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1900万ヒット記念作品 成人劇場「少子化対策」 前編 真城 悠&松園 

作.真城 悠(Mashiro Yuh)
「真城の城」http://kayochan.com 
「真城の居間」blog(http://white.ap.teacup.com/mashiroyuh/)
挿絵:松園

成人劇場「少子化対策」真城 悠

 二十一世紀某国にて。
 人類は未だに地域紛争から脱却できておらず、各地で国境紛争が頻発していた。
 同時に富裕層においては高学歴化と共に晩婚化・非婚化が進行し、どの国も少子高齢化に悩まされていた。
 そんな時代のことである。

「少佐!こちらから進入できそうです!」
「よし!」
 名前を呼ばれた「少佐」は壮年の域に達したたたき上げの軍人である。
 国境を接する某国からの情報によって国境近辺のジャングルに潜伏し、隣国のクーデターに乗じて破壊工作を行うのが任務であった。
 今回のミッションはテロ行為ではなく、純粋に軍事施設を攻撃するものである。
 これによって攻撃力が削がれ、隣国との軍事的緊張関係のバランスが崩れ、和平交渉に応じてくるというのが軍上層部の狙いと思われたが、現場を指揮する少佐にはそこまで情報は与えられていない。
 あくまでも現地のジャングルに潜伏し、軍事施設の近くで命令を受けて破壊工作を実行するのみである。

 今回の任務には8人を連れてきていた。

松園さんイラストその3

 強力になりすぎた近代兵器は逆にその使用を難しくしていた。
 紛争当事国はほぼ全て何らかの形で核兵器を所有していたが、余りにも強力であるために逆に抑止力にしか使うことが出来ていない。これは生物・化学兵器においても同様である。
 大規模な空爆などやろうものなら全世界からの非難にさらされ、経済的なペナルティを取られてしまう。

 結局のところ、歩兵による銃撃戦・格闘戦に頼る他無かった。それも秘密裏に軍人同士で行われるものによってである。

 このミッションにはかつて何人もの先発隊が送り込まれているが、奇妙なことにとある地域に送り込まれた部隊のみ生還者が一人もいなかった。
 無人偵察機も送り込まれたが、無人偵察機は無事に生還するのに人間が入り込むと一人も帰ってこないのである。
 今回の部隊は選りすぐられた精鋭揃いで、何が何でも生還し、この地域で何が起こっているのかを報告する義務も課せられていた。

 ふむ…ここまであらゆる探索機によって周囲のジャングルを索敵しながら進んできたが、罠の一つも無い。
 うっそうと茂るジャングルの真ん中が国境線であるため、明確にラインが引いてある訳でも無い。

「少佐…先発隊との連絡が途切れました」
「そうか」

 平静を装っていたが、少佐の鼓動は高鳴り始めていた。無論、粘りつくような嫌な予感に押しつぶされそうになっていたのである。
 …このジャングルは妙だ…。何がおかしいのか分からないが、修羅場を潜り続けてきた人間のカンがヤバイと警告している。

 斥候として送り出した兵たちは、二人、また二人と連絡を絶ち続けた。
 彼らを救出する名目で更に送り出した兵たちも軒並み帰ってこない。
 遂に少佐自身ともう一人だけを残すのみとなった。

 通信機器もまるで役に立たず、彼らの消息を示すGPS自体の反応すらかき消えている。
 大蛇に飲まれたとしても、そう簡単にGPSまで消化しきれるとは思えない。
 全身に仕込まれた電磁機器全てを一瞬にして破壊しつくしたというのだろうか?

 普通に考えればもう引き返すべきだ。
 だが、手掛かりもつかめずにただ帰る訳にはいかない。
 確かに犠牲者の余りの多さに軍上層部は危険を感じたらすぐに引き返せとは言っていた。ただ、何らかの手掛かりを掴んでから帰還するべしとも念を押していた。
 私が上層部でもそういうだろう。
 今の状態で帰還すれば単なる無能な臆病者だ。

 せめて彼らの死体なり、何らかの手掛かりを掴まなくてはならない。
 それこそこのジャングルで宇宙人が人間狩りでもしているというのか。だが、仮にそうだとしても全身にくまなく配置されたGPS装置を同時タイミングで消滅させることが出来るとは思えない。

