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六鏡 玲人の暗躍――水野 希光の場合 ――(6) by.黒い枕

(くぅ~~~っ。 やっぱ、嵌まりそうだ)

折れてしまいそうな脆弱な指を乱雑に握り、勇ましく掲げる。
不覚にも、また自尊心が満たされることに病み付きになった。
いけない、と思いつつも隠したい筈の胸を開放し、ワザと膝を垣間見せた。
反応が反響するたびに、希光の極限まで顔をにやけさせた。

《あの――また、追いかけられることになりますよ?》
(あっ、そうだな。 もう下げてくれていいぞ)

ついつい、大勢の群集を見た瞬間、枷を外してしまい楓希に認識力を元に戻して貰っていたのだが、賞賛の視線は理性では縛られないほど快感なものらしい。
改めて、目標の人物を探す。
早足のため、ストレート・ロングの白髪が毛先が置き去りになった。
尻尾のように頭についていく、その様子は一種のアクセサリーのように銀輝を放つ。

《あっ、居ました、居ました》
「あっ、本当だ。 ――ユイさんもいるのか?」

女性海賊キャラの横にいるのはメイド喫茶で一番か二番ぐらいお世話に成っている女性――ユイだ。
勿論、コスプレ姿である。
ただ、彼女の場合は、他とは異なり、火が噴出しそうな顔して明らかに縮こまっている。
飾り立てている衣装もキャラでなく、婦警のコスプレ。
ある意味セミ・ロングと姉御みたい彼女にはピッタリなコスプレである。
もっとも、なぜか――その格好が原因なのか――二人で口げんかをしているらしい。
海賊と婦警の喧嘩。
シュールだが、笑えないほどの剣幕だ。
特に生粋のコスプレイヤーなミヤコの怒りは凄まじく感じられた。

「な、なぁ、大丈夫かな」
《大丈夫です。 私の力を信用して下さいよ――さっ近づいて、近づいて》
「う、――うん」

本当はもの凄く不安で、顔の笑みが消えてしまっていた。
だが希光も、ここまで来たら、腹をくくる覚悟なので、恐れながらも二人に接近した。

――主にコスプレをしてみたい、という願望のために。

「だから、なんでそんな地味なもんで勝負しにくンのよっ!! ――バイト代払わないわよ!!」
「――あ、あの」
「うっうさいっ!! 私だって金欠じゃなければメイド喫茶以外でこんな格好したくなかったわよ!! 第一にこれでも十分、派手でしょ!? 私綺麗でしょ!?」
「あの――」
「はっ。 地味! 地味! 地味! 地味・す・ぎィィィ!! 日の丸弁当の梅干ぐらい地味!!」
「梅干は脇役じゃない!」
「――怒るとこ、そこなんですか……」
「がああぁぁぁ――」
「さっきから一体誰よ!!? 誰――っ」
「ぬおォ――っ!!」

怒りの矛先を向けられた希光は、二人の激情の余波を受けて身を怯ました。
もっとも、二人は彼を認識した途端、怒りから悲しみへとベクトルを変化させ――。

「ひぁンんんんっ――」

涙目のまま抱き組まれた。
ミヤコは希光の上半身の乳房を、ユイは希光の下半身の臀部を狙うよう突撃してきた。
押さえ込まれた乳と尻が、美しい肌地を歪ませ、――ぷにゅん、と復元しようとした。
健気な反撃は馴染みのない疼きとなり、希光に嬌声気味の悲鳴を叫ばした。

「ナイス!! あたしの救世主っ!!」
「よく来たっ!! 同士よっ!!」
「ちょっと、待って!! 落ち着いて!! 俺は……んなっ!? こら尻を!!……うんひィィー!!?」

密着されたことに生じた娘三人分の雌臭が鼻腔を突く。
先ほどのクレープ以上に甘く脳にお花畑を見せる。
さらにお尻を恋人のように抱きしめていたユイの右手と左手が、微妙に配置を変え、揉み始めた。
肉は難なく――というよりもほぐされることを受け入れ、微弱な電気を放電した。
肺の中に熱気が篭ってしまうほど体の血が興奮している。

「ちょ、んんっ……やめい!!」
《マスター。 ここは”もう、コスプレが出来なくなるじゃない”っていって下さい》
「のンっ……はい? …なん……ひぁっ、……み、ミヤコ…さんまで!! ちょ、胸はあ、胸だけは止めてくれええっ」

