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クジラの人魚姫5-7

(7)

(なんか――今日の皆は変すぎるねえ?)

いい加減に気付いてもいい頃合――もっとい、外部からの熱烈な求愛である。
しかし、クジラは気が付かない。
きょとん、と再度小動物を連想させる仕草で首を傾げてしまう。――彼にとっては同級生たちの行為は意味不明な物でしかないようである。

「よっ――大丈夫だったか?」
「セラ…クジラっ……く、ん……っ……あ、んっ」
(んひぁっ…!なっ!…いま…お腹…うごいた…?)

平手打ちしようか、馬鹿と大声で叫ぼうか、と悩んでいた筈だった。
けれども、顔を合わせた途端、身体に甘い疼きが巻き上がる。とくんっ、とくんっ、と心臓がざわめく。
妙に喉も渇き、気のせいだと思いたいのだが、子宮がきゅっ、と窄まった感触が下腹に生じた。
まさかと思うが嬉しいのだろうか、安堵しているのだろうか。――『クジラ』にブルマ姿を見られて。

(なん、…っで…どうし…て…っ?)

沙希以外で、しかも男に――中身は女でも――確かな恋慕を向けてしまうなんて。
知らずの内に心まで女の子化したのではないかと怖くなる。
同時にブルマという衣装のせいなのか、込み上げる火照りに意識が夢中になる。
まるで布地が当っている股座部分が勝手に湿っていくようで――。

「んっ…はぅっ…うん、んっ…あん…ん」

自分は女なのだと自覚した途端、熱を帯びた股間の切なさに、はうはうと甘い呼気をこぼしてまう。
途轍もなく吐き出した息が牝臭くて、捉えた嗅覚から電気が突き抜けた。
目尻も熱くなり、衝動的に体を隠すことに力を注ぐ。

「ひゃ…うぅっ!…ちょ…と…な、なによ…っ!…」
(ふぐぅ、ぅううっ!胸が…はじけるっ…あうっあうぅ!におい、ぷんぷん…あぐぅ!は、恥かしいよぉぉ!)

だが、身体が動くたびにたぷんったぷんっ、と胸が大きく布地を押し上げ、淫靡さに拍車がかかる。
脳裏にも、痺れがピリピリと押し寄せた。
深まる濃艶さに、またも反射的に虚勢を張るのだが、顔を含めた全体の弛緩を防げない。
どんな『白方セラス』に見えるのだろうか。

「あれ…?様子が変だな?なにかあったのか?」

眼前の『白方クジラ』が全身を紅潮させている理由を尋ねる。
気付いているのか、気付いていて知らないふりをしているのか。
――後者だと、もう立ち直れそうもなかった。

「~~!? なっなんでもないわよっ!」

反射的に絶叫してしまう。過剰な反応に内心、ドキドキと自分の感情を整理する。
もう怒りは無い。
そして――怒りが無い分、恥じらいが増した。

「ああ、ブルマが恥かしいのか?」
「見ないでよ…っ…ば、馬鹿…こ、こんなの…別に…見ても、つまらないでしょ…っ」

脳内ではカンフー映画のように相手をノックアウトしている自分がいる。
けれども現実では――『クジラ』の前では思うように体が動かない。
底抜けに内気になってしまう。
セシリウスと沙希が強要したライフサイクルは確実にクジラの男意識を奪っていた。

くじら7
挿絵:倉塚りこ

そして、虚勢すらも張れないことに対する自己嫌悪を塗りつぶすかのように。

「うんうん、ちょっとエロエロだけど可愛いじゃん!似合ってるよ!」

――『クジラ』が褒めてくれた。
途端、家で着せ替えられたときのような、混浴してお互いの体を触りあったときのような、そして時折強制的に一緒のベッドで寝入るときのような堪えようのない恥かしさが脳裏に炸裂する。
許容を超えた居た堪れなさに、それが嬉しいことだと肉体が勘違いをしてしまう。
屈辱極まって涙ぐみ、満面を上気させながら、ビクンと身体ごと浮かれ上がる。

「~~えっ、エロエロっ!?な、なにを!?ひぅっ、へ、変なこと言うなぁ!!」
(ダメぇっ…!んあっ…あ、また…お腹…しきゅうが…反応…んっん、…)

ブルマを褒められて嬉しい。自分が認められ、ついついお尻が弾んでしまう。
羞恥心でも女体は敏感に、しかも気持ちよく反応するのだから手が付けられない。当惑を隠せない。
ぴっちりと張り付いているブルマの感触に、心地いい痺れが下腹に襲った。
危うく女に陥りかけて、とっさに思考を別のことへと向けさせる。

(そうだ…!女子共に弄られてヘンになっているんだ!!催眠術や瞳のこともあるしセシリウスが、何かしてるんだ!!きっと――入れ替わってるから俺っ!女っぽくなってるんだっ!!)

肉体が入れ替わること自体は、確かにとても異常なことだ。
だから、考え方は間違っていないとも言えるが――が、説得力の有無は別である。

「も、もう! 恥かしいこといわないでよっ!!け、けど…けど――」

知らず知らずの内に女に染まっていることを認めたくなくて、いつしか敏感な反応を『クジラ』にしてしまうことを隠したくて、何もかもを否定する。

「あ…ありが、とう……クジラ君」
「いいって、それよりも早く準備しようぜ」
「あっ――うん!」

だが、無条件で体が興奮するほどの喜悦を感じた事実は消せなかった。
妙に活き活きと、体が勝手に――乙女チックな――『セラス』を演じる。
いや、演じてしまう。

(ううぅ――もうヤダァァ!!早く終わってええ!!?)

動きやすい格好には違いないのだが、クジラは不自由な体に、否、複雑に様々な感情に発展させていく自分の心のあり方に苦悩した。
自然と両手が胸の膨らみや、下半身のブルマを隠そうとし、上着がぎゅむぎゅむっ、と軋んだ。

「え…?胸…そんなに谷間つくって…。なに、誘ってる?」
「そ、そんな…わけ…ないわよっ!ば、馬鹿!クジラくんの…イジワル!」

そんな『セラス』とは反対に、喜んで異性に成り切っていると思われるセシリウス。
目の前でへらへら、と笑っていることが、やはり屈辱と悔しさを大きく煽られた。
けれども指摘されたことは事実で、というか、このままでは体操すらもままならない。

(う、うう…俺は男!学校ならセシリウスだって襲わないだろし…は、恥かしがるほうが変…なんだ!恥かしがらなくてもいい、んだっ!!え、いっ!!)

数分の考えの末、クジラは胸を押さえていた手と、ブルマを隠していた手を離す。
太陽の光で濃厚に存在感を輝かせているブルマの上空で、巨大乳房が体操着の布地が切れてしまいそうなほどむにゅったぷっん、とエッチな乱舞を披露していた。

<つづく>

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