ終わったのなら、部屋へ戻ろうか? そろそろ日常生活レベルのことは、できるようにならないとな」
「う、うん。じゃあさ、肩を貸してくれない? 支えてくれれば、もう歩けると思うからさ」
「あ、ああ、わかった」
カズヤの手を借りて、ゆっくりと歩き始める。そういえば、昔こんな風に肩を貸し合って歩いたことがあったな。あの時は、男同士の友達って本当にいいなって思ってた。でも今は……。
もうボクたちの関係は、今までとは違うものになりつつあるのかもしれない。この仕事を続ける限り、ボクがどんなドール体に移り変わっても、ファーストキスも初体験もカズヤとするんだろう。カズヤはそのこと、どう思っているんだろうか?
「ねぇ、カズヤ」
「ん、なんだ?」
振り向いたカズヤに、小鳥がついばむ様な軽いキス。これがカズヤとのファーストキス。
ボクはカズヤに恋してる。
ありす
2005年09月25日(日) 16時13分56秒 公開
<一応、ご本人と支援所管理人さんの許可は頂いてるので転載させて頂きます。>
コメント
コメントの投稿
トラックバック
http://okashi.blog6.fc2.com/tb.php/722-4e4da63a