今度はナミコが左手でぐいぐいと、左乳を苛めた。
音が出るほど、ひしゃげる情ない胸元に憤慨すら沸きながら、希光本人は見っとも無く遊ばれ続けた。
完全に声に発情が交じっている。

《早く、マスター!!》
「くふンン…ぅ……も、もう…コスプレが…っ…出来なくなるじゃない…のお」

胸が発する快感と尻の痺れに、希光は泣き叫ぶように用意された台詞を叫んだ。
すると顔以降から縛られていた肉体に自由が戻る。
ミヤコとユイは反省したように――それでいて、物足りなさそうに――彼の体から離れた。

「もう、本当のコスプレイヤーなら堂々と、家から着替えてくればいいのにぃ。シャイなんだから……」
「なにいってるのよ! 楓希は希光くんのために仕方なく、コスプレしているだけなんだから。誰かさんとは違って」
(――えっ、どうして俺の名前が? それに楓希まで知っている?)

明らかに、おかしい展開だ。
そもそも、こうして二人に慣れ慕われた人物として扱われていることすら、奇妙奇天烈なことなのだが、やはり会話の流れが謎すぎた。

「お前が何かしたのか?」
《――はい。 お二人には今のマスターを同じメイド喫茶のメンバーとして認識するように設定しておきました。 名前は急造するよりも私のを使った方がいいと思いまして》
「それは分かったけど――なんで俺の名前が?」
《ああ、それは彼女たちが知っている楓希はマスター、つまり水野 希光と――『恋人』と言う設定にしました》
「ふーん、そうか。 ――って、俺が俺の恋人!!?」
《――? 何かご不都合がありましたか?》
「あっ……うん……まぁ、あるっていえばあるが……」

本当に分からない、と疑問を投げつけてくる楓希にばつ悪くなり、希光は困る。
自分自身の恋人として、この二人と仲良くなるなど考えてもいなかったからだ。
でも、今更変えるというのも抵抗が出てしまう。
仕方無しに、認識設定のことは諦めた。
両腕を胸に挟むようにしてクロスし、二人の会話に加わる。
我ながら、” 楓希”に成りきることが上手いなと思う反面、漸く落ち着いた箇所を刺激してしまい、非常にむず痒い。

「ね、ねぇ……俺……――じゃなくて私のコスプレは……?」
「はぁ――? なにいっていんのよ、三人とも各自持参……――」
「――じゃなくて、私が持ってくるんだっけ? ……――っあれ、れ??」

イケイケな女海賊と正義感に燃えていそうな婦警が、うろたえている姿もギャップが在って、心臓をキュンとさせる。
どうやら、楓希の能力支配の甘さによる誤差に悩まされているのだ。
友達といえば首をひねざる得ないが、知り合いであるのは間違いない。
悩まさせいることに僅かながらも、罪悪感が生まれる。
だが――それでも、着飾りたい欲求の方が強かった。

「も、もう、ミヤコが持ってくるんだったんじゃないっ。忘れちゃたら、楓希が可哀想じゃない」
「ご、ごめん。 なんだか忘れてたみたいで、――念のためにユイ用の衣装は持ってきたんだけど……」
「あ、――それで、いい…わよ?」
「でも――」

紙バッグを申し訳なさそうに広げてみせるミヤコに嫌な感じを先取りしながら――そっと視線を忍ばせた。
そこにあるのは三種類の衣装。
どれもがゲームやアニメのコスプレで、どれもが違う作品のキャラクターのもので、どれもが――水野 希光には似合わないものだった。
正確には、今の彼に、である。
外見が整っていれば、美しく着飾れるかもしれないが、ムードを掴めなければ真の成功ではない。
だてに”オタクの貴公子”と呼ばれていないので、痛烈に事態の深刻さを受け入れた。

(こりゃあ、諦めるしかないか――はぁ)
《えっ? 大丈夫ですよ》
(大丈夫ってお前なぁ、これは今の俺には似合わないだろうが……)
《――大丈夫、大丈夫、任せてくださいって》
「あん? ああぁ――っ。こら、また勝手に――」
「えっちょっと、楓希ぃ!?」

無理矢理、髪袋を奪うと、決められた更衣室に向かうのは、持ち主の意思から外れた肉体。
胸を飛び跳ね、腰のラインを誇らせ、尻がダンスのごとく揺れた。
慣れない女体の刺激に逆上せあがりながら、希光は不安――そして、僅かな期待感に思いを馳せた。

<つづく>

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