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「ただいま ♂→♀ 調教中❤」 (7)

(7)----------------------------------------------------

 夕陽がキッチンを紅く照らし出す中、私は夕食の用意をしていた。

 メニューはご主人様のリクエストどおり、カレーにした。インド風の本格カレー。
 野菜と鳥の2種類のカレーに、香辛料をまぶしたサラダ。
 そしてナンを焼いて、ラッシーも作った。
 私が唯一できる、プロ並の料理。
 少し味見をして出来上がりに満足すると、早速ダイニングに食事の準備をする。
 一秒でも早く、この料理をご主人様に食べていただきたかった。

 ナプキンをご主人様の席に綺麗にたたんで置き、食事の準備を終えると、芳しい香辛料の香りに誘われるかのように、ご主人様がダイニングに現れた。
 なんていうグッドタイミング。
 でも、どうしてご主人様は、食事の用意ができたことを知ったのだろう?

 私はメイドだから、ご主人様の側に寄り添うように立って、給仕を務める。
 ご主人様の白くて長い指がナンを千切り、小さな器からカレーソースを少し掬い取って口に運ぶ。
 右手が何も持たずに少し持ち上げられて指を動かされるので、私はナプキンで指についた汚れをふき取る。するとご主人様は、綺麗になった指でラッシーの入ったグラスに手を伸ばす。
 今日のラッシーには、甘酸っぱい香りのするラズベリーソースを、ほんの少しだけ加えた。
 それに気がついたご主人様は、私を振り返り、軽く微笑んでくださった。
 うれしさがこみ上げてきて、ご主人様に抱きつきたくなる気持ちを抑えつつ、サラダのボウルから小皿に一口分のサラダを取って、ご主人様にお渡しする。
 するとご主人様の指が、銀色のサラダフォークに絡められる。
 そして丁寧に小さくカットされた緑色の葉が、ご主人様の紅い唇の間に消えていく。
 音も無くフォークがクロスの上に戻され、再びナンが盛られたバスケットに白い手が伸びる。
 やわらかな果実の皮を両手で剥くように、白くて細い指がゆっくりとした動きでナンを千切り、右手に残ったかけらでカレーをひと掬いする。
 口元に運ばれた白いナンとこげ茶色のカレーのついた塊が、紅く彩られた柔らそうな唇の間に消えていく。
 この時、私はテーブルの上の食器からも目を離さない。
 頭を少し動かして、ちょうど良い角度に目の位置を合わせれば、鏡のように磨かれた銀色の食器のどれかに、ご主人様の唇の間から小さな白い歯やピンク色の舌がのぞくのを、盗み見ることができるのだった。

 給仕の間中、私の視線はご主人様の指と唇、そして時折のぞく白い歯やピンク色の舌に釘付けになる。
 そのどれもが、私に性的な高揚感をもたらしてくれる。
 不完全な体で、ご主人様にご奉仕できない私には、この僅かな時間だけが至福のひと時だった。
 夜のベッドで、あの白くて細長い指と紅い唇、そして小さな白い歯で、自分が食べられることを想像しながら……。

「藍、たれていますよ」
「っ!」

 私はご主人様の言葉にはっとなって、思わず手を口元にやった。

「違います。下ですよ」

 私は濡れていた。
 メイド服の短いスカートからのぞく太股をつたって、ニーソックスにまで愛液を垂らしていた。
 私は下着を付けることを赦されていないから、無意識に反応するカラダの様子がすぐにばれてしまう。

「△@×~#$!!」

 声にならない狼狽した呻きを漏らした私に、ご主人様はこう続けた。

「ナニか、挿入っているのかしら?」

 そう言って獲物を捕らえた豹のように目を光らせた。
 私は慌ててスカートを押さえた。

 そう。さっきご主人様がベッドの上においていったローターを、私は膣に挿れていた。
 ご主人様が私に処方した薬の効果なのか、異物を挿入したままでも痛くなかった。
 でもスイッチを入れたとたんに、それは苦痛に変わったので、とにかくは慣れることが先決だと、そのままにしていた。
 だけどこんなことがばれたら、またご主人様に何かされるかもしれない。

「私は食事中ですよ、藍」
「す、すみませんっ! ご、ご主人様……」
「いいえ、前向きなのはいいことですよ」
「は、はぃ……」

 たぶん、全身の血が頭に集まってしまっているんじゃないだろうか?
 鏡を見なくても判るほどに、私の顔は真っ赤に熱を帯びていた。
 軽いめまいを感じながら、私はご主人様の食事の給仕を続けた。
 今度はあまり、ご主人様の仕草を意識しないようにしながら。

 ご主人様の食事のスピードを完全に把握している私は、バスケットのナンが半分ぐらいになったところで、焼きたての物と交換することができる。
 もちろん、小さな器に盛られたカレーだって、半分になったところで、暖かいものと交換する。
 ご主人様には焼きたてのナンと、冷めかけていない暖かいままのカレーだけを、食べて戴きたいからだ。
 残った半分は、もちろん私が戴く。
 そのころにはカレーも冷めて、ナンも硬くなりかけてしまっているが、ご主人様が手をつけたものと、同じものを口にできるというだけで、それは私にとって極上の一品になるのだ。
 そのささやかな幸福に思いを馳せながら、私はご主人様の給仕を続ける。
 ご主人様がテーブルの上に置かれたティッシュを取り、口の周りを拭かれたら食事終了のサインだ。

「ごちそうさま。直ぐに入浴します。手伝う必要は無いから、その間にあなたも食事を済ませなさい。」
「は、はい、判りました」

 ご主人様は席を立つときにチラッと、私のスカートの中を見透かすような視線を送ってから、ダイニングを後にされた。

「ふぅ~」

 私はようやく緊張を解き、ひとりになったのをいいことに、ちょっとはしたないけれど、足を広げて膣内のローターを抜き取った。

<つづく>

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