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クジラの人魚姫5-1

(1)

「ねぇ?セラスさんってハーフなの?」
「ちょっと!!この胸、何カップなのよ!?」
「ずるィなあ。高校二年でこんなグラマーなんて…彼氏ぐらいいるんでしょ!」

群がる、女、女、――女子高校生。
転校してきた美少女に興味津々なのだろう。
引っ切り無しに押し寄せる彼女たちに話題の人物である豊満な肉付きの『少女』は、眉根を寄せて、困惑する。

「あ、あの…ちょっと…み、みなさん!そ、そんな詰め寄らないで……ふっ、ぇ」

転校初日で好意的に接してくれたら、それは幸福なのだろう。
だが、しかし、『彼女』は満面を恥じらいの赤に染め上げ、小刻みに震え上がった。
何故なら――体は女でも中身は――心は『男』であるからだ。

(どおっ、どうしろっていうんだよおぉ!この状況!俺…男なのに…っ!こ、こんなに女子に囲まれてっ~~!?)

ボンと突き出た美巨乳とむちと張り出ている臀部、細面のクールな美貌。
そんな艶美な女体であるが、中身は白方 玖史羅と言う少年に過ぎない。
正直、彼は自分のことを『セラス』として扱う女子たちが、怖くて仕方ないのだ。
エッチなお店のコスプレのような女子高校生姿を晒していることもあり、身震いするしかない。

「あっ、あの…その彼氏は…いないし…胸も、そんなに…ィ…」

沙希や、肉体本来の持ち主のセシリウス――おまけに悪友や父も含んだ関係者――たちとは違い、本当に女の子だと疑っていない様子が、あまりにも惨めに思えた。
たぷたぷとした胸が、追い討ちを掛けるようにして弾む。

(そ、そんなに…俺は…女に見えるのかよ…っ)

日常生活でも十分女扱い、いや『セラス』扱いだが、やはり違うのだなと、心の底からクジラは悟る。
彼女たちにその気がなくても、その問題なく接してくる態度そのものに居た堪れなくなる。
恥が密度を増して、脳裏に積み重なり、不覚にも目元が潤んでしまう。

「かっ可愛い……」
「うわっ、ヤバい……やばいッ」

その恥じらい不安がっている仕草が余計に女子たちの『何か』を刺激したらしい。
同性であることは――もう関係なかった。

「う…ぅぅ」

ギャップ萌え、と言う物だった。
律儀に返答していながら――しかも、バリバリのグラマーなお姉様な美貌で――ウルウルと、視線をさ迷わせている『白方 セラス』は可憐以外の何でもない。
余りにも儚く、恐ろしいほど弱弱しい雰囲気に、少女たちは言及することすら忘れて息を呑む。
健気な哀れさを持つ一方で、演劇のクライマックスのような美しさも漂わせるのだから、魅了されずにはいられない。特に、その撓わに育ちすぎた胸に。

(みんな胸…見てるんだ!こっ…こんなに大きい、んっだもんなぁ…)

僅か、数分で女子たちを"よこしまな道"に引き込み掛けているのを、本人だけは気付かなかった。
足元どころか、下にある机を半分も隠しながら波打つおっぱいの怪物。
シャツとブラジャーに捕縛されていながらも抑えきれない様子は、圧倒的と言うしかない。
そんな一般からかけ離れた巨大な美房は自分のモノなのだ。
果てしない恥辱と悲しさに、体が打ち震えた。涙がこぼれそうである。

「はぅ~っ!」
「お姉さま?…いやい、妹!わたしの妹よ!」
「か、かわいい…」

眉毛を下げている顔も実に色っぽく――周りを、さらに燃え上がらせてしまう。
同性でも構わないとばかりに引き付ける彼の魅惑。
セシリウスを――『セラス』を演じるクジラは、過激にエロすぎた。

「お~い、どうでもいいけどもう直ぐ二時限目だろ。 早く用意した方がいいぞっ」
「もう、白方君はセラスさんのこと独占していたんだから、もう少し良いじゃない」

そうよ、そうよ、と一致団結する女子軍団。
別に独占された覚えはないが、親戚であり前からセラスを知っていた設定のセシリウス――もとい『白方 玖史羅』は彼女たちの中では敵らしい。
もっとも、ほぼ全女子の敵意を、むしろ飄々と 『クジラ』は受け流した。

「なにいってるんだ。お前たちが騒いでセラスが注意されたら、困るだろ?特にコイツは昔から奥ゆかしいっていうか、奥手っていうか……照れ屋で本音がいえない性質なんだよ」
「あ――っ、納得」
「うんうん――納得」
「そうか、そうだよね――ごめんね、白方くん…納得したわ」
「それなら――納得するしかないわぁー」
(――なんで全員一致で、納得するんだァァ!!?)

またしても催眠術か何かではないか、と疑うクジラだが、生憎と違う。
純然たる事実として彼女たちを説得できるほど、セシリウスの言葉は的を得ていた。
朝の自己紹介から頬は桜色に上気したまま、消えたためしがない。
会話も碌に出来ない上、時折ぴくんっぴくんっ、と身悶えしている。
女子たちが『セラス』を極度の恥かしがり屋なのだと確信するに十分だった。

「じゃね、セラスちゃん!またね!」
「あ…う…うん!」
「じゃあね、白方さん!」
「うん、あ、ありがとう…」

自分の純情少女説を否定したかったが、先手を突くように女子たちが離れていく。
理性が上手く働いていないせいか、つい女性として――『セラス』として振舞ってしまう。

(うっ、ちぃ…くしょう!…なんでお礼なんていってるんだろう、俺…っ)

<つづく>

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