 少佐は残った新兵と二人組で歩を進めた。彼の名はジョニーと言った。
「ジョニー、大丈夫か」
「はい!大丈夫であります!」
 彼も鍛え上げられた軍人でありボディビルダーのような大男である。ルーキー(新兵)とはいえその装備の重さとジャングルの劣悪な環境にも全く根を上げていない。
 時刻はまだ明け方であり、昼間の焼け付くような暑さには少し時間がある。
 しっとりとしめった空気が心地よい涼しさをかもし出しており、一日のうちで一番過ごしやすい気候である。

 このジャングルで次々に行方不明者が出ている。
 普通に考えれば隣国にも同じ程度には犠牲者が出ていそうなものだが、それとなく探りをいれてみたが、隣国の人間はにやにやするばかりで何も答えない。

「止まれ」
 少佐がジョニーに停止を命じた。
「…あれはなんだ…?」
 少佐が双眼鏡を取り出し、前方の謎の物体を眺める。
「赤いですね」
 ジャングルが少し開けた箇所に、赤いものがある。
 幅は2メートル程度、そしてジャングルの奥に向かって延々と続いている。
「あれは…レッドカーペットじゃないですか?」
「ハリウッド映画か?」
 少佐が言いたいのは映画祭などで監督や映画スターが更新してくる花道という意味だろう。
「あからさまに怪しいですね」
「まあな」
 GPSの記録を信じるならば、消息を絶った斥候たちはもっと奥地まで侵入している。
 もしかしてあのレッドカーペットの先まで行ったということなのだろうか。
「ジョニー。写真だ」
「はい」
 ジョニーは写真を撮りまくった。
 あからさまにあやしいあの物体にこちらから近づいていく訳にはいかない。
 もしかして…あの場違いもいいところのレッドカーペットが今回の行方不明事件の真相なのかもしれない。
 よし、今度は秘密兵器を使ってくれる。
 少佐はリュックを下ろし、中から黒い箱を取り出した。

 黒い箱を開くと、中からラジコンのヘリコプターのおもちゃのようなものが出て来る。
「少佐…それは?」
「いいから黙って撮影続けろ」
 これが今回の秘密兵器である。
 兵隊の身に付けていた電磁機器が悉(ことごと)く無力化されているため、彼らを少し離れた場所から撮影し、映像データを遠隔地に伝送するための装置だ。
 最悪、また兵が全滅することになってもどうにか記録だけは残そうという訳である。

「しょ、少佐ぁ!」
 ジョニーが素っ頓狂な声を上げた。
「何事だ!大声を出すな!」
「し、しかし!」
 少佐がラジコン撮影機のスイッチを入れ、飛び立つのを確認してからジョニーの指し示す方向を見てみた。
「…っ!何だ!?」
 レッドカーペットがまるで生き物の様にうごめき、自らの意思があるかのようにその面積を前方に伸ばし始めたのだ。
「何だありゃ?」
「こ、こちらに向かってきます!」
 少佐は本能的な危機感に背中があわ立った。
「撤収!撤収だ!全速で後退する!」
 少佐はサバイバルツールだけが残されたリュックを鷲づかみにすると大急ぎでその場から立ち上がった。
「しょ、少佐!カメラは!」
「いいから走れ!」
 本来ならカメラはこの場では自らの命よりも大事にしなくてはならないものだ。
 だが、大蛇のようにうねり来るレッドカーペットはそんな程度のことすら考える余裕を奪っていた。
「うわあああああっ!」
 数十メートルは先だったはずのレッドカーペットは自らジャングルを切り開き、ジョニーの足元まで迫っていた。
 そして遂にジョニーを捉えると、足元を回りこんでぱっくりと飲み込むかのようにジョニーをぐるぐる巻きに捉えてしまった。
「っ…!!……っ!!!」
 くぐもった声が真っ赤な塊の中から漏れ聞こえてくる。
 な、何だ!?何なんだこれは…。これまでの行方不明の兵たちは全員この謎の絨毯状の怪物に取り殺されたとでも言うのか?
 非情なことだが、この場合、少佐だけでも生き延びて状況を報告すべきであろう。
 だが、何故か少佐はその場を動くことが出来なかった。
 余りにも絶望的な状況におかれると、人間は身動きすら出来なくなってしまうものなのだろうか。
 確かに冷静に考えれば、数十メートルもの距離を一瞬で詰めてくるこの絨毯状の怪物から走って逃れることは不可能だろう。
 原理は分からないが、人間を探知する機能もあるらしい。

