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六鏡 玲人の暗躍――水野 希光の場合 ――(21) by.黒い枕

ここは、名もなきメイド喫茶の一つ。
名前は敢えて、記入しないが、ベタなネーミングだからこそ、愛嬌があると言うコアな客層もいる店でもある。
特に今は――

「いらっしゃいませ。ご主人さま」

通称メロンちゃんと言われる看板メイドのお陰で客足は三倍強にも、成っていた。
むろん、名前でなく、ニックネームだ。
しかし、その名付けは、実に論理的に適うものだった、と認めるしかないだろう。
なぜなら――。

ぶにゅんびゅん。ぱふぱふ――ん!!

「うおおお!! メロンちゃん、最高!」
「巨乳メイド……万歳!」
「チクショウ!!また、アイツに…負けた!」

胸元を卑猥に強調するメイド服から零れてしまいそうなほど揺れる乳房。
その大きさは、正しくメロン級だ。
むしろ、スイカちゃん――と、呼びたくなるほどのサイズだ。

「あ…あはは…また今度、お願いしますね…っ」

そう思うほど、形もよく、重量感が溢れ出る乳房を携え、メロンちゃんと、呼ばれた女性――楓希は早歩きで仕事場に向かう。

「またかよ!」
「フブキちゃ~ん!! 俺を見捨てないでくれ!!」
「チクショウ!チクショウ!!巨乳メイドの夢がああぁ!!」

楓希のメイド仕事は特殊だった。
なんせ、制服であるメイド服から、異質なのである。
他のみんなは安全と倫理観を考慮に入れた許容範囲のデザインだが、彼女は違った。根本的に。
色合いは文字通りメロンを思わせる緑色を基調とし、淫靡な谷間の強調。
あたかもギャルゲーに出てくるようなメイド服だ。
よく見れば彼女の首には、首輪のようなモノがあるではないか。
胸が、巨乳が服に合わなかった、と言えばそれまでであるが、それにしても、エロい。
エロ、過ぎる。

(くっ……見るんじゃねえェェ……)

煌びやかなピンクの毛。
突起し、簡単に擦れてしまう胸部と臀部の膨らみ。
腰周りの触りたくなるほど、急なカーブ。
そして、例の恥かしいメイド服。これで目立つな、と命令するほうが、おかしいだろう。
注目される羞恥心と、視線で犯される屈辱は、どうにも成らなかった。
そして――。

「お帰り…なっ、なさいませ…。…ご主人さま」

少々、ぎこちないものの、メイドとして礼をする楓希。
必然にメロン級以上の乳が蠢き、背後から喝采が沸き立つ。

(くそぉお!なんで俺がこんなことをォォ!!)

若干、女性の声が混じっていた賞賛や叫び、そして自分に対する会話。
鼓膜からの甘酸っぱいとも、辛いとも言える仕打ちに楓希は、堪えた。
本当なら、メイド喫茶で働くことはおろか、メイド服を着込むことすら嫌なのだ。
まざまざと自分が『女装させられていること』を自覚されるから――と、微かに瞳を潤ませ、彼女は、ご主人さまである男性の横に座った。

「なんだよ……そんな畏まらなくても、いいじゃないか」

そしてご主人さま――水野希光は、平然と、砕けた口調で会話を開始した。
その意味が、何を意味するのか、よく知っている筈なのに。
彼女の心境を察しながら、メイドの楓希でなく、自身の恋人としての楓希を望むマスター。
非道な仕打ちである――が。

「だっ、ダメだよ。ショウくん……」

マスターに望まれれば、逆らえない体と心で楓希は恋人として対応する。
じゅん…ぴちゃりと、音を立ててしまいほど、女性器が湿った。

「いいじゃないか。俺たち恋人なんだし…それとも、他に困ることでもあるのか?」

大有りだ。
叫びたいほど、感情が爆発し、彼女はこめかみを歪ませる。
ただ、やはり肉感的且つ可愛らしい存在には、威圧感と言うものは、まるで無かった。

(ん…あっ…ひどい…んんっ!)

