FC2ブログ

Latest Entries

六鏡 玲人の暗躍――水野 希光の場合 ――(20) by.黒い枕

ずらりと並んだ大きなロッカーと、十個以上はある女の子らしいヌイグルミが置かれた机では、そこが何処であるのかは分からない。
だが、そこにメイド服を着た女の子や女性が居たら、どうだろうか。
さらに日本の都心部の七十坪以上、八十坪未満の土地と言う限定があれば、さらに絞られる。
――と言うか、もう分かるだろう。
ここは、数人のアルバイトが、メイドごっこをする場所。
メイド喫茶の更衣室だ。

「ひゃああ!!こら……マユ!」
「うわ…これが噂のIカップ――ごっさんですぅ!」

そして――そこでは一人の先輩が、にゅぐにゅぐと、後輩に後ろから胸を揉まれていた。
許可していないのに胸を触られれば、揉まれれば例え同性でも許せるものではない。
楓希は弄ばれつつも、そこはしっかりと叱った。
しかし、怒られた筈の後輩であるマユ――十八歳未満ぐらいの女の子――は、楓希の胸を揉み解すのを止めない。
むしろ体重ごと傾けて、背中に密着。
守るのがブラだけなので、マユが述べるようにIカップの乳房に布地と指が、深々と食い込んだ。

「こっ、こらああ!! ああっ……ちょっと!!」
「うわああっ!! 凄い!凄い!」

マユは、体格差のある楓希の体に負けないように、ハァハァしながら熱烈な愛撫を続けた。
性行為が目的だったのかは分からないが、責められている彼女の乳に薄っすらと血が集まっていく。

(いい加減に……!)
「――こらっ! なにやってんの!」
「あだっ!?」

容赦なく背後から、節操なしにセクハラを噛ましてくる後輩を振る払おうとしたら、別の誰かが止めてくれた。
天は人を見放さないものだと、乳房とブラを両手で庇いながら、楓希は感謝――しない。

(いや……運がないから…)

自分は不幸だから、運がないから、後輩に巨乳を弄られ、『女』を強いられているのだ。
彼女には、マスターを愛し、マスターの恋人役を演じ、――可愛らしいメイド衣装に着替えて、働かなくてはならなかった。
自分は、そう言う存在なのだから。

「ほら……楓希も早く着替えなさい――彼、待っているわよ?」
(その話題に触れるなああぁ!!)

やはり、自分は幸運に見放された、つくづく不幸な存在らしい。
助けてくれた先輩――メイド姿のユイに愚痴交じりの叫びを、ぶつけた。無論、脳内で。

(くそぉおお!!言いたくないのにィィ!!)

話を振り直したいが、行き成り彼氏の話しから遠ざかるのは不自然だった。
そもそも、『設定』違反になってしまう――と言うこともあり、楓希は愛想よく且つ、恥じらいながら、返した。

「もう!…ショウくんったら……」

我ながら上手くぶりっ子を、純情な女の子を演じられたと、楓希は誇る。
だが、瞬時に精神は陽気から陰気に変わった。
悲しみと切なさが急激に襲い掛かる。
おまけに――。

(はっ、ううぅ!! 来たよお――ォ!!)

背筋に無視できない電気が流された。
溜まらず、楓希は背筋を仰け反らせ、子宮を奮わす。

「まあまあ。彼氏として心配なんでしょ?許してあげなよっ」
「そうですよ。って言うか、どこであんな美形を捕まえたんですか?」

二人には知られないように――発情を隠した――最小限の動作と仕草。
故に、ユイもマユも罪悪感なしに会話を続けてきた。

「えへへ。羨ましいでしょ。マユ」

ゾクゾク……じゅっくうぅ。

またも、神経をむず痒くさせる痺れが襲いかかり、子宮が覚醒へと鼓動を開始する。
ダメだと思いつつも、停止できないむらむらの――欲情。
『設定』されているシステムであるため、抑制することすらも不可能。
楓希は思わず、その誇る巨乳に抱きついて、広がっていく衝動を宥めつかせる。
当たり前だが、気休め程度。
だが、その気休め程度が、彼女にとってはなによりも助かった。

「ん?どうしたの?ここ…寒いの?」

反射的に刺激してしまった乳房に感覚に悶絶している楓希に、ユイの声が掛かる。
どうやら、冷気によって乳に抱き付いたのだと勘違いしているらしい。
チャンス、とばかりに今ある羞恥心、不快感、そして性欲を押し殺し、彼女は話題を一転させた。

「大丈夫だよ。あっそれよりも急がないと!時間!時間!」
「えっ、あ本当だ!!」
「ふええ!フブキ先輩の胸に夢中になっていたら時間がっ!?」

一人、今すぐ叱りたいが、時間がないのは事実である。
――自分は特に時間は掛かるので、急がなくてはならなかった。

(はぁ…なんで俺がこんなことを…うぅ)

特注の、とっても凝っているメイド服だからである。
けっして、マスターを待たせているからでは――ない。多分。

(って――俺はなんで、アイツのことを考えているんだあぁぁ!?)

忙しく着替える最中、瞬間的でも自分の彼氏――水野希光のことを思ってしまい、メイド服を抱きしめたまま、頭を大きく振るう楓希だった。

<つづく>

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

http://okashi.blog6.fc2.com/tb.php/8950-de93f266

この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

«  | HOME |  »

DMMさんの宣伝

 

初めての人はこちら

ts_novel.jpg

 

性の揺らぎに関する作品でお勧めのもの

ts_syouhin_20090318225626.jpg

 

性の揺らぎに関する作品(一般)

ts_syouhinもと

 

ブログ内検索

 

最近のコメント

 

プロフィール

あむぁい

  • Author:あむぁい
  • 男の子が女の子に変身してひどい目にあっちゃうような小説を作ってます。イラストはパートナーの巴ちゃん画のオレの変身前後の姿。リンクフリーです。本ブログに掲載されている文章・画像のうち著作物であるものに関しては、無断転載禁止です。わたし自身が著作者または著作権者である部分については、4000文字あたり10000円で掲載を許可しますが、著作者表記などはきちんと行ってください。もちろん、法的に正しい引用や私的複製に関しては無許可かつ無料でOKです。適当におだてれば無料掲載も可能です。
    二次著作は禁止しません。改変やアレンジ、パロディもご自由に。連絡欲しいですし、投稿希望ですけど。

 

全記事表示リンク

ブロとも申請フォーム

月別アーカイブ

 

最近の記事

 

ブロとも一覧


■ ブログ名:M物語(TSF小説)

 

カテゴリー

新メールフォーム

イラスト企画ご案内

20080810semini.jpg

 

リンク

RSSフィード

2020-10