 もう、どうにもならないのだ。
 次の瞬間だった。

 もごもごと中で抵抗を続けていたらしいジョニーだったが、レッドカーペットはその状態ではらりと解(ほど)け始めたのだ。
 これまで原形をとどめない無残な死体など幾らでも見てきた歴戦の兵士である少佐も思わず目をそむけた。
 もしかしたらそこには消化液に溶かされた無残なジョニーの残骸が溶け残っているかもしれないのだ。

 だが、次の瞬間に目の前に展開した光景は想像を絶していた。
 余りにも突飛で、現実とは信じられなかったのだ。

 そこにいたのは、純白のウェディングドレスに身を包んだ可憐な花嫁だったのだ。

「…しょ、少佐…」

 綺麗な高音だった。スレンダーな美女はまるでモデルのようだった。

「お前…ジョニーか?」

 余りにも荒唐無稽な問いだった。
 ジョニーは屈強な新兵である。あの丸太みたいな太い腕や、岩みたいな胸板は数ヶ月絶食したってこんなドレスなんかが入る様にはなるまい。
 だが、目の前の花嫁には何故か確かにジョニーの面影があったのだ。

「しょ…少佐…これは…その…」

 何が起こっているのかサッパリ分からないが、目の前の花嫁の人格は間違いなくジョニーのものであるらしい。
 その花嫁は律儀に左手に持たされているウェディングヴーケを手放そうとせず、肘を曲がりこむ長い純白の手袋でスカートをするすると撫でている。

「お前…女に…」

 全身を覆っていた装備も恐らくウェディングドレスの装飾へと成り果ててしまったのだろう。
 まさか…これが…真相?

 次の瞬間だった。
 地面に大きく接地するのみならず、大きく広がって地面を引きずるドレスのスカートとトレーンを汚さないかのように広がるレッドカーペットの先がまたぐん!と伸び、無骨な装備に身を固めた少佐を飲み込んだのだ。

「うおおおおおっ!!!」

 視界を遮られた少佐は、のみならず謎の感触に全身を揉みほぐされた。
 何が何だか分からない。
 だが、重い荷物の拘束感とは全く別の拘束感が全身を覆いつくし始めていた。
 かと思うと変なところは開放され、アンバランスな感触が全身を責めさいなむ。

「な、何だ!?何なんだぁ!?」

 突然開放される少佐。
「うわっ!」
 思わずバランスを崩して前のめりになる。

「しょ、少佐ぁ!!」

 目の前には先ほどの花嫁ジョニーが驚愕の表情を浮かべている。

「どうやら助かったらし…っ!!」

 自らの声の異常に気が付くのと、視界の異常に気が付くのはほぼ同時だった。
 白い霧が目の前を覆っている。
 いや、霧ではない。
 これは…。

 身体を動かすと、耳たぶを引っ張る感覚と腰周りから垂れ下がる大量の生地が地面をこする「衣擦れ」の音がする。

「あああっ!」

 自らの身体を見下ろしてみた。
 そこには大胆に開いた胸元の肌色があり、その下は艶やかな光沢を放つ純白のウェディングドレスに包まれた女体…それは今の自らの身体…があったのだ!
 目の前の霧はウェディングヴェールであり、耳を引っ張るのはイヤリングだった。

 アップにまとめられた髪がうなじを露出させ、化粧の甘い香りが鼻腔をくすぐる。

「少佐…」
「ジョニー…」

 余りにも現実離れした出来事だった。
 先ほどまで屈強な軍人だった二人は、一瞬にして可憐な花嫁となり、今はその晴れ姿でお互いに見詰め合っているのだ。

 足元のレッドカーペットは少佐の身体を中心に広がるスカートが万が一にもジャングルの地面に直接触れないようにか少し先まで達していた。

 次の瞬間、レッドカーペットがしゅるしゅると動き始めた。

「うわ…あああっ!」

 その分厚いスカートの下に隠された足が踵(かかと)の高いウェディングシューズに包まれていることまで察されると同時に、まるで「動く歩道」であるかのようにレッドカーペットがジャングルの奥に向かって収束して行く。
 ま、まさか…これは単なるレッドカーペットではなくて…「ヴァージンロード」なの…かぁ!?

 まるでジェットコースターのようなジャングルスライダーは感覚としては数分は続いた。
 その内うっそうと茂ったジャングルの木々が少なくなってくる。
 そして、数十メートル先にこれまた場違いなものが見えてきた。

 それはバスだった。


(後編に続く)

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