【楓希】の内部には様々なギミックが、隠されていた。
本来、楓希だった希光にも知らされていない機能の数々。
例えば、マスターたる存在に対する相応しい言動と態度をしなければ、発情してしまう――と、言ったように。

「…………っ」

かつて、自分だった体に、存在に、メイドのように平伏し、服従する。
それは自分に実った乳房への愛撫以上に屈辱だった。
汚辱と言ってもいい。
しかも、同時にマスターの命令は聞かなくてはならない。
矛盾した生き地獄だった。

「しょうがないなあ。じゃあ、今日はBコースでお願いするね。メロンちゃん」

その様子が哀れに思ったのだろう。彼は優しく、メイドの望みを承諾した。
囁かれるマスターの甘美なお言葉。
楓希は胸の重みが取れた開放感と爽快さに、笑みを零す。

「ありがとう御座います。――フブキ、Bコース入ります」

注文されたコースを他のメイドに伝え、再びマスターに向き合う。
その乙女な笑顔に、ご主人さまである希光は勿論のこと、その場に居た誰もが心を奪われる。

――メロンちゃんと呼ばれるメイドが、ここまで人気な理由。
それは、ここでの楓希は特殊だったからに他ならない。
官能的すぎる体や弾けんばかりの胸元もそうだが、何よりも彼女の、彼女だけのサービスが特殊であり、また店の売りになっていたのだ。
その名も、メロンちゃんのパフパフサービス。
内容は語らずとも分かるように、楓希の、その豊満すぎる乳房を揉める権利を得るのだ。
この場合は、水野希光が。

「くくっ……凄い。マシュマロみたいだ」
「んんっ…あんっ!…んっ」

マユとは違い、本当に触れているか否か――のような優しいタッチである。
当然だが、正常なメイド喫茶のサービスではない。
【楓希】の能力で、この行為を常識なのだと世界に誤認させているに過ぎないのだ。
故に、水野希光以外には、このサービスを受けたことはなかった。

――つまり、注目を集めるだけ集めて、楓希を苦しめるだけのイベントなのである。

挿絵 2
挿絵:神山 響

(くそっ…んっ…気持ち、いい…)

子供の遊戯のような指使い。
そんな行為に、彼女の肉体は無情にも、喜びはしゃいだ。

「ど、どうでしたご主人さま?フブキのおっぱいは気持ち良かったですかぁ?」
「うん……本当のメロンのような甘い香りがしたよ」

自然とメイドとして――正確には従順な人形として――笑みを振り撒く。
胸の疼きが収まるにつれ、理性が戻り、自己嫌悪に心が押しつぶされた。

(くそ…この変態が…)

暴力を振いたくなるほど--『男』としての--気力を取り戻した楓希。
だが、それはさらなる悪夢に彼女を追いやる副産物でしかなかった。

「どうぞ。ご主人さま――オムライスです」

タイミングよく、運ばれるオムライス。
既に衣服の乱れを直した楓希は、ふーふーと熱い玉子とライスを冷ましていく。

「…ご主人さま。熱いのでお気をつけ下さい」

あ~ん、と言う恥かしい言葉すらも忘れない。
今の彼女に出来ることはただひとつ――目の前の、かつて自分だった存在に尽くすことしか、許されていないのだ。

「ん、美味しいけど…まだ慣れてないんだな--元マスターはいけない子ですね?」
「ひぃあっ!あっ…す、すみま…せん!」
「ダメですよ?許しません…仕事が終わったら…例の服装で帰って来て下さいね…」
「はい…っ…お、仰せのままに…っ」

故に、どんな屈辱でも――コクコクと、首を縦に揺らして、受け止めるしかなかった。首にある首輪のせいか、今の楓希はメイドと言うよりは、『奴隷』のようである。

<つづく>

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